2025年03月05日
2027年「大河ドラマ」決定に想う…
こんばんは。私事が立て込んでおり、気付くのが遅れました。別のシリーズでの掲載途中ですが、気付いてしまった以上、何か書かずにはいられません。
――2027年の「大河ドラマ」は…『逆賊の幕臣』
主人公:小栗忠順(小栗上野介)
主演:松坂桃李さん
大河ドラマの第66作は、幕末史の“ウラ側”に迫るそうです。
――明治の政治家・大隈重信(佐賀藩 出身)は…
後年、この主人公・小栗忠順を評して、
「明治政府の近代化政策のほとんどは小栗の模倣」と語ったといいます。
実際に明治の近代化を引っ張ってきた大隈の言葉はやはり重みがあるのか、NHK公式サイトでの発表にも引用されています。
(参考)NHK公式サイト※外部リンク
――私の気持ちの整理は、あらためて付けますが、
「日本の近代は幕末から始まった」ことが、大河ドラマ『逆賊の幕臣』の前提になるようです。
「明治維新の前段階に徳川政権による近代化があった…」という理解ならば、江戸末期に幕府の近代化に協力した、佐賀藩の立場も見えてくるはず…
この発表を受けて、もし「幕末佐賀藩の大河ドラマ」があったとして、私ならどう描くか…今までの小栗忠順の関連記事を以下にご紹介したいと思います。
〔関連記事〕※史実に着想を得たフィクション要素も含みます。
○前回の幕末大河ドラマ『青天を衝け』関連
2021/06/04
○私が見たい「幕末佐賀藩の大河ドラマ」での描き方
○小栗忠順を抜擢した、大老・井伊直弼について
私は気付いていませんでしたが、2日前の3月3日が、この大河ドラマの発表日だったようです。
その3月3日(但し、旧暦)が大老・井伊直弼が落命した“桜田門外の変”発生日だったので、それも関係あるのかな…と考えたりもしました。
――2027年の「大河ドラマ」は…『逆賊の幕臣』
主人公:小栗忠順(小栗上野介)
主演:松坂桃李さん
大河ドラマの第66作は、幕末史の“ウラ側”に迫るそうです。
――明治の政治家・大隈重信(佐賀藩 出身)は…
後年、この主人公・小栗忠順を評して、
「明治政府の近代化政策のほとんどは小栗の模倣」と語ったといいます。
実際に明治の近代化を引っ張ってきた大隈の言葉はやはり重みがあるのか、NHK公式サイトでの発表にも引用されています。
(参考)NHK公式サイト※外部リンク
――私の気持ちの整理は、あらためて付けますが、
「日本の近代は幕末から始まった」ことが、大河ドラマ『逆賊の幕臣』の前提になるようです。
「明治維新の前段階に徳川政権による近代化があった…」という理解ならば、江戸末期に幕府の近代化に協力した、佐賀藩の立場も見えてくるはず…
この発表を受けて、もし「幕末佐賀藩の大河ドラマ」があったとして、私ならどう描くか…今までの小栗忠順の関連記事を以下にご紹介したいと思います。
〔関連記事〕※史実に着想を得たフィクション要素も含みます。
○前回の幕末大河ドラマ『青天を衝け』関連
2021/07/15
2021/09/18
○私が見たい「幕末佐賀藩の大河ドラマ」での描き方
2021/08/30
2021/09/28
2021/11/10
○小栗忠順を抜擢した、大老・井伊直弼について
2022/11/23
私は気付いていませんでしたが、2日前の3月3日が、この大河ドラマの発表日だったようです。
その3月3日(但し、旧暦)が大老・井伊直弼が落命した“桜田門外の変”発生日だったので、それも関係あるのかな…と考えたりもしました。
2024年12月01日
「終盤まで魅せる、光る君へ」(反省会シリーズ①)
私たちはいま、1年のうちでも忙しい響きがある「師走」の入口に立ちました。今回も「考える余裕が乏しいとテレビの話題が増える…」いつもの展開です。
記事自体は、本日放送の『光る君へ』(第46回)を視る前にほぼ書いていましたが、投稿は放送の視聴後になりました。
そんな経緯で、少々おかしな記載があるかと思いますが、これは予想なのか、感想なのか…とお読みいただければ幸いです。

――大河ドラマ『光る君へ』も最終盤に来て、まさかの“九州編”に突入。
史実の紫式部が九州に来たことがあるかは不知ですが、ちょっと嬉しいです。
藤原道長〔演:柄本佑〕が頂点に至った後をどう描くか…と思っていましたが、第46話のタイトルは「刀伊の入寇」。辞書では1019年の出来事とあります。
前回の放送で主人公・まひろ(紫式部)〔演:吉高由里子〕が、福岡(太宰府)の市街地に到着。今回は、ほとんど九州が舞台でした。
――これは「主人公を、史実の事件の目撃者にする」というパターンか…
今年の大河ドラマ、いくつかの「あったかもしれない」話を設定に盛り込んで、物語の軸にしている感じがします。
脚本家は、朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』などを手がけてきた、大石静さんなので、女性の生き方の描写は間違いなさそう…と最初から思っていました。
しかし、平安時代の政争などから、つかず離れずに主人公を関わらせる手法が「上手い!」「面白い…」と感じながら、この1年近く視てきたものです。

――終盤で、こんな思い切った設定を出してくるとは…
個人的に、この展開をどう考えていたかを、過去の記事で振り返ります。
①主人公・まひろには、九州に来るフラグ(伏線)があった…
〔参照:「小休止その4、肥前は遠い国…」〕
まひろの親友・さわ〔演:野村麻純〕は、肥前国(佐賀・長崎)で嫁いでいます。その後、さわは、京の都に帰ることなく世を去ったことが、まひろにも手紙で伝わる場面がありました。
「もう会えないかも…」という彼女の予感は当たってしまったのですが、前回、まひろが「さわさんが亡くなった“松浦”」に寄りたい趣旨の発言もしています。
肥前の国庁は、佐賀市(大和町)あたりのようですが、古代の律令制の時代、松浦郡の中枢は現在の唐津市にあったとも。

ここでの「松浦」が長崎県でも、伊万里市の近所ですし、『光る君へ』で佐賀県を通る可能性が生じるとは予想外で、これは楽しみです。
②平安の英雄(ヒーロー)・藤原隆家はどう描かれる…
〔参照(後半):「光る君へ…私の楽しみ方③」〕
今回のサブタイトルにある「刀伊の入寇」という事件。太宰府の長官だった、藤原隆家が、九州北部沿岸を襲撃した異民族を撃退した、と説明されます。
一時、藤原隆家〔演:竜星涼〕の家族は貴族政治の頂に立っていたのですが、父・道隆〔演:井浦新〕の逝去をきっかけに次第にその座を追われていきます。
兄・伊周〔演:三浦翔平〕は、政敵・藤原道長に“呪詛”を繰り返していましたが、弟・隆家は急に慎ましくなって、バランスよく生きてきた印象があります。

史実の藤原隆家は貴族でありながら武士たちを率いて見事に戦い、異民族の襲撃を退けた後、部下たちには恩賞を与えるよう、朝廷へ報告をしたようです。
ドラマでは、淡々と危機に対処する隆家が頼もしい印象でした。さて、九州が舞台の展開は次回も続きそうです。また、師走の1週間を頑張るとしましょう。
記事自体は、本日放送の『光る君へ』(第46回)を視る前にほぼ書いていましたが、投稿は放送の視聴後になりました。
そんな経緯で、少々おかしな記載があるかと思いますが、これは予想なのか、感想なのか…とお読みいただければ幸いです。
――大河ドラマ『光る君へ』も最終盤に来て、まさかの“九州編”に突入。
史実の紫式部が九州に来たことがあるかは不知ですが、ちょっと嬉しいです。
藤原道長〔演:柄本佑〕が頂点に至った後をどう描くか…と思っていましたが、第46話のタイトルは「刀伊の入寇」。辞書では1019年の出来事とあります。
前回の放送で主人公・まひろ(紫式部)〔演:吉高由里子〕が、福岡(太宰府)の市街地に到着。今回は、ほとんど九州が舞台でした。
――これは「主人公を、史実の事件の目撃者にする」というパターンか…
今年の大河ドラマ、いくつかの「あったかもしれない」話を設定に盛り込んで、物語の軸にしている感じがします。
脚本家は、朝の連続テレビ小説『ふたりっ子』などを手がけてきた、大石静さんなので、女性の生き方の描写は間違いなさそう…と最初から思っていました。
しかし、平安時代の政争などから、つかず離れずに主人公を関わらせる手法が「上手い!」「面白い…」と感じながら、この1年近く視てきたものです。
――終盤で、こんな思い切った設定を出してくるとは…
個人的に、この展開をどう考えていたかを、過去の記事で振り返ります。
①主人公・まひろには、九州に来るフラグ(伏線)があった…
〔参照:
まひろの親友・さわ〔演:野村麻純〕は、肥前国(佐賀・長崎)で嫁いでいます。その後、さわは、京の都に帰ることなく世を去ったことが、まひろにも手紙で伝わる場面がありました。
「もう会えないかも…」という彼女の予感は当たってしまったのですが、前回、まひろが「さわさんが亡くなった“松浦”」に寄りたい趣旨の発言もしています。
肥前の国庁は、佐賀市(大和町)あたりのようですが、古代の律令制の時代、松浦郡の中枢は現在の唐津市にあったとも。
ここでの「松浦」が長崎県でも、伊万里市の近所ですし、『光る君へ』で佐賀県を通る可能性が生じるとは予想外で、これは楽しみです。
②平安の英雄(ヒーロー)・藤原隆家はどう描かれる…
〔参照(後半):
今回のサブタイトルにある「刀伊の入寇」という事件。太宰府の長官だった、藤原隆家が、九州北部沿岸を襲撃した異民族を撃退した、と説明されます。
一時、藤原隆家〔演:竜星涼〕の家族は貴族政治の頂に立っていたのですが、父・道隆〔演:井浦新〕の逝去をきっかけに次第にその座を追われていきます。
兄・伊周〔演:三浦翔平〕は、政敵・藤原道長に“呪詛”を繰り返していましたが、弟・隆家は急に慎ましくなって、バランスよく生きてきた印象があります。

史実の藤原隆家は貴族でありながら武士たちを率いて見事に戦い、異民族の襲撃を退けた後、部下たちには恩賞を与えるよう、朝廷へ報告をしたようです。
ドラマでは、淡々と危機に対処する隆家が頼もしい印象でした。さて、九州が舞台の展開は次回も続きそうです。また、師走の1週間を頑張るとしましょう。
タグ :大河ドラマ
2024年10月09日
「光る君へ…私の楽しみ方③」
こんばんは。今年の『光る君へ』を題材に、私なりの「大河ドラマ」の楽しみ方を綴る企画の3回目。
初回に続いて「効かない呪詛(じゅそ)」で、おそらくは、今までになく有名となった(?)、藤原伊周(これちか)の話からです。

――直近の放送回。
藤原道長の“政敵”だった、藤原伊周〔演:三浦翔平〕が完全に失脚。
ついに平安時代の政治の世界から追放されます。きっかけは、伊周とつながりのある僧侶が“呪詛”の容疑で捕まったこと。
視聴者は繰り返し見てきた、道長〔演:柄本佑〕や中宮・彰子〔演:見上愛〕の名を記した人形(ひとがた)に刃を突き立てるさま。
――今回で、ついに一線を踏み越えてしまいます。
「八剣(やつるぎ)や…」と呪文をつぶやきながら、相手の名を記した人形(ひとがた)を、とうとう噛み始めます。
その場に駆けつけた、伊周の弟・隆家〔演:竜星涼〕は、「何をしておる!」と兄・伊周を止めます。
しかし、その制止を振り切って「花の刃の…」「薙ぎ払うなり…」と唱え続け、人形の木札をかみ砕きます。

――この木札をかじるシーン、相当なインパクト(衝撃)を残しました。
「伊周のクッキー」だとか「呪詛せんべい」だとか、ネット上でも話題沸騰となったようです。
仕上げとなった場面は、藤原道長と面会して恨みが爆発。伊周は、人形が描かれた紙を、憎しみをこめて大量に撒き散らします。
ああ、まさかの対面“呪詛”で、政界からは完全追放。かつてのエリート貴公子も、ここまでのようです。
――ところで、先ほど兄を制止していた弟・隆家。
元は騒動を起こしがちな乱暴者(「さがなもの」とか呼ばれたそう)だったようなのですが、歴史上のヒーローと呼ぶべき大活躍があります。
NHK(Eテレ)の歴史番組・『知恵泉』で視た方はご存じと思いますが、それは平安時代の日本を救うほどの偉業でした。
対馬や壱岐を襲い、博多に迫った異民族。太宰府に着任していた藤原隆家は九州北部の豪族を率いて、その50隻もの敵船団を撃退したそうです。

――これが、1019年の「刀伊の入寇」と呼ばれる事件。
大河ドラマで、どの程度描かれるかはわかりませんが、藤原隆家は貴族でありながら陣頭に立って、戦いの指揮をとったそうです。
この貴公子の“降臨”に、地元の豪族たちも大いに沸き立ち、勇気づけられたことと思います。
兄・伊周は恨みの刃に力を注いでしまいましたが、弟・隆家は正しい方向に力を出せたようで、国家の危機を「薙(な)ぎ払い」ました。
そういえば、千年ほど前とはいえ、九州北部が舞台の出来事ですから、もしかして貴方のご先祖も、藤原隆家と一緒に日本を守った…かもしれませんよ。
初回に続いて「効かない呪詛(じゅそ)」で、おそらくは、今までになく有名となった(?)、藤原伊周(これちか)の話からです。
――直近の放送回。
藤原道長の“政敵”だった、藤原伊周〔演:三浦翔平〕が完全に失脚。
ついに平安時代の政治の世界から追放されます。きっかけは、伊周とつながりのある僧侶が“呪詛”の容疑で捕まったこと。
視聴者は繰り返し見てきた、道長〔演:柄本佑〕や中宮・彰子〔演:見上愛〕の名を記した人形(ひとがた)に刃を突き立てるさま。
――今回で、ついに一線を踏み越えてしまいます。
「八剣(やつるぎ)や…」と呪文をつぶやきながら、相手の名を記した人形(ひとがた)を、とうとう噛み始めます。
その場に駆けつけた、伊周の弟・隆家〔演:竜星涼〕は、「何をしておる!」と兄・伊周を止めます。
しかし、その制止を振り切って「花の刃の…」「薙ぎ払うなり…」と唱え続け、人形の木札をかみ砕きます。
――この木札をかじるシーン、相当なインパクト(衝撃)を残しました。
「伊周のクッキー」だとか「呪詛せんべい」だとか、ネット上でも話題沸騰となったようです。
仕上げとなった場面は、藤原道長と面会して恨みが爆発。伊周は、人形が描かれた紙を、憎しみをこめて大量に撒き散らします。
ああ、まさかの対面“呪詛”で、政界からは完全追放。かつてのエリート貴公子も、ここまでのようです。
――ところで、先ほど兄を制止していた弟・隆家。
元は騒動を起こしがちな乱暴者(「さがなもの」とか呼ばれたそう)だったようなのですが、歴史上のヒーローと呼ぶべき大活躍があります。
NHK(Eテレ)の歴史番組・『知恵泉』で視た方はご存じと思いますが、それは平安時代の日本を救うほどの偉業でした。
対馬や壱岐を襲い、博多に迫った異民族。太宰府に着任していた藤原隆家は九州北部の豪族を率いて、その50隻もの敵船団を撃退したそうです。
――これが、1019年の「刀伊の入寇」と呼ばれる事件。
大河ドラマで、どの程度描かれるかはわかりませんが、藤原隆家は貴族でありながら陣頭に立って、戦いの指揮をとったそうです。
この貴公子の“降臨”に、地元の豪族たちも大いに沸き立ち、勇気づけられたことと思います。
兄・伊周は恨みの刃に力を注いでしまいましたが、弟・隆家は正しい方向に力を出せたようで、国家の危機を「薙(な)ぎ払い」ました。
そういえば、千年ほど前とはいえ、九州北部が舞台の出来事ですから、もしかして貴方のご先祖も、藤原隆家と一緒に日本を守った…かもしれませんよ。
タグ :大河ドラマ
2024年10月06日
「光る君へ…私の楽しみ方②」
こんばんは。最初は平安時代という設定に目新しさはあっても、そこまで期待をしなかった、大河ドラマ『光る君へ』でしたが、最近では例年と同レベルかそれ以上に面白くなってきました。

――『光る君へ』の主人公・まひろ(紫式部)〔演:吉高由里子〕。
弟・惟規(のぶのり)〔演:高杉真宙〕からもよく言われていますが、姉・まひろは複雑で難しい感情の持ち主。
このまひろの弟、いかにも「お姉ちゃんがいる男子」っぽくて、なかなか好きなキャラクターです。
当時の女性には珍しく漢文に親しみ、教養もとくに高かった紫式部。千年の間も伝わる物語を書く人ですから、一般人とは思考の質も量もまったく違うはず。
――おそらく、その人格を“理解できる人”は少なかったと思われ、
『光る君へ』での紫式部(まひろ)の場合は、結構モテるのですが、理解されづらい性格は、ある意味で「孤独な人」。
歴史番組でも、“こじらせ女子”などという言われ方まで耳にして、幸せそうでは無いイメージがありました。
――この大河ドラマ『光る君へ』が楽しいのは、
まひろ(紫式部)が周囲に恵まれて、救いのある描き方に感じられるからです。

たとえば平安貴族の権力の頂点に立った、藤原道長〔演:柄本佑〕とは幼少期から知り合いで、つながりの深い関係です。
これが道長の娘・彰子〔演:見上愛〕に、天皇の后としての教養をつける“家庭教師”役で雇われただけなら、感情移入しづらい話になるでしょう。
また、もう1人の才女・清少納言(ききょう)〔演:ファーストサマーウイカ〕とも、会合でよく顔を合わせるので、互いを認め合える関係が育っています。
男性の権力争いに文才を“武器”として使われ、悪口をぶつけ合うだけのライバルならば、話が浅くなってしまいそうです。

――そんな『光る君へ』の紫式部と清少納言にも、対決の時が…?
今までのシナリオでは互いを認める2人ですが、一条天皇〔演:塩野瑛久〕に愛される后の座をめぐり、対立した両陣営の“参謀”どうしでもあります。
産後の不調がもとで世を去った皇后・定子〔演:高畑充希〕への忠節を忘れない清少納言。『枕草子』は一条天皇を定子との愛の日々に留めるメモリー。
かたや、自分を抑えて無感情になっていた、中宮・彰子の魅力を引き出した、紫式部。『源氏物語』は、彰子と一条天皇をつなぐカギとして機能しました。
――「光る君(源氏)の物語、読みました。」
清少納言から発された、この一言。まっすぐ前を見つめる、紫式部。続きの気になる場面でしたが、今週の放送回での答えは「絶賛からの…恨みの言葉」。
『源氏物語』は評価しつつも、『枕草子』を…皇后・定子の“生きた証”を打ち消すために作られた物語ではないのか、と清少納言が紫式部を問い詰めます。
今年の大河ドラマ、たしかに雅で見映えがしますが、わりと緊張感のある場面が多く、飽きさせません。次回も波乱の予感で、これからも楽しめそうです。
――『光る君へ』の主人公・まひろ(紫式部)〔演:吉高由里子〕。
弟・惟規(のぶのり)〔演:高杉真宙〕からもよく言われていますが、姉・まひろは複雑で難しい感情の持ち主。
このまひろの弟、いかにも「お姉ちゃんがいる男子」っぽくて、なかなか好きなキャラクターです。
当時の女性には珍しく漢文に親しみ、教養もとくに高かった紫式部。千年の間も伝わる物語を書く人ですから、一般人とは思考の質も量もまったく違うはず。
――おそらく、その人格を“理解できる人”は少なかったと思われ、
『光る君へ』での紫式部(まひろ)の場合は、結構モテるのですが、理解されづらい性格は、ある意味で「孤独な人」。
歴史番組でも、“こじらせ女子”などという言われ方まで耳にして、幸せそうでは無いイメージがありました。
――この大河ドラマ『光る君へ』が楽しいのは、
まひろ(紫式部)が周囲に恵まれて、救いのある描き方に感じられるからです。
たとえば平安貴族の権力の頂点に立った、藤原道長〔演:柄本佑〕とは幼少期から知り合いで、つながりの深い関係です。
これが道長の娘・彰子〔演:見上愛〕に、天皇の后としての教養をつける“家庭教師”役で雇われただけなら、感情移入しづらい話になるでしょう。
また、もう1人の才女・清少納言(ききょう)〔演:ファーストサマーウイカ〕とも、会合でよく顔を合わせるので、互いを認め合える関係が育っています。
男性の権力争いに文才を“武器”として使われ、悪口をぶつけ合うだけのライバルならば、話が浅くなってしまいそうです。
――そんな『光る君へ』の紫式部と清少納言にも、対決の時が…?
今までのシナリオでは互いを認める2人ですが、一条天皇〔演:塩野瑛久〕に愛される后の座をめぐり、対立した両陣営の“参謀”どうしでもあります。
産後の不調がもとで世を去った皇后・定子〔演:高畑充希〕への忠節を忘れない清少納言。『枕草子』は一条天皇を定子との愛の日々に留めるメモリー。
かたや、自分を抑えて無感情になっていた、中宮・彰子の魅力を引き出した、紫式部。『源氏物語』は、彰子と一条天皇をつなぐカギとして機能しました。
――「光る君(源氏)の物語、読みました。」
清少納言から発された、この一言。まっすぐ前を見つめる、紫式部。続きの気になる場面でしたが、今週の放送回での答えは「絶賛からの…恨みの言葉」。
『源氏物語』は評価しつつも、『枕草子』を…皇后・定子の“生きた証”を打ち消すために作られた物語ではないのか、と清少納言が紫式部を問い詰めます。
今年の大河ドラマ、たしかに雅で見映えがしますが、わりと緊張感のある場面が多く、飽きさせません。次回も波乱の予感で、これからも楽しめそうです。
タグ :大河ドラマ
2024年10月03日
「光る君へ…私の楽しみ方①」
こんばんは。最近、どうにも忙しく、まとまった話すら書けそうにありません。
困った時は“旅日記”を綴ることが多いですが、さらに困った時は、大河ドラマの感想でも書きます。
――「八剣(やつるぎ)や 花の刃(やいば)の この剣(つるぎ)…」
何だか美しい響きですが、今年の大河ドラマ『光る君へ』で、繰り返し聞く言葉。しかも、このセリフは字幕には表示されないようです。
平安京の闇とも言える“呪詛(じゅそ)”の場面で使われているからでしょうか。そのため、正確でないかもしれませんが、聞いた感じで記載しています。

――政敵・藤原道長〔演:柄本佑〕を打ち倒すための言葉。
その使い手は、藤原伊周(これちか)〔演:三浦翔平〕。道長から見た関係では、兄・道隆〔演:井浦新〕の長男で、甥(おい)にあたります。
この伊周、父・道隆のもとで順調に栄達を遂げ、すごく良い位置にいました。
しかし、父の没後には急速に転落し、最近の放送回では地位は回復するも、ひたすら叔父にあたる道長を呪っています。
――こうして、毎週のように放送で見かける場面に。
伊周は、政敵・道長を「薙(な)ぎ払う」べく、先ほどの言葉を繰り返し、画面には「道長」と記した人形(ひとがた)の札に、刃を刺し続ける姿が描写されます。
ところが、その念はまったく道長に届かない様子で、「今週の効かない呪詛」「呪詛の才能がない人」など、インターネット上でも散々な言われよう。

――やはり、言葉の力は正しく使わねば。
主人公の紫式部(まひろ)〔演:吉高由里子〕を軸に、文章の力を見せつけてくれる大河ドラマ。いろいろな事を考えさせてくれます。
言葉が剣であり、あるいは刃であるならば、現代を生きる私たちは、それをどう用いるべきなのか。傷つけるのも、救うのも、言葉次第なのかもしれません。
困った時は“旅日記”を綴ることが多いですが、さらに困った時は、大河ドラマの感想でも書きます。
――「八剣(やつるぎ)や 花の刃(やいば)の この剣(つるぎ)…」
何だか美しい響きですが、今年の大河ドラマ『光る君へ』で、繰り返し聞く言葉。しかも、このセリフは字幕には表示されないようです。
平安京の闇とも言える“呪詛(じゅそ)”の場面で使われているからでしょうか。そのため、正確でないかもしれませんが、聞いた感じで記載しています。

――政敵・藤原道長〔演:柄本佑〕を打ち倒すための言葉。
その使い手は、藤原伊周(これちか)〔演:三浦翔平〕。道長から見た関係では、兄・道隆〔演:井浦新〕の長男で、甥(おい)にあたります。
この伊周、父・道隆のもとで順調に栄達を遂げ、すごく良い位置にいました。
しかし、父の没後には急速に転落し、最近の放送回では地位は回復するも、ひたすら叔父にあたる道長を呪っています。
――こうして、毎週のように放送で見かける場面に。
伊周は、政敵・道長を「薙(な)ぎ払う」べく、先ほどの言葉を繰り返し、画面には「道長」と記した人形(ひとがた)の札に、刃を刺し続ける姿が描写されます。
ところが、その念はまったく道長に届かない様子で、「今週の効かない呪詛」「呪詛の才能がない人」など、インターネット上でも散々な言われよう。
――やはり、言葉の力は正しく使わねば。
主人公の紫式部(まひろ)〔演:吉高由里子〕を軸に、文章の力を見せつけてくれる大河ドラマ。いろいろな事を考えさせてくれます。
言葉が剣であり、あるいは刃であるならば、現代を生きる私たちは、それをどう用いるべきなのか。傷つけるのも、救うのも、言葉次第なのかもしれません。
タグ :大河ドラマ
2024年01月07日
「“光る君へ”、直前に」
こんにちは。
年始に想定外のことがあり、言葉に詰まるところもあるのですが、深呼吸をして淡々と続けます。昨年末には、これからのブログの進め方を考えていました。
“本編”の第18話・第19話は構成上、京都を舞台とした話が多くなっており、次話(第20話)は、なるべく佐賀と長崎を場面設定に入れたいと思っています。
今年こそ、少し時間をとって佐賀県に滞在したい願望も書いていたところです。
――その前に、今年の大河ドラマ初回が気になる。
2024年大河ドラマ『光る君へ』。
予告を見る限りでは、動く美術館のような映像美。華やかな色彩との対比で、際立つ壮絶な権力闘争…というような印象を持ちました。

大河ドラマファンにありがち(?)な傾向かもしれませんが、その年の放送作品を見て、その時代に興味を持つ。
登場人物や出来事を調べたくなって、さらに知識が深くなる…という、ループ(循環)が私にもあります。
――平安時代については、細かい知識が乏しいです。
平安末期の京都ならば、2012年大河ドラマ『平清盛』〔主演:松山ケンイチ〕で描かれていたのが、記憶にあります。
その時は、武士の世の幕開けにいたる、混沌とした世情が砂煙の舞うリアルな映像で表現された印象です。
同作は画面の暗さが批判の対象にもなりましたが、闇に潜む底知れない何かを感じさせる…そんな余韻のある作品だったと感じています。

そして、昨年の『どうする家康』では、“軍師、あるいはイカサマ師(?)”という難役・本多正信を演じた、松山ケンイチさん。
私には、『平清盛』での蓄積がすごく活きていると感じられました。
――ひと言で“平安時代”と言っても…
藤原道長(平安中期)と、先ほどの平清盛(平安末期)とを誕生年で比べると、150年くらい開きがあるようです。
言ってしまえば、幕末の佐賀藩士と、現代の佐賀県民ぐらいの年代差。
まだ平安中期の話で、源平合戦はずっと後ですから、今作は光と影の対比で、華やかな部分を際立たせるのかなと予想します。
過去作で、詳細に描かれていない平安貴族の時代だけに「どんな筋書きになるのか、全く想像できない」のが面白いです。

――しかも、初回が子役なのも久しぶり(?)な感じ。
のちの紫式部(役名:まひろ)を吉高由里子さんが、藤原道長を柄本佑さんが演じることは、かなり前に発表されています。
主役のお2人は初回放送ではあまり出番が無さそうで、幼少期の物語のみが展開するのかもしれません。
私の浅い理解でいえば、紫式部は、藤原道長の娘が入内して中宮(皇后)になった時、教養を高めるために付いた先生。
平安中期の宮中は、教養のある女性を集めたサロンで、歌や日記などの文学で競うようなところが見えます。
紫式部も、また“家庭教師、あるいは軍師(?)”なのかもしれません。

――少々、力技ですが、佐賀県の話につなげます。
紫式部と関わりのあった、同時代の教養人に和泉式部がいます。
生没年不詳でミステリアスなのですが、知性と教養で宮中の女性たちが、鎬(しのぎ)を削った時代に、凄腕の歌人として知られた、和泉式部。
その生涯にかかる記録の少なさから、実は全国の各地に和泉式部ゆかりの地が存在しているようです。
佐賀県では、白石町で生誕し、幼少期は嬉野市で育った伝説が残っていて、同市の塩田町には“和泉式部公園”まで存在します。

――もし、大河ドラマで、“佐賀県出身説”が採用でもされたら…
もし、私に近い思考回路の人であれば、大喜びすると思います。
たぶん、和泉式部の登場はあっても出身地の描写は無いか、あっても畿内の周辺だと考えていますが、こんなサプライズがあったなら歓迎ですね。
ここは期待しすぎない程度に待ちましょう。
○関連記事(前半)「醒覚の剣(歌枕)」
年始に想定外のことがあり、言葉に詰まるところもあるのですが、深呼吸をして淡々と続けます。昨年末には、これからのブログの進め方を考えていました。
“本編”の第18話・第19話は構成上、京都を舞台とした話が多くなっており、次話(第20話)は、なるべく佐賀と長崎を場面設定に入れたいと思っています。
今年こそ、少し時間をとって佐賀県に滞在したい願望も書いていたところです。
――その前に、今年の大河ドラマ初回が気になる。
2024年大河ドラマ『光る君へ』。
予告を見る限りでは、動く美術館のような映像美。華やかな色彩との対比で、際立つ壮絶な権力闘争…というような印象を持ちました。
大河ドラマファンにありがち(?)な傾向かもしれませんが、その年の放送作品を見て、その時代に興味を持つ。
登場人物や出来事を調べたくなって、さらに知識が深くなる…という、ループ(循環)が私にもあります。
――平安時代については、細かい知識が乏しいです。
平安末期の京都ならば、2012年大河ドラマ『平清盛』〔主演:松山ケンイチ〕で描かれていたのが、記憶にあります。
その時は、武士の世の幕開けにいたる、混沌とした世情が砂煙の舞うリアルな映像で表現された印象です。
同作は画面の暗さが批判の対象にもなりましたが、闇に潜む底知れない何かを感じさせる…そんな余韻のある作品だったと感じています。
そして、昨年の『どうする家康』では、“軍師、あるいはイカサマ師(?)”という難役・本多正信を演じた、松山ケンイチさん。
私には、『平清盛』での蓄積がすごく活きていると感じられました。
――ひと言で“平安時代”と言っても…
藤原道長(平安中期)と、先ほどの平清盛(平安末期)とを誕生年で比べると、150年くらい開きがあるようです。
言ってしまえば、幕末の佐賀藩士と、現代の佐賀県民ぐらいの年代差。
まだ平安中期の話で、源平合戦はずっと後ですから、今作は光と影の対比で、華やかな部分を際立たせるのかなと予想します。
過去作で、詳細に描かれていない平安貴族の時代だけに「どんな筋書きになるのか、全く想像できない」のが面白いです。
――しかも、初回が子役なのも久しぶり(?)な感じ。
のちの紫式部(役名:まひろ)を吉高由里子さんが、藤原道長を柄本佑さんが演じることは、かなり前に発表されています。
主役のお2人は初回放送ではあまり出番が無さそうで、幼少期の物語のみが展開するのかもしれません。
私の浅い理解でいえば、紫式部は、藤原道長の娘が入内して中宮(皇后)になった時、教養を高めるために付いた先生。
平安中期の宮中は、教養のある女性を集めたサロンで、歌や日記などの文学で競うようなところが見えます。
紫式部も、また“家庭教師、あるいは軍師(?)”なのかもしれません。
――少々、力技ですが、佐賀県の話につなげます。
紫式部と関わりのあった、同時代の教養人に和泉式部がいます。
生没年不詳でミステリアスなのですが、知性と教養で宮中の女性たちが、鎬(しのぎ)を削った時代に、凄腕の歌人として知られた、和泉式部。
その生涯にかかる記録の少なさから、実は全国の各地に和泉式部ゆかりの地が存在しているようです。
佐賀県では、白石町で生誕し、幼少期は嬉野市で育った伝説が残っていて、同市の塩田町には“和泉式部公園”まで存在します。
――もし、大河ドラマで、“佐賀県出身説”が採用でもされたら…
もし、私に近い思考回路の人であれば、大喜びすると思います。
たぶん、和泉式部の登場はあっても出身地の描写は無いか、あっても畿内の周辺だと考えていますが、こんなサプライズがあったなら歓迎ですね。
ここは期待しすぎない程度に待ちましょう。
○関連記事(前半)
2023年12月18日
「どうする?の感想」
こんばんは。
日曜に最終回を迎えた、2023年大河ドラマ『どうする家康』。
この1年間、たしか1回も落とさず、視聴できたと思います。他に準備中の記事もあるのですが、いま感想を書きたい気分ですので、先に投稿しました。
いち大河ドラマファンの個人的な意見として、お読みいただければ幸いです。※ドラマから受けた印象で作成しましたので、記述は正確でない可能性があります。
――何だか、すごかった最終回。
今年の大河ドラマ『どうする家康』。インターネット上では、あちこちに記事やコメントが。賛否両論あるようですが、私は、意欲的な作品だったと捉えました。
有名どころの歴史上の人物に、人気者のキャストを充てたので、冒険ができたところもあるのかもしれません。

「はじめて大河ドラマを1年通して見た」という声も見かければ、「現代人の感覚に寄りすぎている」という意見もあるようです。
私としては、色々な見方ができることも含めて「大河ドラマは面白い」と感じていて、今回は「わかりやすい」物語だったと評価します。
そのためか、“大河ドラマ初心者”受けも良かったのかもしれません。以下で、私が本作品の特徴だと思った内容を、最終回を題材に書いてみます。
――まず、「①対比が、わかりやすい。」
最終回、栄華を誇った豊臣家は、大坂夏の陣での敗北が決定的となり、天下の名城だった大坂城は炎に包まれます。
ここでの茶々〔演:北川景子〕が、とにかく怖い。怪演と言っても良さそうです。
最愛の息子・豊臣秀頼〔演:作間龍斗〕は、壮絶な覚悟で自害するとともに、母である茶々(淀殿)には生きてほしい…と言い残します。

この秀頼公、今までになく勇ましくて、徳川家康〔演:松本潤〕としては絶対に消しておくべき人物、という説得力がありました。
火の勢いも強まり、豊臣方の人物が次々と自害する中で、独り立つのは茶々。
――ここで、茶々は“呪いのような言葉”を発します。
戦乱がなくなり、「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国になる」と。この言葉が「令和の日本を感じさせる…」と、堪(こた)えた視聴者も多数のようです。
誰に向けるでもない最期の演説。茶々は壮絶な生涯を自らの手で終えます。
もちろん、主人公・家康はその場には居らず、遠く炎上する大坂城を合掌しながら見つめていました。
――平和な江戸時代が訪れ…
茶々の残響に、まだ視聴者が引きずられる頃、家康にも死期が迫ります。
いわゆる“お迎え現象”が起きたのか、若いままの正室・瀬名〔演:有村架純〕と長男・信康〔演:細田佳央太〕が姿を見せます。
この家康の妻子は、当時の織田・徳川連合と敵対する、武田氏とつながる事を模索したのが露見し、命を落としています。

作中では「皆が争わずに済む、平和への道」を求めていた瀬名。もう余命幾ばくもない、老いた家康を褒め称えました。
「孫の家光が鎧を着て、戦に出なくても良い世の中を作ったのは、すごい事だ」と“救いのある言葉”を与えます。
――まるで「光の瀬名と、闇の茶々」。
史実は諸説あるのですから、異論は出るでしょうし、夢うつつの設定であれば、あらゆる展開が可能です。
本作での瀬名の思考は、「現代的すぎる」との批判もあると思います。
それでも、徳川政権が戦乱の時代を終わらせたことは否めないので、「物語の作り方としては上手い」と感じるところでした。

――次に、「②繰り返しが、わかりやすい。」
結果、炎の中で命を落とした、豊臣秀頼と母の茶々でしたが、秀頼の妻・千姫〔演:原菜乃華〕が必死で助命を訴えるのも印象的でした。
徳川家康の孫である、千姫。
最初は、豊臣家の中で“よそ者”で、立つ瀬もないような印象で出ていたのですが、次第に夫・秀頼だけでなく、義母・茶々との絆も深まり…
大坂の陣の終盤では、気構えまで“豊臣の妻”になっています。
最後まであきらめず、徳川家の姫である自分の力で、夫と義母を救おうと、祖父の家康に必死に食い下がる千姫。これも涙を誘う、迫真の演技でした。
――どこかで見た感じの設定…と思ったのですが、
先ほど①でも書いた、家康の長男・信康に幼少期から嫁入りし、喧嘩をしながら、ともに育ってきた妻・五徳姫〔演:久保史緒里〕を連想しました。
千姫が徳川の姫であるように、かつて織田家を背負って嫁いだ五徳が存在を描かれていました。
最初は気位の高い、“よそ者”だったものの、最後は夫・信康と義母・瀬名をどうにか助けたい!という、心の動きが強く見えたのを思い出します。
この大河ドラマ、諸説あるのは知りつつも作品の軸はブレさせない…、物語としての構成は硬めの、大河ドラマという印象です。

――本作で、繰り返し出ると言えば“海老すくい”。
最初こそ、楽しく明るく、結束の強い、三河武士団を示すような郷土の踊り。
そんな演出だったと思いますが、やがて踊る場面と、誰が踊るかで、喜びも悲しみも表現できる。
過ぎ去りし時間、失ったものの大きさまで表せる“万能のダンス”に成長していった…ように見えました。
――最後に、「③回想が、わかりやすい。」
壮絶な大坂の陣の終幕、その後に病に倒れた家康は、生きながらに“神”扱いとなっていきます。
最後のエピソードは、徳川家康の長男・信康と、織田家の姫・五徳とのまだ幼い夫婦の、祝言(婚礼)に関わる回想でした。
作中では時間をさかのぼる回想で、話の説明をつける手法も多用されたと思います。登場人物は多数、脇役の心情までを見せるための演出なのでしょう。

――おそらくは、徳川家康と家臣たちが、最も幸せだった時期。
年代的に主な登場人物たちは皆若く、先達の年配者もまだ生きています。
若き家康と、妻の瀬名が仲良く並んで語らう。そして、家臣団の集う城から向こうを見遣ると…
暁の空に浮かぶ景色は、現代へとつながった江戸の街。高層ビルの立ち並ぶ東京の遠景のようです。
実は、私はラストシーンに東京が映るとは気づかず、「東京タワーがある!」とか、インターネット上の情報で知って見返しました。

――ひと言で、語ると…
「今年も、面白かった!」なのですが、当ブログのテーマもありますので…
「ところで、幕末の佐賀藩が大河ドラマになるのは、いつだろう…」という言葉も申し添えておきたいと思います。
〇これまでの『どうする家康』の感想記事など
〔初回〕「今年は、どうする…」
〔序盤〕「猫の鳴きまねと、おんな城主」
〔終盤〕「年末まで、どうする。」
日曜に最終回を迎えた、2023年大河ドラマ『どうする家康』。
この1年間、たしか1回も落とさず、視聴できたと思います。他に準備中の記事もあるのですが、いま感想を書きたい気分ですので、先に投稿しました。
いち大河ドラマファンの個人的な意見として、お読みいただければ幸いです。※ドラマから受けた印象で作成しましたので、記述は正確でない可能性があります。
――何だか、すごかった最終回。
今年の大河ドラマ『どうする家康』。インターネット上では、あちこちに記事やコメントが。賛否両論あるようですが、私は、意欲的な作品だったと捉えました。
有名どころの歴史上の人物に、人気者のキャストを充てたので、冒険ができたところもあるのかもしれません。
「はじめて大河ドラマを1年通して見た」という声も見かければ、「現代人の感覚に寄りすぎている」という意見もあるようです。
私としては、色々な見方ができることも含めて「大河ドラマは面白い」と感じていて、今回は「わかりやすい」物語だったと評価します。
そのためか、“大河ドラマ初心者”受けも良かったのかもしれません。以下で、私が本作品の特徴だと思った内容を、最終回を題材に書いてみます。
――まず、「①対比が、わかりやすい。」
最終回、栄華を誇った豊臣家は、大坂夏の陣での敗北が決定的となり、天下の名城だった大坂城は炎に包まれます。
ここでの茶々〔演:北川景子〕が、とにかく怖い。怪演と言っても良さそうです。
最愛の息子・豊臣秀頼〔演:作間龍斗〕は、壮絶な覚悟で自害するとともに、母である茶々(淀殿)には生きてほしい…と言い残します。
この秀頼公、今までになく勇ましくて、徳川家康〔演:松本潤〕としては絶対に消しておくべき人物、という説得力がありました。
火の勢いも強まり、豊臣方の人物が次々と自害する中で、独り立つのは茶々。
――ここで、茶々は“呪いのような言葉”を発します。
戦乱がなくなり、「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国になる」と。この言葉が「令和の日本を感じさせる…」と、堪(こた)えた視聴者も多数のようです。
誰に向けるでもない最期の演説。茶々は壮絶な生涯を自らの手で終えます。
もちろん、主人公・家康はその場には居らず、遠く炎上する大坂城を合掌しながら見つめていました。
――平和な江戸時代が訪れ…
茶々の残響に、まだ視聴者が引きずられる頃、家康にも死期が迫ります。
いわゆる“お迎え現象”が起きたのか、若いままの正室・瀬名〔演:有村架純〕と長男・信康〔演:細田佳央太〕が姿を見せます。
この家康の妻子は、当時の織田・徳川連合と敵対する、武田氏とつながる事を模索したのが露見し、命を落としています。
作中では「皆が争わずに済む、平和への道」を求めていた瀬名。もう余命幾ばくもない、老いた家康を褒め称えました。
「孫の家光が鎧を着て、戦に出なくても良い世の中を作ったのは、すごい事だ」と“救いのある言葉”を与えます。
――まるで「光の瀬名と、闇の茶々」。
史実は諸説あるのですから、異論は出るでしょうし、夢うつつの設定であれば、あらゆる展開が可能です。
本作での瀬名の思考は、「現代的すぎる」との批判もあると思います。
それでも、徳川政権が戦乱の時代を終わらせたことは否めないので、「物語の作り方としては上手い」と感じるところでした。
――次に、「②繰り返しが、わかりやすい。」
結果、炎の中で命を落とした、豊臣秀頼と母の茶々でしたが、秀頼の妻・千姫〔演:原菜乃華〕が必死で助命を訴えるのも印象的でした。
徳川家康の孫である、千姫。
最初は、豊臣家の中で“よそ者”で、立つ瀬もないような印象で出ていたのですが、次第に夫・秀頼だけでなく、義母・茶々との絆も深まり…
大坂の陣の終盤では、気構えまで“豊臣の妻”になっています。
最後まであきらめず、徳川家の姫である自分の力で、夫と義母を救おうと、祖父の家康に必死に食い下がる千姫。これも涙を誘う、迫真の演技でした。
――どこかで見た感じの設定…と思ったのですが、
先ほど①でも書いた、家康の長男・信康に幼少期から嫁入りし、喧嘩をしながら、ともに育ってきた妻・五徳姫〔演:久保史緒里〕を連想しました。
千姫が徳川の姫であるように、かつて織田家を背負って嫁いだ五徳が存在を描かれていました。
最初は気位の高い、“よそ者”だったものの、最後は夫・信康と義母・瀬名をどうにか助けたい!という、心の動きが強く見えたのを思い出します。
この大河ドラマ、諸説あるのは知りつつも作品の軸はブレさせない…、物語としての構成は硬めの、大河ドラマという印象です。
――本作で、繰り返し出ると言えば“海老すくい”。
最初こそ、楽しく明るく、結束の強い、三河武士団を示すような郷土の踊り。
そんな演出だったと思いますが、やがて踊る場面と、誰が踊るかで、喜びも悲しみも表現できる。
過ぎ去りし時間、失ったものの大きさまで表せる“万能のダンス”に成長していった…ように見えました。
――最後に、「③回想が、わかりやすい。」
壮絶な大坂の陣の終幕、その後に病に倒れた家康は、生きながらに“神”扱いとなっていきます。
最後のエピソードは、徳川家康の長男・信康と、織田家の姫・五徳とのまだ幼い夫婦の、祝言(婚礼)に関わる回想でした。
作中では時間をさかのぼる回想で、話の説明をつける手法も多用されたと思います。登場人物は多数、脇役の心情までを見せるための演出なのでしょう。

――おそらくは、徳川家康と家臣たちが、最も幸せだった時期。
年代的に主な登場人物たちは皆若く、先達の年配者もまだ生きています。
若き家康と、妻の瀬名が仲良く並んで語らう。そして、家臣団の集う城から向こうを見遣ると…
暁の空に浮かぶ景色は、現代へとつながった江戸の街。高層ビルの立ち並ぶ東京の遠景のようです。
実は、私はラストシーンに東京が映るとは気づかず、「東京タワーがある!」とか、インターネット上の情報で知って見返しました。

――ひと言で、語ると…
「今年も、面白かった!」なのですが、当ブログのテーマもありますので…
「ところで、幕末の佐賀藩が大河ドラマになるのは、いつだろう…」という言葉も申し添えておきたいと思います。
〇これまでの『どうする家康』の感想記事など
〔初回〕
〔序盤〕
〔終盤〕
タグ :大河ドラマ
2023年10月11日
「年末まで、どうする。」
こんばんは。
暑い夏が過ぎ去ったと思いきや、慌ただしい師走の季節まで、もはや2か月も無いとは…気忙しいことです。
一方で、記事投稿のスピードは、大幅に減速しており、どうにかペースを取り戻したいとは考えています。
本日のテーマは、今年の大河ドラマです。最近の放送では、松本潤さんが次第に“徳川家康”のイメージに近づいてきたように感じます。
老獪(ろうかい)な人物としての描写も多い、天下人・徳川家康の“完成形”を目がけてか、弱々しかった主人公にも、大物感が出てきました。
――たとえ書くのは滞っても…、大河ドラマは視聴します。
ここまで佐賀県の気配が見えなかった、2023年大河ドラマ『どうする家康』。直近の第38回「唐入り」で、肥前名護屋城が舞台として登場しました。
時の天下人・豊臣秀吉の命令により、全国の大名が現在の唐津市(鎮西町)に築かれた城に集結。
その権勢のままに当時では、異例の20万の人口規模の街が、西海の望む地に突如として出現…

豊臣政権の本拠地、大坂城に次ぐ規模の大城郭があったという話です。
現在では、特別史跡として知られる肥前の名護屋城。建物は各地に移築されるなどで残っていなくても、城跡としての保存状態は良好といいます。
都市部にある城郭は、時代が移れば、すぐに周辺の土地が高度に利用され、往時の痕跡が薄れてしまうことが多いようです。
…というわけで、このような大城郭が残っているのは貴重です。きっと城跡巡りが好きな方には、たまらない場所のはず!…ですが、
――残念ながら、私も現地に行った事はありません。
豊臣政権が迷走し、無謀な海外出兵を進めた場所という印象が、観光地としての知名度が伸びきらないところかもしれません。
この時の豊臣秀吉の思惑について、現在でも新説を見かけますが、この朝鮮から明を攻める計画に、肯定的な意味を見いだすのは難しいようです。
そして2016年大河『真田丸』に続き、『どうする家康』でも、各地の武将たちが「瓜売り」を先頭として、仮装大会を行う描写がありました。
凄惨な戦いの裏で行われる、賑やかな催しには何か“空虚さ”も感じられます。
ただ、視聴者には肥前名護屋も、それなりのイメージは残せたはず。全国から武将が集結したのは確かです。

――その2023年大河ドラマも、いよいよ大詰め…
私は個人的に「幕末佐賀藩の大河ドラマ」のイメージを考える…というブログを綴っています。
そのため、一般の人よりは「プロの脚本での筋書きが気になる傾向がある人」だと思います。
10月まで視聴してきましたが、主に第38回を題材にして『どうする家康』の脚本の「ここが怖い…」という点を語ってみます。
人気脚本家・古沢良太さんの力量に恐れを感じるポイントとお考えください。
なお、以下にある文中のセリフは、正確には再現しておらず、視聴者としての私が受けた感覚で書いています。

――①「コメディパート担当(?)の服部党。」
服部半蔵〔演:山田孝之〕が率いる、伊賀から来た忍者集団・服部党。
服部家自体は、武将の家系であるらしく、忍者扱いされるたびに「それがしは、武士でござる!」と言い返すパターンが見られます。
それでいて、登場のたびに「服部半蔵、参上。」というふうに、世間での忍者そのもののイメージで現れます。
そして、この脚本では、これも“忍びの術”の表現なのか大体、何らかの笑いの要素が仕込んであります。
今回の話では、本当の戦況を知るべく、名護屋の街から渡海して出兵している大名家の内情を探ってほしいと、家康から調査を命じられます。
――「武士だから、もう、忍者みたいな仕事はしたくな~い」と見せかけて、
指笛で…音が鳴らなかったので、結局は大声で、相棒みたいな女忍者・大鼠〔演:松本まりか〕を屋根裏から呼び出します。
「…もう、仕方ないなぁ。今回だけは忍者、やりますよ」と渋々、任務を受けるようでいて、服部半蔵の表情はとても満足げ。
半蔵の呼びかけに応じて、屋根裏からストっ…と下りてきた、女忍者・大鼠のクールな姿と好対照なのが、より面白く感じます。
それにしても、時間の経過のわりには、この女忍者、まったく歳を取った印象がありません。これも“忍びの術”なのか…。
序盤では悲劇にも見舞われましたが、見ていて楽しい(?)忍者集団。このドラマの視聴者の中には、服部党の参上を心待ちにしている人も多いはず。

――②「この人は、ここで使うために、この人だったのか!」
著名な役者さんを、意外な使い方でキャスティングしている印象も。
たとえば、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』での大物芸能プロデューサー役の存在感が記憶に残る、この役者さんを題材に語ります。
今回の話では、室町幕府・最後の将軍だった足利義昭〔演:古田新太〕が予想に反して、この肥前名護屋の舞台での再登場。
足利義昭が将軍だった頃は、家康が苦労して確保した“金平糖”(当時は、超高価)を適当に食べるなど、何の配慮もない人物…との描き方。
個人的には、2020年大河『麒麟がくる』での、滝藤賢一さん演じる、苦悩する聖者のような足利義昭のイメージがわりと気に入っていました。
――「作品によって、ここまで落とすか…」と思ったものです。
これも、大河ドラマ毎の違いを楽しむには良いのですが、単なる俗物として、足利義昭の登場を終わらせるには、含みのある配役だと感じていました。
そして、まさかのここで再登場。おもてなしのタダ酒にありつこうとする姿。キャラクターの基本線は変わらず。
ただ、権力の頂点にあった元・将軍として、国内で逆らう者のいない太閤・豊臣秀吉〔演:ムロツヨシ〕に、自分の体験談として苦言をぶつけ、諭します。
「権力の頂点にはある時には、霞がかかって見えるものも見えない。信じる者は選ばれよ…」と、訥々(とつとつ)と語る“酔っぱらい”。
描き方は違うものの、たしかに『麒麟がくる』の聖者だった、足利義昭公と同じ人物だとは感じられました。
このドラマ、大名や武将だけでなく足軽や、市井の人々まで…油断のならない描き方をします。

――③「実在・架空を問わず、女性の描き方に芯がある。」
服部党の女忍者のような、架空のキャラクターもすごく仕上がっています。
金ケ崎の戦いでは、お市〔演:北川景子〕の侍女・阿月が、己の命を賭けて走り続ける…という架空の人物を中心とした、衝撃のシナリオまでありました。
しかし『どうする家康』で、個人的に「上手いな…」と舌を巻いているのが、史実に残っている、家康の周囲にいた女性たちの描き方です。
戦無き世への壮大な構想を描いていた、正室・瀬名〔演:有村架純〕の描き方は、ストーリーの本筋のための表現と考えています。
どちらかといえば、於愛の方〔演:広瀬アリス〕の立ち位置が、家康に対する複雑な想いが表現されて、そのラストも印象的でした。
愛情というより敬慕の念を持って、明るい女性の役回りに徹する…ような。
――たぶん、側室などの仕事(役割)の書き方が良いのです。
直線的な動きをする有能な秘書っぽい側室・お葉、強い信念がある浮気相手・お万、そして、正室・瀬名から“引き継ぎ”を受けている於愛の方…
単に主人公を取り巻く女性として描くと、現代社会とのズレに反発も受けかねないのですが、それぞれに役回りを持って働いている表現が上手い。
これも肥前名護屋が舞台の話ですが、茶々〔演:北川景子(二役)〕とも、直接対決できる最強の側室が出てきました。
ほぼ男装で武芸にも秀でるという、阿茶局〔演:松本若菜〕。家康に迫る、茶々を見事に防ぎます。
家康と同座した、2人の女性が対峙する場面には緊張感がありました。対決は大坂の陣まで続く…と考えると、「この脚本、面白いな…」とゾクゾクします。
――大河ドラマにも、色々な見方があると思いますが、
私なりに、今年も楽しめているようです。ただ「佐賀の人の活躍が、大河ドラマで見たい…」という願望だけは積み残っていきます。
下書きもなかなか進まない状況ですが、今のところは自分自身でも書いていくことで、納得していくほかは無さそうです。
暑い夏が過ぎ去ったと思いきや、慌ただしい師走の季節まで、もはや2か月も無いとは…気忙しいことです。
一方で、記事投稿のスピードは、大幅に減速しており、どうにかペースを取り戻したいとは考えています。
本日のテーマは、今年の大河ドラマです。最近の放送では、松本潤さんが次第に“徳川家康”のイメージに近づいてきたように感じます。
老獪(ろうかい)な人物としての描写も多い、天下人・徳川家康の“完成形”を目がけてか、弱々しかった主人公にも、大物感が出てきました。
――たとえ書くのは滞っても…、大河ドラマは視聴します。
ここまで佐賀県の気配が見えなかった、2023年大河ドラマ『どうする家康』。直近の第38回「唐入り」で、肥前名護屋城が舞台として登場しました。
時の天下人・豊臣秀吉の命令により、全国の大名が現在の唐津市(鎮西町)に築かれた城に集結。
その権勢のままに当時では、異例の20万の人口規模の街が、西海の望む地に突如として出現…
豊臣政権の本拠地、大坂城に次ぐ規模の大城郭があったという話です。
現在では、特別史跡として知られる肥前の名護屋城。建物は各地に移築されるなどで残っていなくても、城跡としての保存状態は良好といいます。
都市部にある城郭は、時代が移れば、すぐに周辺の土地が高度に利用され、往時の痕跡が薄れてしまうことが多いようです。
…というわけで、このような大城郭が残っているのは貴重です。きっと城跡巡りが好きな方には、たまらない場所のはず!…ですが、
――残念ながら、私も現地に行った事はありません。
豊臣政権が迷走し、無謀な海外出兵を進めた場所という印象が、観光地としての知名度が伸びきらないところかもしれません。
この時の豊臣秀吉の思惑について、現在でも新説を見かけますが、この朝鮮から明を攻める計画に、肯定的な意味を見いだすのは難しいようです。
そして2016年大河『真田丸』に続き、『どうする家康』でも、各地の武将たちが「瓜売り」を先頭として、仮装大会を行う描写がありました。
凄惨な戦いの裏で行われる、賑やかな催しには何か“空虚さ”も感じられます。
ただ、視聴者には肥前名護屋も、それなりのイメージは残せたはず。全国から武将が集結したのは確かです。
――その2023年大河ドラマも、いよいよ大詰め…
私は個人的に「幕末佐賀藩の大河ドラマ」のイメージを考える…というブログを綴っています。
そのため、一般の人よりは「プロの脚本での筋書きが気になる傾向がある人」だと思います。
10月まで視聴してきましたが、主に第38回を題材にして『どうする家康』の脚本の「ここが怖い…」という点を語ってみます。
人気脚本家・古沢良太さんの力量に恐れを感じるポイントとお考えください。
なお、以下にある文中のセリフは、正確には再現しておらず、視聴者としての私が受けた感覚で書いています。
――①「コメディパート担当(?)の服部党。」
服部半蔵〔演:山田孝之〕が率いる、伊賀から来た忍者集団・服部党。
服部家自体は、武将の家系であるらしく、忍者扱いされるたびに「それがしは、武士でござる!」と言い返すパターンが見られます。
それでいて、登場のたびに「服部半蔵、参上。」というふうに、世間での忍者そのもののイメージで現れます。
そして、この脚本では、これも“忍びの術”の表現なのか大体、何らかの笑いの要素が仕込んであります。
今回の話では、本当の戦況を知るべく、名護屋の街から渡海して出兵している大名家の内情を探ってほしいと、家康から調査を命じられます。
――「武士だから、もう、忍者みたいな仕事はしたくな~い」と見せかけて、
指笛で…音が鳴らなかったので、結局は大声で、相棒みたいな女忍者・大鼠〔演:松本まりか〕を屋根裏から呼び出します。
「…もう、仕方ないなぁ。今回だけは忍者、やりますよ」と渋々、任務を受けるようでいて、服部半蔵の表情はとても満足げ。
半蔵の呼びかけに応じて、屋根裏からストっ…と下りてきた、女忍者・大鼠のクールな姿と好対照なのが、より面白く感じます。
それにしても、時間の経過のわりには、この女忍者、まったく歳を取った印象がありません。これも“忍びの術”なのか…。
序盤では悲劇にも見舞われましたが、見ていて楽しい(?)忍者集団。このドラマの視聴者の中には、服部党の参上を心待ちにしている人も多いはず。
――②「この人は、ここで使うために、この人だったのか!」
著名な役者さんを、意外な使い方でキャスティングしている印象も。
たとえば、朝の連続テレビ小説『あまちゃん』での大物芸能プロデューサー役の存在感が記憶に残る、この役者さんを題材に語ります。
今回の話では、室町幕府・最後の将軍だった足利義昭〔演:古田新太〕が予想に反して、この肥前名護屋の舞台での再登場。
足利義昭が将軍だった頃は、家康が苦労して確保した“金平糖”(当時は、超高価)を適当に食べるなど、何の配慮もない人物…との描き方。
個人的には、2020年大河『麒麟がくる』での、滝藤賢一さん演じる、苦悩する聖者のような足利義昭のイメージがわりと気に入っていました。
――「作品によって、ここまで落とすか…」と思ったものです。
これも、大河ドラマ毎の違いを楽しむには良いのですが、単なる俗物として、足利義昭の登場を終わらせるには、含みのある配役だと感じていました。
そして、まさかのここで再登場。おもてなしのタダ酒にありつこうとする姿。キャラクターの基本線は変わらず。
ただ、権力の頂点にあった元・将軍として、国内で逆らう者のいない太閤・豊臣秀吉〔演:ムロツヨシ〕に、自分の体験談として苦言をぶつけ、諭します。
「権力の頂点にはある時には、霞がかかって見えるものも見えない。信じる者は選ばれよ…」と、訥々(とつとつ)と語る“酔っぱらい”。
描き方は違うものの、たしかに『麒麟がくる』の聖者だった、足利義昭公と同じ人物だとは感じられました。
このドラマ、大名や武将だけでなく足軽や、市井の人々まで…油断のならない描き方をします。
――③「実在・架空を問わず、女性の描き方に芯がある。」
服部党の女忍者のような、架空のキャラクターもすごく仕上がっています。
金ケ崎の戦いでは、お市〔演:北川景子〕の侍女・阿月が、己の命を賭けて走り続ける…という架空の人物を中心とした、衝撃のシナリオまでありました。
しかし『どうする家康』で、個人的に「上手いな…」と舌を巻いているのが、史実に残っている、家康の周囲にいた女性たちの描き方です。
戦無き世への壮大な構想を描いていた、正室・瀬名〔演:有村架純〕の描き方は、ストーリーの本筋のための表現と考えています。
どちらかといえば、於愛の方〔演:広瀬アリス〕の立ち位置が、家康に対する複雑な想いが表現されて、そのラストも印象的でした。
愛情というより敬慕の念を持って、明るい女性の役回りに徹する…ような。
――たぶん、側室などの仕事(役割)の書き方が良いのです。
直線的な動きをする有能な秘書っぽい側室・お葉、強い信念がある浮気相手・お万、そして、正室・瀬名から“引き継ぎ”を受けている於愛の方…
単に主人公を取り巻く女性として描くと、現代社会とのズレに反発も受けかねないのですが、それぞれに役回りを持って働いている表現が上手い。
これも肥前名護屋が舞台の話ですが、茶々〔演:北川景子(二役)〕とも、直接対決できる最強の側室が出てきました。
ほぼ男装で武芸にも秀でるという、阿茶局〔演:松本若菜〕。家康に迫る、茶々を見事に防ぎます。
家康と同座した、2人の女性が対峙する場面には緊張感がありました。対決は大坂の陣まで続く…と考えると、「この脚本、面白いな…」とゾクゾクします。
――大河ドラマにも、色々な見方があると思いますが、
私なりに、今年も楽しめているようです。ただ「佐賀の人の活躍が、大河ドラマで見たい…」という願望だけは積み残っていきます。
下書きもなかなか進まない状況ですが、今のところは自分自身でも書いていくことで、納得していくほかは無さそうです。
2023年05月03日
「GW特別企画・めざせ2026年」
こんばんは。
タイトルでお察しいただけるかもしれませんが、私には、多少の残念な想いがあります。先週半ばに、2025年NHK大河ドラマの発表がありました。
その日、インターネット上のニュース記事で、大河ドラマの主役を演じるのが、若手俳優の横浜流星さんに決まったとのタイトルを見かけたのです。
本日の記事は、その大河ドラマ決定を知った時点の、私の心理状態から語ります。いつも綴っている“本編”とは、まったく別の話としてご覧ください。

※横浜
――その日の仕事が終わり、帰路の電車内で決定の報を知った私。
「…その大河ドラマの題材は何だ!?」
ネットニュースを開けば、その冒頭に現れた不意を突く記事。それは通例より遅い時期と思われる、再来年の大河ドラマの発表でした。
2025年と言えば、大阪での万国博覧会が開催される年でもあります。そして、佐賀藩出身者には、明治期に「博覧会男」の異名を取った人物もいます。
私には、幕末のパリ万博でも奮闘し、明治のウィーン万博では現地責任者(副総裁)を務めた佐野常民が主人公となることへの微かな期待もありました。
――息をのむように、その記事を参照する。
高鳴る胸、熱き鼓動…帰りの電車に揺られるだけの勤め人ですが、今でも、白球を追う高校球児のように"青春”を感じる瞬間があるのです。
この段階で、私が得ている情報は、主演する俳優さんの名前だけです。
「時代設定は、いつだ?主人公は誰なんだ!」
私は記事を目で追います。軽くのけぞるような衝撃が走ります。
そこに示された結果は「幕末佐賀藩の大河ドラマ」ではありませんでした。
「…くっ、2025年は外したか。」

――「わかっている、厳しい道のりだ。」
実際のところ、細々と続ける私の活動が、大河ドラマの決定に何らかの影響を及ぼすとは考えにくいです。
「それでも、佐賀藩士(?)を名乗るなら、あきらめない事が肝要だ…」
なお、一連のセリフは、私の心の声。誰に語ったものでもありません。
もちろん混雑する電車の中では、マナーを守って整然と振るまわねばなりません。発表に悔しがるのも、想いを叫ぶのも、心の中に留めます。
幕末・明治期に活躍した佐賀出身者にも、比較的に常識人が多い印象です。
県民性の話でも、佐賀の人は感情を、あまり表に出さないと聞きます。内心がわかりづらいとも言われ、ドラマになるには不利という…気はします。
――私の“残念”の描写は、さておき。
2025大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の決定を受けた感想です。
第一印象で、2019年の『いだてん~東京オリムピック噺~』と似たタイトルと感じました。1つのテーマから、時代そのものを描く…のかもしれません。
いろいろ気になることもあって、古い日本史の教科書を引っ張り出しました。
なお、私はどんな角度からでも佐賀藩の話に持っていくよう努めていますので、以下には、2025年大河ドラマに関わらない事項が、かなり含まれます。

――注目ポイント①「このテーマで来たか!」
「日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築いた男。」
“江戸のメディア王”の異名があるという主人公・蔦屋重三郎〔演:横浜流星〕。私が持っている日本史の教科書には、載っていなかった人物です。
NHKの公式サイトによると、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見出し、“東洲斎写楽”を世に送り出したとあります。
私の教科書では「江戸後期の文化」で見た名前が続きます。蔦屋重三郎は、文化史的に相当な“大物”であると、うかがえました。
庶民の心を動かす、滑稽な風刺だったり、華麗な浮世絵であったり、幻想的な物語であったり…たしかに教科書の一角を占める“仕事”を扱ったようです。

――注目ポイント②「その時代で設定したか…」
蔦屋重三郎という人物は1750年に誕生し、1797年に世を去ったそうです。
幕末期の視点から見ると、ペリーの黒船が来航した100年ぐらい前に生まれ、長崎港にフェートン号が侵入した事件の10年くらい前に没しています。
欧米列強の脅威が顕在化する前の時代で、まだ天下泰平とも言える時期、江戸の庶民文化に大輪の花を咲かせた立役者。そんな時代を駆け抜けた人物。
どうやら田沼意次の時代の自由な空気を謳歌し、松平定信の寛政の改革で抑圧される…という展開が物語の軸にあるようです。
――注目ポイント③「どんな描き方をするか?」
相当古い教科書ですが、蔦屋重三郎の“仕事”は、江戸後期の文化史の項目で扱われていました。
教科書の構成上の都合だったのか、なぜか幕末期に迫り来る異国の脅威と海防策、鍋島直正の佐賀藩を含む雄藩の改革の記述のすぐ後にあり…
江藤新平・大木喬任・副島種臣・大隈重信など、佐賀藩士の残した“仕事”が多数ある、明治期の近代国家の成立の直前に掲載されていました。
若い頃、日本史を勉強した時には、あまり興味を持てなかった文化史の数頁ですが、年齢を重ねてみると、昔より面白そうに見えてきます。
――その物語を描く脚本家は、森下佳子さん。
2017年大河ドラマ『おんな城主 直虎』でも史実の情報が少ないらしい主人公を、とても記憶に残ってしまうストーリーで描き切った方です。
その影響は、現在(2023年)の『どうする家康』にも強く感じられ、当時の演者と重ねて見てしまう大河ドラマファンも多いはず。
『おんな城主~』で登場した、豆ダヌキっぽい家康、勝ち気な妻・瀬名、イケメンの石川数正や非情な酒井忠次も、若くて激情型の井伊直政も魅力的でした。

…そして、この時も武田軍は怖かった。
佐賀の物語でないのは残念ですが、大河ドラマファンの1人としてエネルギーに満ちた江戸の文化がどんなシナリオで表現されるのか、楽しみです。
――次は、2026年の大河ドラマの発表がいつになるか。
今回の発表を見て「近代国家の制度、教育、技術の礎を築いた」というテーマ設定ならば、佐賀藩の大河ドラマも描けるはず…という想いは生じました。
こうして、大河ドラマの制作発表のたびに、私の気持ちはざわざわとします。
今回は気分転換も兼ねた記事を書きましたが、一喜一憂せずに、私が見たい「佐賀の物語」と向き合う方が良いのかな…と、最近は考えています。
タイトルでお察しいただけるかもしれませんが、私には、多少の残念な想いがあります。先週半ばに、2025年NHK大河ドラマの発表がありました。
その日、インターネット上のニュース記事で、大河ドラマの主役を演じるのが、若手俳優の横浜流星さんに決まったとのタイトルを見かけたのです。
本日の記事は、その大河ドラマ決定を知った時点の、私の心理状態から語ります。いつも綴っている“本編”とは、まったく別の話としてご覧ください。
※横浜
――その日の仕事が終わり、帰路の電車内で決定の報を知った私。
「…その大河ドラマの題材は何だ!?」
ネットニュースを開けば、その冒頭に現れた不意を突く記事。それは通例より遅い時期と思われる、再来年の大河ドラマの発表でした。
2025年と言えば、大阪での万国博覧会が開催される年でもあります。そして、佐賀藩出身者には、明治期に「博覧会男」の異名を取った人物もいます。
私には、幕末のパリ万博でも奮闘し、明治のウィーン万博では現地責任者(副総裁)を務めた佐野常民が主人公となることへの微かな期待もありました。
――息をのむように、その記事を参照する。
高鳴る胸、熱き鼓動…帰りの電車に揺られるだけの勤め人ですが、今でも、白球を追う高校球児のように"青春”を感じる瞬間があるのです。
この段階で、私が得ている情報は、主演する俳優さんの名前だけです。
「時代設定は、いつだ?主人公は誰なんだ!」
私は記事を目で追います。軽くのけぞるような衝撃が走ります。
そこに示された結果は「幕末佐賀藩の大河ドラマ」ではありませんでした。
「…くっ、2025年は外したか。」
――「わかっている、厳しい道のりだ。」
実際のところ、細々と続ける私の活動が、大河ドラマの決定に何らかの影響を及ぼすとは考えにくいです。
「それでも、佐賀藩士(?)を名乗るなら、あきらめない事が肝要だ…」
なお、一連のセリフは、私の心の声。誰に語ったものでもありません。
もちろん混雑する電車の中では、マナーを守って整然と振るまわねばなりません。発表に悔しがるのも、想いを叫ぶのも、心の中に留めます。
幕末・明治期に活躍した佐賀出身者にも、比較的に常識人が多い印象です。
県民性の話でも、佐賀の人は感情を、あまり表に出さないと聞きます。内心がわかりづらいとも言われ、ドラマになるには不利という…気はします。
――私の“残念”の描写は、さておき。
2025大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の決定を受けた感想です。
第一印象で、2019年の『いだてん~東京オリムピック噺~』と似たタイトルと感じました。1つのテーマから、時代そのものを描く…のかもしれません。
いろいろ気になることもあって、古い日本史の教科書を引っ張り出しました。
なお、私はどんな角度からでも佐賀藩の話に持っていくよう努めていますので、以下には、2025年大河ドラマに関わらない事項が、かなり含まれます。
――注目ポイント①「このテーマで来たか!」
「日本のメディア産業、ポップカルチャーの礎を築いた男。」
“江戸のメディア王”の異名があるという主人公・蔦屋重三郎〔演:横浜流星〕。私が持っている日本史の教科書には、載っていなかった人物です。
NHKの公式サイトによると、喜多川歌麿、葛飾北斎、山東京伝、滝沢馬琴を見出し、“東洲斎写楽”を世に送り出したとあります。
私の教科書では「江戸後期の文化」で見た名前が続きます。蔦屋重三郎は、文化史的に相当な“大物”であると、うかがえました。
庶民の心を動かす、滑稽な風刺だったり、華麗な浮世絵であったり、幻想的な物語であったり…たしかに教科書の一角を占める“仕事”を扱ったようです。
――注目ポイント②「その時代で設定したか…」
蔦屋重三郎という人物は1750年に誕生し、1797年に世を去ったそうです。
幕末期の視点から見ると、ペリーの黒船が来航した100年ぐらい前に生まれ、長崎港にフェートン号が侵入した事件の10年くらい前に没しています。
欧米列強の脅威が顕在化する前の時代で、まだ天下泰平とも言える時期、江戸の庶民文化に大輪の花を咲かせた立役者。そんな時代を駆け抜けた人物。
どうやら田沼意次の時代の自由な空気を謳歌し、松平定信の寛政の改革で抑圧される…という展開が物語の軸にあるようです。
――注目ポイント③「どんな描き方をするか?」
相当古い教科書ですが、蔦屋重三郎の“仕事”は、江戸後期の文化史の項目で扱われていました。
教科書の構成上の都合だったのか、なぜか幕末期に迫り来る異国の脅威と海防策、鍋島直正の佐賀藩を含む雄藩の改革の記述のすぐ後にあり…
江藤新平・大木喬任・副島種臣・大隈重信など、佐賀藩士の残した“仕事”が多数ある、明治期の近代国家の成立の直前に掲載されていました。
若い頃、日本史を勉強した時には、あまり興味を持てなかった文化史の数頁ですが、年齢を重ねてみると、昔より面白そうに見えてきます。
――その物語を描く脚本家は、森下佳子さん。
2017年大河ドラマ『おんな城主 直虎』でも史実の情報が少ないらしい主人公を、とても記憶に残ってしまうストーリーで描き切った方です。
その影響は、現在(2023年)の『どうする家康』にも強く感じられ、当時の演者と重ねて見てしまう大河ドラマファンも多いはず。
『おんな城主~』で登場した、豆ダヌキっぽい家康、勝ち気な妻・瀬名、イケメンの石川数正や非情な酒井忠次も、若くて激情型の井伊直政も魅力的でした。
…そして、この時も武田軍は怖かった。
佐賀の物語でないのは残念ですが、大河ドラマファンの1人としてエネルギーに満ちた江戸の文化がどんなシナリオで表現されるのか、楽しみです。
――次は、2026年の大河ドラマの発表がいつになるか。
今回の発表を見て「近代国家の制度、教育、技術の礎を築いた」というテーマ設定ならば、佐賀藩の大河ドラマも描けるはず…という想いは生じました。
こうして、大河ドラマの制作発表のたびに、私の気持ちはざわざわとします。
今回は気分転換も兼ねた記事を書きましたが、一喜一憂せずに、私が見たい「佐賀の物語」と向き合う方が良いのかな…と、最近は考えています。
2023年03月24日
「猫の鳴きまねと、おんな城主」
こんばんは。
今回の記事は、大河ドラマ『どうする家康』の直近(第11回・信玄との密約)の感想を書きます。
個人的には、とても面白かった放送回でした。前半は「猫の鳴きまね」、後半は「おんな城主」に注目しました。
番組内容を記載していますので、土曜の再放送で大河ドラマを見ている方は、視聴後にご覧いただければと思います。
――タイトルには、“信玄との密約”…という言葉が。
ドラマでは、桶狭間の戦いで今川義元〔演:野村萬斎〕の存在を失い、今川氏の衰勢に歯止めがかからない状況が描かれます。
駿河・遠江(静岡)を治めていた今川氏。近隣の戦国大名には、ここが攻め時ということになるのでしょう。
こうして徳川家康〔演:松本潤〕は、“甲斐(山梨)の虎”の異名を持つ武田信玄〔演:阿部寛〕との密談に臨むことに。
――しかし、談判の場に現れない武田信玄。
信玄が姿を見せないのは、家康とは「格が違う」ため…という理由を推測する、徳川家臣団の重臣たち。
では「ここは重臣たちどうしで…」とばかりに、家康は談判の場に残らず、会場の寺の近くで、側近たちと待つ様子。

森の中では、お供の榊原康政(小平太)〔演:杉野遥亮〕、本多忠勝(平八郎)〔演:山田裕貴〕と雑談しています。
栗拾いを試みたり、木工細工をしたり、家来の叔父の健康を気遣ったり…と、まさに暇つぶしな感じの時間の使い方。
――そこで、信玄の陰口をたたく、徳川の主従。
「来ると言って来ぬとは、武田信玄、ろくな奴ではない。」(本多平八郎)
「案外、肝の小さい奴で…怖じ気づいたのかもしれませんよ。」(榊原小平太)
「“甲斐の虎”などと言っているが、正体は猫のような…」(本多平八郎)
「“甲斐の猫”か、そりゃいい!」(家康)
なぜかネコ呼ばわりされる、武田信玄という奇妙な場面。活字でも楽しさが伝わるでしょうか。これはまだ序の口。ネコ好き各位、ここから、さらに猫です。
――「ネウ、ネウ。武田信玄だネ~ウ。」(家康)
猫の鳴きまねを始める大将・徳川家康。家来2人も、殿に続けとばかりにネコの真似に興じます。
「ニャー、ニャー!」(榊原小平太)
そして、リアルに「ニャ~!」(本多平八郎)。「一番うまいのう」と喜ぶ、家康。まるで、徳川主従の“ねこねこ”大合唱。
風の吹く森の中で、ニャーニャーと言っている、とても楽しそうな若者が3人。

――そこに、ある男が現れます。
これが、当の武田信玄。このドラマの信玄公、ネット上では“古代ローマ人”の風格とも評される出で立ち。
ただ、単にコミカルな登場というわけでもなく、今までの徳川主従の雑談内容を全て、信玄は知っているという状況。
「話の中身を全部、知られている…」とばかりに、引きつった表情を見せる徳川主従。忍びを使った情報戦で知られた武田の怖さも、しっかり出ています。
――極めつけは、先ほどの“甲斐の猫”呼ばわりについて
「猫は、嫌いではない」と語り、その自由さにあやかりたいと言及して、貫禄のひと笑い。そこで満を持して、正体を明かす“甲斐の虎”・武田信玄。
あとは、圧倒されっぱなしの徳川家康。当時の武田と徳川との力の差を見せつけたような、上手い描写だと感じました。
ここで、武田は北から駿河(静岡)を、徳川は西から遠江(静岡)を。それぞれ、今川領を攻めるという密約が交わされます。

――その後は、武田軍が駿河に向けて出陣する展開に。
時をほぼ同じくして徳川軍も遠江に向けて進軍しますが、戦う相手がまた辛いことに、家康の妻・瀬名〔演:有村架純〕の親友。
現在の浜松にある、引間城のおんな城主に就いた田鶴〔演:関水渚〕です。
但しここ何話かの展開で、お田鶴という女性は、主人公寄りの目線だと、あまり好印象ではない動きをしています。
――たしか、今川家への密告という形で、
徳川方の服部半蔵〔演:山田孝之〕率いる服部党による、瀬名の救出作戦を一度は阻んでいます。
また、徳川と話合おうとした夫・飯尾連龍〔演:渡部豪太〕も、妻・田鶴の密告により、今川氏真〔演:溝端淳平〕に始末されました。
今川方の密偵として影で動き、親友も夫も裏切る“悪女”のようなイメージが、強かったのです。

――ところが、今回は違った。
序盤から幾度か差し挟まれるのは、華やかな今川氏の街・駿府の賑わいと、そこでの幸せだった日々の回想。
遡ること10年前に、お田鶴と瀬名の女子2人が、雪遊びで戯れ、団子の買い食いをする、平和な風景の描写。
これが、お田鶴という女性が本当に守りたかったもの…。
城主となった後の、田鶴の凜とした振る舞いといい、鎧を身を包んで出撃する場面といい、こういう視点で見せられると感涙ものでした。
――そして、ほぼ同時進行で、
武田軍があっという間に、今川氏の栄華が詰まった街・駿府を攻め落とす展開がとても切ない。
この放送回は、2017年(平成29年)大河ドラマ「おんな城主 直虎」と重ねてみていた人も多いかもしれません。
好きだった椿の花のように咲いて散った、おんな城主・田鶴の描き方、とても印象深かったです。
冒頭には家康が「徳川」を名乗った経過もあって、密度の濃い45分でした。
個人的には『どうする家康』が目指す物語の方向性が見えたような気がして、今後に期待が持てる、良い放送回だったと思います。
今回の記事は、大河ドラマ『どうする家康』の直近(第11回・信玄との密約)の感想を書きます。
個人的には、とても面白かった放送回でした。前半は「猫の鳴きまね」、後半は「おんな城主」に注目しました。
番組内容を記載していますので、土曜の再放送で大河ドラマを見ている方は、視聴後にご覧いただければと思います。
――タイトルには、“信玄との密約”…という言葉が。
ドラマでは、桶狭間の戦いで今川義元〔演:野村萬斎〕の存在を失い、今川氏の衰勢に歯止めがかからない状況が描かれます。
駿河・遠江(静岡)を治めていた今川氏。近隣の戦国大名には、ここが攻め時ということになるのでしょう。
こうして徳川家康〔演:松本潤〕は、“甲斐(山梨)の虎”の異名を持つ武田信玄〔演:阿部寛〕との密談に臨むことに。
――しかし、談判の場に現れない武田信玄。
信玄が姿を見せないのは、家康とは「格が違う」ため…という理由を推測する、徳川家臣団の重臣たち。
では「ここは重臣たちどうしで…」とばかりに、家康は談判の場に残らず、会場の寺の近くで、側近たちと待つ様子。
森の中では、お供の榊原康政(小平太)〔演:杉野遥亮〕、本多忠勝(平八郎)〔演:山田裕貴〕と雑談しています。
栗拾いを試みたり、木工細工をしたり、家来の叔父の健康を気遣ったり…と、まさに暇つぶしな感じの時間の使い方。
――そこで、信玄の陰口をたたく、徳川の主従。
「来ると言って来ぬとは、武田信玄、ろくな奴ではない。」(本多平八郎)
「案外、肝の小さい奴で…怖じ気づいたのかもしれませんよ。」(榊原小平太)
「“甲斐の虎”などと言っているが、正体は猫のような…」(本多平八郎)
「“甲斐の猫”か、そりゃいい!」(家康)
なぜかネコ呼ばわりされる、武田信玄という奇妙な場面。活字でも楽しさが伝わるでしょうか。これはまだ序の口。ネコ好き各位、ここから、さらに猫です。
――「ネウ、ネウ。武田信玄だネ~ウ。」(家康)
猫の鳴きまねを始める大将・徳川家康。家来2人も、殿に続けとばかりにネコの真似に興じます。
「ニャー、ニャー!」(榊原小平太)
そして、リアルに「ニャ~!」(本多平八郎)。「一番うまいのう」と喜ぶ、家康。まるで、徳川主従の“ねこねこ”大合唱。
風の吹く森の中で、ニャーニャーと言っている、とても楽しそうな若者が3人。
――そこに、ある男が現れます。
これが、当の武田信玄。このドラマの信玄公、ネット上では“古代ローマ人”の風格とも評される出で立ち。
ただ、単にコミカルな登場というわけでもなく、今までの徳川主従の雑談内容を全て、信玄は知っているという状況。
「話の中身を全部、知られている…」とばかりに、引きつった表情を見せる徳川主従。忍びを使った情報戦で知られた武田の怖さも、しっかり出ています。
――極めつけは、先ほどの“甲斐の猫”呼ばわりについて
「猫は、嫌いではない」と語り、その自由さにあやかりたいと言及して、貫禄のひと笑い。そこで満を持して、正体を明かす“甲斐の虎”・武田信玄。
あとは、圧倒されっぱなしの徳川家康。当時の武田と徳川との力の差を見せつけたような、上手い描写だと感じました。
ここで、武田は北から駿河(静岡)を、徳川は西から遠江(静岡)を。それぞれ、今川領を攻めるという密約が交わされます。
――その後は、武田軍が駿河に向けて出陣する展開に。
時をほぼ同じくして徳川軍も遠江に向けて進軍しますが、戦う相手がまた辛いことに、家康の妻・瀬名〔演:有村架純〕の親友。
現在の浜松にある、引間城のおんな城主に就いた田鶴〔演:関水渚〕です。
但しここ何話かの展開で、お田鶴という女性は、主人公寄りの目線だと、あまり好印象ではない動きをしています。
――たしか、今川家への密告という形で、
徳川方の服部半蔵〔演:山田孝之〕率いる服部党による、瀬名の救出作戦を一度は阻んでいます。
また、徳川と話合おうとした夫・飯尾連龍〔演:渡部豪太〕も、妻・田鶴の密告により、今川氏真〔演:溝端淳平〕に始末されました。
今川方の密偵として影で動き、親友も夫も裏切る“悪女”のようなイメージが、強かったのです。
――ところが、今回は違った。
序盤から幾度か差し挟まれるのは、華やかな今川氏の街・駿府の賑わいと、そこでの幸せだった日々の回想。
遡ること10年前に、お田鶴と瀬名の女子2人が、雪遊びで戯れ、団子の買い食いをする、平和な風景の描写。
これが、お田鶴という女性が本当に守りたかったもの…。
城主となった後の、田鶴の凜とした振る舞いといい、鎧を身を包んで出撃する場面といい、こういう視点で見せられると感涙ものでした。
――そして、ほぼ同時進行で、
武田軍があっという間に、今川氏の栄華が詰まった街・駿府を攻め落とす展開がとても切ない。
この放送回は、2017年(平成29年)大河ドラマ「おんな城主 直虎」と重ねてみていた人も多いかもしれません。
好きだった椿の花のように咲いて散った、おんな城主・田鶴の描き方、とても印象深かったです。
冒頭には家康が「徳川」を名乗った経過もあって、密度の濃い45分でした。
個人的には『どうする家康』が目指す物語の方向性が見えたような気がして、今後に期待が持てる、良い放送回だったと思います。
タグ :大河ドラマ
2023年02月05日
「“大河ドラマ” 誕生秘話を見て」
こんにちは。
昨夜、たぶん私は見ておかねばならない…ドラマがNHKで放送されました。そのタイトルは『大河ドラマが生まれた日 笑いと涙の大河ドラマ誕生秘話』。
昭和の真っ只中、戦後の復興も進み、右肩上がりの経済成長の明るい空気があった時代。

テレビのある家には、ご近所さんが集結。良くも悪くも、熱気のあった仕事場。これぞ“昭和”というポイントの描写が続きます。
なお、ドラマの感想に、私が空想する「幕末佐賀藩の大河ドラマ」のイメージが混ざりますが、いつもの事ですのでご容赦ください。
東京オリンピックを2年後に控えた、1962年(昭和37年)からその誕生秘話はスタートするようです。
――そんな時代背景で描かれるのは、あるテレビマンたちの奮闘。
大河ドラマの第1作『花の生涯』は、日本のテレビ放送開始から10年ほどが経過した時期、1963年(昭和38年)に放送されています。
当時のNHK局内の雰囲気の再現を試みるか、いきなり“親分”・芸能局長〔演:中井貴一〕の無茶振り。
空前絶後を超える連続大型時代劇の制作を命じられた、上司・楠田〔演:阿部サダヲ〕と部下・山岡〔演:生田斗真〕。

――“大河ドラマ”で「東京オリンピック」と言えば…
2019年大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を思い出します。そういえば、阿部サダヲさんも、生田斗真さんも、同作の出演者でした。
今回のドラマの話に戻すと、もともとは映画会社志望で、不本意にもテレビの仕事をしているのが、生田さん演じる山岡青年。
テレビ業界に不満を持ちながらも、若手アシスタントディレクター(AD)として、悶々とした日々を送っています。
――当時のテレビドラマは、生放送で…
行き当たりばったりの展開となることも多く、映画と比して随分と見劣りがすることを嘆く、若手ADの山岡。
先ほどの“親分”からの無理難題には、上司・楠田とともに巻き込まれますが、映画会社の協定により出演者の確保は困難を極めます。
やがて山岡青年は『花の生涯』に映画スター・佐田啓二〔演:中村七之助〕の出演を目指して、足しげく説明に通います。
――そして、風向きが変わる。
アメリカのテレビ事情まで情報収集し、熟慮した映画スター・佐田啓二は、その大型時代劇への出演を承諾し、本格的に撮影が始まった『花の生涯』。
当時は“大河ドラマ”という呼称はなかったようで、後に、この大型時代劇枠に「大河ドラマ」という名称が定着したので、遡って第1作の扱いのようです。
この辺り、とくに私には、いろいろと勉強になります。

――なお『花の生涯』で佐田啓二は、彦根藩士・長野主膳役。
長野主膳は、やがて幕府の大老となっていく、彦根藩主・井伊直弼を語るうえで、すごく重要な人物です。
若い頃の井伊直弼は、藩主を継承する見込みはかなり低い位置におり、ひっそりと学問と芸事を深める文化人の路線でした。
〔参照:第13話「通商条約」②(埋木に陽が当たるとき)〕
もともと長野はその時、井伊の和歌や国学の師匠だった学者だったようです。
――『花の生涯』での、淡島千景〔演:ともさかりえ〕の配役が
村山たかという女性の役です。井伊直弼と長野主膳と、村山たか。この3人の関係性はとても濃いようなので、『花の生涯』では深く描かれた事でしょう。
当時、京都で勤王や攘夷の活動をした各藩の志士たちを「安政の大獄」で取り締まる際に、長野主膳と村山たかの2人は深く関与しています。
ちなみに、私が書く「幕末佐賀藩の大河ドラマ」イメージでは、彦根藩の動向を詳しくは描いていません。
但し、「副島種臣に、佐賀藩の京都出兵を打診した公家が、彦根藩士に連行される」という場面は、当時の状況として入れています。
〔参照(終盤):第15話「江戸動乱」⑪(親心に似たるもの)〕

――ちなみに、大老となった井伊直弼が信頼したのは、
徳川政権に近い親藩・譜代の中では会津藩(松平容保)、外様大名の中では佐賀藩(鍋島直正)だったそうです。
江戸末期から幕府に気を遣いながら、韮山反射炉の建設や、品川台場への鉄製大砲の設置などに協力し、日本の近代化を進めてきた佐賀藩。
幕府が選択した「武備開国」の方針には、鍋島直正は良き理解者だったようで、井伊直弼が、江戸の佐賀藩邸を訪ねた場面も書きました。
〔参照(後半):第15話「江戸動乱」⑭(“赤鬼”が背負うもの)〕
ところが、1860年(安政七年)“桜田門外の変”での井伊大老の急死により、幕府と佐賀藩のつながりは一気に薄れてしまった…という展開になります。
〔参照:第15話「江戸動乱」⑮(雪の舞う三月)〕
――京都警備における彦根藩の存在感も…
井伊直弼亡き後には、こちらも一気に薄れてしまったため、志士側からの報復により、今度は幕府側の関係者が危うい状態に。
京の都には、「天誅」という言葉と、襲撃が横行することになります。
江藤新平が佐賀を脱藩した1862年(文久二年)頃には、各地から過激化した志士も、続々と京都に集まってきていました。
〔参照(中盤):第18話「京都見聞」⑱(秋風の吹く頃に)〕
この年、幕府に近い立場の会津藩主・松平容保が、まるで“火中の栗”を拾うかのように、新設された京都守護職を引き受けます。

――そして、“大河ドラマ”誕生を描く物語で、私に一番響いたこと。
作中で阿部サダヲさんの演じる上司・楠田が、彦根藩のお殿様・井伊直弼を題材にしたきっかけは、おそらくは妻の故郷だったから。
夜明けまでの撮影の後に行く、行きつけの屋台のおでんが美味いのは、店主が孫に味見させて「おいしい」と言ったものを出しているから。
最初は無茶振りから始まった“大河ドラマ”。やがて、その企画に関わる人々の想いは「身近な人への愛」というところに集約されて…
山岡青年と、ヒロインである下宿の娘・明恵〔演:松本穂香〕とのエピソードを軸に、1つの話にまとまっていく。
――この物語、好きな感じの描き方でした。
本日、2月5日(日)午後4:30~には、最新のAI技術を駆使して、当時は、白黒だった映像をカラーで再現した『花の生涯』が見られるようです。
「新しいテレビが家に来た日」の描写など、何だか「昔にあって、今には無い」そんな、ときめきを想い出すような要素も多かった“大河ドラマ”誕生秘話。
このところ、少し疲れていましたが、また、頑張ろうと思える物語でした。
○関連記事
・「花の生涯…」
・「茶歌(ちゃか)ポン。」
昨夜、たぶん私は見ておかねばならない…ドラマがNHKで放送されました。そのタイトルは『大河ドラマが生まれた日 笑いと涙の大河ドラマ誕生秘話』。
昭和の真っ只中、戦後の復興も進み、右肩上がりの経済成長の明るい空気があった時代。
テレビのある家には、ご近所さんが集結。良くも悪くも、熱気のあった仕事場。これぞ“昭和”というポイントの描写が続きます。
なお、ドラマの感想に、私が空想する「幕末佐賀藩の大河ドラマ」のイメージが混ざりますが、いつもの事ですのでご容赦ください。
東京オリンピックを2年後に控えた、1962年(昭和37年)からその誕生秘話はスタートするようです。
――そんな時代背景で描かれるのは、あるテレビマンたちの奮闘。
大河ドラマの第1作『花の生涯』は、日本のテレビ放送開始から10年ほどが経過した時期、1963年(昭和38年)に放送されています。
当時のNHK局内の雰囲気の再現を試みるか、いきなり“親分”・芸能局長〔演:中井貴一〕の無茶振り。
空前絶後を超える連続大型時代劇の制作を命じられた、上司・楠田〔演:阿部サダヲ〕と部下・山岡〔演:生田斗真〕。
――“大河ドラマ”で「東京オリンピック」と言えば…
2019年大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を思い出します。そういえば、阿部サダヲさんも、生田斗真さんも、同作の出演者でした。
今回のドラマの話に戻すと、もともとは映画会社志望で、不本意にもテレビの仕事をしているのが、生田さん演じる山岡青年。
テレビ業界に不満を持ちながらも、若手アシスタントディレクター(AD)として、悶々とした日々を送っています。
――当時のテレビドラマは、生放送で…
行き当たりばったりの展開となることも多く、映画と比して随分と見劣りがすることを嘆く、若手ADの山岡。
先ほどの“親分”からの無理難題には、上司・楠田とともに巻き込まれますが、映画会社の協定により出演者の確保は困難を極めます。
やがて山岡青年は『花の生涯』に映画スター・佐田啓二〔演:中村七之助〕の出演を目指して、足しげく説明に通います。
――そして、風向きが変わる。
アメリカのテレビ事情まで情報収集し、熟慮した映画スター・佐田啓二は、その大型時代劇への出演を承諾し、本格的に撮影が始まった『花の生涯』。
当時は“大河ドラマ”という呼称はなかったようで、後に、この大型時代劇枠に「大河ドラマ」という名称が定着したので、遡って第1作の扱いのようです。
この辺り、とくに私には、いろいろと勉強になります。
――なお『花の生涯』で佐田啓二は、彦根藩士・長野主膳役。
長野主膳は、やがて幕府の大老となっていく、彦根藩主・井伊直弼を語るうえで、すごく重要な人物です。
若い頃の井伊直弼は、藩主を継承する見込みはかなり低い位置におり、ひっそりと学問と芸事を深める文化人の路線でした。
〔参照:
もともと長野はその時、井伊の和歌や国学の師匠だった学者だったようです。
――『花の生涯』での、淡島千景〔演:ともさかりえ〕の配役が
村山たかという女性の役です。井伊直弼と長野主膳と、村山たか。この3人の関係性はとても濃いようなので、『花の生涯』では深く描かれた事でしょう。
当時、京都で勤王や攘夷の活動をした各藩の志士たちを「安政の大獄」で取り締まる際に、長野主膳と村山たかの2人は深く関与しています。
ちなみに、私が書く「幕末佐賀藩の大河ドラマ」イメージでは、彦根藩の動向を詳しくは描いていません。
但し、「副島種臣に、佐賀藩の京都出兵を打診した公家が、彦根藩士に連行される」という場面は、当時の状況として入れています。
〔参照(終盤):
――ちなみに、大老となった井伊直弼が信頼したのは、
徳川政権に近い親藩・譜代の中では会津藩(松平容保)、外様大名の中では佐賀藩(鍋島直正)だったそうです。
江戸末期から幕府に気を遣いながら、韮山反射炉の建設や、品川台場への鉄製大砲の設置などに協力し、日本の近代化を進めてきた佐賀藩。
幕府が選択した「武備開国」の方針には、鍋島直正は良き理解者だったようで、井伊直弼が、江戸の佐賀藩邸を訪ねた場面も書きました。
〔参照(後半):
ところが、1860年(安政七年)“桜田門外の変”での井伊大老の急死により、幕府と佐賀藩のつながりは一気に薄れてしまった…という展開になります。
〔参照:
――京都警備における彦根藩の存在感も…
井伊直弼亡き後には、こちらも一気に薄れてしまったため、志士側からの報復により、今度は幕府側の関係者が危うい状態に。
京の都には、「天誅」という言葉と、襲撃が横行することになります。
江藤新平が佐賀を脱藩した1862年(文久二年)頃には、各地から過激化した志士も、続々と京都に集まってきていました。
〔参照(中盤):
この年、幕府に近い立場の会津藩主・松平容保が、まるで“火中の栗”を拾うかのように、新設された京都守護職を引き受けます。
――そして、“大河ドラマ”誕生を描く物語で、私に一番響いたこと。
作中で阿部サダヲさんの演じる上司・楠田が、彦根藩のお殿様・井伊直弼を題材にしたきっかけは、おそらくは妻の故郷だったから。
夜明けまでの撮影の後に行く、行きつけの屋台のおでんが美味いのは、店主が孫に味見させて「おいしい」と言ったものを出しているから。
最初は無茶振りから始まった“大河ドラマ”。やがて、その企画に関わる人々の想いは「身近な人への愛」というところに集約されて…
山岡青年と、ヒロインである下宿の娘・明恵〔演:松本穂香〕とのエピソードを軸に、1つの話にまとまっていく。
――この物語、好きな感じの描き方でした。
本日、2月5日(日)午後4:30~には、最新のAI技術を駆使して、当時は、白黒だった映像をカラーで再現した『花の生涯』が見られるようです。
「新しいテレビが家に来た日」の描写など、何だか「昔にあって、今には無い」そんな、ときめきを想い出すような要素も多かった“大河ドラマ”誕生秘話。
このところ、少し疲れていましたが、また、頑張ろうと思える物語でした。
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2023年01月09日
「今年は、どうする…」
こんばんは。
2023年大河ドラマ『どうする家康』は、昨夜が初回の放送でしたね。松本潤さんが演じるのは、松平元康(のちの徳川家康)。
「ままごと」が好きな、空想がちで臆病な感じの少年として描かれる、“神君”・家康公、何だか温かく見守りたい…という序盤の展開。
のちに天下人となると思われない雰囲気でしたが、今川義元〔演:野村萬斎〕との対話に「太平の世への理想」を託された感じもありました。

――何だか幸せそうな、少年時代の家康公の“人質”生活。
面倒見の良い“保護者”キャラ・石川数正〔演:松重豊〕。“両思い”の幼なじみのような存在が、そのまま結婚相手になった印象の瀬名〔演:有村架純〕。
一応、今川家の人質なので、色々と気は遣っている感じがありましたが、苦難とはほど遠く、優しい目線に囲まれている描写が続きました。
どちらかと言えば、駿河(静岡県中央)の華やかな都会・駿府になじんで、地味な領国・三河(愛知県東部)に帰ったら、ため息という展開まで。
――昨年の『鎌倉殿の13人』より、予備知識がある方々も多いはず。
とくに2016年『真田丸』、2017年『おんな城主 直虎』で、すでに“予習済”の皆様は、私と似たような感想を持つ人も多いかもしれません。
先の展開が見えるだけに「甘い描き方と油断はならん…」と、己を戒めました。
周囲の優しさは、主人公・松平元康〔演:松本潤〕を、よりキラキラさせるための演出でもあるのか。
――「今後の展開を知っている」と辛い部分もある…初回の序盤。
『真田丸』で見た、少しくすぶった感じのある石川数正や『おんな城主 直虎』の、綺麗だけど野心も強い瀬名…と描かれる方が、個人的には気が楽です。
但し、初回から“桶狭間の戦い”に突入、織田信長〔演:岡田准一〕の登場で、充分に物騒な感じになったので、ほんわかしたのは、最初だけでしたが…

――そして番組終盤には、なぜか崖の上から武田信玄〔演:阿部寛〕。
徳川家康に生涯最大の危機の1つを引き起こす、“最強の敵”の風格。甲斐(山梨)の切り立った断崖に座し、南方の駿河(静岡)方面の虹を眺める演出。
高所から“桶狭間の戦い”の結果を見下ろすような、大物感が出ています。
――さて、「どうする」。
初回から、家臣である三河(愛知)の国衆から「どうする」と一斉に問われて、きっと今年は1年中、決断を迫られる主人公・徳川家康(松平元康)。
近年の大河ドラマも記憶に残るなか、昨年度より今後の展開を知ってはいるのですが、やはり1年間、感情移入して見てしまうことになりそうです。
――日曜の夜は、今年の大河ドラマを見るとして。
その一方で、私としては幕末期の佐賀を、どうにかイメージしていきたいので、「平常心」と気持ちの切り換えが大事なのかもしれません。
たぶん、大河ドラマにおける「徳川家康と戦国時代」という“王道”のテーマは多くの視聴者が通りやすい、まるで東海道のようなものでしょうか。
私は「幕末佐賀藩の大河ドラマ」にも道筋はあると考えますが、こちらは三瀬の峠道を行くような感覚に近いかもしれません。
これを、せめて「長崎街道ぐらいは、通りやすいものに!」という想いを大事に、今年は進めていきたいです。
2023年大河ドラマ『どうする家康』は、昨夜が初回の放送でしたね。松本潤さんが演じるのは、松平元康(のちの徳川家康)。
「ままごと」が好きな、空想がちで臆病な感じの少年として描かれる、“神君”・家康公、何だか温かく見守りたい…という序盤の展開。
のちに天下人となると思われない雰囲気でしたが、今川義元〔演:野村萬斎〕との対話に「太平の世への理想」を託された感じもありました。
――何だか幸せそうな、少年時代の家康公の“人質”生活。
面倒見の良い“保護者”キャラ・石川数正〔演:松重豊〕。“両思い”の幼なじみのような存在が、そのまま結婚相手になった印象の瀬名〔演:有村架純〕。
一応、今川家の人質なので、色々と気は遣っている感じがありましたが、苦難とはほど遠く、優しい目線に囲まれている描写が続きました。
どちらかと言えば、駿河(静岡県中央)の華やかな都会・駿府になじんで、地味な領国・三河(愛知県東部)に帰ったら、ため息という展開まで。
――昨年の『鎌倉殿の13人』より、予備知識がある方々も多いはず。
とくに2016年『真田丸』、2017年『おんな城主 直虎』で、すでに“予習済”の皆様は、私と似たような感想を持つ人も多いかもしれません。
先の展開が見えるだけに「甘い描き方と油断はならん…」と、己を戒めました。
周囲の優しさは、主人公・松平元康〔演:松本潤〕を、よりキラキラさせるための演出でもあるのか。
――「今後の展開を知っている」と辛い部分もある…初回の序盤。
『真田丸』で見た、少しくすぶった感じのある石川数正や『おんな城主 直虎』の、綺麗だけど野心も強い瀬名…と描かれる方が、個人的には気が楽です。
但し、初回から“桶狭間の戦い”に突入、織田信長〔演:岡田准一〕の登場で、充分に物騒な感じになったので、ほんわかしたのは、最初だけでしたが…
――そして番組終盤には、なぜか崖の上から武田信玄〔演:阿部寛〕。
徳川家康に生涯最大の危機の1つを引き起こす、“最強の敵”の風格。甲斐(山梨)の切り立った断崖に座し、南方の駿河(静岡)方面の虹を眺める演出。
高所から“桶狭間の戦い”の結果を見下ろすような、大物感が出ています。
――さて、「どうする」。
初回から、家臣である三河(愛知)の国衆から「どうする」と一斉に問われて、きっと今年は1年中、決断を迫られる主人公・徳川家康(松平元康)。
近年の大河ドラマも記憶に残るなか、昨年度より今後の展開を知ってはいるのですが、やはり1年間、感情移入して見てしまうことになりそうです。
――日曜の夜は、今年の大河ドラマを見るとして。
その一方で、私としては幕末期の佐賀を、どうにかイメージしていきたいので、「平常心」と気持ちの切り換えが大事なのかもしれません。
たぶん、大河ドラマにおける「徳川家康と戦国時代」という“王道”のテーマは多くの視聴者が通りやすい、まるで東海道のようなものでしょうか。
私は「幕末佐賀藩の大河ドラマ」にも道筋はあると考えますが、こちらは三瀬の峠道を行くような感覚に近いかもしれません。
これを、せめて「長崎街道ぐらいは、通りやすいものに!」という想いを大事に、今年は進めていきたいです。
タグ :大河ドラマ
2023年01月04日
「大河4年連続出場!に想う…」
こんばんは。
今年(2023年)の大河ドラマ『どうする家康』。その主人公は言うまでもなく、江戸幕府の創始者にして初代の将軍・徳川家康(演:松本潤)。
そして、ここ数年を振り返れば…至るところに徳川家康。
2020年『麒麟がくる』(演:風間俊介)
※主人公・明智光秀(演:長谷川博己)と関わる戦国時代の武将として活躍。
2021年『青天を衝け』(演:北大路欣也)
※舞台は幕末期でしたが、番組のナビゲーター(案内役)で、ほぼ毎回出演。
2022年『鎌倉殿の13人』(演:松本潤)
※鎌倉時代の物語でも、最終回に歴史書「吾妻鏡」の愛読者として登場。
――連続出場の4年目。2023年『どうする家康』では満を持しての主役。
さすがに2019年『いだてん』で、家康公をお見かけした記憶はありませんが、4年連続で大河ドラマにキャスティングがあるとは、強すぎる存在感。
それだけに昨年の『鎌倉殿の13人』での主人公・北条義時に比べて、視聴者それぞれにしっかりした徳川家康のイメージがあるのではないかと思います。
おそらく日本史上でもトップクラスの超有名人物が、今度の大河ドラマでは、どう描かれるか。それも楽しみです。

※佐賀市大和町
――日曜夜、初回放送からの楽しみは、楽しみとして。
序盤は、中部(東海)エリアで物語は展開するでしょうし、佐賀ゆかりの人物の登場は、全編を通じてあまり期待できないのかもしれません。
しかし、後半のどこかで佐賀藩祖・鍋島直茂公や佐賀藩ご初代・鍋島勝茂公のご登場があるのでは…という視線は常に送っていきたいと考えています。
もしも大河ドラマで藩祖さまやご初代をお見かけしようものなら、私はブログで大騒ぎすることと思います。皆様も一緒に盛り上がっていただければ幸いです。
――そして、正月に『さがファンブログ』で紹介されていた雑誌の記事より。
佐賀藩の初代藩主・鍋島勝茂公の“正月の願いごと”を拝読しました。
一.家中によい人物が出ますように
一.家中から浪人する者が出ないように
一.家中に病人が出ませんように
参照した雑誌:https://ebooks.sagafan.jp/e992118.html
(『月刊ぷらざ佐賀 2023年1月号』)※外部リンク
※同誌90ページに掲載された、3か条を引用しています。

※佐賀城北堀
――戦国時代を生き抜いた武将の願い事にしては、すごく優しい!
とくに家臣の“離職”や“疾病”を心配するところに、藩祖・鍋島直茂公から受け継ぎ、勝茂公から続いていく、“佐賀の名君”のオーラをビリビリと感じます。
なお、同誌の冒頭には、佐嘉神社・松原神社の宮司さんの記事もありました。
「第十代藩主・鍋島直正公」並びに「第十一代藩主鍋島直大公」をお祀りする、佐嘉神社。
経過は存じませんでしたが、昭和初期の佐賀の人々からも「お殿様は、お城近くにお祀りしてほしい」という声があっての現在地なのですね。

――何を書いても大体は、佐賀へと話を持っていく私。
これも年頭に掲げた今年のテーマ「平常心」の表れかもしれませんが、今年の大河ドラマの開始までは、そわそわと落ち着かないところもあります。
様々な感情とともに、この1年付き合っていくであろう、今年の大河ドラマの初回。まずは『どうする家康』第1回を楽しみにしたいと思います。
今年(2023年)の大河ドラマ『どうする家康』。その主人公は言うまでもなく、江戸幕府の創始者にして初代の将軍・徳川家康(演:松本潤)。
そして、ここ数年を振り返れば…至るところに徳川家康。
2020年『麒麟がくる』(演:風間俊介)
※主人公・明智光秀(演:長谷川博己)と関わる戦国時代の武将として活躍。
2021年『青天を衝け』(演:北大路欣也)
※舞台は幕末期でしたが、番組のナビゲーター(案内役)で、ほぼ毎回出演。
2022年『鎌倉殿の13人』(演:松本潤)
※鎌倉時代の物語でも、最終回に歴史書「吾妻鏡」の愛読者として登場。
――連続出場の4年目。2023年『どうする家康』では満を持しての主役。
さすがに2019年『いだてん』で、家康公をお見かけした記憶はありませんが、4年連続で大河ドラマにキャスティングがあるとは、強すぎる存在感。
それだけに昨年の『鎌倉殿の13人』での主人公・北条義時に比べて、視聴者それぞれにしっかりした徳川家康のイメージがあるのではないかと思います。
おそらく日本史上でもトップクラスの超有名人物が、今度の大河ドラマでは、どう描かれるか。それも楽しみです。
※佐賀市大和町
――日曜夜、初回放送からの楽しみは、楽しみとして。
序盤は、中部(東海)エリアで物語は展開するでしょうし、佐賀ゆかりの人物の登場は、全編を通じてあまり期待できないのかもしれません。
しかし、後半のどこかで佐賀藩祖・鍋島直茂公や佐賀藩ご初代・鍋島勝茂公のご登場があるのでは…という視線は常に送っていきたいと考えています。
もしも大河ドラマで藩祖さまやご初代をお見かけしようものなら、私はブログで大騒ぎすることと思います。皆様も一緒に盛り上がっていただければ幸いです。
――そして、正月に『さがファンブログ』で紹介されていた雑誌の記事より。
佐賀藩の初代藩主・鍋島勝茂公の“正月の願いごと”を拝読しました。
一.家中によい人物が出ますように
一.家中から浪人する者が出ないように
一.家中に病人が出ませんように
参照した雑誌:https://ebooks.sagafan.jp/e992118.html
(『月刊ぷらざ佐賀 2023年1月号』)※外部リンク
※同誌90ページに掲載された、3か条を引用しています。
※佐賀城北堀
――戦国時代を生き抜いた武将の願い事にしては、すごく優しい!
とくに家臣の“離職”や“疾病”を心配するところに、藩祖・鍋島直茂公から受け継ぎ、勝茂公から続いていく、“佐賀の名君”のオーラをビリビリと感じます。
なお、同誌の冒頭には、佐嘉神社・松原神社の宮司さんの記事もありました。
「第十代藩主・鍋島直正公」並びに「第十一代藩主鍋島直大公」をお祀りする、佐嘉神社。
経過は存じませんでしたが、昭和初期の佐賀の人々からも「お殿様は、お城近くにお祀りしてほしい」という声があっての現在地なのですね。
――何を書いても大体は、佐賀へと話を持っていく私。
これも年頭に掲げた今年のテーマ「平常心」の表れかもしれませんが、今年の大河ドラマの開始までは、そわそわと落ち着かないところもあります。
様々な感情とともに、この1年付き合っていくであろう、今年の大河ドラマの初回。まずは『どうする家康』第1回を楽しみにしたいと思います。
2022年12月27日
「“鎌倉殿”に学んでみる(総論編)」
こんばんは。
今年(2022年)の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。どう形容すべきか…私にも深い感銘を残しました。12月29日午後は、総集編の放送予定もあるようです。
きっと名作として語り継がれそうな「大河ドラマ」ですので、まとめて振り返っておくことにします。
――まず、この作品で印象に残った、3項目を語ります。
一応、私が書く“本編”は「幕末佐賀藩の大河ドラマが実現したら、こんな感じで見たい!」という趣旨のものです。
ならば「実際の大河ドラマで良いと思った展開は、とても参考になるはず!」という視点で考えます。
ちなみに観る人それぞれに良かった場面はあると思いますので、以下は私の個人的な感想です。

――(1)入れ替わりは激しいが、印象の強い登場人物
殺伐とした源平合戦から鎌倉幕府の創設期が舞台のため、とにかく登場人物が、次々に現れては消えます。もはや、生き残った人はすごい…という感覚。
ただ、それぞれの命尽きる瞬間までに、とても生き様が表現されていて…
・武士の世への志を弟・義時に託した、北条宗時〔演:片岡愛之助〕
・旧来の坂東武士の代表格だった、上総広常〔演:佐藤浩市〕
・妻を想う気持ちで嵐まで呼んだ、阿野全成〔演:新納慎也〕
…このあたりが、その場面の映像とともに、すぐ思い浮かびます。
登場から数回で退場する脇役でも、散り際を印象に残すことも多い同作。
佐賀の“葉隠”の教えではないですが、その最期でどう生きたかを示す。ある意味、「武士道とは、死ぬことと見つけたり…」という作り方に感じます。
――(2)諸説ある展開を、様々な解釈で見られる脚本
鎌倉時代など中世の歴史には、あまり興味が強くなかった私ですが、物語で、ここまで面白く見せられると興味も湧きます。
「北条氏の視点で鎌倉初期を、こう描くか…」と感嘆することしきりでした。

鶴岡八幡宮での、幕府三代将軍・源実朝〔演:柿澤勇人〕への襲撃事件は、その伏線の張り方まで含めて見入ってしまいました。
この結末に行き着く計算で、源仲章〔演:生田斗真〕のキャラクターが描かれていたのか…
あとで史実とされる内容と、ドラマ上での事件の経過を見比べると、ゾッとするような要素もありました。
歴史を描くうえで殺伐とし過ぎた内容を、どう現代のドラマとして表現するか。とても、勉強になりますね。
――(3)重い物語の中で、次々に現れる面白ポイント
ここは、私がまったく真似できなさそうな部分だったので、いち視聴者として…ただ笑ってました。
三谷幸喜さんは、喜劇が得意な脚本家というイメージがあります。個人的に、しばらく笑いのツボに入ってしまった内容も、3つほど語りたいと思います。

○その1.三浦義村〔演:山本耕史〕のセリフ
二代将軍・源頼家〔演:金子大地〕が、典型的な武闘派の坂東武士の2人に、北条時政〔演:坂東彌十郎〕との戦を命じます。
なぜ、この2人が選ばれたのか。三浦義村が、その和田義盛〔演:横田栄司〕と仁田忠常〔高岸宏行〕を評した一言。
「2人とも、ばか…場数(ばかず)を踏んでいる。」
「考えるより動く」感じのこの2人は、とても見ていて楽しいキャラクターでした。
たしか当事者の1人、和田義盛がいる場面でのセリフで、“ばか”で止めずに“場数”と言い換えるのに、三浦義村の要領の良さを感じます。
切れ者で腕も立つだけに、どこか人を見下したような態度をとることも多かった三浦義村。このセリフを持ってくると映えますね。
○その2.源頼家〔演:金子大地〕のセリフ
北条時房〔演:瀬戸康史〕にも、熱心に蹴鞠(しゅうきく)を教えていた、平知康〔演:矢柴俊博〕。
二代将軍・頼家が蹴鞠を辞め、お役御免を告げられます。頼家の放り投げた鞠は、井戸に向かって飛んでいき…

蹴鞠の先生なので、鞠を見捨てられなかった、平知康。体勢を崩し、井戸の底へと落ちそうになり、かろうじてしがみつく。
ここでは井戸に落ちた知康を助けようとする頼家。その場にいた北条義時〔演:小栗旬〕とともに、「縄のようなものを探せ」と大騒ぎをします。
その次の瞬間に、目当てものを見つけて一言。
「縄のようなものは無いが、縄があったぞ!」
○その3.北条時房〔演:瀬戸康史〕の呼称
元の名は、北条時連だった北条時房〔演:瀬戸康史〕。当時の“鎌倉殿”の二代将軍・源頼家から「時房(ときふさ)」の名を与えられます。
その時の北条時政〔演:坂東彌十郎〕と、妻・りく〔演:宮沢りえ〕の反応。
妻・りくが「トキューサ!?」と、すっとんきょうな声を出すところから始まって…本人が、大真面目な顔で「時房です。」と訂正したところに、時政が追い打ち。
「トキューサ、いいと思うよ。」と満足げな表情。
…ここから始まって、後鳥羽上皇〔演:尾上松也〕まで、最終回も「トキューサ」呼びを続けていました。
――以上、記憶頼みで書いたので、おそらく不正確な記述が含まれます。
いろいろご容赦ください。そして、長くなったので、一言でまとめましょう。今年(2022年)大河ドラマ、厳しい時代の話でしたが、面白かったです。
今年(2022年)の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。どう形容すべきか…私にも深い感銘を残しました。12月29日午後は、総集編の放送予定もあるようです。
きっと名作として語り継がれそうな「大河ドラマ」ですので、まとめて振り返っておくことにします。
――まず、この作品で印象に残った、3項目を語ります。
一応、私が書く“本編”は「幕末佐賀藩の大河ドラマが実現したら、こんな感じで見たい!」という趣旨のものです。
ならば「実際の大河ドラマで良いと思った展開は、とても参考になるはず!」という視点で考えます。
ちなみに観る人それぞれに良かった場面はあると思いますので、以下は私の個人的な感想です。
――(1)入れ替わりは激しいが、印象の強い登場人物
殺伐とした源平合戦から鎌倉幕府の創設期が舞台のため、とにかく登場人物が、次々に現れては消えます。もはや、生き残った人はすごい…という感覚。
ただ、それぞれの命尽きる瞬間までに、とても生き様が表現されていて…
・武士の世への志を弟・義時に託した、北条宗時〔演:片岡愛之助〕
・旧来の坂東武士の代表格だった、上総広常〔演:佐藤浩市〕
・妻を想う気持ちで嵐まで呼んだ、阿野全成〔演:新納慎也〕
…このあたりが、その場面の映像とともに、すぐ思い浮かびます。
登場から数回で退場する脇役でも、散り際を印象に残すことも多い同作。
佐賀の“葉隠”の教えではないですが、その最期でどう生きたかを示す。ある意味、「武士道とは、死ぬことと見つけたり…」という作り方に感じます。
――(2)諸説ある展開を、様々な解釈で見られる脚本
鎌倉時代など中世の歴史には、あまり興味が強くなかった私ですが、物語で、ここまで面白く見せられると興味も湧きます。
「北条氏の視点で鎌倉初期を、こう描くか…」と感嘆することしきりでした。
鶴岡八幡宮での、幕府三代将軍・源実朝〔演:柿澤勇人〕への襲撃事件は、その伏線の張り方まで含めて見入ってしまいました。
この結末に行き着く計算で、源仲章〔演:生田斗真〕のキャラクターが描かれていたのか…
あとで史実とされる内容と、ドラマ上での事件の経過を見比べると、ゾッとするような要素もありました。
歴史を描くうえで殺伐とし過ぎた内容を、どう現代のドラマとして表現するか。とても、勉強になりますね。
――(3)重い物語の中で、次々に現れる面白ポイント
ここは、私がまったく真似できなさそうな部分だったので、いち視聴者として…ただ笑ってました。
三谷幸喜さんは、喜劇が得意な脚本家というイメージがあります。個人的に、しばらく笑いのツボに入ってしまった内容も、3つほど語りたいと思います。
○その1.三浦義村〔演:山本耕史〕のセリフ
二代将軍・源頼家〔演:金子大地〕が、典型的な武闘派の坂東武士の2人に、北条時政〔演:坂東彌十郎〕との戦を命じます。
なぜ、この2人が選ばれたのか。三浦義村が、その和田義盛〔演:横田栄司〕と仁田忠常〔高岸宏行〕を評した一言。
「2人とも、ばか…場数(ばかず)を踏んでいる。」
「考えるより動く」感じのこの2人は、とても見ていて楽しいキャラクターでした。
たしか当事者の1人、和田義盛がいる場面でのセリフで、“ばか”で止めずに“場数”と言い換えるのに、三浦義村の要領の良さを感じます。
切れ者で腕も立つだけに、どこか人を見下したような態度をとることも多かった三浦義村。このセリフを持ってくると映えますね。
○その2.源頼家〔演:金子大地〕のセリフ
北条時房〔演:瀬戸康史〕にも、熱心に蹴鞠(しゅうきく)を教えていた、平知康〔演:矢柴俊博〕。
二代将軍・頼家が蹴鞠を辞め、お役御免を告げられます。頼家の放り投げた鞠は、井戸に向かって飛んでいき…
蹴鞠の先生なので、鞠を見捨てられなかった、平知康。体勢を崩し、井戸の底へと落ちそうになり、かろうじてしがみつく。
ここでは井戸に落ちた知康を助けようとする頼家。その場にいた北条義時〔演:小栗旬〕とともに、「縄のようなものを探せ」と大騒ぎをします。
その次の瞬間に、目当てものを見つけて一言。
「縄のようなものは無いが、縄があったぞ!」
○その3.北条時房〔演:瀬戸康史〕の呼称
元の名は、北条時連だった北条時房〔演:瀬戸康史〕。当時の“鎌倉殿”の二代将軍・源頼家から「時房(ときふさ)」の名を与えられます。
その時の北条時政〔演:坂東彌十郎〕と、妻・りく〔演:宮沢りえ〕の反応。
妻・りくが「トキューサ!?」と、すっとんきょうな声を出すところから始まって…本人が、大真面目な顔で「時房です。」と訂正したところに、時政が追い打ち。
「トキューサ、いいと思うよ。」と満足げな表情。
…ここから始まって、後鳥羽上皇〔演:尾上松也〕まで、最終回も「トキューサ」呼びを続けていました。
――以上、記憶頼みで書いたので、おそらく不正確な記述が含まれます。
いろいろご容赦ください。そして、長くなったので、一言でまとめましょう。今年(2022年)大河ドラマ、厳しい時代の話でしたが、面白かったです。
タグ :大河ドラマ
2022年09月01日
「“鎌倉殿”に学んでみる(分析編)」
こんばんは。
毎週、凄まじい展開の続く、放送中の2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。
幕末・明治期の大河ドラマ『青天を衝け』の時は、よく感想を書きましたが、今はあまり書いていません…書きづらいというのが、正直なところでしょうか。
本日の記事は、今年の大河ドラマを、ある視点から淡々と分析してみます。
――「へぇ。」
不穏な鳥の啼き声が響く。現れるのは言葉数の少ない、無表情な中年男。
そんな印象のキャラクターだったが、おそらくは、歴代の大河ドラマでも屈指の“暗殺者”だったのではないか。
息をするかのように、標的を仕留める。平然とした佇まいが、余計に怖い。

――毎週、登場人物が衝撃の最期を迎える“恐怖”の大河ドラマ。
序盤から出ていたが『鎌倉殿の13人』からは、前回で退場と思われる、善児〔演:梶原善〕という人物。
もとは百姓と思われる風体だが、攻撃の方法が武士の戦い方よりも怖い。よくあるパターンが、スタスタと歩いてきてブスッと刺す。
あるいは、知らぬ間に刺している。視聴者は標的(ターゲット)の反応を見て、ようやく暗殺の場面とわかる…
――怖い…怖すぎるぞ。この演出。
感情の無い、始末の付け方。まるで「人の心を持たない」ような刺客。
この暗殺者の主人は、伊東祐親〔演:浅野和之〕→梶原景時〔演:中村獅童〕→北条義時〔演:小栗旬〕と移ったかと思う。
オープニングに“善児”の名前を確認すると、視聴者は誰かの“退場”を覚悟しなければならない…という状況まで生じた。
――そんな善児について、いくつかの“転機”を見た。
①代替わりを準備してしまう
自分も年を取ったから…と二代目として育成したトウ〔演:山本千尋〕をお披露目する。トウは、善児が源範頼〔演:迫田孝也〕を暗殺した際に、巻き添えで始末した夫婦の遺児。
②視聴者に応援されてしまう
比企能員〔演:佐藤二朗〕の野望を砕こうと、北条義時が善児を控えさせて脅す場面。佐藤二朗さんの“怪演”の効果で、「善児、仕留めてしまえ~」と、つい感情移入する視聴者も多数。
③人の心を取り戻してしまう
源頼家〔演:金子大地〕の子・一幡を匿ううちに大事に思うようになる。一幡が「わしを好いてくれている」と語り、暗殺を「できねぇ」と拒む。その目には、初めて光が見える様子に。

――以上をふまえて、私的な見解ですが、
①の段階で、善児を“親の仇”とする凄腕の刺客が成長している。
②の段階で、視聴者にとって、善児は“絶対悪”ではなくなった。
③の段階で、“人の心”が無いという、最大の武器を失っている。
ざっくりと見るだけで、ここまで作中に退場の前振りがある、言い換えれば、“死亡フラグ”が巧妙に立てられているとは…
――前回の放送で、最期の時を迎えた“暗殺者”。
やはり「人の心を持った」ことが“しくじった“要因として描かれました。かつて、源頼朝〔演:大泉洋〕の子・千鶴丸を、非情にも影で始末した善児。
源頼家の子・一幡を大切に思い始めていたところ、まったく同じ方法で消されるのを、ただ見送る事しかできませんでした。
――伊豆の「修善寺」での、最後の仕事。
その標的は、一幡の父で鎌倉幕府・第二代将軍の源頼家。自身に懐いていた一幡の”幻影”を目にした、善児は一瞬の隙を生じ、深手を負います。
そして後継者であるトウから“親の仇”として、善児はとどめをさされます。弟子の手で「苦しみを終わらせた」という解釈は可能なのかもしれません。
視聴した記憶をもとにしたので、記述は不確かです。三谷幸喜さんのとにかく怖い脚本。『鎌倉殿の13人』、後学のためにも、しっかり見ようと思います。
毎週、凄まじい展開の続く、放送中の2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』。
幕末・明治期の大河ドラマ『青天を衝け』の時は、よく感想を書きましたが、今はあまり書いていません…書きづらいというのが、正直なところでしょうか。
本日の記事は、今年の大河ドラマを、ある視点から淡々と分析してみます。
――「へぇ。」
不穏な鳥の啼き声が響く。現れるのは言葉数の少ない、無表情な中年男。
そんな印象のキャラクターだったが、おそらくは、歴代の大河ドラマでも屈指の“暗殺者”だったのではないか。
息をするかのように、標的を仕留める。平然とした佇まいが、余計に怖い。
――毎週、登場人物が衝撃の最期を迎える“恐怖”の大河ドラマ。
序盤から出ていたが『鎌倉殿の13人』からは、前回で退場と思われる、善児〔演:梶原善〕という人物。
もとは百姓と思われる風体だが、攻撃の方法が武士の戦い方よりも怖い。よくあるパターンが、スタスタと歩いてきてブスッと刺す。
あるいは、知らぬ間に刺している。視聴者は標的(ターゲット)の反応を見て、ようやく暗殺の場面とわかる…
――怖い…怖すぎるぞ。この演出。
感情の無い、始末の付け方。まるで「人の心を持たない」ような刺客。
この暗殺者の主人は、伊東祐親〔演:浅野和之〕→梶原景時〔演:中村獅童〕→北条義時〔演:小栗旬〕と移ったかと思う。
オープニングに“善児”の名前を確認すると、視聴者は誰かの“退場”を覚悟しなければならない…という状況まで生じた。
――そんな善児について、いくつかの“転機”を見た。
①代替わりを準備してしまう
自分も年を取ったから…と二代目として育成したトウ〔演:山本千尋〕をお披露目する。トウは、善児が源範頼〔演:迫田孝也〕を暗殺した際に、巻き添えで始末した夫婦の遺児。
②視聴者に応援されてしまう
比企能員〔演:佐藤二朗〕の野望を砕こうと、北条義時が善児を控えさせて脅す場面。佐藤二朗さんの“怪演”の効果で、「善児、仕留めてしまえ~」と、つい感情移入する視聴者も多数。
③人の心を取り戻してしまう
源頼家〔演:金子大地〕の子・一幡を匿ううちに大事に思うようになる。一幡が「わしを好いてくれている」と語り、暗殺を「できねぇ」と拒む。その目には、初めて光が見える様子に。
――以上をふまえて、私的な見解ですが、
①の段階で、善児を“親の仇”とする凄腕の刺客が成長している。
②の段階で、視聴者にとって、善児は“絶対悪”ではなくなった。
③の段階で、“人の心”が無いという、最大の武器を失っている。
ざっくりと見るだけで、ここまで作中に退場の前振りがある、言い換えれば、“死亡フラグ”が巧妙に立てられているとは…
――前回の放送で、最期の時を迎えた“暗殺者”。
やはり「人の心を持った」ことが“しくじった“要因として描かれました。かつて、源頼朝〔演:大泉洋〕の子・千鶴丸を、非情にも影で始末した善児。
源頼家の子・一幡を大切に思い始めていたところ、まったく同じ方法で消されるのを、ただ見送る事しかできませんでした。
――伊豆の「修善寺」での、最後の仕事。
その標的は、一幡の父で鎌倉幕府・第二代将軍の源頼家。自身に懐いていた一幡の”幻影”を目にした、善児は一瞬の隙を生じ、深手を負います。
そして後継者であるトウから“親の仇”として、善児はとどめをさされます。弟子の手で「苦しみを終わらせた」という解釈は可能なのかもしれません。
視聴した記憶をもとにしたので、記述は不確かです。三谷幸喜さんのとにかく怖い脚本。『鎌倉殿の13人』、後学のためにも、しっかり見ようと思います。
タグ :大河ドラマ
2022年08月01日
「小城にも、“大河”の風が吹く…」
こんばんは。
淡々と進む私の活動記録『聖地の剣』ですが、その舞台は佐賀市内です。
もし“帰藩”できても佐賀県内を回る時間は、なかなか取れないので、普段から各地域の情報は収集しています。
一息入れる企画の最中に、さらに“小休止”を入れていますが、現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』について少し触れます。
なお私は、あまり中世史には詳しくありません。その展開には毎週、打ちのめされていて、面白い…というより凄まじい脚本だと感じています。
――最近、『小城市広報さくら 2022年8月号』を見ました。
例によって『さがファンブログ』から閲覧したのですが、私が言及せずにはいられない表紙・記事が掲載されていました。
https://static.saga-ebooks.jp/actibook_data/c_ogi_2022_08_202207270000/HTML5/pc.html#/page/1 (外部リンク)
今月号の表紙を飾っているのは、2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演している俳優さんです。
当ブログでは記事にする機会を逸したのですが、6月に小城市内で大河ドラマのトークライブが開催されたことは知っていました。

――小城に来られたのは、有力御家人・千葉常胤を演じる岡本信人さん。
その広報誌の表紙では、小城の須賀神社と思われる“聖地”への長い石段を背にして、両手を広げるようなポーズを決めておられます。
たしか『鎌倉殿の13人』のポスターは、北条義時〔演:小栗旬〕が同じような格好で撮影されていたはず。
――ドラマに登場した時点から、かなり高齢だったようですが、
千葉常胤〔演:岡本信人〕は、相当に影響力の強い武将である事は描かれていたと思います。
たしか千葉常胤が陣に合流した際には、源頼朝〔演:大泉洋〕に「父とも思おうぞ」とか語りかけられていたと記憶します。
この辺り、後に鎌倉幕府を開く源頼朝の“人心掌握術”の巧みさを表現した印象を受けました。
千葉常胤は1118年生まれのようで、源平合戦の時はギリギリ60代。鎌倉から奥州藤原氏に攻め入った時は70代に乗っている計算になるようです。
――作中には、色々と見せ場が…
御家人たちが“謀反”へとヒートアップする主軸となってしまい、期せずして、上総広常〔演:佐藤浩市〕が不遇の最期を迎える原因を作ったり。
また、酒の席で酔うたびに「九郎殿(源義経)は強かった…」と寝言で、語り続ける姿も見られました。
そのたび浮かぶのは、源義経〔演:菅田将暉〕の勇姿。その残像を視聴者に呼び起こす効果もあったと思います。
物語への登場時点から年配だった千葉常胤。三浦義村〔演:山本耕史〕には、ついに「千葉の爺さんは、もうすぐ死にます」という扱いで、語られる始末。
現代とは比べれば、とても平均寿命が短いはずの鎌倉時代。この三浦義村の論評はいたって常識的だったのかもしれません。
――ところが、最近の放送でもご健在。
既に源頼朝が亡くなってからの話なので、さらに高齢となり、概ね80代のはずの千葉常胤。鎌倉幕府が成立して歳月は流れても、まだ活躍中。
そんな幕府内で争いが起きそうな気配を知ってか「また戦に出て“もう一花”咲かせられる!」とばかりに元気な姿を見せていました。
これは、三浦義村の予想を裏切っての再登場。老いても、なお坂東武士であり続ける…。
年齢を理由に人生をあきらめない。“枯れても走る”その姿、もはや「千葉常胤には、高齢者の“夢”が乗っている…」と感じるほどでした。

――そして『鎌倉殿…』から時代は進み、鎌倉中期には。
中興の祖・千葉常胤の活躍により、幕府の有力御家人として栄えた千葉氏。“元寇”への備えで、九州にも千葉一族が着任します。
こうして所領のあった、小城に拠点を構えた肥前千葉氏。江藤新平は、当地の千葉氏に連なる家系の出身なので、本名が“胤雄”だったようです。
〔参照(後半):「紅白から“源平”を考える。」〕
幕末にも受け継がれた“胤”の一文字。佐賀にも根付いた“千葉”の魂…ようやく千葉常胤役・岡本信人さんが佐賀県(小城)に来る説明に至りました。
――なお、このトークイベントの“相棒”は
作中でも、とても前向きなオーラを放っている仁田忠常役・高岸宏行さん。
「やれば、できる!」と明るく言い放つ高岸さんは芸人(コンビ名:ティモンディ)が本業の方。
かつては高校球児として名門校で活躍するも、一旦けがで挫折。それでも現在では、独立リーグの野球選手として再チャレンジ中のようです。
『鎌倉殿…』では曾我兄弟の“仇討ち”が陰謀として描かれ、たしか仁田忠常が、源頼朝への襲撃を阻止するため戦う姿もありました。
さすがの身体能力を感じさせる、力強い動きで武者っぽい迫力を感じました。
仁田忠常は、源平合戦での九州平定に功績があったんだとか。イベントへの人選はこのためのようですね。

――まさか、このイベントが表紙と裏面を飾ってくるとは…
主に小城市民の皆様。ぜひ8月号の“広報誌”を見かけたら、千葉常胤役・岡本信人さんの表紙にご注目ください。
なお、今回は『鎌倉殿の13人』の各場面を不確かな記憶のままに書いたので、間違っている可能性があります。
様々な人物の“最期”が印象的に描かれるドラマですので、千葉常胤のラストはどうなるか。
それはナレーションなのか、セリフなのか、映像なのか、あるいは、先ほどの元気な姿がラストシーンなのか…実は気になってます。
淡々と進む私の活動記録『聖地の剣』ですが、その舞台は佐賀市内です。
もし“帰藩”できても佐賀県内を回る時間は、なかなか取れないので、普段から各地域の情報は収集しています。
一息入れる企画の最中に、さらに“小休止”を入れていますが、現在放送中の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』について少し触れます。
なお私は、あまり中世史には詳しくありません。その展開には毎週、打ちのめされていて、面白い…というより凄まじい脚本だと感じています。
――最近、『小城市広報さくら 2022年8月号』を見ました。
例によって『さがファンブログ』から閲覧したのですが、私が言及せずにはいられない表紙・記事が掲載されていました。
https://static.saga-ebooks.jp/actibook_data/c_ogi_2022_08_202207270000/HTML5/pc.html#/page/1 (外部リンク)
今月号の表紙を飾っているのは、2022年大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演している俳優さんです。
当ブログでは記事にする機会を逸したのですが、6月に小城市内で大河ドラマのトークライブが開催されたことは知っていました。
――小城に来られたのは、有力御家人・千葉常胤を演じる岡本信人さん。
その広報誌の表紙では、小城の須賀神社と思われる“聖地”への長い石段を背にして、両手を広げるようなポーズを決めておられます。
たしか『鎌倉殿の13人』のポスターは、北条義時〔演:小栗旬〕が同じような格好で撮影されていたはず。
――ドラマに登場した時点から、かなり高齢だったようですが、
千葉常胤〔演:岡本信人〕は、相当に影響力の強い武将である事は描かれていたと思います。
たしか千葉常胤が陣に合流した際には、源頼朝〔演:大泉洋〕に「父とも思おうぞ」とか語りかけられていたと記憶します。
この辺り、後に鎌倉幕府を開く源頼朝の“人心掌握術”の巧みさを表現した印象を受けました。
千葉常胤は1118年生まれのようで、源平合戦の時はギリギリ60代。鎌倉から奥州藤原氏に攻め入った時は70代に乗っている計算になるようです。
――作中には、色々と見せ場が…
御家人たちが“謀反”へとヒートアップする主軸となってしまい、期せずして、上総広常〔演:佐藤浩市〕が不遇の最期を迎える原因を作ったり。
また、酒の席で酔うたびに「九郎殿(源義経)は強かった…」と寝言で、語り続ける姿も見られました。
そのたび浮かぶのは、源義経〔演:菅田将暉〕の勇姿。その残像を視聴者に呼び起こす効果もあったと思います。
物語への登場時点から年配だった千葉常胤。三浦義村〔演:山本耕史〕には、ついに「千葉の爺さんは、もうすぐ死にます」という扱いで、語られる始末。
現代とは比べれば、とても平均寿命が短いはずの鎌倉時代。この三浦義村の論評はいたって常識的だったのかもしれません。
――ところが、最近の放送でもご健在。
既に源頼朝が亡くなってからの話なので、さらに高齢となり、概ね80代のはずの千葉常胤。鎌倉幕府が成立して歳月は流れても、まだ活躍中。
そんな幕府内で争いが起きそうな気配を知ってか「また戦に出て“もう一花”咲かせられる!」とばかりに元気な姿を見せていました。
これは、三浦義村の予想を裏切っての再登場。老いても、なお坂東武士であり続ける…。
年齢を理由に人生をあきらめない。“枯れても走る”その姿、もはや「千葉常胤には、高齢者の“夢”が乗っている…」と感じるほどでした。
――そして『鎌倉殿…』から時代は進み、鎌倉中期には。
中興の祖・千葉常胤の活躍により、幕府の有力御家人として栄えた千葉氏。“元寇”への備えで、九州にも千葉一族が着任します。
こうして所領のあった、小城に拠点を構えた肥前千葉氏。江藤新平は、当地の千葉氏に連なる家系の出身なので、本名が“胤雄”だったようです。
〔参照(後半):
幕末にも受け継がれた“胤”の一文字。佐賀にも根付いた“千葉”の魂…ようやく千葉常胤役・岡本信人さんが佐賀県(小城)に来る説明に至りました。
――なお、このトークイベントの“相棒”は
作中でも、とても前向きなオーラを放っている仁田忠常役・高岸宏行さん。
「やれば、できる!」と明るく言い放つ高岸さんは芸人(コンビ名:ティモンディ)が本業の方。
かつては高校球児として名門校で活躍するも、一旦けがで挫折。それでも現在では、独立リーグの野球選手として再チャレンジ中のようです。
『鎌倉殿…』では曾我兄弟の“仇討ち”が陰謀として描かれ、たしか仁田忠常が、源頼朝への襲撃を阻止するため戦う姿もありました。
さすがの身体能力を感じさせる、力強い動きで武者っぽい迫力を感じました。
仁田忠常は、源平合戦での九州平定に功績があったんだとか。イベントへの人選はこのためのようですね。
――まさか、このイベントが表紙と裏面を飾ってくるとは…
主に小城市民の皆様。ぜひ8月号の“広報誌”を見かけたら、千葉常胤役・岡本信人さんの表紙にご注目ください。
なお、今回は『鎌倉殿の13人』の各場面を不確かな記憶のままに書いたので、間違っている可能性があります。
様々な人物の“最期”が印象的に描かれるドラマですので、千葉常胤のラストはどうなるか。
それはナレーションなのか、セリフなのか、映像なのか、あるいは、先ほどの元気な姿がラストシーンなのか…実は気になってます。
2022年01月11日
「願えば叶う街・長崎。」
こんばんは。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』とくに北条氏の登場人物のキャラが濃く、主人公・北条義時〔演:小栗旬〕だけが“常識人”に見える…印象でした。
源頼朝〔演:大泉洋〕の存在感も面白いですし、北条政子〔演:小池栄子〕の配役には期待以上の説得力を感じます。
――『青天を衝け』とはまた違った感じで。
やはりセリフが面白いですね…登場人物が覚えづらい方は“字幕”を付けながら見るとよいかもしれません。
始まって10分ほどは「…今年は地味かな?」と思いましたが、時間の経過とともに仕上がってきて、冒頭の「弓の追撃を避けながら、“姫“を乗せ、馬で駆ける」場面へとループ。
…まったく違う見え方をしました。
――たぶん“大河ドラマ”クラスの脚本家の方なら、
どなたが担当でも「幕末の佐賀藩が題材なら、面白く描けるんじゃないか…」と感じることはよくあります。
当ブログを長くご覧の方は、お気付きかもしれません。今、私は“本編”第17話の再開を準備中です。
実は次からかなり重い展開が待っており、書く方にも迷いがあるのです。今日は大河とは別のドラマの力を借りた“連想”で助走を付けます。

――お題は、NHK土曜ドラマ『わげもん』です。
漢字に起こすと“和解(わげ)者”でしょうか。副題は「~長崎通訳異聞~」ですね。「幕末の長崎を描いた時代劇」に、何かつぶやかずには居られません。
「通訳だった…父を探す」主役を永瀬廉さんが演じています。『紅白歌合戦』に『King&Prince』として出場。朝ドラ『おかえりモネ』でも注目されたと聞きます。
実は存じ上げない方でしたが、放送日の関連番組で「白飯が大好き」と繰り返しエピソードが出るところ好印象です。
「たらふく米を食べても、動けば痩せる…」という良いお手本かもしれません…
――ドラマでは耳慣れた“佐賀ことば”に近いセリフが飛び交う。
「よか」「急(せ)からしか」とか、やはり気になります。言葉だけ聞いていると、「もう“佐賀の大河ドラマ”が来たのか!?」という錯覚が…。
異国船の来航を示す“白帆注進”とか、一気に佐賀城下が慌ただしくなりそうなキーワードも出てきます。
“幕末佐賀藩の大河ドラマ”が実現した場合、この言葉が出るたび、城下に砂ぼこりが舞う大騒動になる…という描写を繰り返すと良いかなと思っています。

――ドラマの展開では、アメリカの軍艦が長崎港に来ています。
作品の舞台である1849年(嘉永二年)は、黒船来航として象徴的な“ペリー来航”の4年前という紹介。
…というわけで、その四年後の1853年(嘉永六年)に、ペリー提督は江戸方面に向かい、浦賀に来航しています。
〔参照:第8話「黒船来航」⑨〕
――ちなみに同年、長崎港へ来たのは、
ロシアのプチャーチン提督の方です。“本編”では、その時の佐賀藩の騒然とした様子も描いてみました。
〔参照(後半):第9話「和親条約」⑤〕
その時にも佐賀藩士たちは、長崎港の島々に築かれた台場に詰めて、年末の寒空の下で、大規模な警備体制を敷いています。
ドラマからまた離れていますが、この時に殿・鍋島直正公は、最前線の陣中見舞いに足を運んでいます。ここは「殿、お優しい…!」と感激しておきましょう。
〔参照(終盤):第9話「和親条約」⑨〕
――そんなわけで、『わげもん』を視聴ながらも…
1年交代とは聞きますが、長崎警備の当番として現地に居るのは「佐賀藩なのか、福岡藩なのか…どちらだ?」などと、いろいろ気になります。
こちらも、ドラマでは描かれませんが、その三年前ほどの出来事。1846年(弘化三年)にはフランス船が長崎に接近した事件がありました。
佐賀藩の諫早領(現在の長崎県諫早市・佐賀県太良町)などの警備部隊が、長崎港に急行し、進入を阻止している絵図が伝わります。
〔参照(終盤):「佐賀と長崎をつなぐもの」〔諫早駅〕〕
――外国への対応に苦慮する、長崎奉行所。
『わげもん』の雰囲気から見ても、当時の長崎で外国船とはうっかり戦えないと強く感じられます。警備にあたる佐賀藩士たちにも相当な重圧があったはず。
一方で、ドラマでは「ここならできる、ここは長崎だろ!」というセリフが印象的。“願えば、夢の叶う街”…長崎の描写が光ってます。

――そう言えば、昨年の大河ドラマ『青天を衝け』でも、
大隈重信〔演:大倉孝二〕が「佐賀は日本一、西洋通ぞ!」と語っていました。
当時の長崎が、日本の表玄関として西洋との接点では“オンリーワン”の存在だったから、佐賀藩は近代化を牽引できたのは疑いの無いところ。
「きっと佐賀が“佐賀”であるために、長崎は“長崎”でなければならなかった」と、言葉に起こすと意味が伝わりづらいですが、たびたび想うのです。
――『わげもん』の物語は、
全体的にミステリー仕立てなのか。国際都市・長崎を舞台として、通訳(通詞)の活躍に焦点を絞ったつくりのようです。
年始から長崎の風を感じるドラマの登場。「やはり今年の長崎は一味違う…」と感じます。正月からの観光番組でも、長崎の特集が連発されています。
そんな期待感がある中、“新型コロナ”が危うい感じで、複雑な心境です。佐賀への帰藩はもちろん、長崎にも行きたい気持ちは強くなる一方…なのですが。
大河ドラマ『鎌倉殿の13人』とくに北条氏の登場人物のキャラが濃く、主人公・北条義時〔演:小栗旬〕だけが“常識人”に見える…印象でした。
源頼朝〔演:大泉洋〕の存在感も面白いですし、北条政子〔演:小池栄子〕の配役には期待以上の説得力を感じます。
――『青天を衝け』とはまた違った感じで。
やはりセリフが面白いですね…登場人物が覚えづらい方は“字幕”を付けながら見るとよいかもしれません。
始まって10分ほどは「…今年は地味かな?」と思いましたが、時間の経過とともに仕上がってきて、冒頭の「弓の追撃を避けながら、“姫“を乗せ、馬で駆ける」場面へとループ。
…まったく違う見え方をしました。
――たぶん“大河ドラマ”クラスの脚本家の方なら、
どなたが担当でも「幕末の佐賀藩が題材なら、面白く描けるんじゃないか…」と感じることはよくあります。
当ブログを長くご覧の方は、お気付きかもしれません。今、私は“本編”第17話の再開を準備中です。
実は次からかなり重い展開が待っており、書く方にも迷いがあるのです。今日は大河とは別のドラマの力を借りた“連想”で助走を付けます。
――お題は、NHK土曜ドラマ『わげもん』です。
漢字に起こすと“和解(わげ)者”でしょうか。副題は「~長崎通訳異聞~」ですね。「幕末の長崎を描いた時代劇」に、何かつぶやかずには居られません。
「通訳だった…父を探す」主役を永瀬廉さんが演じています。『紅白歌合戦』に『King&Prince』として出場。朝ドラ『おかえりモネ』でも注目されたと聞きます。
実は存じ上げない方でしたが、放送日の関連番組で「白飯が大好き」と繰り返しエピソードが出るところ好印象です。
「たらふく米を食べても、動けば痩せる…」という良いお手本かもしれません…
――ドラマでは耳慣れた“佐賀ことば”に近いセリフが飛び交う。
「よか」「急(せ)からしか」とか、やはり気になります。言葉だけ聞いていると、「もう“佐賀の大河ドラマ”が来たのか!?」という錯覚が…。
異国船の来航を示す“白帆注進”とか、一気に佐賀城下が慌ただしくなりそうなキーワードも出てきます。
“幕末佐賀藩の大河ドラマ”が実現した場合、この言葉が出るたび、城下に砂ぼこりが舞う大騒動になる…という描写を繰り返すと良いかなと思っています。
――ドラマの展開では、アメリカの軍艦が長崎港に来ています。
作品の舞台である1849年(嘉永二年)は、黒船来航として象徴的な“ペリー来航”の4年前という紹介。
…というわけで、その四年後の1853年(嘉永六年)に、ペリー提督は江戸方面に向かい、浦賀に来航しています。
〔参照:
――ちなみに同年、長崎港へ来たのは、
ロシアのプチャーチン提督の方です。“本編”では、その時の佐賀藩の騒然とした様子も描いてみました。
〔参照(後半):
その時にも佐賀藩士たちは、長崎港の島々に築かれた台場に詰めて、年末の寒空の下で、大規模な警備体制を敷いています。
ドラマからまた離れていますが、この時に殿・鍋島直正公は、最前線の陣中見舞いに足を運んでいます。ここは「殿、お優しい…!」と感激しておきましょう。
〔参照(終盤):
――そんなわけで、『わげもん』を視聴ながらも…
1年交代とは聞きますが、長崎警備の当番として現地に居るのは「佐賀藩なのか、福岡藩なのか…どちらだ?」などと、いろいろ気になります。
こちらも、ドラマでは描かれませんが、その三年前ほどの出来事。1846年(弘化三年)にはフランス船が長崎に接近した事件がありました。
佐賀藩の諫早領(現在の長崎県諫早市・佐賀県太良町)などの警備部隊が、長崎港に急行し、進入を阻止している絵図が伝わります。
〔参照(終盤):
――外国への対応に苦慮する、長崎奉行所。
『わげもん』の雰囲気から見ても、当時の長崎で外国船とはうっかり戦えないと強く感じられます。警備にあたる佐賀藩士たちにも相当な重圧があったはず。
一方で、ドラマでは「ここならできる、ここは長崎だろ!」というセリフが印象的。“願えば、夢の叶う街”…長崎の描写が光ってます。
――そう言えば、昨年の大河ドラマ『青天を衝け』でも、
大隈重信〔演:大倉孝二〕が「佐賀は日本一、西洋通ぞ!」と語っていました。
当時の長崎が、日本の表玄関として西洋との接点では“オンリーワン”の存在だったから、佐賀藩は近代化を牽引できたのは疑いの無いところ。
「きっと佐賀が“佐賀”であるために、長崎は“長崎”でなければならなかった」と、言葉に起こすと意味が伝わりづらいですが、たびたび想うのです。
――『わげもん』の物語は、
全体的にミステリー仕立てなのか。国際都市・長崎を舞台として、通訳(通詞)の活躍に焦点を絞ったつくりのようです。
年始から長崎の風を感じるドラマの登場。「やはり今年の長崎は一味違う…」と感じます。正月からの観光番組でも、長崎の特集が連発されています。
そんな期待感がある中、“新型コロナ”が危うい感じで、複雑な心境です。佐賀への帰藩はもちろん、長崎にも行きたい気持ちは強くなる一方…なのですが。
2022年01月09日
「紅白から“源平”を考える。」
こんばんは。
本日(日曜)の夜、今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がスタートしますね。
主人公は小栗旬さん演じる北条義時。最初は“若き東国武士”の一人として描くのかなと予想するところ。
序盤の軸は源氏の御曹子・源頼朝〔演:大泉洋〕と平家の“ゴッドファーザー”・平清盛〔演:松平健〕でしょうか。
今回は“平氏“について、考えてみたいと思いますが、ラストは佐賀に話が還ることに。まだ年明けから10日も経っていないのですが、年末を振り返ります。
――私の年末の定番は、『紅白歌合戦』から『ゆく年くる年』。
いたって平凡なのですが、個人的にはこれが一番落ち着くのです。
毎年『ゆく年くる年』が始まる瞬間。“紅白”フィナーレの喧噪からの、どこかの寺からの鐘の音「ゴ~ンッ…♪」を聞くと、年を越すのだなと実感します。
年末年始の時点では“新型コロナ”も落ち着いている印象だったので、東京・浅草の街の賑わいが映し出されました。中継には、凄い人出が見えました。

――その時点から、さらに遡ること3時間ほど前。
“紅白”の前半終了前に、2021年の大きい話題だった『東京オリンピック』に、存在したかもしれない“もう1つの開会式”のような演出がありました。
曲目は『マツケンサンバⅡ』の特別版のようです。その夢舞台の中心に居たのは“マツケン”こと松平健さん。いわずと知れた時代劇の大スター。
――陽気なリズムに乗り、金色の“マツケン”が躍る。
松平健さんの存在感を軸にカラフルな舞台が展開。まるで“幻の式典”。
「やはり“上様”。器の大きいことだ…」
『暴れん坊将軍』で徳川八代将軍・吉宗として、お見かけしていた松平健さん。
紅白前半をさすがの貫禄で締めくくり、後半への良い流れを作ったようです。『鎌倉殿の13人』で、その松平健さんが演じるのは“平清盛”。
司会の大泉洋さんは“源頼朝”ですので、源平そろい踏みに言及していましたが、ドラマでは2人の共演場面は無さそうな雰囲気でした。
――10年前。2012年の大河ドラマは『平清盛』。
この時の主人公・平清盛も“松ケン”でした。松山ケンイチさんが演じた清盛は砂ぼこりの中を駆け、瀬戸内海の船上で重い刀を振る“荒々しい若者”。
少し記憶は遠いのですが、とにかくワイルドで「武士の世をつくる!」と太陽の光に向かって、決意を固める感じの…魅力的な主役でした。
国際貿易が活発な神戸港も、平清盛が大工事を施した“大輪田泊”から発展。宋銭を利用した貨幣経済を促進する…早くから世界が見えた人という評価も。

――「あれっ!?佐賀ん話の無かよ…?」という方へ。お待たせしました。
佐賀の七賢人には“平氏”を称し、新しい朝廷(明治政府)に出仕した人物がいるようです。朝臣として“平 胤雄”と署名したという、江藤新平です。
平氏には幾つかの系統があり、“武家の棟梁”となりうる平氏は、桓武天皇のひ孫の代から、“平”姓となった家系だといいます。
清盛の出た伊勢平氏の“平家”とは別系統ですが、関東で鎌倉幕府の主力となった、御家人の側にも平氏の家系が多く、その1つが千葉氏。
――『鎌倉殿の13人』で注目したい登場人物が…
およそ900年前に現在の千葉県を地盤に活躍した東国武士、鎌倉幕府創立期を支えた千葉常胤(ちば つねたね)〔演:岡本信人〕。
生誕九百年を迎えた2018年にも、本拠だった千葉市で一族ゆかりの地が集う“千葉氏サミット”を開催。まさに“千葉のヒーロー”と言うべきか千葉常胤。
幾度か開催されたサミットの情報を見ると、参加リストに佐賀県の小城市も名を連ねていました。千葉の名は佐賀藩・鍋島家の家老クラスにも見られます。

――江藤家も、佐賀で活躍した千葉氏ゆかりの家系だそうです。
千葉市の情報を見ると、活躍した千葉氏の子孫として、江藤新平も紹介されていました。千葉氏では“胤”の字を、名に入れるのが通例だったようです。
江藤新平は“胤雄”。父・助右衛門は“胤光”という諱(いみな)だそうです。
諱(≒実名)が胤雄、字・あざな(≒通常使う名前)が新平という説明になるのかなと思います。“歴史好き“と言いつつ、今まで深く考えなかった部分です。
――暮らしは貧しくとも、平氏に連なる一族という誇り。
佐賀を脱藩した後、京都で身分の高い公家に会っても、江藤が動じなかった理由はここにありそうです。
…身なりは質素ながら、真っ直ぐに前を見据える、佐賀からの脱藩者。ただならぬ気迫を纏(まと)い、京の大路を行く…
佐賀藩の下級役人として生きる予定だった人物が、“佐賀のヒーロー”となる過程をどう描くか…私なりの答えは“本編”を書く中で探していこうと思います。
本日(日曜)の夜、今年の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』がスタートしますね。
主人公は小栗旬さん演じる北条義時。最初は“若き東国武士”の一人として描くのかなと予想するところ。
序盤の軸は源氏の御曹子・源頼朝〔演:大泉洋〕と平家の“ゴッドファーザー”・平清盛〔演:松平健〕でしょうか。
今回は“平氏“について、考えてみたいと思いますが、ラストは佐賀に話が還ることに。まだ年明けから10日も経っていないのですが、年末を振り返ります。
――私の年末の定番は、『紅白歌合戦』から『ゆく年くる年』。
いたって平凡なのですが、個人的にはこれが一番落ち着くのです。
毎年『ゆく年くる年』が始まる瞬間。“紅白”フィナーレの喧噪からの、どこかの寺からの鐘の音「ゴ~ンッ…♪」を聞くと、年を越すのだなと実感します。
年末年始の時点では“新型コロナ”も落ち着いている印象だったので、東京・浅草の街の賑わいが映し出されました。中継には、凄い人出が見えました。
――その時点から、さらに遡ること3時間ほど前。
“紅白”の前半終了前に、2021年の大きい話題だった『東京オリンピック』に、存在したかもしれない“もう1つの開会式”のような演出がありました。
曲目は『マツケンサンバⅡ』の特別版のようです。その夢舞台の中心に居たのは“マツケン”こと松平健さん。いわずと知れた時代劇の大スター。
――陽気なリズムに乗り、金色の“マツケン”が躍る。
松平健さんの存在感を軸にカラフルな舞台が展開。まるで“幻の式典”。
「やはり“上様”。器の大きいことだ…」
『暴れん坊将軍』で徳川八代将軍・吉宗として、お見かけしていた松平健さん。
紅白前半をさすがの貫禄で締めくくり、後半への良い流れを作ったようです。『鎌倉殿の13人』で、その松平健さんが演じるのは“平清盛”。
司会の大泉洋さんは“源頼朝”ですので、源平そろい踏みに言及していましたが、ドラマでは2人の共演場面は無さそうな雰囲気でした。
――10年前。2012年の大河ドラマは『平清盛』。
この時の主人公・平清盛も“松ケン”でした。松山ケンイチさんが演じた清盛は砂ぼこりの中を駆け、瀬戸内海の船上で重い刀を振る“荒々しい若者”。
少し記憶は遠いのですが、とにかくワイルドで「武士の世をつくる!」と太陽の光に向かって、決意を固める感じの…魅力的な主役でした。
国際貿易が活発な神戸港も、平清盛が大工事を施した“大輪田泊”から発展。宋銭を利用した貨幣経済を促進する…早くから世界が見えた人という評価も。
――「あれっ!?佐賀ん話の無かよ…?」という方へ。お待たせしました。
佐賀の七賢人には“平氏”を称し、新しい朝廷(明治政府)に出仕した人物がいるようです。朝臣として“平 胤雄”と署名したという、江藤新平です。
平氏には幾つかの系統があり、“武家の棟梁”となりうる平氏は、桓武天皇のひ孫の代から、“平”姓となった家系だといいます。
清盛の出た伊勢平氏の“平家”とは別系統ですが、関東で鎌倉幕府の主力となった、御家人の側にも平氏の家系が多く、その1つが千葉氏。
――『鎌倉殿の13人』で注目したい登場人物が…
およそ900年前に現在の千葉県を地盤に活躍した東国武士、鎌倉幕府創立期を支えた千葉常胤(ちば つねたね)〔演:岡本信人〕。
生誕九百年を迎えた2018年にも、本拠だった千葉市で一族ゆかりの地が集う“千葉氏サミット”を開催。まさに“千葉のヒーロー”と言うべきか千葉常胤。
幾度か開催されたサミットの情報を見ると、参加リストに佐賀県の小城市も名を連ねていました。千葉の名は佐賀藩・鍋島家の家老クラスにも見られます。
――江藤家も、佐賀で活躍した千葉氏ゆかりの家系だそうです。
千葉市の情報を見ると、活躍した千葉氏の子孫として、江藤新平も紹介されていました。千葉氏では“胤”の字を、名に入れるのが通例だったようです。
江藤新平は“胤雄”。父・助右衛門は“胤光”という諱(いみな)だそうです。
諱(≒実名)が胤雄、字・あざな(≒通常使う名前)が新平という説明になるのかなと思います。“歴史好き“と言いつつ、今まで深く考えなかった部分です。
――暮らしは貧しくとも、平氏に連なる一族という誇り。
佐賀を脱藩した後、京都で身分の高い公家に会っても、江藤が動じなかった理由はここにありそうです。
…身なりは質素ながら、真っ直ぐに前を見据える、佐賀からの脱藩者。ただならぬ気迫を纏(まと)い、京の大路を行く…
佐賀藩の下級役人として生きる予定だった人物が、“佐賀のヒーロー”となる過程をどう描くか…私なりの答えは“本編”を書く中で探していこうと思います。
2022年01月06日
「“鎌倉”どうでしょう」
こんばんは。
年明け。仕事モードです。今回の記事は簡潔にと思いましたが、何を書いても話が佐賀に還ってしまう、私のブログ。どうしても長文になりがちです。
それはさておき、いよいよ今年(2022年)の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が、スタートしますね。
まだ、放送してもいませんが、個人的に注目しているポイントを、前後2回ほどで記事にしようかと思います。

――前編は、“源氏”編。「とてもボヤきそうな、頼朝公」
今回の大河ドラマで、鎌倉幕府を開いた源頼朝公を演じる方。
北海道発のバラエティー番組『水曜どうでしょう』で有名となり、いまや全国区の人気者。昨年末には『紅白歌合戦』で司会を務めた、大泉洋さん。
2016年大河ドラマ『真田丸』で、主人公・真田信繁(幸村)〔演:堺雅人〕の兄・真田信幸(信之)役での実績があります。
――愚痴っぽくて、親しみやすい長男キャラでした。
「大博打(おおばくち)の始まりじゃあ!」とか「ではおのおの抜かりなく」など、数々の名ゼリフを発し、インパクト絶大の父・真田昌幸〔演:草刈正雄〕。
小回りの効く弟・真田信繁(幸村)と違って、他にも祖母のとり〔演:草笛光子〕など家族にも、ぶんぶん振り回される兄・真田信幸。
のち苦悩のすえ父弟と別れるお兄ちゃん。「私は決めた!」と敵だった徳川方につき、名も真田家の“幸”の字をはばかって“信之”と改め…。
板挟みの苦労人ぶりも、大泉さんの表情とともに記憶に残っています。

――そんな『真田丸』の舞台の1つが、佐賀にありました。
文禄・慶長の役での拠点となった、肥前名護屋城。「綺羅、星の如く」当地に集結する戦国武将たち。つかの間の“仮装大会“の準備に勤しみます。
「味良しの~瓜(うり)~ 召されそうらえ~♪」
未だに耳に残る、真田昌幸役・草刈正雄さんの歌声。(第26回「瓜売」より)
本筋とは別のところでも、忘れられない作品を見せる、脚本家・三谷幸喜さん。『鎌倉殿の13人』も三谷さんの脚本なので、注目せざるを得ないところです。
――肥前名護屋城址は、現在の佐賀県唐津市(鎮西町)に所在。
豊臣秀吉の朝鮮出兵のため、各地の武将が一堂に会した肥前名護屋の地。大名たちの陣屋を始め、多数の人々がひしめく“大都市”となりました。
『真田丸』では真田信繁(幸村)の目線で、豊臣秀吉〔演:小日向文世〕の晩年が描かれます。天下人として、栄華を誇った豊臣政権トップの“暴走”と老い。
その天下人の逝去とともに肥前名護屋は、歴史の表舞台から姿を消します。安土桃山時代に20万人が生活したと言われる“巨大都市”が存在したという歴史の一頁です。

――今年の『鎌倉殿の13人』に話を戻すと。
大泉洋さんは、かつて「いい国(1192年)作ろう、鎌倉幕府」でおなじみだった源頼朝を演じるという大役。
但し、現在では、鎌倉幕府は段階的に出来たので成立年は特定しないとか、成立年は“いい箱”(1185年)とする見解が優勢だという情報を見かけます。
歴史勉強中のお子様、お孫さんのいる方は、今の教科書をご覧になってみても良いかもしれません。
――地域ローカル番組から全国区に。
大活躍している今でも、北海道民の方々は大泉さんに対して、半分は心配の混ざった暖かい眼差しで見守っている…とよく聞きます。
また、北海道は“大河ドラマ”の中心地と離れていることが多いためか、「全国平均よりも大河ドラマの視聴率が低い」と聞いたことがあります。
その点、大泉さんが準主役で大きい存在感を残しそうな『鎌倉殿の13人』は大丈夫なのかもしれません。

――北海道が描ける「大河ドラマ」の“答え”なら、佐賀にもあります。
佐賀の七賢人の1人にして、“札幌”を創った人・島義勇。現在では200万人に届こうかという大都市の基礎を築いています。
当地では“判官さま”と呼ばれることが多いそうです。「五州第一の都(世界一の都市)」を作るという、まっすぐな想いを込めて計画したのが札幌の街。
――幕末期の佐賀藩を書くと、
北海道(蝦夷地)の状況も、しっかりと表現することができそうです。
近い未来に島義勇を演じる方は、できれば北海道(札幌周辺)の出身、表情が豊かで、印象に残る演技をする俳優さんが望ましいと考えるところ。
佐賀藩士の中でも独自の行動が多い印象なので、多忙なスケジュールの方でも、調整はききやすそうです。ラストはあえて一言でまとめます。
「…どうでしょう」と。
年明け。仕事モードです。今回の記事は簡潔にと思いましたが、何を書いても話が佐賀に還ってしまう、私のブログ。どうしても長文になりがちです。
それはさておき、いよいよ今年(2022年)の大河ドラマ『鎌倉殿の13人』が、スタートしますね。
まだ、放送してもいませんが、個人的に注目しているポイントを、前後2回ほどで記事にしようかと思います。
――前編は、“源氏”編。「とてもボヤきそうな、頼朝公」
今回の大河ドラマで、鎌倉幕府を開いた源頼朝公を演じる方。
北海道発のバラエティー番組『水曜どうでしょう』で有名となり、いまや全国区の人気者。昨年末には『紅白歌合戦』で司会を務めた、大泉洋さん。
2016年大河ドラマ『真田丸』で、主人公・真田信繁(幸村)〔演:堺雅人〕の兄・真田信幸(信之)役での実績があります。
――愚痴っぽくて、親しみやすい長男キャラでした。
「大博打(おおばくち)の始まりじゃあ!」とか「ではおのおの抜かりなく」など、数々の名ゼリフを発し、インパクト絶大の父・真田昌幸〔演:草刈正雄〕。
小回りの効く弟・真田信繁(幸村)と違って、他にも祖母のとり〔演:草笛光子〕など家族にも、ぶんぶん振り回される兄・真田信幸。
のち苦悩のすえ父弟と別れるお兄ちゃん。「私は決めた!」と敵だった徳川方につき、名も真田家の“幸”の字をはばかって“信之”と改め…。
板挟みの苦労人ぶりも、大泉さんの表情とともに記憶に残っています。
――そんな『真田丸』の舞台の1つが、佐賀にありました。
文禄・慶長の役での拠点となった、肥前名護屋城。「綺羅、星の如く」当地に集結する戦国武将たち。つかの間の“仮装大会“の準備に勤しみます。
「味良しの~瓜(うり)~ 召されそうらえ~♪」
未だに耳に残る、真田昌幸役・草刈正雄さんの歌声。(第26回「瓜売」より)
本筋とは別のところでも、忘れられない作品を見せる、脚本家・三谷幸喜さん。『鎌倉殿の13人』も三谷さんの脚本なので、注目せざるを得ないところです。
――肥前名護屋城址は、現在の佐賀県唐津市(鎮西町)に所在。
豊臣秀吉の朝鮮出兵のため、各地の武将が一堂に会した肥前名護屋の地。大名たちの陣屋を始め、多数の人々がひしめく“大都市”となりました。
『真田丸』では真田信繁(幸村)の目線で、豊臣秀吉〔演:小日向文世〕の晩年が描かれます。天下人として、栄華を誇った豊臣政権トップの“暴走”と老い。
その天下人の逝去とともに肥前名護屋は、歴史の表舞台から姿を消します。安土桃山時代に20万人が生活したと言われる“巨大都市”が存在したという歴史の一頁です。
――今年の『鎌倉殿の13人』に話を戻すと。
大泉洋さんは、かつて「いい国(1192年)作ろう、鎌倉幕府」でおなじみだった源頼朝を演じるという大役。
但し、現在では、鎌倉幕府は段階的に出来たので成立年は特定しないとか、成立年は“いい箱”(1185年)とする見解が優勢だという情報を見かけます。
歴史勉強中のお子様、お孫さんのいる方は、今の教科書をご覧になってみても良いかもしれません。
――地域ローカル番組から全国区に。
大活躍している今でも、北海道民の方々は大泉さんに対して、半分は心配の混ざった暖かい眼差しで見守っている…とよく聞きます。
また、北海道は“大河ドラマ”の中心地と離れていることが多いためか、「全国平均よりも大河ドラマの視聴率が低い」と聞いたことがあります。
その点、大泉さんが準主役で大きい存在感を残しそうな『鎌倉殿の13人』は大丈夫なのかもしれません。
――北海道が描ける「大河ドラマ」の“答え”なら、佐賀にもあります。
佐賀の七賢人の1人にして、“札幌”を創った人・島義勇。現在では200万人に届こうかという大都市の基礎を築いています。
当地では“判官さま”と呼ばれることが多いそうです。「五州第一の都(世界一の都市)」を作るという、まっすぐな想いを込めて計画したのが札幌の街。
――幕末期の佐賀藩を書くと、
北海道(蝦夷地)の状況も、しっかりと表現することができそうです。
近い未来に島義勇を演じる方は、できれば北海道(札幌周辺)の出身、表情が豊かで、印象に残る演技をする俳優さんが望ましいと考えるところ。
佐賀藩士の中でも独自の行動が多い印象なので、多忙なスケジュールの方でも、調整はききやすそうです。ラストはあえて一言でまとめます。
「…どうでしょう」と。
2021年12月29日
「“銀天”ば衝け…?」
こんばんは。
大河ドラマ『青天を衝け』最終回まで見事な展開だと感じました。明治期以降は、大隈重信がしっかり描かれ、佐賀の存在感も見えていました。
しかし“佐賀の大河ドラマ”を志向する私。この描き方で満足することはなく…
「言いたいことは、それだけか。」
「否(いな)、まだ山ほどございまする!」
…という感じです。こうして、本記事は『青天を衝け』最終回の感想を、2年前に撮った佐賀の風景とともにお送りするという複雑な試みとなりました。
――放送開始から4分頃。東京養育院の場面。
ここでは養育院の運営に力を注ぐ渋沢栄一〔演:吉沢亮〕の来訪に喜び、子供たちが出迎えます。ポイントは、子供たちが口ずさむ歌。
「青葉茂れる~、桜井の~♪」
この歌は南北朝時代に活躍した武将・楠木正成を題材としたもの。古くから、佐賀藩には、天皇に忠義を尽くした楠木正成を崇敬する傾向がありました。
幕末期の佐賀から見ても、大きな意味のある歌なのです。

――佐賀市の、龍造寺八幡宮の境内にある社。
佐賀の志士たちが集った“義祭同盟”。楠木正成を勤王の象徴として崇めるだけでなく、秘密結社という側面もあったようです。
写真にある“楠神社”は、その象徴的な場所。若き日の大隈重信(八太郎)も“義祭同盟”のメンバーとなっていました。
『青天を衝け』では、大倉孝二さんの熱演で強い印象を残した大隈重信。
ちなみに、大隈八太郎という名は、この場所・龍造寺八幡宮に由来するそう。本記事では、大隈も通ったはずの道をたどります。

――同じく佐賀市の中心街にある、白山通り。
江戸時代には長崎街道の賑わいに加えて、龍造寺八幡宮の参道としても、栄えたといいます。
現在は、佐賀市内で唯一と聞くアーケード街。
「おいは己の力で立ちよるばい!“銀の天”に拳ば衝き上げるとよ。」
言うまでもなく『青天を衝け』のパロディーのつもりです。私も佐賀に帰藩したら、ひとまず“銀天”〔アーケード〕にでも拳を衝き上げてみようかと思います。
…きっと、その姿は「肩が痛いから伸びをする人」に見えるはずです。
それはさておき、このアーケード街で例年行われ、夏の風物詩ともなっている『さが銀天夜市』には50年もの歴史があるとか。
――ここで話を戻して、“50年もの歳月”と言えば…
『青天を衝け』最終回では、放送開始から11分頃。大隈邸の場面。
病床にある大隈重信〔演:大倉孝二〕を、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕が見舞います。概ね80歳ぐらいの大隈老侯。
明治初期、大隈は30歳ぐらいですから、この2人はおよそ50年来の付き合いということに。
大隈は自宅の庭園で栽培しているメロン〔“早稲田”という品種〕を客人・渋沢に食べてほしいと考えます。
国際情勢を語りながらも「メロンばあるとよ、早う食べんね。」という感じの展開ですが、「~であるんである。」「~であ~る。」と、なぜか演説調の大隈老侯。
――その場面で私は、こう思いました。
「普通に“佐賀ことば”で話しておけば良いのに…」と。
しかし、次の瞬間に気づきました。初対面の渋沢栄一と出会って、明治新政府に引き込んだ時の大隈重信の演説を。
高い志と堂々たる弁舌で、渋沢の胸を“ぐるぐる”とさせた大隈。
「…これは50年経っても、出会った頃のままの自分を見せたかったのか」と。
談笑の中にも「元気さを見せようとする」大隈侯の意地を感じる場面でした。

――前回(第40回)の放送を思い起こせば、
「80歳に近い年寄りになって、まだ首相などやっておるのか」と詰め寄る渋沢。
「おいは一人、大正になっても維新の世の尻拭いばしているのである」と大声で返す、大隈。
大隈の強い語気の中に、寂しさと心細さを感じた一言でした。セリフで名が挙がるのは、長州の人たちでしたが、ここを深読みしました。
“佐賀の七賢人”の中で、最年少だった大隈重信。一緒に頑張ってきた、支えてくれる、あるいは安心して喧嘩のできる“佐賀の兄貴分”たちは、その時には、もうこの世にいないのです。
――明治期からの付き合いである渋沢には、
どことなく意地を張っているようにも見えた、大隈重信。私がどこか期待した、故郷・佐賀を懐かしむ大隈は描かれませんでした。
しかし、このように幾らでも深読みしたくなるほど、魅力的な大隈像が描かれた『青天を衝け』だったと思います。
なお最終回の再放送は、本日29日(水)の昼。午後1時5分~のようです。
近いうち“佐賀ことば”全開で突き進む、青年・大隈八太郎にも、大河ドラマで出会えることを楽しみにしています。
大河ドラマ『青天を衝け』最終回まで見事な展開だと感じました。明治期以降は、大隈重信がしっかり描かれ、佐賀の存在感も見えていました。
しかし“佐賀の大河ドラマ”を志向する私。この描き方で満足することはなく…
「言いたいことは、それだけか。」
「否(いな)、まだ山ほどございまする!」
…という感じです。こうして、本記事は『青天を衝け』最終回の感想を、2年前に撮った佐賀の風景とともにお送りするという複雑な試みとなりました。
――放送開始から4分頃。東京養育院の場面。
ここでは養育院の運営に力を注ぐ渋沢栄一〔演:吉沢亮〕の来訪に喜び、子供たちが出迎えます。ポイントは、子供たちが口ずさむ歌。
「青葉茂れる~、桜井の~♪」
この歌は南北朝時代に活躍した武将・楠木正成を題材としたもの。古くから、佐賀藩には、天皇に忠義を尽くした楠木正成を崇敬する傾向がありました。
幕末期の佐賀から見ても、大きな意味のある歌なのです。
――佐賀市の、龍造寺八幡宮の境内にある社。
佐賀の志士たちが集った“義祭同盟”。楠木正成を勤王の象徴として崇めるだけでなく、秘密結社という側面もあったようです。
写真にある“楠神社”は、その象徴的な場所。若き日の大隈重信(八太郎)も“義祭同盟”のメンバーとなっていました。
『青天を衝け』では、大倉孝二さんの熱演で強い印象を残した大隈重信。
ちなみに、大隈八太郎という名は、この場所・龍造寺八幡宮に由来するそう。本記事では、大隈も通ったはずの道をたどります。
――同じく佐賀市の中心街にある、白山通り。
江戸時代には長崎街道の賑わいに加えて、龍造寺八幡宮の参道としても、栄えたといいます。
現在は、佐賀市内で唯一と聞くアーケード街。
「おいは己の力で立ちよるばい!“銀の天”に拳ば衝き上げるとよ。」
言うまでもなく『青天を衝け』のパロディーのつもりです。私も佐賀に帰藩したら、ひとまず“銀天”〔アーケード〕にでも拳を衝き上げてみようかと思います。
…きっと、その姿は「肩が痛いから伸びをする人」に見えるはずです。
それはさておき、このアーケード街で例年行われ、夏の風物詩ともなっている『さが銀天夜市』には50年もの歴史があるとか。
――ここで話を戻して、“50年もの歳月”と言えば…
『青天を衝け』最終回では、放送開始から11分頃。大隈邸の場面。
病床にある大隈重信〔演:大倉孝二〕を、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕が見舞います。概ね80歳ぐらいの大隈老侯。
明治初期、大隈は30歳ぐらいですから、この2人はおよそ50年来の付き合いということに。
大隈は自宅の庭園で栽培しているメロン〔“早稲田”という品種〕を客人・渋沢に食べてほしいと考えます。
国際情勢を語りながらも「メロンばあるとよ、早う食べんね。」という感じの展開ですが、「~であるんである。」「~であ~る。」と、なぜか演説調の大隈老侯。
――その場面で私は、こう思いました。
「普通に“佐賀ことば”で話しておけば良いのに…」と。
しかし、次の瞬間に気づきました。初対面の渋沢栄一と出会って、明治新政府に引き込んだ時の大隈重信の演説を。
高い志と堂々たる弁舌で、渋沢の胸を“ぐるぐる”とさせた大隈。
「…これは50年経っても、出会った頃のままの自分を見せたかったのか」と。
談笑の中にも「元気さを見せようとする」大隈侯の意地を感じる場面でした。
――前回(第40回)の放送を思い起こせば、
「80歳に近い年寄りになって、まだ首相などやっておるのか」と詰め寄る渋沢。
「おいは一人、大正になっても維新の世の尻拭いばしているのである」と大声で返す、大隈。
大隈の強い語気の中に、寂しさと心細さを感じた一言でした。セリフで名が挙がるのは、長州の人たちでしたが、ここを深読みしました。
“佐賀の七賢人”の中で、最年少だった大隈重信。一緒に頑張ってきた、支えてくれる、あるいは安心して喧嘩のできる“佐賀の兄貴分”たちは、その時には、もうこの世にいないのです。
――明治期からの付き合いである渋沢には、
どことなく意地を張っているようにも見えた、大隈重信。私がどこか期待した、故郷・佐賀を懐かしむ大隈は描かれませんでした。
しかし、このように幾らでも深読みしたくなるほど、魅力的な大隈像が描かれた『青天を衝け』だったと思います。
なお最終回の再放送は、本日29日(水)の昼。午後1時5分~のようです。
近いうち“佐賀ことば”全開で突き進む、青年・大隈八太郎にも、大河ドラマで出会えることを楽しみにしています。
2021年11月25日
「あの佐賀人は、不死身じゃ!」
こんばんは。
現在、“本編”第17話の序盤を書き進めていますが、今日はひと休みです。
幕末・明治期を描く大河ドラマ『青天を衝け』も年末までの放送と聞きますので、あと1か月ほど。
オリンピックの日程の関係で、例年よりドラマ全体の話数は少ないようですが、最後まで目が離せそうにありません。
――日曜放送の『青天を衝け』第36話。
時代は、1881年“明治十四年の政変”に到達しています。
この政変によって、大隈重信〔演:大倉孝二〕は、政府を追放されるのですが、「私なら、どう描くか…」と考えながら見てしまいます。
集中して視聴すると、大隈を評した“衝撃のセリフ”が飛び込んできました。

――追放されても、なお恐れられる大隈。
放送開始から20分ほど経過し、長州の井上馨〔演:福士誠治〕が、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕のもとに現れます。
「政府が便宜を図るので、新しい海運会社で三菱を抑えてほしい」というのが、井上から渋沢への用件。
渋沢から「なぜ、そこまでするのか?」と問われて、大隈の怖さを知る、井上は「それが…」と語り始めます。
――「あの佐賀人は、不死身じゃ!」
ある意味“痛快”なセリフ。井上が、その言葉を発した直後には、大倉孝二版・大隈重信の勇姿が画面に浮かびます。
…気になる方は土曜の再放送などで、ご確認いただければと思います。
政変で政府から追い出されても、政党を作って、リベンジ(反撃)する大隈。対立する側は“三菱”とのつながりが、大隈の力の源泉と考えて、そこを叩く策です。

「旧三菱合資会社唐津支店本館」※以下のアニメでおなじみの“洋館”です。
――それにしても“不死身”とは…
私は、佐賀を舞台にしたアニメ『ゾンビランドサガ』を連想しました。
「死んでも夢をかなえたい!」
「いいえ、死んでも夢はかなえられる!」
これも、文字にすると“衝撃のセリフ”ですが、同アニメで第1期のテーマソング歌唱前の“口上”として述べられる言葉のようです。
――このしぶとさは、“佐賀人”の根性?
ちなみに当時の大隈重信は、政府から追われるのと引き換えに「国会の開設を約束させたから、勝利とも言える」と捉えたようです。
薩長の藩閥を向こうに“相打ち”したと言わんばかり。「肉を切らせて骨を断つ」ような発想なのか。転んでも、ただでは起きない大隈重信。

――たしかに“不死身”な感じがあります。
古くから不老不死の“徐福伝説”に彩られた、佐賀。
最近では『ゾンビランドサガ』で、不死のアイドルたちが活躍する、佐賀。
大隈先生も、佐賀らしい“不屈のヒーロー”ということなのかもしれません。
――いま、私が“本編”で書いているのは…
大河ドラマで放送中の年代から20年ほど前。若き日の大隈八太郎(重信)。
前回まで唐津藩の力も借りて一旦、江戸へと展開した話。大隈の視点で、再び佐賀へと還ります。
今話では、少し登場人物の家族の話も織り交ぜていきたい…と考えていますが、どこまで表現できるか。これから進めていきます。
現在、“本編”第17話の序盤を書き進めていますが、今日はひと休みです。
幕末・明治期を描く大河ドラマ『青天を衝け』も年末までの放送と聞きますので、あと1か月ほど。
オリンピックの日程の関係で、例年よりドラマ全体の話数は少ないようですが、最後まで目が離せそうにありません。
――日曜放送の『青天を衝け』第36話。
時代は、1881年“明治十四年の政変”に到達しています。
この政変によって、大隈重信〔演:大倉孝二〕は、政府を追放されるのですが、「私なら、どう描くか…」と考えながら見てしまいます。
集中して視聴すると、大隈を評した“衝撃のセリフ”が飛び込んできました。
――追放されても、なお恐れられる大隈。
放送開始から20分ほど経過し、長州の井上馨〔演:福士誠治〕が、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕のもとに現れます。
「政府が便宜を図るので、新しい海運会社で三菱を抑えてほしい」というのが、井上から渋沢への用件。
渋沢から「なぜ、そこまでするのか?」と問われて、大隈の怖さを知る、井上は「それが…」と語り始めます。
――「あの佐賀人は、不死身じゃ!」
ある意味“痛快”なセリフ。井上が、その言葉を発した直後には、大倉孝二版・大隈重信の勇姿が画面に浮かびます。
…気になる方は土曜の再放送などで、ご確認いただければと思います。
政変で政府から追い出されても、政党を作って、リベンジ(反撃)する大隈。対立する側は“三菱”とのつながりが、大隈の力の源泉と考えて、そこを叩く策です。
「旧三菱合資会社唐津支店本館」※以下のアニメでおなじみの“洋館”です。
――それにしても“不死身”とは…
私は、佐賀を舞台にしたアニメ『ゾンビランドサガ』を連想しました。
「死んでも夢をかなえたい!」
「いいえ、死んでも夢はかなえられる!」
これも、文字にすると“衝撃のセリフ”ですが、同アニメで第1期のテーマソング歌唱前の“口上”として述べられる言葉のようです。
――このしぶとさは、“佐賀人”の根性?
ちなみに当時の大隈重信は、政府から追われるのと引き換えに「国会の開設を約束させたから、勝利とも言える」と捉えたようです。
薩長の藩閥を向こうに“相打ち”したと言わんばかり。「肉を切らせて骨を断つ」ような発想なのか。転んでも、ただでは起きない大隈重信。

――たしかに“不死身”な感じがあります。
古くから不老不死の“徐福伝説”に彩られた、佐賀。
最近では『ゾンビランドサガ』で、不死のアイドルたちが活躍する、佐賀。
大隈先生も、佐賀らしい“不屈のヒーロー”ということなのかもしれません。
――いま、私が“本編”で書いているのは…
大河ドラマで放送中の年代から20年ほど前。若き日の大隈八太郎(重信)。
前回まで唐津藩の力も借りて一旦、江戸へと展開した話。大隈の視点で、再び佐賀へと還ります。
今話では、少し登場人物の家族の話も織り交ぜていきたい…と考えていますが、どこまで表現できるか。これから進めていきます。
2021年10月25日
「その青天に“救い”は見えるか」
こんばんは。
日曜夜の『青天を衝け』(32)。気にしていた“佐賀の乱”は地図上での表示で、一瞬で終了しました。さて、この描き方に“救い”はあったのでしょうか。
今回は、いろいろと推論を語ります。実は“的外れ”な読みだった…という可能性も高いので、ご留意のうえお読みください。
――感想を兼ねて、検証を試みます。
まず、この話の冒頭から。放送開始から2分ばかりのオープニング前。
大隈重信〔演:大倉孝二〕のもとに、井上馨〔演:福士誠治〕が現れます。
「司法省と文部省が予算を使いすぎている」と立腹しています。
井上は予算の件で、たびたび各省と激突。“カミナリ”と異名をとったようです。
――この怒りを受けて、大隈重信の対応は…
「“開化”のための費用はやむを得んばい」という反応。佐賀藩出身者らしい発想なのかもしれません。
…たしかに「民のため」と言葉を重ねても、不正を訴えるための司法もなく、身を立てるための教育も無いでは…民とは“勝ち組”だけを意味することになりそう。
ここで大隈の回答に、井上は激怒。机上の書類をぶちまけて政府を去ることに。

――ちなみに、井上が目の敵にした2つの省庁。
司法省は江藤新平、文部省は大木喬任と佐賀藩士がトップを務めた経過が。
“近代国家”についての考え方の相違。もし、これを前提に脚本が書かれたとすると、これも“権力闘争”という表現なのかもしれません。
――そして、新聞で政府の“機密”を暴露。
井上と共に政府を去った、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕と連名での新聞掲載でした。少し後(18分頃)ですが、三菱の岩崎弥太郎〔演:中村芝翫〕がコメントします。
今まで居た場所を去るやいなや、急に批判に回って「立つ鳥跡を濁しまくり」だと。岩崎の“悪役感”際立つ描き方でしたが、何とも意味深なセリフではありました。
当時の井上には鉱山の“私物化”疑惑がありました。前回の放送では、江藤が「不当な権力ば用い、私腹ば肥やしとぉもんが見らるっ」と言葉を発しています。
〔参照(後半):「あえて“欠点”を述べる男」〕

――先ほどの新聞記事を受けて、
放送開始8分頃。画面には、江藤新平〔演:増田修一郎〕が登場。今年の大河では「大蔵省との対立」が繰り返し描かれ、大隈重信とも不仲のイメージでした。
今度は大隈と2人で一緒に怒っています。ここで江藤が問題視しているのは、井上や渋沢が「政府の機密を保持しなかったこと」のようです。
『青天を衝け』の江藤は、大蔵省の専横だけは許さない、官僚としてのルールを大事にする人として描かれたという印象。
たぶん大隈が怒ったのは、井上らが政府の運営を妨害したこと…でしょうか。

――ここで、私が目にした“救い”について語ります。
第32回で話が“佐賀の乱”まで進んでしまったので、『青天を衝け』の物語ではラストの共演となるだろう江藤と大隈。
政府を辞めた人間からの無責任な批判に一緒に憤って、「新聞を叩き付けたり、折り曲げて怒りを表現する」たしかに、カッコ良い場面ではないかもしれない。
でも、私は思うのです。これから、別れの時を迎える同郷・佐賀の先輩と後輩。その2人が同じ事で怒る…最後に、そんなシーンがあって良かったと。
日曜夜の『青天を衝け』(32)。気にしていた“佐賀の乱”は地図上での表示で、一瞬で終了しました。さて、この描き方に“救い”はあったのでしょうか。
今回は、いろいろと推論を語ります。実は“的外れ”な読みだった…という可能性も高いので、ご留意のうえお読みください。
――感想を兼ねて、検証を試みます。
まず、この話の冒頭から。放送開始から2分ばかりのオープニング前。
大隈重信〔演:大倉孝二〕のもとに、井上馨〔演:福士誠治〕が現れます。
「司法省と文部省が予算を使いすぎている」と立腹しています。
井上は予算の件で、たびたび各省と激突。“カミナリ”と異名をとったようです。
――この怒りを受けて、大隈重信の対応は…
「“開化”のための費用はやむを得んばい」という反応。佐賀藩出身者らしい発想なのかもしれません。
…たしかに「民のため」と言葉を重ねても、不正を訴えるための司法もなく、身を立てるための教育も無いでは…民とは“勝ち組”だけを意味することになりそう。
ここで大隈の回答に、井上は激怒。机上の書類をぶちまけて政府を去ることに。
――ちなみに、井上が目の敵にした2つの省庁。
司法省は江藤新平、文部省は大木喬任と佐賀藩士がトップを務めた経過が。
“近代国家”についての考え方の相違。もし、これを前提に脚本が書かれたとすると、これも“権力闘争”という表現なのかもしれません。
――そして、新聞で政府の“機密”を暴露。
井上と共に政府を去った、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕と連名での新聞掲載でした。少し後(18分頃)ですが、三菱の岩崎弥太郎〔演:中村芝翫〕がコメントします。
今まで居た場所を去るやいなや、急に批判に回って「立つ鳥跡を濁しまくり」だと。岩崎の“悪役感”際立つ描き方でしたが、何とも意味深なセリフではありました。
当時の井上には鉱山の“私物化”疑惑がありました。前回の放送では、江藤が「不当な権力ば用い、私腹ば肥やしとぉもんが見らるっ」と言葉を発しています。
〔参照(後半):

――先ほどの新聞記事を受けて、
放送開始8分頃。画面には、江藤新平〔演:増田修一郎〕が登場。今年の大河では「大蔵省との対立」が繰り返し描かれ、大隈重信とも不仲のイメージでした。
今度は大隈と2人で一緒に怒っています。ここで江藤が問題視しているのは、井上や渋沢が「政府の機密を保持しなかったこと」のようです。
『青天を衝け』の江藤は、大蔵省の専横だけは許さない、官僚としてのルールを大事にする人として描かれたという印象。
たぶん大隈が怒ったのは、井上らが政府の運営を妨害したこと…でしょうか。

――ここで、私が目にした“救い”について語ります。
第32回で話が“佐賀の乱”まで進んでしまったので、『青天を衝け』の物語ではラストの共演となるだろう江藤と大隈。
政府を辞めた人間からの無責任な批判に一緒に憤って、「新聞を叩き付けたり、折り曲げて怒りを表現する」たしかに、カッコ良い場面ではないかもしれない。
でも、私は思うのです。これから、別れの時を迎える同郷・佐賀の先輩と後輩。その2人が同じ事で怒る…最後に、そんなシーンがあって良かったと。
2021年10月21日
「あえて“欠点”を述べる男」
こんばんは。
時に「耳が痛いことをあえて言ってくれる人」も必要とは、よく聞きます。一方で、ダメ出しばかりだと関係が修復できなくなる場合も。褒めることも重要でしょう。
日曜に放送された大河ドラマにも、色々と考えさせられる話があったな…というわけで、『青天を衝け』(31)の感想その2です。
――「司法卿 江藤新平」が登場した次の場面。
放送開始から15分ほど経過。たびたび舞台となる「築地 大隈邸」。大隈重信〔演:大倉孝二〕の妻・綾子〔演:朝倉あき〕が取り出す手紙。
差出人は、五代友厚〔演:ディーン・フジオカ〕。少し遡ると、薩摩藩士としてヨーロッパに渡り、知り合ったモンブラン伯爵と策謀を巡らせる姿が印象的でした。
結果、パリ万博では五代と手を組んだモンブラン伯爵が暗躍。幕末の動乱期に、薩摩藩が幕府側を出し抜き、外交面で優位に立つことに。
〔参照(前半):「世界を廻る者たち(①海外編)」〕
――「これは“黒い”モンブランだ…。」
策略家・モンブラン伯爵。これも見ていて「ある意味、“ブラック モンブラン” ?」とか思ったところ。ちなみに、漢字で名乗るときは、“白山”伯爵だったそう。
これも何となく佐賀市の中心街を思わせますが“連想ゲーム”の域を出ません。
こうして、細かく佐賀に話を寄せるものの、やはりパリ万博の舞台で佐野常民ら佐賀の者の姿が見えなかった事が、ダメージ(!)として残っています。
〔参照:「パリ万博を、どう描くか?」〕

さて、ヨーロッパで「幕府は、日本に多数ある政府(藩)の1つ…」と新聞報道が出たことで、フランスは幕府への出資(借款)を渋ります。
薩長に対して形勢を逆転しつつあった、幕府には大きい誤算だった出来事です。
渋沢栄一〔演:吉沢亮〕は、五代友厚と再会した際「貴方のせいで…」と怒りをあらわにした場面もあったと思います。
――そんな“凄腕”の五代友厚が…
「これまでの恩に報いるため…」と、大隈重信に苦言を呈する手紙を送ります。「あえて、閣下(大隈)の欠点を述べるのでお許しを」の一言から。
ここからディーン・フジオカさんが演じる、五代が手紙を書く姿が画面に大写しに。わりと唐突な展開だったので、何かの“伏線”なのかな?と感じました。
――なぜか“雷鳴”が響く中で、大隈へのメッセージ。
「一つ 人の話に我慢して耳を傾けよ」
「一つ 己の主張のみならず 他人の意見を褒めよ」
「大声でどなるな せっかちは厳禁」
「嫌いな人とも きちんとつきあえ…」
ここで五代は『青天を衝け』では、たぶん抑え気味に描かれている、当時の大隈に語られた“欠点”の指摘を畳みかけます。
〔参照(前半):「夜明けを目指して」〕

――かなり面白い場面ですが、やはり何かの暗示?
そして放送開始から35分頃。岩倉使節団メンバー不在の“留守政府”の会議。画面も少し暗かったので、きっと見落とした方もいるはず。
「おいの調べでは、今や官の中にも、不当な権力ば用い、私腹ば肥やしとぉ者(もん)が見らるっ」
…というセリフが。発言者は江藤新平〔演:増田修一郎〕。しかし、『青天を衝け』では、“不正の追及”より「大蔵省との対立」に力点を置く展開のようです。
――ここで「カーッ!せからしか!」との言葉が。
大隈重信が「同じ議論の繰り返し」と声を上げ、やや短気を起こしている印象。
ここからの展開を見過ごした方は、土曜の再放送などで補足していただくことを期待します。同郷の先輩・江藤新平と言い争う、大隈重信の声が続くのです。
「…だけん、あんたは嫌わるっとばい!」
これは“佐賀の者”として、すごく悲しいセリフに感じました。ここで大隈の言動を、先ほどの五代からの忠告と見比べてみてください。
――晩年、自身の人生を「失敗の連続」と振り返った…という大隈。
「もう少し人の話に耳を傾けておけば…」など心残りがあったのかもしれません。
次回から渋沢と“対立モード”に入りそうな気配の大隈重信。こちらも、しっかり追っていきたいと思います。
時に「耳が痛いことをあえて言ってくれる人」も必要とは、よく聞きます。一方で、ダメ出しばかりだと関係が修復できなくなる場合も。褒めることも重要でしょう。
日曜に放送された大河ドラマにも、色々と考えさせられる話があったな…というわけで、『青天を衝け』(31)の感想その2です。
――「司法卿 江藤新平」が登場した次の場面。
放送開始から15分ほど経過。たびたび舞台となる「築地 大隈邸」。大隈重信〔演:大倉孝二〕の妻・綾子〔演:朝倉あき〕が取り出す手紙。
差出人は、五代友厚〔演:ディーン・フジオカ〕。少し遡ると、薩摩藩士としてヨーロッパに渡り、知り合ったモンブラン伯爵と策謀を巡らせる姿が印象的でした。
結果、パリ万博では五代と手を組んだモンブラン伯爵が暗躍。幕末の動乱期に、薩摩藩が幕府側を出し抜き、外交面で優位に立つことに。
〔参照(前半):
――「これは“黒い”モンブランだ…。」
策略家・モンブラン伯爵。これも見ていて「ある意味、“ブラック モンブラン” ?」とか思ったところ。ちなみに、漢字で名乗るときは、“白山”伯爵だったそう。
これも何となく佐賀市の中心街を思わせますが“連想ゲーム”の域を出ません。
こうして、細かく佐賀に話を寄せるものの、やはりパリ万博の舞台で佐野常民ら佐賀の者の姿が見えなかった事が、ダメージ(!)として残っています。
〔参照:
さて、ヨーロッパで「幕府は、日本に多数ある政府(藩)の1つ…」と新聞報道が出たことで、フランスは幕府への出資(借款)を渋ります。
薩長に対して形勢を逆転しつつあった、幕府には大きい誤算だった出来事です。
渋沢栄一〔演:吉沢亮〕は、五代友厚と再会した際「貴方のせいで…」と怒りをあらわにした場面もあったと思います。
――そんな“凄腕”の五代友厚が…
「これまでの恩に報いるため…」と、大隈重信に苦言を呈する手紙を送ります。「あえて、閣下(大隈)の欠点を述べるのでお許しを」の一言から。
ここからディーン・フジオカさんが演じる、五代が手紙を書く姿が画面に大写しに。わりと唐突な展開だったので、何かの“伏線”なのかな?と感じました。
――なぜか“雷鳴”が響く中で、大隈へのメッセージ。
「一つ 人の話に我慢して耳を傾けよ」
「一つ 己の主張のみならず 他人の意見を褒めよ」
「大声でどなるな せっかちは厳禁」
「嫌いな人とも きちんとつきあえ…」
ここで五代は『青天を衝け』では、たぶん抑え気味に描かれている、当時の大隈に語られた“欠点”の指摘を畳みかけます。
〔参照(前半):
――かなり面白い場面ですが、やはり何かの暗示?
そして放送開始から35分頃。岩倉使節団メンバー不在の“留守政府”の会議。画面も少し暗かったので、きっと見落とした方もいるはず。
「おいの調べでは、今や官の中にも、不当な権力ば用い、私腹ば肥やしとぉ者(もん)が見らるっ」
…というセリフが。発言者は江藤新平〔演:増田修一郎〕。しかし、『青天を衝け』では、“不正の追及”より「大蔵省との対立」に力点を置く展開のようです。
――ここで「カーッ!せからしか!」との言葉が。
大隈重信が「同じ議論の繰り返し」と声を上げ、やや短気を起こしている印象。
ここからの展開を見過ごした方は、土曜の再放送などで補足していただくことを期待します。同郷の先輩・江藤新平と言い争う、大隈重信の声が続くのです。
「…だけん、あんたは嫌わるっとばい!」
これは“佐賀の者”として、すごく悲しいセリフに感じました。ここで大隈の言動を、先ほどの五代からの忠告と見比べてみてください。
――晩年、自身の人生を「失敗の連続」と振り返った…という大隈。
「もう少し人の話に耳を傾けておけば…」など心残りがあったのかもしれません。
次回から渋沢と“対立モード”に入りそうな気配の大隈重信。こちらも、しっかり追っていきたいと思います。
2021年10月19日
「大河ドラマ 3度目の出演者たち」
こんばんは。
さて『青天を衝け』(第31回)の感想。もちろん佐賀藩士たちの動向を見つめます…とはいえ、番組全体の流れもあるので、まず冒頭の場面を語りましょう。
前回の“衝撃の場面”の後の展開も、やはり衝撃だった。渋沢栄一〔演:吉沢亮〕が東京に連れて帰ったのは、身重となった女中・大内くに〔演:仁村紗和〕。
――玄関で待つのは、渋沢の妻・千代〔演:橋本愛〕。
先週の次回予告では、どういう展開になるか読めていませんでしたが…
夫の子を宿した大内くにへの、妻・渋沢千代の達観した表情が見られました。これを“菩薩”とか形容する視聴者もいた様子。
〔参照:「“青天”のヒロイン」〕
「すべてを受け入れ、ともに生きる…」という“心の広さ”を見せつけ、夫・栄一を平伏させたかと思えば、1人になってから深~い“ため息”。
――この場面、今後の“大女優”への予感を持ちます。
そして「ユイちゃん、成長したべ!」と“東北なまり”が聞こえてきそうな感覚まで残ります。2013年の朝ドラ『あまちゃん』での準ヒロインだった、橋本愛さん。
『西郷どん』(2018年)『いだてん』(2019年)にも出演。今年の『青天を衝け』では、ついに“ヒロイン”の座に。大河ドラマも3度目の貫禄すら感じるところ。
…よし、ドラマ全体のポイントは語りました(?)。これから、佐賀の話に戻ります。

――日曜の放送で、私が一番盛り上がったところ。
土曜の再放送を見られる方は、開始から13分ほど経過した辺りから“集中”を高めていただきたい。今回は「司法卿 江藤新平」の字幕も出ます。
ここで、増田修一郎さん演じる江藤新平が登場。まだ、「大蔵省と対立」「政治体制の議論に熱心」「約定は意識する」といった描き方に留まるのは残念。
〔参照:「“青天を衝け”に、江藤新平も登場!」〕
――やや、「大河ドラマ」のシナリオから外れますが
偶然にも江藤新平の奥様も、千代(千代子)さんという名前。幼なじみのいとこ同士での結婚…というところは、渋沢とかぶっています。
しかし、今までの調べでは、わりと家庭を大事にしていそうな、江藤さん。囲うのは愛人ではなくて、賢いのにお金が無い書生たちのようです。
まぁ、幕末期に佐賀を脱藩するし、明治期には過酷な運命に進んでいくので…渋沢家以上に妻子は大変と思われます。
今年の大河ドラマで江藤に残る時間は、あとわずか。権力の横暴に苦しむ人たちを救おうとする「弱き者の味方」としての江藤新平の描写は期待できなさそう。

――でも、『青天を衝け』での江藤さんも…
佇(たたず)まいは、なかなかの見映えと思います。「“司法卿”映え」するのだから「危ういほどの才能」か「行き過ぎた正義」か、どちらかは見たいところ。
演じる増田修一郎さんも、「大河ドラマの出演は3度目」らしいのです。
「このままでは終わらない…」熱い設定があると信じたいと思います。
――なお、江藤新平については、
その最期が悲劇と知られており、不用意にネット検索をすると、あまりにも辛い画像が表示されるため、ご注意ください。
なぜ、そのような扱いをされることになったか…逆説的ですが、そこに江藤が、実は“ヒーロー”だった理由も隠されているのかもしれません。
さて『青天を衝け』(第31回)の感想。もちろん佐賀藩士たちの動向を見つめます…とはいえ、番組全体の流れもあるので、まず冒頭の場面を語りましょう。
前回の“衝撃の場面”の後の展開も、やはり衝撃だった。渋沢栄一〔演:吉沢亮〕が東京に連れて帰ったのは、身重となった女中・大内くに〔演:仁村紗和〕。
――玄関で待つのは、渋沢の妻・千代〔演:橋本愛〕。
先週の次回予告では、どういう展開になるか読めていませんでしたが…
夫の子を宿した大内くにへの、妻・渋沢千代の達観した表情が見られました。これを“菩薩”とか形容する視聴者もいた様子。
〔参照:
「すべてを受け入れ、ともに生きる…」という“心の広さ”を見せつけ、夫・栄一を平伏させたかと思えば、1人になってから深~い“ため息”。
――この場面、今後の“大女優”への予感を持ちます。
そして「ユイちゃん、成長したべ!」と“東北なまり”が聞こえてきそうな感覚まで残ります。2013年の朝ドラ『あまちゃん』での準ヒロインだった、橋本愛さん。
『西郷どん』(2018年)『いだてん』(2019年)にも出演。今年の『青天を衝け』では、ついに“ヒロイン”の座に。大河ドラマも3度目の貫禄すら感じるところ。
…よし、ドラマ全体のポイントは語りました(?)。これから、佐賀の話に戻ります。
――日曜の放送で、私が一番盛り上がったところ。
土曜の再放送を見られる方は、開始から13分ほど経過した辺りから“集中”を高めていただきたい。今回は「司法卿 江藤新平」の字幕も出ます。
ここで、増田修一郎さん演じる江藤新平が登場。まだ、「大蔵省と対立」「政治体制の議論に熱心」「約定は意識する」といった描き方に留まるのは残念。
〔参照:
――やや、「大河ドラマ」のシナリオから外れますが
偶然にも江藤新平の奥様も、千代(千代子)さんという名前。幼なじみのいとこ同士での結婚…というところは、渋沢とかぶっています。
しかし、今までの調べでは、わりと家庭を大事にしていそうな、江藤さん。囲うのは愛人ではなくて、賢いのにお金が無い書生たちのようです。
まぁ、幕末期に佐賀を脱藩するし、明治期には過酷な運命に進んでいくので…渋沢家以上に妻子は大変と思われます。
今年の大河ドラマで江藤に残る時間は、あとわずか。権力の横暴に苦しむ人たちを救おうとする「弱き者の味方」としての江藤新平の描写は期待できなさそう。
――でも、『青天を衝け』での江藤さんも…
佇(たたず)まいは、なかなかの見映えと思います。「“司法卿”映え」するのだから「危ういほどの才能」か「行き過ぎた正義」か、どちらかは見たいところ。
演じる増田修一郎さんも、「大河ドラマの出演は3度目」らしいのです。
「このままでは終わらない…」熱い設定があると信じたいと思います。
――なお、江藤新平については、
その最期が悲劇と知られており、不用意にネット検索をすると、あまりにも辛い画像が表示されるため、ご注意ください。
なぜ、そのような扱いをされることになったか…逆説的ですが、そこに江藤が、実は“ヒーロー”だった理由も隠されているのかもしれません。
2021年10月11日
「“青天を衝け”に、江藤新平も登場!」
こんばんは。
もはや恒例(?)…大河ドラマ『青天を衝け』での佐賀藩関連の情報。昨日の放送(第30回)では、増田修一郎さん演じる江藤新平の登場を確認しました。
〔参照(後半):「新キャストを考える④」(“絶望”を越えて行け)〕
「一瞬、登場した!」というぐらいの時間。見逃した方のためにもお伝えしたい。土曜の再放送もあるので共感できる方は盛り上がっていただければ幸いです。
――放送開始から18分ばかりの経過後。
それは、まるで“不意打ち”でありました。ネット上でも話題となった。渋沢栄一〔演:吉沢亮〕と、料亭の女中・大内くに〔演:仁村紗和〕の“衝撃の場面”。
…ここで意表を突かれて、ボーッとしていてはなりません。
――なぜなら、その直後が重要だから。
舞台は明治四年(1871年)七月、“東京”での新政府重役による会議の席。
書記役の2人は、旧・幕臣の渋沢栄一と杉浦譲〔演:志尊淳〕。退屈な授業の時の中学生みたいな“メモ交換”に勤しんでいます。
いや、大事なのは、その前の場面。
「政体改革ばし、大蔵省の権限ば削らんば、政府とどっちが大本か分からん。」

――ここが、江藤新平〔演:増田修一郎〕のセリフ。
西洋の制度を知り、早くも立法・行政・司法の“三権分立”を提唱した江藤。後年「立法、制度立案、政府の機構づくりの智恵と手腕で並ぶ者なし」と評されます。
ここまで、新政府が江戸入城した直後の“東京”民政や、混乱した会計制度の立て直しなど奮迅の活躍ぶり。最初から“幕臣”を活用するのも、合理的です。
洋学・国学・漢学の三つ巴で大混乱し、崩壊状態だった大学制度を、わずか十数日で洋学を中心とした方針に固めるとかスピード感もあります。
――とりあえず課題のあるところ、江藤が送り込まれる。
ちなみにドラマ内で、渋沢栄一が大久保利通〔演:石丸幹二〕に「国家の歳入・歳出」について論争していました。
そんな「予算を明示すること」についても、その先年に江藤が、岩倉具視に進言した項目に存在するようです。
「お名前の紹介はほしかった…」のですが、増田修一郎版・江藤新平も、一目見る限りでは、なかなか好印象です。次回以降の活躍に期待します。
もはや恒例(?)…大河ドラマ『青天を衝け』での佐賀藩関連の情報。昨日の放送(第30回)では、増田修一郎さん演じる江藤新平の登場を確認しました。
〔参照(後半):
「一瞬、登場した!」というぐらいの時間。見逃した方のためにもお伝えしたい。土曜の再放送もあるので共感できる方は盛り上がっていただければ幸いです。
――放送開始から18分ばかりの経過後。
それは、まるで“不意打ち”でありました。ネット上でも話題となった。渋沢栄一〔演:吉沢亮〕と、料亭の女中・大内くに〔演:仁村紗和〕の“衝撃の場面”。
…ここで意表を突かれて、ボーッとしていてはなりません。
――なぜなら、その直後が重要だから。
舞台は明治四年(1871年)七月、“東京”での新政府重役による会議の席。
書記役の2人は、旧・幕臣の渋沢栄一と杉浦譲〔演:志尊淳〕。退屈な授業の時の中学生みたいな“メモ交換”に勤しんでいます。
いや、大事なのは、その前の場面。
「政体改革ばし、大蔵省の権限ば削らんば、政府とどっちが大本か分からん。」
――ここが、江藤新平〔演:増田修一郎〕のセリフ。
西洋の制度を知り、早くも立法・行政・司法の“三権分立”を提唱した江藤。後年「立法、制度立案、政府の機構づくりの智恵と手腕で並ぶ者なし」と評されます。
ここまで、新政府が江戸入城した直後の“東京”民政や、混乱した会計制度の立て直しなど奮迅の活躍ぶり。最初から“幕臣”を活用するのも、合理的です。
洋学・国学・漢学の三つ巴で大混乱し、崩壊状態だった大学制度を、わずか十数日で洋学を中心とした方針に固めるとかスピード感もあります。
――とりあえず課題のあるところ、江藤が送り込まれる。
ちなみにドラマ内で、渋沢栄一が大久保利通〔演:石丸幹二〕に「国家の歳入・歳出」について論争していました。
そんな「予算を明示すること」についても、その先年に江藤が、岩倉具視に進言した項目に存在するようです。
「お名前の紹介はほしかった…」のですが、増田修一郎版・江藤新平も、一目見る限りでは、なかなか好印象です。次回以降の活躍に期待します。
2021年09月26日
「【速報】『青天を衝け』が、大隈祭(?)に…」
こんばんは。
ある程度は予測しましたが、本日の大河ドラマ『青天を衝け』での、大隈重信〔演:大倉孝二〕の大演説が、早くも反響を呼んでいるようです。
もっとも、番組終盤で暴れていたのは、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕の方でしたが…
※以下、本日の放送内容を記載していますので、未視聴の方はご注意ください。
――放送開始から10分と経たず…
静岡で旧・幕臣たちが明治新政府の実情を批評しています。
「薩長だけで政府が立ちゆくわけがなく…」と話が始まり、越前(福井)なども協力している状況が語られます。
そして「異国に詳しい、佐賀」と説明付きで佐賀藩の名が登場。その後も“佐賀の大隈”の名が繰り返されます。

――そして、20分と経たず…
東京に出て、築地にある大隈の私邸に現れる渋沢栄一。いきなり大蔵省の役職の辞任を申し出ます。
旧・幕臣としての静かな怒りが感じられる場面。表向き、自分の“無知”を理由として辞めるという渋沢。ここから、大隈の“佐賀ことば”が炸裂。
――「おいも、な~んも知らん。」
誰もが“何を為すべきか”判然としない新時代。「皆が、“無知”を理由に逃げてしまったら、この国はどうなるか?」と渋沢に問う、大隈。
大隈は、渋沢の理屈を封じて、「誰かがやらねばならんばい!」と鼓舞します。
――「すべてが新規に種のまき直し…」
“佐賀ことば”に続き、大隈独特の「であ~る」調の弁舌を繰り出します。離れたテーブルで、大隈と渋沢2人のやり取りに苦笑する伊藤博文〔演:山崎育三郎〕。
すかさず演説の間に、水差しを準備する、大隈の妻・綾子〔演:朝倉あき〕。渋沢とのやり取りを通じ、およそ5分以上は続く大倉孝二版・大隈重信の演説。

――途中には、山崎育三郎版・伊藤博文のセリフも入ります。
前回放送では「大隈による軍艦や製鉄所の獲得」の説明をしていた伊藤。今回も「佐賀藩が、上野や会津でアームストロング砲を運用」の情報を入れます。
ここまで、なぜだか2回続けて佐賀藩の活躍を解説する役回り。山崎育三郎さんには、次に佐賀藩士の役でも決まっているのか…と思うほど。
――「…来た!すでに“佐賀の時代”が来ている!」
失礼。これは番組内の言葉ではなく私の感想です。“佐賀”の出て来るセリフが多く、数え切れていません。
ここまでお読みいただいて、視聴したくなった貴方は、ぜひ『青天を衝け』土曜日の再放送をご覧ください。
全体的には、決してカッコ良い姿ばかりではない…ですが、面白い。大隈先生が“国民的人気者”だった理由が伺える描き方だと思います。
ある程度は予測しましたが、本日の大河ドラマ『青天を衝け』での、大隈重信〔演:大倉孝二〕の大演説が、早くも反響を呼んでいるようです。
もっとも、番組終盤で暴れていたのは、渋沢栄一〔演:吉沢亮〕の方でしたが…
※以下、本日の放送内容を記載していますので、未視聴の方はご注意ください。
――放送開始から10分と経たず…
静岡で旧・幕臣たちが明治新政府の実情を批評しています。
「薩長だけで政府が立ちゆくわけがなく…」と話が始まり、越前(福井)なども協力している状況が語られます。
そして「異国に詳しい、佐賀」と説明付きで佐賀藩の名が登場。その後も“佐賀の大隈”の名が繰り返されます。
――そして、20分と経たず…
東京に出て、築地にある大隈の私邸に現れる渋沢栄一。いきなり大蔵省の役職の辞任を申し出ます。
旧・幕臣としての静かな怒りが感じられる場面。表向き、自分の“無知”を理由として辞めるという渋沢。ここから、大隈の“佐賀ことば”が炸裂。
――「おいも、な~んも知らん。」
誰もが“何を為すべきか”判然としない新時代。「皆が、“無知”を理由に逃げてしまったら、この国はどうなるか?」と渋沢に問う、大隈。
大隈は、渋沢の理屈を封じて、「誰かがやらねばならんばい!」と鼓舞します。
――「すべてが新規に種のまき直し…」
“佐賀ことば”に続き、大隈独特の「であ~る」調の弁舌を繰り出します。離れたテーブルで、大隈と渋沢2人のやり取りに苦笑する伊藤博文〔演:山崎育三郎〕。
すかさず演説の間に、水差しを準備する、大隈の妻・綾子〔演:朝倉あき〕。渋沢とのやり取りを通じ、およそ5分以上は続く大倉孝二版・大隈重信の演説。
――途中には、山崎育三郎版・伊藤博文のセリフも入ります。
前回放送では「大隈による軍艦や製鉄所の獲得」の説明をしていた伊藤。今回も「佐賀藩が、上野や会津でアームストロング砲を運用」の情報を入れます。
ここまで、なぜだか2回続けて佐賀藩の活躍を解説する役回り。山崎育三郎さんには、次に佐賀藩士の役でも決まっているのか…と思うほど。
――「…来た!すでに“佐賀の時代”が来ている!」
失礼。これは番組内の言葉ではなく私の感想です。“佐賀”の出て来るセリフが多く、数え切れていません。
ここまでお読みいただいて、視聴したくなった貴方は、ぜひ『青天を衝け』土曜日の再放送をご覧ください。
全体的には、決してカッコ良い姿ばかりではない…ですが、面白い。大隈先生が“国民的人気者”だった理由が伺える描き方だと思います。
2021年09月18日
「新キャストを考える⑤」(奥様も出演します)
こんばんは。
異様な進路を取った台風14号でしたが、佐賀は晴天を取り戻せたでしょうか。
さて先週、大河ドラマ『青天を衝け』の江藤新平のキャスト発表を語りました。
〔参照:「新キャストを考える④」(“絶望”を越えて行け)〕
しかも、どうやら次回(第27回)からは、待望の大隈重信の登場もあるようです。これは楽しみになってきました。

――「四万両の利ば、蓄えた!?」
先週の次回予告で聞こえた大隈重信〔演:大倉孝二〕のものと思われるセリフ。
通貨を“円”と定めるなど、明治新政府の会計、財務などお金の算段が絡めば大隈の姿あり…という状況ですから、この辺り『青天を衝け』でも期待できそう。
渋沢栄一〔演:吉沢亮〕をどう新政府に引っ張り込むか、『青天を衝け』での大隈の動向から目が離せそうにありません。
――8月の新キャスト発表では…
発表済だった大隈重信役に続き、その奥様役のキャスティングが判明しました。
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/453042.html(外部サイト)
その名は大隈綾子〔演:朝倉あき〕。NHK公式サイトにも、この二人は再婚同士だとか、かなり細かく情報が出ています。
演じる朝倉あきさんのイメージですが、「勤勉だが秘密を抱えている」ような役で見かけることがあり、演技力の高い女優さんだと考えています。

――大隈重信の妻として、明治を生きた女性。
大隈の母・三井子は、“女丈夫”とも言われた元気な女性でしたが、妻・綾子も、まさに“新時代を生きる女性”でした。大隈を支えながら、明治期に活躍します。
当時、強まる“西洋かぶれ”の空気感。皆が無難に洋装で出席する行事でも、堂々と和装で振る舞うこともできる。自ら考えて、行動する女性だったようです。
また、大隈が大臣への就任を渋った時に、家の奥で一瞬で説得して戻ってきた事もあるとか。「いったい何を言ったんだろうか…?」と、興味のあるところです。
――政治家・大隈重信を語るとき。
大隈の私宅には様々な人が集まり、議論を交わして、政策を形作っていきます。家を仕切る妻・綾子の力量。その存在が、大隈重信の力の源泉となります。
この辺りの活躍は『青天を衝け』の脚本家・大森美香さんが、同じく担当したNHKの朝ドラ『あさが来た』でも、少し描かれたようですね。
同番組では、たしか松坂慶子さんが“大隈綾子”を演じていました。ある場面で、大隈家が女子の学校を作るための活動拠点のようになっていたと記憶します。
〔参照(③):「“女性の活躍”をどう描くか?」(関係性①)〕

――そして『青天を衝け』版・大隈綾子役への期待。
キャストの女優・朝倉あきさんですが、2017年大河ドラマ『おんな城主直虎』にも“高瀬”という役で出演されていました。
この“高瀬姫”が複雑な役で、もともと主人公・井伊直虎〔演:柴咲コウ〕の許婚だった、井伊直親〔演:三浦春馬〕の隠し子の立場。
〔参考(同作の関連):「心に引っかかること」〕
生まれ故郷の信濃(長野)で、武田氏からスパイの役目を背負わされた過去があるが、明るく働き者の娘として生きていく。
しかも、少女時代は別の女優さんが演じていて強い印象を残している…という状況。それを途中から引き継ぐという難しい役回りでした。
――その“朝倉あき”さんが、今回の役で背負う設定。
大隈綾子は幕府旗本の娘で、実は小栗忠順の従妹(いとこ)にあたります。
小栗〔上野介〕といえば、幕府の遣米使節に抜擢されて、海外への見聞を広め、外国奉行や勘定奉行を歴任。『青天を衝け』では武田真治さんが演じました。
新キャスト発表時に特集しましたが、近代化の功績に再評価が進む人物です。
〔参照:「新キャストを考える①」(“明治の父”の1人)〕
大隈綾子は「大隈重信の奥様」というだけでなく、幕府側から“近代化の志”を受け継ぐ1人という描き方もあるかもしれません。注目しています。
異様な進路を取った台風14号でしたが、佐賀は晴天を取り戻せたでしょうか。
さて先週、大河ドラマ『青天を衝け』の江藤新平のキャスト発表を語りました。
〔参照:
しかも、どうやら次回(第27回)からは、待望の大隈重信の登場もあるようです。これは楽しみになってきました。
――「四万両の利ば、蓄えた!?」
先週の次回予告で聞こえた大隈重信〔演:大倉孝二〕のものと思われるセリフ。
通貨を“円”と定めるなど、明治新政府の会計、財務などお金の算段が絡めば大隈の姿あり…という状況ですから、この辺り『青天を衝け』でも期待できそう。
渋沢栄一〔演:吉沢亮〕をどう新政府に引っ張り込むか、『青天を衝け』での大隈の動向から目が離せそうにありません。
――8月の新キャスト発表では…
発表済だった大隈重信役に続き、その奥様役のキャスティングが判明しました。
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/453042.html(外部サイト)
その名は大隈綾子〔演:朝倉あき〕。NHK公式サイトにも、この二人は再婚同士だとか、かなり細かく情報が出ています。
演じる朝倉あきさんのイメージですが、「勤勉だが秘密を抱えている」ような役で見かけることがあり、演技力の高い女優さんだと考えています。
――大隈重信の妻として、明治を生きた女性。
大隈の母・三井子は、“女丈夫”とも言われた元気な女性でしたが、妻・綾子も、まさに“新時代を生きる女性”でした。大隈を支えながら、明治期に活躍します。
当時、強まる“西洋かぶれ”の空気感。皆が無難に洋装で出席する行事でも、堂々と和装で振る舞うこともできる。自ら考えて、行動する女性だったようです。
また、大隈が大臣への就任を渋った時に、家の奥で一瞬で説得して戻ってきた事もあるとか。「いったい何を言ったんだろうか…?」と、興味のあるところです。
――政治家・大隈重信を語るとき。
大隈の私宅には様々な人が集まり、議論を交わして、政策を形作っていきます。家を仕切る妻・綾子の力量。その存在が、大隈重信の力の源泉となります。
この辺りの活躍は『青天を衝け』の脚本家・大森美香さんが、同じく担当したNHKの朝ドラ『あさが来た』でも、少し描かれたようですね。
同番組では、たしか松坂慶子さんが“大隈綾子”を演じていました。ある場面で、大隈家が女子の学校を作るための活動拠点のようになっていたと記憶します。
〔参照(③):
――そして『青天を衝け』版・大隈綾子役への期待。
キャストの女優・朝倉あきさんですが、2017年大河ドラマ『おんな城主直虎』にも“高瀬”という役で出演されていました。
この“高瀬姫”が複雑な役で、もともと主人公・井伊直虎〔演:柴咲コウ〕の許婚だった、井伊直親〔演:三浦春馬〕の隠し子の立場。
〔参考(同作の関連):
生まれ故郷の信濃(長野)で、武田氏からスパイの役目を背負わされた過去があるが、明るく働き者の娘として生きていく。
しかも、少女時代は別の女優さんが演じていて強い印象を残している…という状況。それを途中から引き継ぐという難しい役回りでした。
――その“朝倉あき”さんが、今回の役で背負う設定。
大隈綾子は幕府旗本の娘で、実は小栗忠順の従妹(いとこ)にあたります。
小栗〔上野介〕といえば、幕府の遣米使節に抜擢されて、海外への見聞を広め、外国奉行や勘定奉行を歴任。『青天を衝け』では武田真治さんが演じました。
新キャスト発表時に特集しましたが、近代化の功績に再評価が進む人物です。
〔参照:
大隈綾子は「大隈重信の奥様」というだけでなく、幕府側から“近代化の志”を受け継ぐ1人という描き方もあるかもしれません。注目しています。
2021年09月12日
「新キャストを考える④」(“絶望”を越えて行け)
こんにちは。
先日、告知したNHK総合『シブヤノオト』を視聴しました。『ゾンビランド サガ』のキャストの声優さんが、思っていた以上に“アイドル”として登場。
想定外の直球勝負だったので逆に驚きました。最近の声優さんは、本職以外で歌うだけでなく、踊れんばならんのですね…緊張が伝わってくる気もしました。
テレビ初披露という『徒花ネクロマンシー』の歌唱。未視聴の“第1シリーズ”の主題歌でしたが「絶望の中でどう突き進むか…」その歌詞に考えさせられます。
――こうして、“他事”に気を取られていた私。
本来、優先して追いかけるべき大河ドラマ『青天を衝け』では、さらに新出演者の情報が発表されていました。
かなり前に発表された大倉孝二さんが演じる大隈重信も、今までの放送回では、まだ見かけていません。
〔参照:「新キャストを考える③」(青天に、佐賀藩士がくる)〕
…それだけ大隈侯が重要キャストで、早めに発表したと理解しておきます。

――ポイントは今回、追加で発表された新キャスト。
ついに、あの方の配役が発表されました。私が確認する中では『青天を衝け』で2人目の佐賀藩士。江藤新平のキャストが、ようやく判明したのです。
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/453042.html(外部サイト)
実務能力が不足していた明治政府。江藤は持ち前の才能で次々と課題を解決。近代国家の制度を設計し、“民のための司法”を築いていきます。
政府高官でもなれ合いは許さず、不正には厳しく対処する“正義の人”だったのですが、あまりに最期が悲劇ゆえ、“ヒーロー”扱いが難しい方でもあります。
――これは並みの俳優さんでは…務まらない?
『西郷どん』で江藤新平を演じた迫田孝也さんには民放のドラマでも演技力に評価が集まっていました。迫田さんの熱い江藤には根強いファンが多い様子。
“難役”と言ってもよい、江藤新平を『青天を衝け』で演じるのは、増田修一郎(ますだ しゅういちろう)さん。
『西郷どん』のキャストにも名を連ね、薩摩藩士・有馬新七役を演じたそうです。
京の伏見で起きた“寺田屋騒動”、薩摩藩内の同士討ちの場面があったはず。増田さんの登場とは意識していませんが、壮絶なシーンだったと記憶します。

――ちなみに「大河ドラマ」以外で、お名前には見覚えがありました。
増田さんは「場面への登場は多いが、セリフは少ない」という役回りだったと思いますが、その鋭い表情と、存在感がある佇(たたず)まいが印象に残りました。
いわゆる強面(こわもて)の枠なのか、刑事や警察官以外では“悪役”での起用が多いそうですが、「大河ドラマ」の出演は、すでに3度目とあります。
NHK公式でのコメントには、江藤新平が明治政府の骨組みを作り上げた功績にも触れ「力強く演じたい」との言葉でした。
――『青天を衝け』では、
渋沢栄一の視点で考えると、江藤はあまり良く描いてもらえないと推測もします。
「“悪役”のような描かれ方をするかも…」と心配もするところ、『青天を衝け』の江藤新平役への期待は、作中に埋没せずに“強い印象”を残すこと。
「大河ドラマ」に慣れていて、存在感のある俳優さんのキャスティング。「この人が主役の物語も見たい!」となるためには、好機ではないかと思います。
――江藤新平に対する人物評で…
たしか、勝海舟だったと思いますが、こんな評価をしていたようです。
「あれは、驚いた才物だよ」と。
その一方で「ビリビリしておって、実に危うい」とも言及したようです。増田修一郎さんの険しい表情を思い返すに、この辺りの表現に期待できそうです。
“悲劇”は変えられませんが、真相を見つめ直し、未来につなげることはできる。江藤の人物像が見直される「反撃の時」は近づきつつある…そう感じます。
先日、告知したNHK総合『シブヤノオト』を視聴しました。『ゾンビランド サガ』のキャストの声優さんが、思っていた以上に“アイドル”として登場。
想定外の直球勝負だったので逆に驚きました。最近の声優さんは、本職以外で歌うだけでなく、踊れんばならんのですね…緊張が伝わってくる気もしました。
テレビ初披露という『徒花ネクロマンシー』の歌唱。未視聴の“第1シリーズ”の主題歌でしたが「絶望の中でどう突き進むか…」その歌詞に考えさせられます。
――こうして、“他事”に気を取られていた私。
本来、優先して追いかけるべき大河ドラマ『青天を衝け』では、さらに新出演者の情報が発表されていました。
かなり前に発表された大倉孝二さんが演じる大隈重信も、今までの放送回では、まだ見かけていません。
〔参照:
…それだけ大隈侯が重要キャストで、早めに発表したと理解しておきます。

――ポイントは今回、追加で発表された新キャスト。
ついに、あの方の配役が発表されました。私が確認する中では『青天を衝け』で2人目の佐賀藩士。江藤新平のキャストが、ようやく判明したのです。
https://www.nhk.or.jp/dramatopics-blog/2000/453042.html(外部サイト)
実務能力が不足していた明治政府。江藤は持ち前の才能で次々と課題を解決。近代国家の制度を設計し、“民のための司法”を築いていきます。
政府高官でもなれ合いは許さず、不正には厳しく対処する“正義の人”だったのですが、あまりに最期が悲劇ゆえ、“ヒーロー”扱いが難しい方でもあります。
――これは並みの俳優さんでは…務まらない?
『西郷どん』で江藤新平を演じた迫田孝也さんには民放のドラマでも演技力に評価が集まっていました。迫田さんの熱い江藤には根強いファンが多い様子。
“難役”と言ってもよい、江藤新平を『青天を衝け』で演じるのは、増田修一郎(ますだ しゅういちろう)さん。
『西郷どん』のキャストにも名を連ね、薩摩藩士・有馬新七役を演じたそうです。
京の伏見で起きた“寺田屋騒動”、薩摩藩内の同士討ちの場面があったはず。増田さんの登場とは意識していませんが、壮絶なシーンだったと記憶します。

――ちなみに「大河ドラマ」以外で、お名前には見覚えがありました。
増田さんは「場面への登場は多いが、セリフは少ない」という役回りだったと思いますが、その鋭い表情と、存在感がある佇(たたず)まいが印象に残りました。
いわゆる強面(こわもて)の枠なのか、刑事や警察官以外では“悪役”での起用が多いそうですが、「大河ドラマ」の出演は、すでに3度目とあります。
NHK公式でのコメントには、江藤新平が明治政府の骨組みを作り上げた功績にも触れ「力強く演じたい」との言葉でした。
――『青天を衝け』では、
渋沢栄一の視点で考えると、江藤はあまり良く描いてもらえないと推測もします。
「“悪役”のような描かれ方をするかも…」と心配もするところ、『青天を衝け』の江藤新平役への期待は、作中に埋没せずに“強い印象”を残すこと。
「大河ドラマ」に慣れていて、存在感のある俳優さんのキャスティング。「この人が主役の物語も見たい!」となるためには、好機ではないかと思います。
――江藤新平に対する人物評で…
たしか、勝海舟だったと思いますが、こんな評価をしていたようです。
「あれは、驚いた才物だよ」と。
その一方で「ビリビリしておって、実に危うい」とも言及したようです。増田修一郎さんの険しい表情を思い返すに、この辺りの表現に期待できそうです。
“悲劇”は変えられませんが、真相を見つめ直し、未来につなげることはできる。江藤の人物像が見直される「反撃の時」は近づきつつある…そう感じます。
2021年07月05日
「大河の中心で、佐賀を叫ぶ」
こんばんは。
先週から『ゾンビランドサガ』を見る楽しみがなくなり、ようやく「大河ドラマ」志向に戻ってきた感じがあります。
…とはいえ、すっかりハマった同番組。「映画版」とか「第3シリーズ」とか期待しています。作品に出演した声優さんたちが、幕張(千葉)でライブも実行するとか。
もしや『紅白歌合戦』にでも登場すれば、NHKホールを一時的に“佐賀”が席巻して、きっとネット上でも話題になるに違いない…と思います。
今の私には「佐賀が主役の時間」が見られなくなった事が、とても寂しいのです。

――気を取り直して、今週も「大河の中心で、佐賀を叫びます。」
大河ドラマ『青天を衝け』(21)。ついに“佐賀の人”の映像での登場を確認。
ちなみに佐賀藩ではなく、唐津藩の方。以前ご紹介した“小笠原壱岐守”さま。前回、地図上にはお名前だけの出演でしたが、今回はキャストとして登場。
〔参照:「もしも不遇を感じた時には…」〕
――その場面は、放送開始から22分ほど後。
赤じゅうたんの神奈川奉行所にて。「小笠原壱岐守にございます」と低い声。幕府の重役が“徳川慶喜の弟”を出迎えているという状況です。
役名で解説すると、小笠原長行〔演:鈴木隆仁〕が、徳川昭武〔演:板垣李光人〕に頭を下げて、立礼しています。
――その登場は、一瞬でした。
小笠原さまに続いて、次々と挨拶する幕府重役たち。勘定奉行・小栗忠順(上野介)の存在感が抜群です。小栗上野介役は“筋肉体操”の武田真治さん。
〔参照:「新キャストを考える①」(“明治の父”の1人)〕
さらに追い打ち。フランス公使ロッシュまで登場。これでは目立てません…
――セリフも、たった一言。
テレビの前の私は歯嚙みします。「はがいか~」という悔しさとともに。
「小笠原さまが外国との関係に、どれほど苦心なさったと思っておるのだ!」
私の所属(?)は佐賀藩であり、とくに唐津藩士になった覚えはないのですが、唐津の若殿(藩主名代)小笠原長行さまには感情移入するところが。

――ここで、いきなり『ゾンビランドサガ』に話が戻るのですが…
同アニメの主人公たちが住んでいたのは、唐津にある洋館。「旧三菱合資会社唐津支店本館」(現・唐津市歴史民俗資料館)がモデルのはず。
しかし、佐賀市中心部の“656(むつごろう)広場”までの移動が一瞬。中高生ぐらいの登場人物も「佐賀市内⇔唐津市内」を散歩でもするかのように移動。
――これは、まるで“佐賀ワープ”…
念のため、“路線検索”で調べると、電車でも1時間以上の道のり。その割に、彼女らのプロデューサーも、佐賀市内から唐津まで走っているかのような描写も。
「…もしや佐賀県内における“心の距離”を縮めるための方策か!」
このように私は勝手に得心しますが、たぶん場面展開の都合だったのでしょう。
――ひとまず、『青天を衝け』の世界に…
唐津藩の“若殿”・小笠原長行は登場しました。低い声色、がっちりした体躯という印象。私の持つイメージ「不遇の貴公子・小笠原」さまとは少し違った感じ。
逆に「旧幕府方として戦う、小笠原さまの勇姿は見られるかも…」という期待は感じさせます。
徳川慶喜公に信頼され、たびたび“老中”に返り咲いた、小笠原長行さま。次のご登場を心待ちにします。
先週から『ゾンビランドサガ』を見る楽しみがなくなり、ようやく「大河ドラマ」志向に戻ってきた感じがあります。
…とはいえ、すっかりハマった同番組。「映画版」とか「第3シリーズ」とか期待しています。作品に出演した声優さんたちが、幕張(千葉)でライブも実行するとか。
もしや『紅白歌合戦』にでも登場すれば、NHKホールを一時的に“佐賀”が席巻して、きっとネット上でも話題になるに違いない…と思います。
今の私には「佐賀が主役の時間」が見られなくなった事が、とても寂しいのです。
――気を取り直して、今週も「大河の中心で、佐賀を叫びます。」
大河ドラマ『青天を衝け』(21)。ついに“佐賀の人”の映像での登場を確認。
ちなみに佐賀藩ではなく、唐津藩の方。以前ご紹介した“小笠原壱岐守”さま。前回、地図上にはお名前だけの出演でしたが、今回はキャストとして登場。
〔参照:
――その場面は、放送開始から22分ほど後。
赤じゅうたんの神奈川奉行所にて。「小笠原壱岐守にございます」と低い声。幕府の重役が“徳川慶喜の弟”を出迎えているという状況です。
役名で解説すると、小笠原長行〔演:鈴木隆仁〕が、徳川昭武〔演:板垣李光人〕に頭を下げて、立礼しています。
――その登場は、一瞬でした。
小笠原さまに続いて、次々と挨拶する幕府重役たち。勘定奉行・小栗忠順(上野介)の存在感が抜群です。小栗上野介役は“筋肉体操”の武田真治さん。
〔参照:
さらに追い打ち。フランス公使ロッシュまで登場。これでは目立てません…
――セリフも、たった一言。
テレビの前の私は歯嚙みします。「はがいか~」という悔しさとともに。
「小笠原さまが外国との関係に、どれほど苦心なさったと思っておるのだ!」
私の所属(?)は佐賀藩であり、とくに唐津藩士になった覚えはないのですが、唐津の若殿(藩主名代)小笠原長行さまには感情移入するところが。
――ここで、いきなり『ゾンビランドサガ』に話が戻るのですが…
同アニメの主人公たちが住んでいたのは、唐津にある洋館。「旧三菱合資会社唐津支店本館」(現・唐津市歴史民俗資料館)がモデルのはず。
しかし、佐賀市中心部の“656(むつごろう)広場”までの移動が一瞬。中高生ぐらいの登場人物も「佐賀市内⇔唐津市内」を散歩でもするかのように移動。
――これは、まるで“佐賀ワープ”…
念のため、“路線検索”で調べると、電車でも1時間以上の道のり。その割に、彼女らのプロデューサーも、佐賀市内から唐津まで走っているかのような描写も。
「…もしや佐賀県内における“心の距離”を縮めるための方策か!」
このように私は勝手に得心しますが、たぶん場面展開の都合だったのでしょう。
――ひとまず、『青天を衝け』の世界に…
唐津藩の“若殿”・小笠原長行は登場しました。低い声色、がっちりした体躯という印象。私の持つイメージ「不遇の貴公子・小笠原」さまとは少し違った感じ。
逆に「旧幕府方として戦う、小笠原さまの勇姿は見られるかも…」という期待は感じさせます。
徳川慶喜公に信頼され、たびたび“老中”に返り咲いた、小笠原長行さま。次のご登場を心待ちにします。
2021年07月01日
「もしも不遇を感じた時には…」
こんばんは。
先週末で、大河ドラマ『青天を衝け』の第20回。「何だか、佐賀の匂いがする…」というわけでもありませんが、私は一瞬の登場でも見逃しません。
土曜に再放送を見る方は、注目してほしい、放送開始から19分ほど経過した時点。
――画面上に大写しされる、北九州の地図。
1866年。第2次長州征討の際、小倉(福岡県)付近では善戦していた幕府軍。
しかし、地図上では小倉城が発火する演出。幕府軍は拠点を失う事態となり、敗北が決定的になったとのナレーション。
広がる炎…その横には「小笠原壱岐守様 御陣」と墨書されていました。
――それは、佐賀の話…?
…そう思われた方。実は“小笠原”様というお名前が大事なのです。
当時、幕府軍で小倉口方面の指揮を執っていたのが、唐津藩の小笠原長行(おがさわら ながみち)さまなのです。
そうです。今の佐賀県には佐賀藩だけでなく、唐津藩もありました。そして江戸時代の唐津は、幕府で重職を務める譜代大名が入りました。
〔参照:「主に唐津市民の方を対象にしたつぶやき」〕

――唐津藩の“若殿”(藩主名代)である小笠原長行さま。
この方を調べるうちに、私は釈然としない感情を覚えるのです。
「一言でいえば…不憫(ふびん)過ぎるぞ!唐津の“若殿”」と感じます。
賢くて才能もある方なのに“貧乏クジ”ばかり引かされている…という印象です。
――不憫ポイント①「殿様の長男なのに…」
唐津城で生まれた、小笠原長行さま。幕府に近い立場の唐津藩。長崎の警備を担当する佐賀・福岡両藩(有力な外様大名)の見張り役を受け持ちます。
その“長崎見廻役”の任務は重く、幼い子は唐津藩の殿様になれなかったようです。そんな事情があってか、他藩から養子を迎え続ける唐津藩。
殿様の長男なのに、タイミング的に冷遇されて跡が継げない。何とも不憫です…
――不憫ポイント②「この時期に幕閣…」
“桜田門外の変”で大老・井伊直弼が亡くなった頃から急落する幕府の権威。人材を求める幕府は、賢いと評判の小笠原長行さまを老中の地位に付けます。
唐津藩の世継ぎの身分ながら、幕閣で活躍を始めた小笠原さま。
…1862年。薩摩藩士が行列を横切ったイギリス人を斬る事件が発生。小笠原さまは、この“生麦事件”で事後処理に奔走することになります。

誰も決断をしない中、武力行使に前のめりなイギリスに向き合い、老中としては「賠償金止む無し」と判断。
攘夷派からは目の敵にされますが、この判断は評価する見解も多いようです。ご苦労なさった…
――不憫ポイント③「もはや逃亡者…」
“第2次長州征討”で、幕府側の指揮官の1人だった小笠原長行さま。
1868年。戊辰戦争。薩摩・長州が中心の新政府軍からは“朝敵”と扱われます。幕府への忠誠心も強かった、小笠原さま。江戸を抜け出し、東北へ。
新政府から唐津藩には「小笠原長行の逮捕命令」まで出されます。
東北では、会津(福島)などを回って新政府軍に抗戦。のち蝦夷地(北海道)まで行くのですが、いろいろあって蝦夷地では、戦っていないようです。
――そんな“若殿”を救いたい唐津藩士たち…
唐津藩は明治新政府に、“若殿”とは断絶したと宣言する一方で、すでに新政府でも存在感を発揮する佐賀藩を頼ります。
当時は佐賀藩のご隠居・鍋島直正に“若殿”の助命への協力を願い出ます。
実際「薩長には従いたくないが、佐賀まで新政府に入っては致し方ないか…」と考えた藩は他にもあった様子。
――小笠原長行さま。何とか新時代を生きていくことに。
唐津藩士たちの想い、佐賀藩の援護もあって命には縁がありましたが、“唐津の殿様”だったかも不確かで、“世継ぎ”のままだったという扱いに。(諸説あり)
すごく苦労が感じられる人。もし「幕末佐賀藩の大河ドラマ」が実現したら、物語の要所に登場いただきたい方です。
“唐津の若殿”小笠原さまの視点で、幕府方の苦悩も描けば「“佐賀の大河”としては、“完全形”に近づく…」と考えたりもしています。
〔参照:「誰の“視点”から見るか?」〕
先週末で、大河ドラマ『青天を衝け』の第20回。「何だか、佐賀の匂いがする…」というわけでもありませんが、私は一瞬の登場でも見逃しません。
土曜に再放送を見る方は、注目してほしい、放送開始から19分ほど経過した時点。
――画面上に大写しされる、北九州の地図。
1866年。第2次長州征討の際、小倉(福岡県)付近では善戦していた幕府軍。
しかし、地図上では小倉城が発火する演出。幕府軍は拠点を失う事態となり、敗北が決定的になったとのナレーション。
広がる炎…その横には「小笠原壱岐守様 御陣」と墨書されていました。
――それは、佐賀の話…?
…そう思われた方。実は“小笠原”様というお名前が大事なのです。
当時、幕府軍で小倉口方面の指揮を執っていたのが、唐津藩の小笠原長行(おがさわら ながみち)さまなのです。
そうです。今の佐賀県には佐賀藩だけでなく、唐津藩もありました。そして江戸時代の唐津は、幕府で重職を務める譜代大名が入りました。
〔参照:
――唐津藩の“若殿”(藩主名代)である小笠原長行さま。
この方を調べるうちに、私は釈然としない感情を覚えるのです。
「一言でいえば…不憫(ふびん)過ぎるぞ!唐津の“若殿”」と感じます。
賢くて才能もある方なのに“貧乏クジ”ばかり引かされている…という印象です。
――不憫ポイント①「殿様の長男なのに…」
唐津城で生まれた、小笠原長行さま。幕府に近い立場の唐津藩。長崎の警備を担当する佐賀・福岡両藩(有力な外様大名)の見張り役を受け持ちます。
その“長崎見廻役”の任務は重く、幼い子は唐津藩の殿様になれなかったようです。そんな事情があってか、他藩から養子を迎え続ける唐津藩。
殿様の長男なのに、タイミング的に冷遇されて跡が継げない。何とも不憫です…
――不憫ポイント②「この時期に幕閣…」
“桜田門外の変”で大老・井伊直弼が亡くなった頃から急落する幕府の権威。人材を求める幕府は、賢いと評判の小笠原長行さまを老中の地位に付けます。
唐津藩の世継ぎの身分ながら、幕閣で活躍を始めた小笠原さま。
…1862年。薩摩藩士が行列を横切ったイギリス人を斬る事件が発生。小笠原さまは、この“生麦事件”で事後処理に奔走することになります。
誰も決断をしない中、武力行使に前のめりなイギリスに向き合い、老中としては「賠償金止む無し」と判断。
攘夷派からは目の敵にされますが、この判断は評価する見解も多いようです。ご苦労なさった…
――不憫ポイント③「もはや逃亡者…」
“第2次長州征討”で、幕府側の指揮官の1人だった小笠原長行さま。
1868年。戊辰戦争。薩摩・長州が中心の新政府軍からは“朝敵”と扱われます。幕府への忠誠心も強かった、小笠原さま。江戸を抜け出し、東北へ。
新政府から唐津藩には「小笠原長行の逮捕命令」まで出されます。
東北では、会津(福島)などを回って新政府軍に抗戦。のち蝦夷地(北海道)まで行くのですが、いろいろあって蝦夷地では、戦っていないようです。
――そんな“若殿”を救いたい唐津藩士たち…
唐津藩は明治新政府に、“若殿”とは断絶したと宣言する一方で、すでに新政府でも存在感を発揮する佐賀藩を頼ります。
当時は佐賀藩のご隠居・鍋島直正に“若殿”の助命への協力を願い出ます。
実際「薩長には従いたくないが、佐賀まで新政府に入っては致し方ないか…」と考えた藩は他にもあった様子。
――小笠原長行さま。何とか新時代を生きていくことに。
唐津藩士たちの想い、佐賀藩の援護もあって命には縁がありましたが、“唐津の殿様”だったかも不確かで、“世継ぎ”のままだったという扱いに。(諸説あり)
すごく苦労が感じられる人。もし「幕末佐賀藩の大河ドラマ」が実現したら、物語の要所に登場いただきたい方です。
“唐津の若殿”小笠原さまの視点で、幕府方の苦悩も描けば「“佐賀の大河”としては、“完全形”に近づく…」と考えたりもしています。
〔参照: