2023年03月24日

「猫の鳴きまねと、おんな城主」

こんばんは。
今回の記事は、大河ドラマどうする家康』の直近(第11回・信玄との密約)の感想を書きます。

個人的には、とても面白かった放送回でした。前半は「の鳴きまね」、後半は「おんな城主」に注目しました。

番組内容を記載していますので、土曜再放送大河ドラマを見ている方は、視聴後にご覧いただければと思います。


――タイトルには、“信玄との密約”…という言葉が。

ドラマでは、桶狭間の戦いで今川義元〔演:野村萬斎〕の存在を失い、今川氏の衰勢に歯止めがかからない状況が描かれます。

駿河遠江(静岡)を治めていた今川氏。近隣の戦国大名には、ここが攻め時ということになるのでしょう。

こうして徳川家康〔演:松本潤〕は、“甲斐(山梨)の”の異名を持つ武田信玄〔演:阿部寛〕との密談に臨むことに。


――しかし、談判の場に現れない武田信玄。

信玄が姿を見せないのは、家康とは「格が違う」ため…という理由を推測する、徳川家臣団の重臣たち。

では「ここは重臣たちどうしで…」とばかりに、家康は談判の場に残らず、会場の寺の近くで、側近たちと待つ様子。

「猫の鳴きまねと、おんな城主」

森の中では、お供の榊原康政(小平太)〔演:杉野遥亮〕、本多忠勝(平八郎)〔演:山田裕貴〕と雑談しています。

栗拾いを試みたり、木工細工をしたり、家来の叔父の健康を気遣ったり…と、まさに暇つぶしな感じの時間の使い方。


――そこで、信玄の陰口をたたく、徳川の主従。

「来ると言って来ぬとは、武田信玄、ろくな奴ではない。」(本多平八郎
「案外、肝の小さい奴で…怖じ気づいたのかもしれませんよ。」(榊原小平太

「“甲斐の”などと言っているが、正体はのような…」(本多平八郎
「“甲斐の”か、そりゃいい!」(家康

なぜかネコ呼ばわりされる、武田信玄という奇妙な場面。活字でも楽しさが伝わるでしょうか。これはまだ序の口。ネコ好き各位、ここから、さらにです。


――「ネウ、ネウ。武田信玄だネ~ウ。」(家康)

鳴きまねを始める大将・徳川家康。家来2人も、殿に続けとばかりにネコの真似に興じます。

ニャー、ニャー!」(榊原小平太

そして、リアルに「ニャ~!」(本多平八郎)。「一番うまいのう」と喜ぶ、家康。まるで、徳川主従の“ねこねこ”大合唱。

風の吹く森の中で、ニャーニャーと言っている、とても楽しそうな若者が3人。

「猫の鳴きまねと、おんな城主」

――そこに、ある男が現れます。

これが、当の武田信玄。このドラマの信玄公、ネット上では“古代ローマ人”の風格とも評される出で立ち。

ただ、単にコミカルな登場というわけでもなく、今までの徳川主従の雑談内容を全て、信玄は知っているという状況。

「話の中身を全部、知られている…」とばかりに、引きつった表情を見せる徳川主従。忍びを使った情報戦で知られた武田怖さも、しっかり出ています。


――極めつけは、先ほどの“甲斐の猫”呼ばわりについて

猫は、嫌いではない」と語り、その自由さにあやかりたいと言及して、貫禄のひと笑い。そこで満を持して、正体を明かす“甲斐の”・武田信玄

あとは、圧倒されっぱなしの徳川家康。当時の武田徳川との力の差を見せつけたような、上手い描写だと感じました。

ここで、武田は北から駿河(静岡)を、徳川は西から遠江(静岡)を。それぞれ、今川領を攻めるという密約が交わされます。

「猫の鳴きまねと、おんな城主」

――その後は、武田軍が駿河に向けて出陣する展開に。

時をほぼ同じくして徳川軍も遠江に向けて進軍しますが、戦う相手がまた辛いことに、家康の妻・瀬名〔演:有村架純〕の親友。

現在の浜松にある、引間城のおんな城主に就いた田鶴〔演:関水渚〕です。

但しここ何話かの展開で、お田鶴という女性は、主人公寄りの目線だと、あまり好印象ではない動きをしています。


――たしか、今川家への密告という形で、

徳川方の服部半蔵〔演:山田孝之〕率いる服部党による、瀬名の救出作戦を一度は阻んでいます。

また、徳川と話合おうとした夫・飯尾連龍〔演:渡部豪太〕も、妻・田鶴の密告により、今川氏真〔演:溝端淳平〕に始末されました。

今川方の密偵として影で動き、親友も裏切る“悪女”のようなイメージが、強かったのです。

「猫の鳴きまねと、おんな城主」

――ところが、今回は違った。

序盤から幾度か差し挟まれるのは、華やかな今川氏の街・駿府の賑わいと、そこでの幸せだった日々の回想

遡ること10年前に、お田鶴瀬名の女子2人が、雪遊びで戯れ、団子の買い食いをする、平和な風景の描写。

これが、お田鶴という女性が本当に守りたかったもの…。

城主となった後の、田鶴の凜とした振る舞いといい、を身を包んで出撃する場面といい、こういう視点で見せられると感涙ものでした。


――そして、ほぼ同時進行で、

武田軍があっという間に、今川氏の栄華が詰まった街・駿府を攻め落とす展開がとても切ない。

この放送回は、2017年(平成29年)大河ドラマ「おんな城主 直虎」と重ねてみていた人も多いかもしれません。

好きだった椿の花のように咲いて散った、おんな城主田鶴の描き方、とても印象深かったです。

冒頭には家康が「徳川」を名乗った経過もあって、密度の濃い45分でした。

個人的には『どうする家康』が目指す物語の方向性が見えたような気がして、今後に期待が持てる、良い放送回だったと思います。





タグ :大河ドラマ

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Posted by SR at 23:33 | Comments(0) | 「大河ドラマ」関連
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