2023年12月18日
「どうする?の感想」
こんばんは。
日曜に最終回を迎えた、2023年大河ドラマ『どうする家康』。
この1年間、たしか1回も落とさず、視聴できたと思います。他に準備中の記事もあるのですが、いま感想を書きたい気分ですので、先に投稿しました。
いち大河ドラマファンの個人的な意見として、お読みいただければ幸いです。※ドラマから受けた印象で作成しましたので、記述は正確でない可能性があります。
――何だか、すごかった最終回。
今年の大河ドラマ『どうする家康』。インターネット上では、あちこちに記事やコメントが。賛否両論あるようですが、私は、意欲的な作品だったと捉えました。
有名どころの歴史上の人物に、人気者のキャストを充てたので、冒険ができたところもあるのかもしれません。

「はじめて大河ドラマを1年通して見た」という声も見かければ、「現代人の感覚に寄りすぎている」という意見もあるようです。
私としては、色々な見方ができることも含めて「大河ドラマは面白い」と感じていて、今回は「わかりやすい」物語だったと評価します。
そのためか、“大河ドラマ初心者”受けも良かったのかもしれません。以下で、私が本作品の特徴だと思った内容を、最終回を題材に書いてみます。
――まず、「①対比が、わかりやすい。」
最終回、栄華を誇った豊臣家は、大坂夏の陣での敗北が決定的となり、天下の名城だった大坂城は炎に包まれます。
ここでの茶々〔演:北川景子〕が、とにかく怖い。怪演と言っても良さそうです。
最愛の息子・豊臣秀頼〔演:作間龍斗〕は、壮絶な覚悟で自害するとともに、母である茶々(淀殿)には生きてほしい…と言い残します。

この秀頼公、今までになく勇ましくて、徳川家康〔演:松本潤〕としては絶対に消しておくべき人物、という説得力がありました。
火の勢いも強まり、豊臣方の人物が次々と自害する中で、独り立つのは茶々。
――ここで、茶々は“呪いのような言葉”を発します。
戦乱がなくなり、「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国になる」と。この言葉が「令和の日本を感じさせる…」と、堪(こた)えた視聴者も多数のようです。
誰に向けるでもない最期の演説。茶々は壮絶な生涯を自らの手で終えます。
もちろん、主人公・家康はその場には居らず、遠く炎上する大坂城を合掌しながら見つめていました。
――平和な江戸時代が訪れ…
茶々の残響に、まだ視聴者が引きずられる頃、家康にも死期が迫ります。
いわゆる“お迎え現象”が起きたのか、若いままの正室・瀬名〔演:有村架純〕と長男・信康〔演:細田佳央太〕が姿を見せます。
この家康の妻子は、当時の織田・徳川連合と敵対する、武田氏とつながる事を模索したのが露見し、命を落としています。

作中では「皆が争わずに済む、平和への道」を求めていた瀬名。もう余命幾ばくもない、老いた家康を褒め称えました。
「孫の家光が鎧を着て、戦に出なくても良い世の中を作ったのは、すごい事だ」と“救いのある言葉”を与えます。
――まるで「光の瀬名と、闇の茶々」。
史実は諸説あるのですから、異論は出るでしょうし、夢うつつの設定であれば、あらゆる展開が可能です。
本作での瀬名の思考は、「現代的すぎる」との批判もあると思います。
それでも、徳川政権が戦乱の時代を終わらせたことは否めないので、「物語の作り方としては上手い」と感じるところでした。

――次に、「②繰り返しが、わかりやすい。」
結果、炎の中で命を落とした、豊臣秀頼と母の茶々でしたが、秀頼の妻・千姫〔演:原菜乃華〕が必死で助命を訴えるのも印象的でした。
徳川家康の孫である、千姫。
最初は、豊臣家の中で“よそ者”で、立つ瀬もないような印象で出ていたのですが、次第に夫・秀頼だけでなく、義母・茶々との絆も深まり…
大坂の陣の終盤では、気構えまで“豊臣の妻”になっています。
最後まであきらめず、徳川家の姫である自分の力で、夫と義母を救おうと、祖父の家康に必死に食い下がる千姫。これも涙を誘う、迫真の演技でした。
――どこかで見た感じの設定…と思ったのですが、
先ほど①でも書いた、家康の長男・信康に幼少期から嫁入りし、喧嘩をしながら、ともに育ってきた妻・五徳姫〔演:久保史緒里〕を連想しました。
千姫が徳川の姫であるように、かつて織田家を背負って嫁いだ五徳が存在を描かれていました。
最初は気位の高い、“よそ者”だったものの、最後は夫・信康と義母・瀬名をどうにか助けたい!という、心の動きが強く見えたのを思い出します。
この大河ドラマ、諸説あるのは知りつつも作品の軸はブレさせない…、物語としての構成は硬めの、大河ドラマという印象です。

――本作で、繰り返し出ると言えば“海老すくい”。
最初こそ、楽しく明るく、結束の強い、三河武士団を示すような郷土の踊り。
そんな演出だったと思いますが、やがて踊る場面と、誰が踊るかで、喜びも悲しみも表現できる。
過ぎ去りし時間、失ったものの大きさまで表せる“万能のダンス”に成長していった…ように見えました。
――最後に、「③回想が、わかりやすい。」
壮絶な大坂の陣の終幕、その後に病に倒れた家康は、生きながらに“神”扱いとなっていきます。
最後のエピソードは、徳川家康の長男・信康と、織田家の姫・五徳とのまだ幼い夫婦の、祝言(婚礼)に関わる回想でした。
作中では時間をさかのぼる回想で、話の説明をつける手法も多用されたと思います。登場人物は多数、脇役の心情までを見せるための演出なのでしょう。

――おそらくは、徳川家康と家臣たちが、最も幸せだった時期。
年代的に主な登場人物たちは皆若く、先達の年配者もまだ生きています。
若き家康と、妻の瀬名が仲良く並んで語らう。そして、家臣団の集う城から向こうを見遣ると…
暁の空に浮かぶ景色は、現代へとつながった江戸の街。高層ビルの立ち並ぶ東京の遠景のようです。
実は、私はラストシーンに東京が映るとは気づかず、「東京タワーがある!」とか、インターネット上の情報で知って見返しました。

――ひと言で、語ると…
「今年も、面白かった!」なのですが、当ブログのテーマもありますので…
「ところで、幕末の佐賀藩が大河ドラマになるのは、いつだろう…」という言葉も申し添えておきたいと思います。
〇これまでの『どうする家康』の感想記事など
〔初回〕「今年は、どうする…」
〔序盤〕「猫の鳴きまねと、おんな城主」
〔終盤〕「年末まで、どうする。」
日曜に最終回を迎えた、2023年大河ドラマ『どうする家康』。
この1年間、たしか1回も落とさず、視聴できたと思います。他に準備中の記事もあるのですが、いま感想を書きたい気分ですので、先に投稿しました。
いち大河ドラマファンの個人的な意見として、お読みいただければ幸いです。※ドラマから受けた印象で作成しましたので、記述は正確でない可能性があります。
――何だか、すごかった最終回。
今年の大河ドラマ『どうする家康』。インターネット上では、あちこちに記事やコメントが。賛否両論あるようですが、私は、意欲的な作品だったと捉えました。
有名どころの歴史上の人物に、人気者のキャストを充てたので、冒険ができたところもあるのかもしれません。
「はじめて大河ドラマを1年通して見た」という声も見かければ、「現代人の感覚に寄りすぎている」という意見もあるようです。
私としては、色々な見方ができることも含めて「大河ドラマは面白い」と感じていて、今回は「わかりやすい」物語だったと評価します。
そのためか、“大河ドラマ初心者”受けも良かったのかもしれません。以下で、私が本作品の特徴だと思った内容を、最終回を題材に書いてみます。
――まず、「①対比が、わかりやすい。」
最終回、栄華を誇った豊臣家は、大坂夏の陣での敗北が決定的となり、天下の名城だった大坂城は炎に包まれます。
ここでの茶々〔演:北川景子〕が、とにかく怖い。怪演と言っても良さそうです。
最愛の息子・豊臣秀頼〔演:作間龍斗〕は、壮絶な覚悟で自害するとともに、母である茶々(淀殿)には生きてほしい…と言い残します。
この秀頼公、今までになく勇ましくて、徳川家康〔演:松本潤〕としては絶対に消しておくべき人物、という説得力がありました。
火の勢いも強まり、豊臣方の人物が次々と自害する中で、独り立つのは茶々。
――ここで、茶々は“呪いのような言葉”を発します。
戦乱がなくなり、「やさしくて、卑屈な、かよわき者の国になる」と。この言葉が「令和の日本を感じさせる…」と、堪(こた)えた視聴者も多数のようです。
誰に向けるでもない最期の演説。茶々は壮絶な生涯を自らの手で終えます。
もちろん、主人公・家康はその場には居らず、遠く炎上する大坂城を合掌しながら見つめていました。
――平和な江戸時代が訪れ…
茶々の残響に、まだ視聴者が引きずられる頃、家康にも死期が迫ります。
いわゆる“お迎え現象”が起きたのか、若いままの正室・瀬名〔演:有村架純〕と長男・信康〔演:細田佳央太〕が姿を見せます。
この家康の妻子は、当時の織田・徳川連合と敵対する、武田氏とつながる事を模索したのが露見し、命を落としています。
作中では「皆が争わずに済む、平和への道」を求めていた瀬名。もう余命幾ばくもない、老いた家康を褒め称えました。
「孫の家光が鎧を着て、戦に出なくても良い世の中を作ったのは、すごい事だ」と“救いのある言葉”を与えます。
――まるで「光の瀬名と、闇の茶々」。
史実は諸説あるのですから、異論は出るでしょうし、夢うつつの設定であれば、あらゆる展開が可能です。
本作での瀬名の思考は、「現代的すぎる」との批判もあると思います。
それでも、徳川政権が戦乱の時代を終わらせたことは否めないので、「物語の作り方としては上手い」と感じるところでした。
――次に、「②繰り返しが、わかりやすい。」
結果、炎の中で命を落とした、豊臣秀頼と母の茶々でしたが、秀頼の妻・千姫〔演:原菜乃華〕が必死で助命を訴えるのも印象的でした。
徳川家康の孫である、千姫。
最初は、豊臣家の中で“よそ者”で、立つ瀬もないような印象で出ていたのですが、次第に夫・秀頼だけでなく、義母・茶々との絆も深まり…
大坂の陣の終盤では、気構えまで“豊臣の妻”になっています。
最後まであきらめず、徳川家の姫である自分の力で、夫と義母を救おうと、祖父の家康に必死に食い下がる千姫。これも涙を誘う、迫真の演技でした。
――どこかで見た感じの設定…と思ったのですが、
先ほど①でも書いた、家康の長男・信康に幼少期から嫁入りし、喧嘩をしながら、ともに育ってきた妻・五徳姫〔演:久保史緒里〕を連想しました。
千姫が徳川の姫であるように、かつて織田家を背負って嫁いだ五徳が存在を描かれていました。
最初は気位の高い、“よそ者”だったものの、最後は夫・信康と義母・瀬名をどうにか助けたい!という、心の動きが強く見えたのを思い出します。
この大河ドラマ、諸説あるのは知りつつも作品の軸はブレさせない…、物語としての構成は硬めの、大河ドラマという印象です。
――本作で、繰り返し出ると言えば“海老すくい”。
最初こそ、楽しく明るく、結束の強い、三河武士団を示すような郷土の踊り。
そんな演出だったと思いますが、やがて踊る場面と、誰が踊るかで、喜びも悲しみも表現できる。
過ぎ去りし時間、失ったものの大きさまで表せる“万能のダンス”に成長していった…ように見えました。
――最後に、「③回想が、わかりやすい。」
壮絶な大坂の陣の終幕、その後に病に倒れた家康は、生きながらに“神”扱いとなっていきます。
最後のエピソードは、徳川家康の長男・信康と、織田家の姫・五徳とのまだ幼い夫婦の、祝言(婚礼)に関わる回想でした。
作中では時間をさかのぼる回想で、話の説明をつける手法も多用されたと思います。登場人物は多数、脇役の心情までを見せるための演出なのでしょう。

――おそらくは、徳川家康と家臣たちが、最も幸せだった時期。
年代的に主な登場人物たちは皆若く、先達の年配者もまだ生きています。
若き家康と、妻の瀬名が仲良く並んで語らう。そして、家臣団の集う城から向こうを見遣ると…
暁の空に浮かぶ景色は、現代へとつながった江戸の街。高層ビルの立ち並ぶ東京の遠景のようです。
実は、私はラストシーンに東京が映るとは気づかず、「東京タワーがある!」とか、インターネット上の情報で知って見返しました。

――ひと言で、語ると…
「今年も、面白かった!」なのですが、当ブログのテーマもありますので…
「ところで、幕末の佐賀藩が大河ドラマになるのは、いつだろう…」という言葉も申し添えておきたいと思います。
〇これまでの『どうする家康』の感想記事など
〔初回〕
〔序盤〕
〔終盤〕
Posted by SR at 22:43 | Comments(0) | 「大河ドラマ」関連
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