2020年01月17日

第1話「長崎警護」②

こんばんは。

昨日の続き、第1話放送開始から10分経過のイメージ。
第二幕です。

②佐賀城下。上役と若侍

――同じ日の夕刻。佐賀城下。


2人の侍が碁盤を挟んで、向き合う。
年配の上級武士と、若侍である。

長崎オランダ船も今年は終わりですね。ごゆっくりなさっていたところですか。」
「儂も野暮用は多いのだ。暇ではないぞ。」

…なぜ、暇でもないのに囲碁の相手に呼び寄せたのだ。若侍は不思議に思った。

「やはり長崎には戻らないのですか。公儀(幕府)の目が気になります。」
「気にはなるぞ。は置いておきたいが、家中の事情も厳しいのだ。」

「しかし、このまま安穏と日々を過ごしておるのも、いかがなものかと。」
「儂も忙しいのだ。実はな、お主の縁談の相手も探しておる。」

「まことですか!」
「良い娘を探しておくから、期待して待っておれ!」

「ありがとうございます!良い上役を持って、私めは果報者です!」
「…調子のよい奴め。お役目の果たし方は一様ではない。来るべき日に向けて、得意の蘭学でも磨いておけ。」

日本の表玄関である長崎で、警備の任務を行うための財政負担は重い。
隣の福岡藩(黒田家)と1年交代ではあるものの、規定どおりに警備兵を配置すれば、千人もの駐留経費がかかる。

当時、佐賀藩ではオランダ船の入港時期が終わると、長崎を警備する人数を大幅に減らしていた。
わずかな留守番を残して、大半の者を佐賀に帰すのが藩の方針だった。

…良く言えば、経費の節減を図っていた。

…悪く言えば、太平の世に浸っていたのである。

(続く)  


Posted by SR at 21:40 | Comments(0) | 第1話「長崎警護」