2020年11月07日
連続ブログ小説「旅立の剣」(4)早津江の嵐
こんばんは。
わずか2日間。30時間にも満たない短い滞在。
佐賀での調査活動の様子を綴る“連続ブログ小説”です。
昨秋10月の、ある金曜日。時刻は11:40を過ぎた。
私は、早津江行きのバスから下車した。
――ポッ、ポッと降っていた雨。
雨の勢いが増した頃、バス停に降りた私。
バス停の名は「“佐野常民”記念館」の最寄りを示すが、施設は見当たらない。
田園風景の中、徒歩での移動を開始したとき、雨足が強まる。
雨だけならまだしも、風の吹く音も響いてきた。

――まず、退避できる場所を探さねば…
疾風の勢いに乗り、横殴りとなった雨。どしゃ降りの域に達する。
傘を盾として雨を受けるが、かなりの風圧を感じる。
幕末と言えば“蒸気船”だが、当時は、帆走での航海が併用された。
海軍力に長じた佐賀藩。先人たちも風を読む力を学んだのだろう。
――後ろからの追い風。傘を強く叩く雨。
まるで“嵐の幕末”だが、このまま濡れ続けるのも不本意だ。
私は退避できる場所を見つけ、身を隠した。
「秋雨も良いが、これは度が過ぎているな…」と一息をつく。
降りしきる雨の向こう側。“佐野常民”記念館の建物は、眼前に現れていた。
(続く)
〔関連記事(後半):第12話「海軍伝習」⑩-1(負けんばい!・前編)〕
わずか2日間。30時間にも満たない短い滞在。
佐賀での調査活動の様子を綴る“連続ブログ小説”です。
昨秋10月の、ある金曜日。時刻は11:40を過ぎた。
私は、早津江行きのバスから下車した。
――ポッ、ポッと降っていた雨。
雨の勢いが増した頃、バス停に降りた私。
バス停の名は「“佐野常民”記念館」の最寄りを示すが、施設は見当たらない。
田園風景の中、徒歩での移動を開始したとき、雨足が強まる。
雨だけならまだしも、風の吹く音も響いてきた。
――まず、退避できる場所を探さねば…
疾風の勢いに乗り、横殴りとなった雨。どしゃ降りの域に達する。
傘を盾として雨を受けるが、かなりの風圧を感じる。
幕末と言えば“蒸気船”だが、当時は、帆走での航海が併用された。
海軍力に長じた佐賀藩。先人たちも風を読む力を学んだのだろう。
――後ろからの追い風。傘を強く叩く雨。
まるで“嵐の幕末”だが、このまま濡れ続けるのも不本意だ。
私は退避できる場所を見つけ、身を隠した。
「秋雨も良いが、これは度が過ぎているな…」と一息をつく。
降りしきる雨の向こう側。“佐野常民”記念館の建物は、眼前に現れていた。
(続く)
〔関連記事(後半):