2020年12月02日

連続ブログ小説「旅立の剣」(16)佐賀玉屋での思索

こんばんは。
今年新語・流行語大賞(現代用語の基礎知識 選)は「3密」だとか。

年の瀬も近づき「昨年は…ずっと自由だったなぁ。新型コロナも無かったし…」と思う方もいるかもしれません。

最近、“連続ブログ小説”と称して、昨秋の話を投稿しています。わずか30時間(実動15時間)の佐賀滞在でしたが、1年前実行しておいて良かったです。


――ひとまず目的地の見聞は達した。

昼間には佐野常民記念館夕方大隈重信記念館の見学を完了した。これで佐賀七賢人のうち、2名記念館を回った。

「この勢いで、あと5名記念館も回るぞ!!」
…と言いたいが、佐賀七賢人で公式な“記念館”があるのは、2名だけらしい。

早朝から移動を始め、佐賀に入って11時からの6時間、ほぼ全力疾走だった。


――暮色迫る、佐賀の街。

「ありがとうございました。」
大隈記念館の受付に一声をかけて、退出する。

降り続ける雨。辺りも暗くなる取材すべき施設は、もう閉館時刻だ。

「そうだ…、まだ商業施設ならば開いている…」
に濡れて、街灯に光る路面を踏みしめる。


――県庁通りへと歩を進めた。時刻は、17時。

私は、佐賀玉屋にいた。ほぼ無意識百貨店まで来ていたのである。

「まだ…、今日のうちに出来る事があるはず…」
そんな思索をする私を、エスカレーターは淡々と上階へと運ぶ

このエスカレーターもまた「お客を上下に運ぶ使命を果たす者であるようだ。



――考え事をしたまま、南館6階の“巨大室内遊園地”フロアに着いた。

「おおっ!デパート遊園地と言えば、屋上が普通ではないのか!」
その景色が、私を考え事から解き放った。

「そうだ!この近く商業ビルの中に…」
私は、まだ寄るべき場所がある事に思い至った。

遠き故郷・佐賀帰藩して、“果たすべき使命”は何か。私は、「幕末佐賀藩大河ドラマ」実現の一助となるべく、走り始めたのではなかったか。


――そういう“志”もあるが、せっかく佐賀玉屋に来たのだ。

「このまま、立ち去るのも勿体(もったいない。」

私はくるりと回って、下りエスカレーターへと乗り換えた。地下1階食料品売り場を目指す。佐賀の“地下街”「玉ちか」に立ち寄るのだ。


(続く)