2021年04月12日

連続ブログ小説「旅立の剣」(29)佐賀城公園へ

こんばんは。
一昨年の秋。わずか30時間佐賀での活動を綴る「旅立の剣」も最終章

昨年末に初日の行程を第1・2シリーズに書き終え、2日目第3シリーズまとめるつもりが「長崎街道」までが長くなり過ぎて、一旦、区切りました。
〔参照〕
「霜月・十一月」(歳末反省会⑭)
連続ブログ小説「旅立の剣」(19)2日目の朝

振り返れば、もっと書けそうなくらい充実した時間でした。これから、新型コロナを知らなかった頃の「秋の佐賀城公園イベント」の記憶です。



――朝8:58。長崎街道・柳町から大通りに戻る。

道路に向かって正面。佐賀玉屋は、開店前だった。じわじわと“朝食抜き”が、堪(こたえてきている私。

帰りの都合で14:30を目途に、佐賀駅前に戻らねばならない。そのため、私が佐賀で活動できるのは、残り6時間に満たない。


――「誰だ?こんなスケジュールを組んだのは!」

言うまでもなく、私だ。そして、この状況でも残り時間は惜しい。

やや足取りが重くなってきたが、大通り佐賀城に向かう。左手のバルーンミュージアムも、まだ開館前だ。



――佐賀城から見て北の守り。

長くて大きい橋を行く。吹き抜ける風の中、おそらくは鉄砲の戦に備えた広い堀を渡る。堀の向こう側の右手には、佐賀県庁を望む。

佐賀藩士の“聖地“である城内に入った。一時、空腹を忘れて感慨に浸る。



――公園全体が“お祭り”の前。準備の活気がある。

北堀近くは「秋の佐賀城公園イベント」の1つ“タイフェス”の会場のようだ。

タイ王国の大ヒットドラマロケ地となった、佐賀タイからの観光客に人気が出たと聞く。とくに鹿島市の祐徳稲荷神社への熱い注目は、私も知っている。

趣味か、仕事か、タイへのなのか…遠目なので、どんな様子の人たちが集うかまでは分からない。ただ、各々に“物語”がある週末なのだろう。

会場全体に、祭りの前高揚感のような雰囲気が漂い始めていた。


(続く)


  
タグ :佐賀


2021年04月10日

「再起の剣」

こんばんは。
前回「佐賀遠かごた~っ!」と叫んだついでに、あるアニメを見て感じた事。

何度でも立ち上がれ!
…と、言葉にするのは簡単ですが、実践するのは容易ではありません。


――新しい環境で、先の見えない日々を行く…

気力が失せそうな時も、佐賀とのつながりが私を支える。
いつの日帰藩を果たして、さらに調査を進めねば…」
〔参照:「佐賀の遠かごた…」

いまは刃を研ぐべき時。いざ、佐賀活動できるようになっても、鈍(なまくら)刀では役には立つまい。


――日々の仕事もまた、私にできる鍛錬。

いまは自分自身にそう説いている。しかし、私ごときが如何に頑張ろうとも、その能力は、佐賀先達(賢人たち)には、遥かに遠く及ばない。
〔参照:「帰らんば、あの世界へ。」

…それはわかっている。だが「佐賀藩士(?)だからこそ困難に立ち向かえる」と感じることも多いのだ。


――この4月から、あるアニメが放送開始された。

様々な方面で佐賀情報を収集する私。“第1シリーズ”の再放送を気にしつつも、見ていなかった番組があった。

いかに佐賀が題材でも「アイドル系アニメまでは厳しい…」と判断したからだ。

ご存じの方が多いだろう。アニメゾンビランドサガ」。大筋で言えば、ゾンビ女の子たちが“ご当地アイドル”として佐賀を救うため奮闘する話…だろうか。



――今度は「ゾンビランドサガ リベンジ」という。第2シリーズらしい。

タイトルに付された「リベンジ」という言葉。英語では、復讐逆襲の意味合いが強い。日本では“再挑戦”という感覚で、前向きに使われることが多い。

イベント失敗により莫大な借金を背負った主人公たち。グループメンバーは、佐賀県の各地でアルバイトをしながら再起を図る様子だ。

ゾンビだけに、メンバーたちはすでに亡くなった履歴がある。顔色も極めて悪い。
…少し調べると、各キャラクター生きた年代と、享年まで設定されている。


――私とて「佐賀の大河ドラマ」を追っている。“普通の見方”はできない。

オープニングから伊万里湾を背にしたバイト先での、朝礼の場面が展開。拠点と思しき唐津の洋館佐賀市の広場鳥栖スタジアムでのライブの回想。

プロデューサーらしき男性と、バーのマスターとの会話では「玄海エネルギーパーク」が元ネタと思われるセリフまで。他地域の人には分かるのだろうか…

終盤で、失敗に覇気を失ったプロデューサーが再起する。佐賀市内を巡る水路を駆け、白山名店街に連なる“バルーン通り”をメンバーたちの舞台へと走る。



――これは、“第1シリーズ”から見ておくべきだったか…

物語の描写には賛否両論あろうが、予想以上に“佐賀推し”は激しい。メンバーたちも“佐賀ことば”全開で、快挙と感じた。

もはや、この物語佐賀以外では成立しなかったと思われる。2018年明治維新150年佐賀が盛り上がる頃、第1シリーズは放送されたようだ。

ちなみに、私は同年開催の「肥前さが幕末・維新博覧会」に行けなかった。佐賀が湧いたこの1年を逃したことには、未だに悔いが残っている。


――アニメ自体はコメディ調。その中にも“重いテーマ”を見る。

を果たせず、若くして亡くなる…」
現実では覆すことができない“壮大な後悔”を、この物語はどう救済するか。

私には「新感覚ゾンビアイドル系アニメ」の“正しい見方”はわからない。しかし、「佐賀県を救う」という心意気には、遅まきながら感銘を受けたのである。


――以上です。サガテレビでは、金曜深夜24:55~放送の様子。

第1シリーズから視聴されている方には、周回遅れの感がある話題だと思いますが、ここまで気になってしまった以上、最終回まで見届けるつもりです。

佐賀の魅力に気付くのも、佐賀の価値を語るにも遅すぎることは無い」というのが私の持論全国向けの放送で、佐賀の風景をどう見せるかも楽しみです。

※画像参照元
連続ブログ小説「旅立の剣」(26)変化の兆し
連続ブログ小説「旅立の剣」(28)水路の迷宮

  
タグ :佐賀


2021年04月08日

「佐賀の遠かごた…」

こんばんは。
4月から新しい環境で、苦闘をしているところです。かなり忙しく、今までのようには更新が進みません。

いまや閉塞感のある、ある大都市圏からのつぶやきをお聞きください。


――今日のお昼休み。

ひとまず、空腹をしのごうとゼリー飲料を口にします。
銘柄は「カロリーメイト」のものでした。

たぶん、人により好き嫌いは分かれるところでしょう。
私は「意外と美味しいな…」と思いました。

ふと裏面を見ると、
製造所:佐賀県吉野ヶ里町…



――なんと、“さがんもん”だったか!?

乾ききった私の心に、佐賀平野の風が吹き抜けた…
そんな清々しさを感じました。

「たとえ、この身は佐賀に帰れずとも、想いはつながり続けている…」と、感傷に浸っていた私。

突如、知り合いに声をかけられて、びっくりすることになります。私事ですが、旧知の方とよく会う日でした。


――仕事が忙しいだけではなく…

いまや新型コロナ禍には“変異株”という問題も加わっています。気を緩めた者たちの隙をとことん狙ってくる、実に厄介なウイルス。

佐賀には…いつ帰れるか分からんが、とにかく頑張ろう。」

今のところ「一昨年の旅の記録」と「大河ドラマの感想」ぐらいしか書けませんが、決意を新たにするのでした。

これが本日の結論。そして、最後に一言叫びます。
佐賀の遠かごた~っ!」



  


Posted by SR at 22:23 | Comments(0) | 企画案・雑記帳

2021年04月06日

「茶歌(ちゃか)ポン。」

こんばんは。
2回続けて大河ドラマ『青天を衝け』の感想です。

冒頭は渋沢栄一恋物語で展開しましたが、今回の注目は大老・井伊直弼

楽し気に自分が見た“青天”の景色を語る、栄一
キラキラした栄一を、優し気に見つめる、千代


――盛り上がる若い2人の眼前。なぜか、タヌキ(?)も現れる。

「これは、何の前振りなんだ…!?」
テレビの前で、私は困惑します。

オープニングの後、「タヌキ親父」とも揶揄(やゆ)された、徳川家康が登場。
そこで、彦根藩主・井伊直弼の渾名(あだな)が披露されます。


――井伊直弼は「茶歌(ちゃか)ポン」と呼ばれた…と。

の湯、和歌に通じた文化人井伊直弼幕府官僚からは、甘く見られます。

しかし、幕府官僚たちの思惑は外れ、井伊は大老への就任後、卓越した決断力を発揮します。の修行を積み、居合の達人でもあったのですね。



――“青天”で井伊直弼を、演じるのは岸谷五朗さん

私が見てみたいのは、佐賀藩主鍋島直正意気投合する“強い”井伊直弼

しかし、紹介から「茶歌(ちゃか)ポン」と愛らしい呼び名。まずは、第13代将軍徳川家定の屈折した想いから、重責を担うことになる展開で描かれました。

将軍の手ずから和菓子をいただき、その食べっぷり大老に任命された感じ。


――さて、岸谷版・井伊直弼の魅力を語ります。

周囲からの評価は低く、やや小心者という設定を強調して進みます。

通商条約調印…まさか勅許なしで調印するとは思わなかった!と驚きながらも、幕政の実務トップとして周囲からのお叱りは受け止める。

将軍継嗣問題…ひたすら「畏(おそ)れ入って」から、一橋慶喜(演:草彅剛)の様子を伺う。

慶喜が「私も次期将軍を一緒に支えよう!」と言われ、ホッと胸をなでおろす。あとで「良かった~」と、畳に寝ころぶ井伊直弼


――「なんだ!?この妙に愛くるしい井伊大老は…」

青天”の井伊は、将軍徳川家定の想いを大事にする「愚直な忠義者」という要素が強いようです。

虚弱だったがゆえに、幕臣から相手にされない将軍の悲しみ。マジメな岸谷版・井伊直弼は、全てを受け止めます。

井伊は、世を去った将軍・家定の遺志を忠実に守り、次々と大名官僚処罰。穏やかだった「茶歌ポン」とは違う姿になっていきました。


――何だか「悲しい匂いがする…」と言いたくなります。

とくに尊王攘夷派を敵に回し、もはや「赤鬼」と忌み嫌われる「茶歌ポン」。

いつになく、“良い人”設定の井伊直弼岸谷五朗さんの演技も期待以上です。来週辛い展開になりそうですが、見届けたいと思います。

  
タグ :大河ドラマ


Posted by SR at 21:45 | Comments(0) | 「大河ドラマ」関連

2021年04月04日

「“青天”のヒロイン」

こんばんは。

久しぶりの「青天を衝け」の感想ですが、今回はドラマ要素に注目しました。あまり語って来なかった、主人公・渋沢栄一(演:吉沢亮)周辺の話から。

写真は掲載しませんので、大河ドラマの余韻とともに、ご覧ください…


――冒頭で、栄一と尾高千代(演:橋本愛)との物語が展開します。

演じる女優さんに関連して、2013年朝ドラあまちゃん』に話を引っ張ります。

岩手・三陸海岸で魅力を開花させ、東京に戻った主人公・アキ(演:能年玲奈)に対して、不運が重なり地元に残ったユイ(演:橋本愛)。

地元を早く出て、憧れの都会で才能を発揮したい…主人公の親友であり、内心ではライバルでもある、屈折した感情役回り


――2人の関係性は、まるで「太陽と月」。

物語の展開に沿ってクール…というより鋭い存在感を示し始めた、ユイちゃん。

東京に出たかった少女は、現地で大災害に直面。地元の人とともに乗り越えていく立場になっていきます。

準主役として強い印象を残した橋本愛さん。近年は大河ドラマでよく見かけます。2018年『西郷どん』、2019年『いだてん』と立て続けに出演していました。


――ついに『青天を衝け』では、大河ドラマのヒロインに。

栄一吉沢亮)と渋沢喜作(演:高良健吾)の2人が、千代橋本愛)をめぐって、剣術の試合で勝負します。

激しい竹刀での打ち合い。幼少期から密かにアイドルだった女子の面前。もう、その想いは隠すことなく、火花を散らすイケメン2人。


――そして、ここで“真の勝者”が現れます。

周囲も盛り上がる、熱戦の最中。渋沢喜作高良健吾)の方と縁談が進んでいた“よし”(演:成海璃子)が登場。

よし(成海璃子)が、突然に喜作応援を始めたことで、場の空気が一変。
千代(橋本愛)も、内心を吐露して栄一(吉沢亮)に声援を送ります。


――これで“勝負あり”。

剣術の試合とは、まったく違う次元で決着は付きました。

こうして栄一千代吉沢亮橋本愛)。喜作よし高良健吾成海璃子)。目にも優しい、美男美女のカップルが2組誕生しました。


――めでたし、めでたし…

…しかし、今回は書くうちに予定外の内容になりました。

もともとは、井伊直弼(演:岸谷五朗)の描き方について語るつもりが、前置きで話がまとまってしまったので、また改めたいと思います。

  
タグ :大河ドラマ


Posted by SR at 22:24 | Comments(0) | 「大河ドラマ」関連

2021年04月03日

連続ブログ小説「旅立の剣」(28)水路の迷宮

こんばんは。

青春が終わってから書くのが、青春小説
…どこかで聞いたことがあり、ふと思い出した言葉です。

このシリーズは1年半を経て、を振り返っています。そのため、現在知っている情報から逃れることはできません。

水路(クリーク)が巡る佐賀の街を顧みて、いま想うこと。ある戦国武将を介し、佐賀市内からみやき町へ。1人の武道家の面影を偲びます。


――少し時を遡る。朝8:10。

白山名店街の入口付近で、360度を見回した時。



――続いて、朝8:20。

佐賀の情報発信に想いを馳せ、長崎街道を行く時。赤レンガの道が続く。



――そして、朝8:40。

長崎街道沿い。風情ある柳町に出て、大通りに戻ろうとする時。



お気づきであろうか。
私はいつしか、水路囲まれているようだ。


――かつて、佐賀に“水の神様”と称(たた)えられた武将が居た。

戦国時代に武勇治水技術で知られた、鍋島家の重臣。佐賀水路を語ると“成富兵庫茂安”(なりとみ ひょうご しげやす)という人物に行き当たる。

みやき町白石神社ご祭神の1人となっている武将である。
〔参照(前半):「主にみやき町民の方を対象にしたつぶやき」

治水の神”が築いた堤防千栗(ちりく)土居長さ12キロに及んだという。


――その名は、当地で“北茂安町”という町名にも残った…

ここからは、私が最近知った話。本筋とは関係無いが、あえて語る。
年代としては、現在から50年ほど遡る。

北茂安町(現・みやき町)に生まれたある少年。先ほどの“水の神様”が造った堤防の近く、千栗(ちりく)八幡宮石段を昇り、足腰を鍛えたという。


――“柔道”の才能を見込まれ、少年は東京へと移る。

修業を積み、立派な柔道家となった少年は、やがて世界大舞台に立つ。

海外強豪を相手に、華麗な一本背負いを次々と決める。
強かった、そしてカッコ良かった


――その当時、私はハッキリ認識していなかった。

古賀稔彦さんは佐賀の人だったのだ。今はその事に、妙に納得している。

私は幕末明治期に限らず、佐賀の偉人には広く興味を持ちたいと思っている。しかし、この方はまだ“伝説”となるには、早すぎる人物だった。

…それが、悔やまれてならない。


(続く)

  
タグ :佐賀