2021年04月12日
連続ブログ小説「旅立の剣」(29)佐賀城公園へ
こんばんは。
一昨年の秋。わずか30時間の佐賀での活動を綴る「旅立の剣」も最終章。
昨年末に初日の行程を第1・2シリーズに書き終え、2日目は第3シリーズでまとめるつもりが「朝の長崎街道」までが長くなり過ぎて、一旦、区切りました。
〔参照〕
・「霜月・十一月」(歳末反省会⑭)
・連続ブログ小説「旅立の剣」(19)2日目の朝
振り返れば、もっと書けそうなくらい充実した時間でした。これから、新型コロナを知らなかった頃の「秋の佐賀城公園イベント」の記憶です。

――朝8:58。長崎街道・柳町から大通りに戻る。
道路に向かって正面。佐賀玉屋は、開店前だった。じわじわと“朝食抜き”が、堪(こた)えてきている私。
帰りの都合で14:30を目途に、佐賀駅前に戻らねばならない。そのため、私が佐賀で活動できるのは、残り6時間に満たない。
――「誰だ?こんなスケジュールを組んだのは!」
言うまでもなく、私だ。そして、この状況でも残り時間は惜しい。
やや足取りが重くなってきたが、大通りを佐賀城に向かう。左手のバルーンミュージアムも、まだ開館前だ。

――佐賀城から見て北の守り。
長くて大きい橋を行く。吹き抜ける風の中、おそらくは鉄砲の戦に備えた広い堀を渡る。堀の向こう側の右手には、佐賀県庁を望む。
佐賀藩士の“聖地“である城内に入った。一時、空腹を忘れて感慨に浸る。

――公園全体が“お祭り”の前。準備の活気がある。
北堀近くは「秋の佐賀城公園イベント」の1つ“タイフェス”の会場のようだ。
タイ王国の大ヒットドラマのロケ地となった、佐賀。タイからの観光客に人気が出たと聞く。とくに鹿島市の祐徳稲荷神社への熱い注目は、私も知っている。
趣味か、仕事か、タイへの愛なのか…遠目なので、どんな様子の人たちが集うかまでは分からない。ただ、各々に“物語”がある週末なのだろう。
会場全体に、祭りの前の高揚感のような雰囲気が漂い始めていた。
(続く)
一昨年の秋。わずか30時間の佐賀での活動を綴る「旅立の剣」も最終章。
昨年末に初日の行程を第1・2シリーズに書き終え、2日目は第3シリーズでまとめるつもりが「朝の長崎街道」までが長くなり過ぎて、一旦、区切りました。
〔参照〕
・
・
振り返れば、もっと書けそうなくらい充実した時間でした。これから、新型コロナを知らなかった頃の「秋の佐賀城公園イベント」の記憶です。
――朝8:58。長崎街道・柳町から大通りに戻る。
道路に向かって正面。佐賀玉屋は、開店前だった。じわじわと“朝食抜き”が、堪(こた)えてきている私。
帰りの都合で14:30を目途に、佐賀駅前に戻らねばならない。そのため、私が佐賀で活動できるのは、残り6時間に満たない。
――「誰だ?こんなスケジュールを組んだのは!」
言うまでもなく、私だ。そして、この状況でも残り時間は惜しい。
やや足取りが重くなってきたが、大通りを佐賀城に向かう。左手のバルーンミュージアムも、まだ開館前だ。
――佐賀城から見て北の守り。
長くて大きい橋を行く。吹き抜ける風の中、おそらくは鉄砲の戦に備えた広い堀を渡る。堀の向こう側の右手には、佐賀県庁を望む。
佐賀藩士の“聖地“である城内に入った。一時、空腹を忘れて感慨に浸る。
――公園全体が“お祭り”の前。準備の活気がある。
北堀近くは「秋の佐賀城公園イベント」の1つ“タイフェス”の会場のようだ。
タイ王国の大ヒットドラマのロケ地となった、佐賀。タイからの観光客に人気が出たと聞く。とくに鹿島市の祐徳稲荷神社への熱い注目は、私も知っている。
趣味か、仕事か、タイへの愛なのか…遠目なので、どんな様子の人たちが集うかまでは分からない。ただ、各々に“物語”がある週末なのだろう。
会場全体に、祭りの前の高揚感のような雰囲気が漂い始めていた。
(続く)
タグ :佐賀
2021年04月10日
「再起の剣」
こんばんは。
前回「佐賀の遠かごた~っ!」と叫んだついでに、あるアニメを見て感じた事。
「何度でも立ち上がれ!」
…と、言葉にするのは簡単ですが、実践するのは容易ではありません。
――新しい環境で、先の見えない日々を行く…
気力が失せそうな時も、佐賀とのつながりが私を支える。
「いつの日か帰藩を果たして、さらに調査を進めねば…」
〔参照:「佐賀の遠かごた…」〕
いまは刃を研ぐべき時。いざ、佐賀で活動できるようになっても、鈍(なまくら)刀では役には立つまい。
――日々の仕事もまた、私にできる鍛錬。
いまは自分自身にそう説いている。しかし、私ごときが如何に頑張ろうとも、その能力は、佐賀の先達(賢人たち)には、遥かに遠く及ばない。
〔参照:「帰らんば、あの世界へ。」〕
…それはわかっている。だが「佐賀藩士(?)だからこそ困難に立ち向かえる」と感じることも多いのだ。
――この4月から、あるアニメが放送開始された。
様々な方面で佐賀の情報を収集する私。“第1シリーズ”の再放送を気にしつつも、見ていなかった番組があった。
いかに佐賀が題材でも「アイドル系のアニメまでは厳しい…」と判断したからだ。
ご存じの方が多いだろう。アニメ「ゾンビランドサガ」。大筋で言えば、ゾンビの女の子たちが“ご当地アイドル”として佐賀を救うため奮闘する話…だろうか。

――今度は「ゾンビランドサガ リベンジ」という。第2シリーズらしい。
タイトルに付された「リベンジ」という言葉。英語では、復讐・逆襲の意味合いが強い。日本では“再挑戦”という感覚で、前向きに使われることが多い。
イベントの失敗により莫大な借金を背負った主人公たち。グループメンバーは、佐賀県の各地でアルバイトをしながら再起を図る様子だ。
ゾンビだけに、メンバーたちはすでに亡くなった履歴がある。顔色も極めて悪い。
…少し調べると、各キャラクターが生きた年代と、享年まで設定されている。
――私とて「佐賀の大河ドラマ」を追っている。“普通の見方”はできない。
オープニングから伊万里湾を背にしたバイト先での、朝礼の場面が展開。拠点と思しき唐津の洋館。佐賀市の広場や鳥栖のスタジアムでのライブの回想。
プロデューサーらしき男性と、バーのマスターとの会話では「玄海エネルギーパーク」が元ネタと思われるセリフまで。他地域の人には分かるのだろうか…
終盤で、失敗に覇気を失ったプロデューサーが再起する。佐賀市内を巡る水路を駆け、白山名店街に連なる“バルーン通り”をメンバーたちの舞台へと走る。

――これは、“第1シリーズ”から見ておくべきだったか…
物語の描写には賛否両論あろうが、予想以上に“佐賀推し”は激しい。メンバーたちも“佐賀ことば”全開で、快挙と感じた。
もはや、この物語は佐賀以外では成立しなかったと思われる。2018年の明治維新150年で佐賀が盛り上がる頃、第1シリーズは放送されたようだ。
ちなみに、私は同年開催の「肥前さが幕末・維新博覧会」に行けなかった。佐賀が湧いたこの1年を逃したことには、未だに悔いが残っている。
――アニメ自体はコメディ調。その中にも“重いテーマ”を見る。
「夢を果たせず、若くして亡くなる…」
現実では覆すことができない“壮大な後悔”を、この物語はどう救済するか。
私には「新感覚ゾンビアイドル系アニメ」の“正しい見方”はわからない。しかし、「佐賀県を救う」という心意気には、遅まきながら感銘を受けたのである。
――以上です。サガテレビでは、金曜深夜24:55~放送の様子。
第1シリーズから視聴されている方には、周回遅れの感がある話題だと思いますが、ここまで気になってしまった以上、最終回まで見届けるつもりです。
「佐賀の魅力に気付くのも、佐賀の価値を語るにも遅すぎることは無い」というのが私の持論。全国向けの放送で、佐賀の風景をどう見せるかも楽しみです。
※画像参照元
・連続ブログ小説「旅立の剣」(26)変化の兆し
・連続ブログ小説「旅立の剣」(28)水路の迷宮
前回「佐賀の遠かごた~っ!」と叫んだついでに、あるアニメを見て感じた事。
「何度でも立ち上がれ!」
…と、言葉にするのは簡単ですが、実践するのは容易ではありません。
――新しい環境で、先の見えない日々を行く…
気力が失せそうな時も、佐賀とのつながりが私を支える。
「いつの日か帰藩を果たして、さらに調査を進めねば…」
〔参照:
いまは刃を研ぐべき時。いざ、佐賀で活動できるようになっても、鈍(なまくら)刀では役には立つまい。
――日々の仕事もまた、私にできる鍛錬。
いまは自分自身にそう説いている。しかし、私ごときが如何に頑張ろうとも、その能力は、佐賀の先達(賢人たち)には、遥かに遠く及ばない。
〔参照:
…それはわかっている。だが「佐賀藩士(?)だからこそ困難に立ち向かえる」と感じることも多いのだ。
――この4月から、あるアニメが放送開始された。
様々な方面で佐賀の情報を収集する私。“第1シリーズ”の再放送を気にしつつも、見ていなかった番組があった。
いかに佐賀が題材でも「アイドル系のアニメまでは厳しい…」と判断したからだ。
ご存じの方が多いだろう。アニメ「ゾンビランドサガ」。大筋で言えば、ゾンビの女の子たちが“ご当地アイドル”として佐賀を救うため奮闘する話…だろうか。
――今度は「ゾンビランドサガ リベンジ」という。第2シリーズらしい。
タイトルに付された「リベンジ」という言葉。英語では、復讐・逆襲の意味合いが強い。日本では“再挑戦”という感覚で、前向きに使われることが多い。
イベントの失敗により莫大な借金を背負った主人公たち。グループメンバーは、佐賀県の各地でアルバイトをしながら再起を図る様子だ。
ゾンビだけに、メンバーたちはすでに亡くなった履歴がある。顔色も極めて悪い。
…少し調べると、各キャラクターが生きた年代と、享年まで設定されている。
――私とて「佐賀の大河ドラマ」を追っている。“普通の見方”はできない。
オープニングから伊万里湾を背にしたバイト先での、朝礼の場面が展開。拠点と思しき唐津の洋館。佐賀市の広場や鳥栖のスタジアムでのライブの回想。
プロデューサーらしき男性と、バーのマスターとの会話では「玄海エネルギーパーク」が元ネタと思われるセリフまで。他地域の人には分かるのだろうか…
終盤で、失敗に覇気を失ったプロデューサーが再起する。佐賀市内を巡る水路を駆け、白山名店街に連なる“バルーン通り”をメンバーたちの舞台へと走る。
――これは、“第1シリーズ”から見ておくべきだったか…
物語の描写には賛否両論あろうが、予想以上に“佐賀推し”は激しい。メンバーたちも“佐賀ことば”全開で、快挙と感じた。
もはや、この物語は佐賀以外では成立しなかったと思われる。2018年の明治維新150年で佐賀が盛り上がる頃、第1シリーズは放送されたようだ。
ちなみに、私は同年開催の「肥前さが幕末・維新博覧会」に行けなかった。佐賀が湧いたこの1年を逃したことには、未だに悔いが残っている。
――アニメ自体はコメディ調。その中にも“重いテーマ”を見る。
「夢を果たせず、若くして亡くなる…」
現実では覆すことができない“壮大な後悔”を、この物語はどう救済するか。
私には「新感覚ゾンビアイドル系アニメ」の“正しい見方”はわからない。しかし、「佐賀県を救う」という心意気には、遅まきながら感銘を受けたのである。
――以上です。サガテレビでは、金曜深夜24:55~放送の様子。
第1シリーズから視聴されている方には、周回遅れの感がある話題だと思いますが、ここまで気になってしまった以上、最終回まで見届けるつもりです。
「佐賀の魅力に気付くのも、佐賀の価値を語るにも遅すぎることは無い」というのが私の持論。全国向けの放送で、佐賀の風景をどう見せるかも楽しみです。
※画像参照元
・
・
タグ :佐賀
2021年04月08日
「佐賀の遠かごた…」
こんばんは。
4月から新しい環境で、苦闘をしているところです。かなり忙しく、今までのようには更新が進みません。
いまや閉塞感のある、ある大都市圏からのつぶやきをお聞きください。
――今日のお昼休み。
ひとまず、空腹をしのごうとゼリー飲料を口にします。
銘柄は「カロリーメイト」のものでした。
たぶん、人により好き嫌いは分かれるところでしょう。
私は「意外と美味しいな…」と思いました。
ふと裏面を見ると、
製造所:佐賀県吉野ヶ里町…

――なんと、“さがんもん”だったか!?
乾ききった私の心に、佐賀平野の風が吹き抜けた…
そんな清々しさを感じました。
「たとえ、この身は佐賀に帰れずとも、想いはつながり続けている…」と、感傷に浸っていた私。
突如、知り合いに声をかけられて、びっくりすることになります。私事ですが、旧知の方とよく会う日でした。
――仕事が忙しいだけではなく…
いまや新型コロナ禍には“変異株”という問題も加わっています。気を緩めた者たちの隙をとことん狙ってくる、実に厄介なウイルス。
「佐賀には…いつ帰れるか分からんが、とにかく頑張ろう。」
今のところ「一昨年の旅の記録」と「大河ドラマの感想」ぐらいしか書けませんが、決意を新たにするのでした。
これが本日の結論。そして、最後に一言叫びます。
「佐賀の遠かごた~っ!」
4月から新しい環境で、苦闘をしているところです。かなり忙しく、今までのようには更新が進みません。
いまや閉塞感のある、ある大都市圏からのつぶやきをお聞きください。
――今日のお昼休み。
ひとまず、空腹をしのごうとゼリー飲料を口にします。
銘柄は「カロリーメイト」のものでした。
たぶん、人により好き嫌いは分かれるところでしょう。
私は「意外と美味しいな…」と思いました。
ふと裏面を見ると、
製造所:佐賀県吉野ヶ里町…
――なんと、“さがんもん”だったか!?
乾ききった私の心に、佐賀平野の風が吹き抜けた…
そんな清々しさを感じました。
「たとえ、この身は佐賀に帰れずとも、想いはつながり続けている…」と、感傷に浸っていた私。
突如、知り合いに声をかけられて、びっくりすることになります。私事ですが、旧知の方とよく会う日でした。
――仕事が忙しいだけではなく…
いまや新型コロナ禍には“変異株”という問題も加わっています。気を緩めた者たちの隙をとことん狙ってくる、実に厄介なウイルス。
「佐賀には…いつ帰れるか分からんが、とにかく頑張ろう。」
今のところ「一昨年の旅の記録」と「大河ドラマの感想」ぐらいしか書けませんが、決意を新たにするのでした。
これが本日の結論。そして、最後に一言叫びます。
「佐賀の遠かごた~っ!」
2021年04月06日
「茶歌(ちゃか)ポン。」
こんばんは。
2回続けて大河ドラマ『青天を衝け』の感想です。
冒頭は渋沢栄一の恋物語で展開しましたが、今回の注目は大老・井伊直弼。
楽し気に自分が見た“青天”の景色を語る、栄一。
キラキラした栄一を、優し気に見つめる、千代。
――盛り上がる若い2人の眼前。なぜか、タヌキ(?)も現れる。
「これは、何の前振りなんだ…!?」
テレビの前で、私は困惑します。
オープニングの後、「タヌキ親父」とも揶揄(やゆ)された、徳川家康が登場。
そこで、彦根藩主・井伊直弼の渾名(あだな)が披露されます。
――井伊直弼は「茶歌(ちゃか)ポン」と呼ばれた…と。
茶の湯、和歌に通じた文化人・井伊直弼。幕府の官僚からは、甘く見られます。
しかし、幕府官僚たちの思惑は外れ、井伊は大老への就任後、卓越した決断力を発揮します。禅の修行を積み、居合の達人でもあったのですね。

――“青天”で井伊直弼を、演じるのは岸谷五朗さん。
私が見てみたいのは、佐賀藩主・鍋島直正と意気投合する“強い”井伊直弼。
しかし、紹介から「茶歌(ちゃか)ポン」と愛らしい呼び名。まずは、第13代将軍・徳川家定の屈折した想いから、重責を担うことになる展開で描かれました。
将軍の手ずから和菓子をいただき、その食べっぷりで大老に任命された感じ。
――さて、岸谷版・井伊直弼の魅力を語ります。
周囲からの評価は低く、やや小心者という設定を強調して進みます。
〇通商条約調印…まさか勅許なしで調印するとは思わなかった!と驚きながらも、幕政の実務トップとして周囲からのお叱りは受け止める。
〇将軍継嗣問題…ひたすら「畏(おそ)れ入って」から、一橋慶喜(演:草彅剛)の様子を伺う。
慶喜が「私も次期将軍を一緒に支えよう!」と言われ、ホッと胸をなでおろす。あとで「良かった~」と、畳に寝ころぶ井伊直弼。
――「なんだ!?この妙に愛くるしい井伊大老は…」
“青天”の井伊は、将軍・徳川家定の想いを大事にする「愚直な忠義者」という要素が強いようです。
虚弱だったがゆえに、幕臣から相手にされない将軍の悲しみ。マジメな岸谷版・井伊直弼は、全てを受け止めます。
井伊は、世を去った将軍・家定の遺志を忠実に守り、次々と大名・官僚を処罰。穏やかだった「茶歌ポン」とは違う姿になっていきました。
――何だか「悲しい匂いがする…」と言いたくなります。
とくに尊王攘夷派を敵に回し、もはや「赤鬼」と忌み嫌われる「茶歌ポン」。
いつになく、“良い人”設定の井伊直弼。岸谷五朗さんの演技も期待以上です。来週は辛い展開になりそうですが、見届けたいと思います。
2回続けて大河ドラマ『青天を衝け』の感想です。
冒頭は渋沢栄一の恋物語で展開しましたが、今回の注目は大老・井伊直弼。
楽し気に自分が見た“青天”の景色を語る、栄一。
キラキラした栄一を、優し気に見つめる、千代。
――盛り上がる若い2人の眼前。なぜか、タヌキ(?)も現れる。
「これは、何の前振りなんだ…!?」
テレビの前で、私は困惑します。
オープニングの後、「タヌキ親父」とも揶揄(やゆ)された、徳川家康が登場。
そこで、彦根藩主・井伊直弼の渾名(あだな)が披露されます。
――井伊直弼は「茶歌(ちゃか)ポン」と呼ばれた…と。
茶の湯、和歌に通じた文化人・井伊直弼。幕府の官僚からは、甘く見られます。
しかし、幕府官僚たちの思惑は外れ、井伊は大老への就任後、卓越した決断力を発揮します。禅の修行を積み、居合の達人でもあったのですね。
――“青天”で井伊直弼を、演じるのは岸谷五朗さん。
私が見てみたいのは、佐賀藩主・鍋島直正と意気投合する“強い”井伊直弼。
しかし、紹介から「茶歌(ちゃか)ポン」と愛らしい呼び名。まずは、第13代将軍・徳川家定の屈折した想いから、重責を担うことになる展開で描かれました。
将軍の手ずから和菓子をいただき、その食べっぷりで大老に任命された感じ。
――さて、岸谷版・井伊直弼の魅力を語ります。
周囲からの評価は低く、やや小心者という設定を強調して進みます。
〇通商条約調印…まさか勅許なしで調印するとは思わなかった!と驚きながらも、幕政の実務トップとして周囲からのお叱りは受け止める。
〇将軍継嗣問題…ひたすら「畏(おそ)れ入って」から、一橋慶喜(演:草彅剛)の様子を伺う。
慶喜が「私も次期将軍を一緒に支えよう!」と言われ、ホッと胸をなでおろす。あとで「良かった~」と、畳に寝ころぶ井伊直弼。
――「なんだ!?この妙に愛くるしい井伊大老は…」
“青天”の井伊は、将軍・徳川家定の想いを大事にする「愚直な忠義者」という要素が強いようです。
虚弱だったがゆえに、幕臣から相手にされない将軍の悲しみ。マジメな岸谷版・井伊直弼は、全てを受け止めます。
井伊は、世を去った将軍・家定の遺志を忠実に守り、次々と大名・官僚を処罰。穏やかだった「茶歌ポン」とは違う姿になっていきました。
――何だか「悲しい匂いがする…」と言いたくなります。
とくに尊王攘夷派を敵に回し、もはや「赤鬼」と忌み嫌われる「茶歌ポン」。
いつになく、“良い人”設定の井伊直弼。岸谷五朗さんの演技も期待以上です。来週は辛い展開になりそうですが、見届けたいと思います。
タグ :大河ドラマ
2021年04月04日
「“青天”のヒロイン」
こんばんは。
久しぶりの「青天を衝け」の感想ですが、今回はドラマ要素に注目しました。あまり語って来なかった、主人公・渋沢栄一(演:吉沢亮)周辺の話から。
写真は掲載しませんので、大河ドラマの余韻とともに、ご覧ください…
――冒頭で、栄一と尾高千代(演:橋本愛)との物語が展開します。
演じる女優さんに関連して、2013年朝ドラ『あまちゃん』に話を引っ張ります。
岩手・三陸海岸で魅力を開花させ、東京に戻った主人公・アキ(演:能年玲奈)に対して、不運が重なり地元に残ったユイ(演:橋本愛)。
地元を早く出て、憧れの都会で才能を発揮したい…主人公の親友であり、内心ではライバルでもある、屈折した感情の役回り。
――2人の関係性は、まるで「太陽と月」。
物語の展開に沿ってクール…というより鋭い存在感を示し始めた、ユイちゃん。
東京に出たかった少女は、現地で大災害に直面。地元の人とともに乗り越えていく立場になっていきます。
準主役として強い印象を残した橋本愛さん。近年は大河ドラマでよく見かけます。2018年『西郷どん』、2019年『いだてん』と立て続けに出演していました。
――ついに『青天を衝け』では、大河ドラマのヒロインに。
栄一(吉沢亮)と渋沢喜作(演:高良健吾)の2人が、千代(橋本愛)をめぐって、剣術の試合で勝負します。
激しい竹刀での打ち合い。幼少期から密かにアイドルだった女子の面前。もう、その想いは隠すことなく、火花を散らすイケメン2人。
――そして、ここで“真の勝者”が現れます。
周囲も盛り上がる、熱戦の最中。渋沢喜作(高良健吾)の方と縁談が進んでいた“よし”(演:成海璃子)が登場。
…よし(成海璃子)が、突然に喜作の応援を始めたことで、場の空気が一変。
千代(橋本愛)も、内心を吐露して栄一(吉沢亮)に声援を送ります。
――これで“勝負あり”。
剣術の試合とは、まったく違う次元で決着は付きました。
こうして栄一と千代(吉沢亮と橋本愛)。喜作とよし(高良健吾と成海璃子)。目にも優しい、美男美女のカップルが2組誕生しました。
――めでたし、めでたし…
…しかし、今回は書くうちに予定外の内容になりました。
もともとは、井伊直弼(演:岸谷五朗)の描き方について語るつもりが、前置きで話がまとまってしまったので、また改めたいと思います。
久しぶりの「青天を衝け」の感想ですが、今回はドラマ要素に注目しました。あまり語って来なかった、主人公・渋沢栄一(演:吉沢亮)周辺の話から。
写真は掲載しませんので、大河ドラマの余韻とともに、ご覧ください…
――冒頭で、栄一と尾高千代(演:橋本愛)との物語が展開します。
演じる女優さんに関連して、2013年朝ドラ『あまちゃん』に話を引っ張ります。
岩手・三陸海岸で魅力を開花させ、東京に戻った主人公・アキ(演:能年玲奈)に対して、不運が重なり地元に残ったユイ(演:橋本愛)。
地元を早く出て、憧れの都会で才能を発揮したい…主人公の親友であり、内心ではライバルでもある、屈折した感情の役回り。
――2人の関係性は、まるで「太陽と月」。
物語の展開に沿ってクール…というより鋭い存在感を示し始めた、ユイちゃん。
東京に出たかった少女は、現地で大災害に直面。地元の人とともに乗り越えていく立場になっていきます。
準主役として強い印象を残した橋本愛さん。近年は大河ドラマでよく見かけます。2018年『西郷どん』、2019年『いだてん』と立て続けに出演していました。
――ついに『青天を衝け』では、大河ドラマのヒロインに。
栄一(吉沢亮)と渋沢喜作(演:高良健吾)の2人が、千代(橋本愛)をめぐって、剣術の試合で勝負します。
激しい竹刀での打ち合い。幼少期から密かにアイドルだった女子の面前。もう、その想いは隠すことなく、火花を散らすイケメン2人。
――そして、ここで“真の勝者”が現れます。
周囲も盛り上がる、熱戦の最中。渋沢喜作(高良健吾)の方と縁談が進んでいた“よし”(演:成海璃子)が登場。
…よし(成海璃子)が、突然に喜作の応援を始めたことで、場の空気が一変。
千代(橋本愛)も、内心を吐露して栄一(吉沢亮)に声援を送ります。
――これで“勝負あり”。
剣術の試合とは、まったく違う次元で決着は付きました。
こうして栄一と千代(吉沢亮と橋本愛)。喜作とよし(高良健吾と成海璃子)。目にも優しい、美男美女のカップルが2組誕生しました。
――めでたし、めでたし…
…しかし、今回は書くうちに予定外の内容になりました。
もともとは、井伊直弼(演:岸谷五朗)の描き方について語るつもりが、前置きで話がまとまってしまったので、また改めたいと思います。
タグ :大河ドラマ
2021年04月03日
連続ブログ小説「旅立の剣」(28)水路の迷宮
こんばんは。
「青春が終わってから書くのが、青春小説」
…どこかで聞いたことがあり、ふと思い出した言葉です。
このシリーズは1年半を経て、旅を振り返っています。そのため、現在知っている情報から逃れることはできません。
水路(クリーク)が巡る佐賀の街を顧みて、いま想うこと。ある戦国武将を介し、佐賀市内からみやき町へ。1人の武道家の面影を偲びます。
――少し時を遡る。朝8:10。
白山名店街の入口付近で、360度を見回した時。

――続いて、朝8:20。
佐賀の情報発信に想いを馳せ、長崎街道を行く時。赤レンガの道が続く。

――そして、朝8:40。
長崎街道沿い。風情ある柳町に出て、大通りに戻ろうとする時。

…お気づきであろうか。
私はいつしか、水路に囲まれているようだ。
――かつて、佐賀に“水の神様”と称(たた)えられた武将が居た。
戦国時代に武勇と治水技術で知られた、鍋島家の重臣。佐賀で水路を語ると“成富兵庫茂安”(なりとみ ひょうご しげやす)という人物に行き当たる。
みやき町の白石神社のご祭神の1人となっている武将である。
〔参照(前半):「主にみやき町民の方を対象にしたつぶやき」〕
“治水の神”が築いた堤防。千栗(ちりく)土居は長さ12キロに及んだという。
――その名は、当地で“北茂安町”という町名にも残った…
ここからは、私が最近知った話。本筋とは関係無いが、あえて語る。
年代としては、現在から50年ほど遡る。
北茂安町(現・みやき町)に生まれたある少年。先ほどの“水の神様”が造った堤防の近く、千栗(ちりく)八幡宮の石段を昇り、足腰を鍛えたという。
――“柔道”の才能を見込まれ、少年は東京へと移る。
修業を積み、立派な柔道家となった少年は、やがて世界の大舞台に立つ。
海外の強豪を相手に、華麗な一本背負いを次々と決める。
…強かった、そしてカッコ良かった。
――その当時、私はハッキリ認識していなかった。
古賀稔彦さんは佐賀の人だったのだ。今はその事に、妙に納得している。
私は幕末・明治期に限らず、佐賀の偉人には広く興味を持ちたいと思っている。しかし、この方はまだ“伝説”となるには、早すぎる人物だった。
…それが、悔やまれてならない。
(続く)
「青春が終わってから書くのが、青春小説」
…どこかで聞いたことがあり、ふと思い出した言葉です。
このシリーズは1年半を経て、旅を振り返っています。そのため、現在知っている情報から逃れることはできません。
水路(クリーク)が巡る佐賀の街を顧みて、いま想うこと。ある戦国武将を介し、佐賀市内からみやき町へ。1人の武道家の面影を偲びます。
――少し時を遡る。朝8:10。
白山名店街の入口付近で、360度を見回した時。
――続いて、朝8:20。
佐賀の情報発信に想いを馳せ、長崎街道を行く時。赤レンガの道が続く。
――そして、朝8:40。
長崎街道沿い。風情ある柳町に出て、大通りに戻ろうとする時。
…お気づきであろうか。
私はいつしか、水路に囲まれているようだ。
――かつて、佐賀に“水の神様”と称(たた)えられた武将が居た。
戦国時代に武勇と治水技術で知られた、鍋島家の重臣。佐賀で水路を語ると“成富兵庫茂安”(なりとみ ひょうご しげやす)という人物に行き当たる。
みやき町の白石神社のご祭神の1人となっている武将である。
〔参照(前半):
“治水の神”が築いた堤防。千栗(ちりく)土居は長さ12キロに及んだという。
――その名は、当地で“北茂安町”という町名にも残った…
ここからは、私が最近知った話。本筋とは関係無いが、あえて語る。
年代としては、現在から50年ほど遡る。
北茂安町(現・みやき町)に生まれたある少年。先ほどの“水の神様”が造った堤防の近く、千栗(ちりく)八幡宮の石段を昇り、足腰を鍛えたという。
――“柔道”の才能を見込まれ、少年は東京へと移る。
修業を積み、立派な柔道家となった少年は、やがて世界の大舞台に立つ。
海外の強豪を相手に、華麗な一本背負いを次々と決める。
…強かった、そしてカッコ良かった。
――その当時、私はハッキリ認識していなかった。
古賀稔彦さんは佐賀の人だったのだ。今はその事に、妙に納得している。
私は幕末・明治期に限らず、佐賀の偉人には広く興味を持ちたいと思っている。しかし、この方はまだ“伝説”となるには、早すぎる人物だった。
…それが、悔やまれてならない。
(続く)
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