2021年04月29日

連続ブログ小説「旅立の剣」(36)始まりの予感

こんばんは。

本日から、連休に突入という方もいるかもしれません。但し、新型コロナの感染防止のため、行動の自制が必要という状況でしょう。

現在は動けずとも、人には「過去の記憶」と「未来への想像力」があります。

心だけは自由に”綴っていきます。2019年10月佐賀での“”を振り返るシリーズも残り数回です。


――まもなく時刻は、12:30。

佐賀城公園西の堀端に到着した私。ここが、旅の“最終地点”となるようだ。

タイムリミットまで、あと2時間。私は“秋祭り”に賑わう佐賀城下を発ち、日常へと戻って行かねばならない。



――漂うのは、一抹の寂しさ…

駆け足の無理な行程を組み、昨日の朝から動き回ってきた。
〔参照:連続ブログ小説「旅立の剣」(4)早津江の嵐

降りしきる雨の中、三重津海軍所跡に向かったのが、随分と昔の出来事に思える。それから城下を周りに回った。そして、私は多くの気付きを得た。
〔参照:連続ブログ小説「旅立の剣」(5)雨に打たれても


――では、この旅で「幕末の佐賀藩」が見えたのだろうか。

答えは“”(いな)だろう。決定的に時間が足らない佐賀市内のごく狭い範囲を息を切らして、歩き回ったのみである。

変わらず堀端には強い風が吹き、その水面は波立っている。もどかしい想いを抱え、私は“空き時間”で帰り支度を始めていた。



――そして、12:45。周囲に動きがあった。

私が限られた時間で、この場所での“待機”を続けたことには理由がある。

先ほど県立博物館カフェで、“検索”を行って決めた段取り。ふだんは日曜佐賀城で行われる歴史寸劇が、屋外で上演されるとの情報を得ていた。


――それまでの「島義勇像前」は…

わずかなスタッフさんと、幾人か会場の様子を伺う人たちが見えるのみだった。しかし、眼前の道路通行止めとなるや、にわかに活気が出る。

佐賀城公園秋イベントは、非日常の空間も提供するらしい。先ほどまでは、車が往来していたに降り立つ。


※この画像は、加工の度合いを強めにしています。

――「ここで一体、どんな祭りが始まるのか…」

遠方から来た私と違い、おそらくは“この場で起きる展開”を知る人々も集う。

熱心な来場者の方々の様子からは「その一瞬を見逃すまい」という気構えまで感じられたのである。


(続く)

  
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