2021年04月27日

連続ブログ小説「旅立の剣」(35)幕末の風が吹く

こんばんは。
2019年10月。佐賀での“旅日記”を延々とお送りしています。

コロナ禍郷里と隔てられようが、まるで昨日の事のように感じる、熱き想い。吹いていたのは、幕末を思わせる強い風でした。



――12:10。ミュージアムカフェから移動。

秋の佐賀城公園イベントは盛り上がりを見せ始めていた。
佐賀さいこうフェス」の各種グルメの出店か、“食欲の秋”らしい良い香り。

老いも若きも集まり賑やかだった。楽し気学生たちの姿も見える。

「歳を取ってから書くのが青春小説である…」という、言葉を聞いたことがあるが、私とて彼らに負けぬくらいワクワクしている。



――風が吹く道を進む。そこで“BGM”が鳴っていることに気付く。

~♪~ さが維新まつりhttps://saga-ishinmatsuri.jp/)※外部サイト。
(このページの「ダイジェスト版映像」のBGMと同じ曲だと思います。)

何だ…!この際立った“幕末感”は!」
私の胸を高鳴らせているのは、この音楽の効果でもあったのか。

西に向かう道では「さが維新まつり」のテーマらしき曲が流れていたのだ。


――短いコートの裾が、ヒラヒラと風に靡(なび)く。

何やら“”を得た気分。背筋も伸びる心持ちで歩む。佐賀城の西の堀端が近づいてきた。楠の木々を揺らし、を渡るは、私に何を語りかける。

…思えば、私はここに至るまで随分と回り道をした。
遅いぞ!ようやく“帰藩”してきおったか!」…と、出迎えてくれたように感じる。



――時刻は12:20頃。前方に目を向けると、力強い姿の銅像。

団にょん”さんこと、島義勇が蝦夷地(北海道)を探検する姿だ。

気合いの入った姿のお像セリフを付けるなら「俺たちは、やってやるんだ!」との言葉を贈りたい。

眼前にどこまでも続く、北海道大空大地が浮かんで来ないだろうか。


――その一方、スタッフさんたちはイベント準備に奔走している。

道路は封鎖され、通行止めとなる段取りのようだ。変わらず強く吹くは、堀の水面を波立たせる。

「ようやく…ここまで来たか。」
到達感を醸(かも)し出しているが、早々と行動し過ぎて、案内のパンフレット類すら入手できていない。

どんな展開が待っているのか。知らないのも、また一興だった。
その時の私は「何が始まろうとしているか」が、楽しみで仕方が無かった。


(続く)

  
タグ :佐賀