2021年02月08日
「美しいものを見た…」
こんばんは。
昨日、最終回を迎えた大河ドラマ「麒麟がくる」。
ツイッターなどのSNS上でも話題沸騰だったようですね。
翌日のネットニュースのコメント欄でも賞賛の嵐が…
――ふと、気づきました。
インターネット上のニュースのコメント欄。普段ならば、どちらかと言えば非難や批判が渦巻き、わりと“殺伐”とした感じです。
しかし、今日の「麒麟がくる」関連の記事は違いました。視聴者個々の想いが、美しい言葉で綴られます。まるで“麒麟”が舞い降りた平和な世界。
――主なものを挙げると…
主人公・明智十兵衛(光秀)役の長谷川博己さんの好演への賞賛。そして光秀生存の可能性を残したシナリオへの感謝の言葉。
特に多かったのは、織田信長役・染谷将太さんの演技への熱い支持。純粋で悲しく、美しい「本能寺の変」だったという声も。

――私自身も昨日、視聴してから
心のざわめきが止まらず、まさに感動の「大河ドラマ」だと思います。印象深いのは、染谷版・織田信長の「幼児性ゆえの狂気」のような表現。
「喜んでくれる」とか「褒められる」と期待して、平然と恐ろしいことを行う。本人は良かれと思って動いている分、余計に怖いのです。妙な説得力を感じました。
――そして、全編を通じて見られたのが、
子どものように自由な信長に対して、明智十兵衛(光秀)の大人らしい苦悩。何だか「中間管理職の気苦労」の詰め合わせセットでも、見るようでした。
斎藤道三(演:本木雅弘)に仕えるときもそうだったのですが、この明智十兵衛(演:長谷川博己)には、共感できるセリフが多いのです。
――とにかく、よく“無茶ぶり”を受ける。
「はっ…、○○でございますか!?」
明智十兵衛。無理な命令に“本気なのか!?”と聞き返す場面の多いこと…
しかも「本能寺の変」にいたっては、朝廷も将軍も周りの武将たちも…果ては、幼なじみで信長の妻・帰蝶(演:川口春奈)まで。

――皆、明智十兵衛に“決断”を迫っている…
「信長を始末しろ!」と外堀を埋めていっているように見えました。
やるべき理由が固まり“自分の仕事”になって「敵は本能寺」となるのですね…
「明智十兵衛が自身を討ちに来た」と知ったときの信長は、なぜか安堵の様子。
――自分を止めてくれるのは、やはり十兵衛だったか…
救いを得たかのような、信長(演:染谷将太)の複雑な表情。
…あれは、何とも言えませんでした。
そして最後まで大暴れして、遊び疲れた子どものように、安らかに眠る…これで明智十兵衛(光秀)と織田信長の2人の物語は、完結してしまった感じでした。
――こうして明智十兵衛(光秀)は、生存の可能性ありのルートへ…
馬で颯爽と駆けていく十兵衛。幻かも知れないけども希望が湧くラストでした。
…今日は、私の「麒麟がくる」最終回へのつぶやきをお送りしました。
長谷川博己さんには、いつの日か佐賀藩士も演じてほしいです。
「“麒麟”だけでなく、そんな日も来る」ことも待ってます。
昨日、最終回を迎えた大河ドラマ「麒麟がくる」。
ツイッターなどのSNS上でも話題沸騰だったようですね。
翌日のネットニュースのコメント欄でも賞賛の嵐が…
――ふと、気づきました。
インターネット上のニュースのコメント欄。普段ならば、どちらかと言えば非難や批判が渦巻き、わりと“殺伐”とした感じです。
しかし、今日の「麒麟がくる」関連の記事は違いました。視聴者個々の想いが、美しい言葉で綴られます。まるで“麒麟”が舞い降りた平和な世界。
――主なものを挙げると…
主人公・明智十兵衛(光秀)役の長谷川博己さんの好演への賞賛。そして光秀生存の可能性を残したシナリオへの感謝の言葉。
特に多かったのは、織田信長役・染谷将太さんの演技への熱い支持。純粋で悲しく、美しい「本能寺の変」だったという声も。
――私自身も昨日、視聴してから
心のざわめきが止まらず、まさに感動の「大河ドラマ」だと思います。印象深いのは、染谷版・織田信長の「幼児性ゆえの狂気」のような表現。
「喜んでくれる」とか「褒められる」と期待して、平然と恐ろしいことを行う。本人は良かれと思って動いている分、余計に怖いのです。妙な説得力を感じました。
――そして、全編を通じて見られたのが、
子どものように自由な信長に対して、明智十兵衛(光秀)の大人らしい苦悩。何だか「中間管理職の気苦労」の詰め合わせセットでも、見るようでした。
斎藤道三(演:本木雅弘)に仕えるときもそうだったのですが、この明智十兵衛(演:長谷川博己)には、共感できるセリフが多いのです。
――とにかく、よく“無茶ぶり”を受ける。
「はっ…、○○でございますか!?」
明智十兵衛。無理な命令に“本気なのか!?”と聞き返す場面の多いこと…
しかも「本能寺の変」にいたっては、朝廷も将軍も周りの武将たちも…果ては、幼なじみで信長の妻・帰蝶(演:川口春奈)まで。

――皆、明智十兵衛に“決断”を迫っている…
「信長を始末しろ!」と外堀を埋めていっているように見えました。
やるべき理由が固まり“自分の仕事”になって「敵は本能寺」となるのですね…
「明智十兵衛が自身を討ちに来た」と知ったときの信長は、なぜか安堵の様子。
――自分を止めてくれるのは、やはり十兵衛だったか…
救いを得たかのような、信長(演:染谷将太)の複雑な表情。
…あれは、何とも言えませんでした。
そして最後まで大暴れして、遊び疲れた子どものように、安らかに眠る…これで明智十兵衛(光秀)と織田信長の2人の物語は、完結してしまった感じでした。
――こうして明智十兵衛(光秀)は、生存の可能性ありのルートへ…
馬で颯爽と駆けていく十兵衛。幻かも知れないけども希望が湧くラストでした。
…今日は、私の「麒麟がくる」最終回へのつぶやきをお送りしました。
長谷川博己さんには、いつの日か佐賀藩士も演じてほしいです。
「“麒麟”だけでなく、そんな日も来る」ことも待ってます。
タグ :大河ドラマ
2021年02月07日
第15話「江戸動乱」⑪(親心に似たるもの)
こんばんは。
のちの明治初期。近代国家・日本の外交を担う副島種臣(枝吉次郎)。幕末の、この頃は偉大な兄・枝吉神陽にも認められたくて、駆け回っているところです。
――佐賀城・本丸御殿。殿・鍋島直正は、副島の出兵要請を退けた。
しかも謹慎まで命じられた。去りゆく副島の後ろ姿。落胆の色が隠せない。
傍に控えていた、保守派・原田小四郎が殿・直正に意見する。
「わざわざ殿から、あのような申し渡しをなされずとも良いと存じる!」
「…何じゃ。原田としては、不服はあるまい。」
殿・直正は不満げである。保守派には、文句の無い判断のはず。軽々に政局に関わっては危うい。ましてや誘い出されるように、京に出兵するなど論外だ。
――原田の想いは、別のところにあった。
「こういった申し渡しは、拙者の役回りにござる!」
原田は「殿自ら、家来を失望させる必要はない」と言いたい様子だ。憎まれ役は、自分が引き受けるという気構えである。
「おお、そうか。これは恐れ入った。」
これも原田なりの真心だ。険しい表情が解けた、直正。
「次郎よ…すまぬな。いまの京に、我が家来を送りたくは無いのじゃ…」
また、直正が眉間をしかめる。京都のある方角、遥か東の空を見つめている。

――殿・鍋島直正は、極秘の情報収集を行っていた。
ほんの少し前、長崎から蒸気船・観光丸で薩摩(鹿児島)に寄港した、殿・直正。
その時は薩摩藩主・島津斉彬と密談した。薩摩から京都へ数千の兵を率い、出陣する計画があるようだ。目的は、幕府と大老・井伊直弼に対する牽制。
朝廷の許し無く条約締結を断行すれば、抗議する。そして一橋慶喜を次期将軍に推す“一橋派”の復権を狙う。
一方で、佐賀藩主・直正には、井伊直弼の外交方針「武備開国」(まず開国し、武装を整える)への異論はない。欧米列強は、すでに牙を剥いているのだ。
――まずは速やかに開国し、争いを避けるのもやむを得ない。
西洋の技術も取り入れ、佐賀はもっと強くならねば。長崎港、そして、西方の海を守ることは佐賀にしかできない役割である。
直正が緊張感を持つ相手は、常に海外なのだ。将軍の後継選びで国内の政治闘争に加わっている場合ではない。
「薩摩守さま、あまり手荒な真似はなさいませぬよう。」
「鍋島肥前、そう怖い顔をするな…異国に付け入る隙など与えぬ。」
島津斉彬と鍋島直正。母方のいとこ同士、二人の名君。最後の対話となった。
直正が佐賀に帰ってから、しばらく後。薩摩から京都への出兵を準備していた、島津斉彬は急死したのである。
――そして、京の都には“渦”が巻き起こっていた。
「なんや…お主らは!?」
“佐賀からの出兵”で副島と相談をした公家・伊丹重賢が声を上げる。
京の宵闇から現れた、眼前の侍たちへの問いかけだ。
「我ら彦根から参りました。“御用”の者でござる。」
井伊直弼の配下・彦根(滋賀)の藩士である。京都を守護する任務があった。
「伊丹さま、彦根まで同行願いましょうか。」
「控えよ!無礼やないか!!」
袖を振って抗う伊丹。その両脇を、二人の屈強な彦根藩士が抱え込んだ。
(続く)
〔参照記事〕
第14話「遣米使節」⑩(秘密の航海)
第14話「遣米使節」⑪(名君たちの“約束”)
のちの明治初期。近代国家・日本の外交を担う副島種臣(枝吉次郎)。幕末の、この頃は偉大な兄・枝吉神陽にも認められたくて、駆け回っているところです。
――佐賀城・本丸御殿。殿・鍋島直正は、副島の出兵要請を退けた。
しかも謹慎まで命じられた。去りゆく副島の後ろ姿。落胆の色が隠せない。
傍に控えていた、保守派・原田小四郎が殿・直正に意見する。
「わざわざ殿から、あのような申し渡しをなされずとも良いと存じる!」
「…何じゃ。原田としては、不服はあるまい。」
殿・直正は不満げである。保守派には、文句の無い判断のはず。軽々に政局に関わっては危うい。ましてや誘い出されるように、京に出兵するなど論外だ。
――原田の想いは、別のところにあった。
「こういった申し渡しは、拙者の役回りにござる!」
原田は「殿自ら、家来を失望させる必要はない」と言いたい様子だ。憎まれ役は、自分が引き受けるという気構えである。
「おお、そうか。これは恐れ入った。」
これも原田なりの真心だ。険しい表情が解けた、直正。
「次郎よ…すまぬな。いまの京に、我が家来を送りたくは無いのじゃ…」
また、直正が眉間をしかめる。京都のある方角、遥か東の空を見つめている。
――殿・鍋島直正は、極秘の情報収集を行っていた。
ほんの少し前、長崎から蒸気船・観光丸で薩摩(鹿児島)に寄港した、殿・直正。
その時は薩摩藩主・島津斉彬と密談した。薩摩から京都へ数千の兵を率い、出陣する計画があるようだ。目的は、幕府と大老・井伊直弼に対する牽制。
朝廷の許し無く条約締結を断行すれば、抗議する。そして一橋慶喜を次期将軍に推す“一橋派”の復権を狙う。
一方で、佐賀藩主・直正には、井伊直弼の外交方針「武備開国」(まず開国し、武装を整える)への異論はない。欧米列強は、すでに牙を剥いているのだ。
――まずは速やかに開国し、争いを避けるのもやむを得ない。
西洋の技術も取り入れ、佐賀はもっと強くならねば。長崎港、そして、西方の海を守ることは佐賀にしかできない役割である。
直正が緊張感を持つ相手は、常に海外なのだ。将軍の後継選びで国内の政治闘争に加わっている場合ではない。
「薩摩守さま、あまり手荒な真似はなさいませぬよう。」
「鍋島肥前、そう怖い顔をするな…異国に付け入る隙など与えぬ。」
島津斉彬と鍋島直正。母方のいとこ同士、二人の名君。最後の対話となった。
直正が佐賀に帰ってから、しばらく後。薩摩から京都への出兵を準備していた、島津斉彬は急死したのである。
――そして、京の都には“渦”が巻き起こっていた。
「なんや…お主らは!?」
“佐賀からの出兵”で副島と相談をした公家・伊丹重賢が声を上げる。
京の宵闇から現れた、眼前の侍たちへの問いかけだ。
「我ら彦根から参りました。“御用”の者でござる。」
井伊直弼の配下・彦根(滋賀)の藩士である。京都を守護する任務があった。
「伊丹さま、彦根まで同行願いましょうか。」
「控えよ!無礼やないか!!」
袖を振って抗う伊丹。その両脇を、二人の屈強な彦根藩士が抱え込んだ。
(続く)
〔参照記事〕
2021年02月05日
第15話「江戸動乱」⑩(いざゆけ!次郎)
こんばんは。
さて、硬派な幕末の展開が続きます。京都では、水戸藩が工作活動の成果で、朝廷から“秘密の命令”を受けることに成功していました。
“戊午(ぼご)の密勅”と呼ばれる「幕府を改革せよ」という指令。
佐賀でも時勢に遅れまいと、走る者がいました。副島種臣(※)です。
――佐賀城内。鯱の門付近。
険しい顔をした副島種臣(枝吉次郎)が通りがかる。
声をかける人物がいた。蝦夷地(北海道)帰りの島義勇だ。
「次郎じゃなかか!どがんしたとね…、えらく怖い顔をしとるばい!」
この2人は従兄弟どうし。島は、身近な親戚のお兄ちゃんである。
――固い表情のまま、返事を返す次郎(副島種臣)。
「島先生!今から国の大事ば、殿に言上を仕(つかま)るところにて。」
…かたい、あまりにも固い次郎の表情。島が一瞬、身を引くほどだ。
無理もない。殿・鍋島直正に進言する内容は「佐賀から京への出兵」である。
「次郎、気負いすぎはいかんばい!」
広大な蝦夷地(北海道)の大空と大地の下で、闊達に冒険をしてきた島義勇。
スケールアップした“団にょん”には、副島の悩みも小さく見える…はずだった。
――島に耳打ちをする、副島。
「何っ!それは一大事ばい!次郎…ここが踏ん張りどころたい!」
話の中身を聞いた島義勇。くるりと変わって硬い面持ちとなった。もともと水戸藩に出入りして勉強していた島も、尊王の話には影響されやすい。
「いざ、参ります!」
「いざ行け!次郎…、いよいよ佐賀が表舞台に出る時ばい!」
本丸御殿へと歩を進める、副島。拳を握りしめて見送る“団にょん”!

――本丸御殿内。広間の一角にて。
殿・鍋島直正に、朝廷の意向として伝えられる佐賀から京都への派兵。
「兵の数は、百…いや五十でも差支えはございませぬ。」
副島は真剣な表情で、殿への説明をする。
京都で、公家・伊丹重賢と打ち合わせた計画だ。
殿・直正は静かに、副島の言葉を聞いていた。
「うむ。左様(さよう)な話があったのか…」
――ひとまず、話を受け止めたかに見えた、直正だったが…
次の瞬間、急に厳しい表情へと変わる。
「そちは、軽々にそのような内諾をしてきたと申すか。」
「…いえ、しかと談判を重ねた事にて、決して軽々なものではございません。」
「重々、話し合ってきたとな。なお、都合が悪いではないか!」
佐賀から京への出兵。「尊王の志高く、朝廷を守り、国を“あるべき姿”に導く。」聞こえとしては良い。しかし、幕府には無用の喧嘩を売ることになる。
――殿・直正の判断は早かった。
そもそも、わずかな兵力で、他藩と衝突すればどうなる…戻れない道に佐賀が巻き込まれる可能性が考慮されていない。
「しばらく謹慎いたせ。もちろん佐賀から出る事は許さぬ。」
口調は穏やかだったが、副島の進言はまったく取り合ってもらえず、それどころか外出禁止に近しい命令も下された。
――すんなり通るとは考えていなかった進言。
「…しかしながら、殿!」
「しかと聞こえておるな。謹慎じゃ。」
諦めずに説明を尽くそうとする副島に覆いかぶさる、殿・直正の言葉。
計画が通らないのみならず、京都への道まで閉ざされた。意気消沈し、退出する副島種臣。まだ、殿・鍋島直正の心を推し量れてはいない。
(続く)
※副島種臣が、正式に副島家に養子に入ったのは、翌年(1859年)が通説のようです。この時点では枝吉次郎と表記すべきかもしれませんが、本編の途中からは「副島種臣」として表現しています。
さて、硬派な幕末の展開が続きます。京都では、水戸藩が工作活動の成果で、朝廷から“秘密の命令”を受けることに成功していました。
“戊午(ぼご)の密勅”と呼ばれる「幕府を改革せよ」という指令。
佐賀でも時勢に遅れまいと、走る者がいました。副島種臣(※)です。
――佐賀城内。鯱の門付近。
険しい顔をした副島種臣(枝吉次郎)が通りがかる。
声をかける人物がいた。蝦夷地(北海道)帰りの島義勇だ。
「次郎じゃなかか!どがんしたとね…、えらく怖い顔をしとるばい!」
この2人は従兄弟どうし。島は、身近な親戚のお兄ちゃんである。
――固い表情のまま、返事を返す次郎(副島種臣)。
「島先生!今から国の大事ば、殿に言上を仕(つかま)るところにて。」
…かたい、あまりにも固い次郎の表情。島が一瞬、身を引くほどだ。
無理もない。殿・鍋島直正に進言する内容は「佐賀から京への出兵」である。
「次郎、気負いすぎはいかんばい!」
広大な蝦夷地(北海道)の大空と大地の下で、闊達に冒険をしてきた島義勇。
スケールアップした“団にょん”には、副島の悩みも小さく見える…はずだった。
――島に耳打ちをする、副島。
「何っ!それは一大事ばい!次郎…ここが踏ん張りどころたい!」
話の中身を聞いた島義勇。くるりと変わって硬い面持ちとなった。もともと水戸藩に出入りして勉強していた島も、尊王の話には影響されやすい。
「いざ、参ります!」
「いざ行け!次郎…、いよいよ佐賀が表舞台に出る時ばい!」
本丸御殿へと歩を進める、副島。拳を握りしめて見送る“団にょん”!
――本丸御殿内。広間の一角にて。
殿・鍋島直正に、朝廷の意向として伝えられる佐賀から京都への派兵。
「兵の数は、百…いや五十でも差支えはございませぬ。」
副島は真剣な表情で、殿への説明をする。
京都で、公家・伊丹重賢と打ち合わせた計画だ。
殿・直正は静かに、副島の言葉を聞いていた。
「うむ。左様(さよう)な話があったのか…」
――ひとまず、話を受け止めたかに見えた、直正だったが…
次の瞬間、急に厳しい表情へと変わる。
「そちは、軽々にそのような内諾をしてきたと申すか。」
「…いえ、しかと談判を重ねた事にて、決して軽々なものではございません。」
「重々、話し合ってきたとな。なお、都合が悪いではないか!」
佐賀から京への出兵。「尊王の志高く、朝廷を守り、国を“あるべき姿”に導く。」聞こえとしては良い。しかし、幕府には無用の喧嘩を売ることになる。
――殿・直正の判断は早かった。
そもそも、わずかな兵力で、他藩と衝突すればどうなる…戻れない道に佐賀が巻き込まれる可能性が考慮されていない。
「しばらく謹慎いたせ。もちろん佐賀から出る事は許さぬ。」
口調は穏やかだったが、副島の進言はまったく取り合ってもらえず、それどころか外出禁止に近しい命令も下された。
――すんなり通るとは考えていなかった進言。
「…しかしながら、殿!」
「しかと聞こえておるな。謹慎じゃ。」
諦めずに説明を尽くそうとする副島に覆いかぶさる、殿・直正の言葉。
計画が通らないのみならず、京都への道まで閉ざされた。意気消沈し、退出する副島種臣。まだ、殿・鍋島直正の心を推し量れてはいない。
(続く)
※副島種臣が、正式に副島家に養子に入ったのは、翌年(1859年)が通説のようです。この時点では枝吉次郎と表記すべきかもしれませんが、本編の途中からは「副島種臣」として表現しています。
2021年02月03日
第15話「江戸動乱」⑨(京の不穏)
こんばんは。
“本編”です。最初に言いますが、今回の話は難しいです。
幕末期に“尊攘の志士”と“新選組”が、斬り合う舞台になる京都。その前日譚(およそ5年前)とお考えください。
なぜ、佐賀藩士たちは“その場”に居なかったか…も、描きたい題材です。
――大老・井伊直弼。実は、条約調印に、朝廷の許可を得たかった。
「紛争時には、日本とヨーロッパの間を大統領が仲裁しましょう!」
幕府にとってアメリカは、まだ話のわかる交渉相手だった。
井伊はヨーロッパ各国がアジアを席巻する中、時間の猶予は無いと判断した。
「“勅許”を待つべきだが、いざとなれば、調印も止む無し。」
「ははっ!“止むを得ぬ”時には、調印をいたします。」
交渉に当たったのは、筋金入りの“開国派”の幕府役人。
…こうして「日米修好通商条約」締結は、井伊の独断と非難された。
――たびたび京に足を運ぶ、副島種臣(枝吉次郎)。
「枝吉はん!井伊は、“天子さま”(天皇)の思し召しを、何と心得るんか。」
尊王攘夷派の公家と関わる、副島種臣には京都での付き合いもある。
学識を磨くための京への留学も、近年は風向きが変わる。いろいろ耳が痛い話が、副島に飛んでくるのだ。
「佐賀はまだ動かんのか!」
「鍋島肥前(直正)は、尊王の働きを為すべきやないのか。」
――江戸幕府の安定期以来、静かだった京の都。
声を上げるのは公家だけではない。各藩の武士も京に集い、気勢を上げた。
水戸藩(茨城)など攘夷派は、条約撤廃を掲げ、朝廷を通じて圧力をかける。
「けしからん!攘夷こそ、天子さまの御心なり!」
「ただちに異国を退けよ!」
福井藩、薩摩藩(鹿児島)は開国派。しかし“次の将軍”には一橋慶喜の就任を狙っている。朝廷の威光を借りるために活動する。
「井伊の専横を許すべきではありません。次の将軍には、ぜひ一橋さまを。」
「英明の誉れ高き、一橋さま。きっと、天子さまの思し召しに適いもす。」

――副島(次郎)は、親しい公家・伊丹重賢と相談をする。
「異国に立ち向かえるんは、佐賀だけや…と聞いとるで。」
公家の伊丹は、副島よりも若年。尊王活動に熱心な公家である。
上方(京・大坂)にも、佐賀藩の存在感は伝わっている。長崎警護で、ロシア船と向き合った実績。幕府の担当者を通じて、評判は広がっていた。
「お望みの佐賀からの警衛でござるな。」
やや、かしこまった感じ。京都での副島だ。
…ここで必要なのは、兵の数よりも、“佐賀藩が朝廷を守る”絵姿だという。
――京都・東山のふもと。初夏の風が盆地に滞っている。
副島の顎ひげを、生温かい京の風が撫でる。
「我らにも、動くべき時節でござろうか。」
静かな会話。大声で叫ぶのは公家の流儀ではない。伊丹もやはり品は良い。
「そうや、佐賀の勤王のはたらき…期待しとるで。」
「…気にされている事が、お有りのようですな。」
「実は、九条卿がな…、帝のご不興をかっておる。」
帝(孝明天皇)は、幕府に好意的な公家を遠ざけていた。朝廷の許しを得られず進んだ、条約の調印に不信感を持ったのだ。
――九条家と言えば、”関白”の家柄。
この時の当主は、幕府と親しい立場にあった。井伊直弼と同じく、次の将軍には紀州藩の徳川慶福(家茂)を推している。
“開国派”と“攘夷派”の駆け引きに続いて、“南紀派”対“一橋派”の次期将軍争いまで加わった。
「京の都には、あちこちに火種が燻(くすぶ)る…という事ですか。」
「佐賀が相手なら、どこも迂闊(うかつ)には動けんやろ。頼みましたで。」
――副島種臣は、急ぎ京を発つ。
山陽道を佐賀へと急ぐ。京の都で、尊王のはたらきを成す好機だ。
「なんとしても、殿のお許しを得ねばならぬ。」
大老・井伊直弼は、決断力に長けていた。海外情勢を見極めて“開国”を判断し、雄藩の介入を許さずに次期将軍選びを進めた。
…この両方で、井伊との対立を深める水戸藩に、朝廷からある命令(密勅)が与えられる。そして、副島らの想像を超える展開へと進んでいくのである。
(続く)
“本編”です。最初に言いますが、今回の話は難しいです。
幕末期に“尊攘の志士”と“新選組”が、斬り合う舞台になる京都。その前日譚(およそ5年前)とお考えください。
なぜ、佐賀藩士たちは“その場”に居なかったか…も、描きたい題材です。
――大老・井伊直弼。実は、条約調印に、朝廷の許可を得たかった。
「紛争時には、日本とヨーロッパの間を大統領が仲裁しましょう!」
幕府にとってアメリカは、まだ話のわかる交渉相手だった。
井伊はヨーロッパ各国がアジアを席巻する中、時間の猶予は無いと判断した。
「“勅許”を待つべきだが、いざとなれば、調印も止む無し。」
「ははっ!“止むを得ぬ”時には、調印をいたします。」
交渉に当たったのは、筋金入りの“開国派”の幕府役人。
…こうして「日米修好通商条約」締結は、井伊の独断と非難された。
――たびたび京に足を運ぶ、副島種臣(枝吉次郎)。
「枝吉はん!井伊は、“天子さま”(天皇)の思し召しを、何と心得るんか。」
尊王攘夷派の公家と関わる、副島種臣には京都での付き合いもある。
学識を磨くための京への留学も、近年は風向きが変わる。いろいろ耳が痛い話が、副島に飛んでくるのだ。
「佐賀はまだ動かんのか!」
「鍋島肥前(直正)は、尊王の働きを為すべきやないのか。」
――江戸幕府の安定期以来、静かだった京の都。
声を上げるのは公家だけではない。各藩の武士も京に集い、気勢を上げた。
水戸藩(茨城)など攘夷派は、条約撤廃を掲げ、朝廷を通じて圧力をかける。
「けしからん!攘夷こそ、天子さまの御心なり!」
「ただちに異国を退けよ!」
福井藩、薩摩藩(鹿児島)は開国派。しかし“次の将軍”には一橋慶喜の就任を狙っている。朝廷の威光を借りるために活動する。
「井伊の専横を許すべきではありません。次の将軍には、ぜひ一橋さまを。」
「英明の誉れ高き、一橋さま。きっと、天子さまの思し召しに適いもす。」
――副島(次郎)は、親しい公家・伊丹重賢と相談をする。
「異国に立ち向かえるんは、佐賀だけや…と聞いとるで。」
公家の伊丹は、副島よりも若年。尊王活動に熱心な公家である。
上方(京・大坂)にも、佐賀藩の存在感は伝わっている。長崎警護で、ロシア船と向き合った実績。幕府の担当者を通じて、評判は広がっていた。
「お望みの佐賀からの警衛でござるな。」
やや、かしこまった感じ。京都での副島だ。
…ここで必要なのは、兵の数よりも、“佐賀藩が朝廷を守る”絵姿だという。
――京都・東山のふもと。初夏の風が盆地に滞っている。
副島の顎ひげを、生温かい京の風が撫でる。
「我らにも、動くべき時節でござろうか。」
静かな会話。大声で叫ぶのは公家の流儀ではない。伊丹もやはり品は良い。
「そうや、佐賀の勤王のはたらき…期待しとるで。」
「…気にされている事が、お有りのようですな。」
「実は、九条卿がな…、帝のご不興をかっておる。」
帝(孝明天皇)は、幕府に好意的な公家を遠ざけていた。朝廷の許しを得られず進んだ、条約の調印に不信感を持ったのだ。
――九条家と言えば、”関白”の家柄。
この時の当主は、幕府と親しい立場にあった。井伊直弼と同じく、次の将軍には紀州藩の徳川慶福(家茂)を推している。
“開国派”と“攘夷派”の駆け引きに続いて、“南紀派”対“一橋派”の次期将軍争いまで加わった。
「京の都には、あちこちに火種が燻(くすぶ)る…という事ですか。」
「佐賀が相手なら、どこも迂闊(うかつ)には動けんやろ。頼みましたで。」
――副島種臣は、急ぎ京を発つ。
山陽道を佐賀へと急ぐ。京の都で、尊王のはたらきを成す好機だ。
「なんとしても、殿のお許しを得ねばならぬ。」
大老・井伊直弼は、決断力に長けていた。海外情勢を見極めて“開国”を判断し、雄藩の介入を許さずに次期将軍選びを進めた。
…この両方で、井伊との対立を深める水戸藩に、朝廷からある命令(密勅)が与えられる。そして、副島らの想像を超える展開へと進んでいくのである。
(続く)
2021年02月01日
「望郷の剣4」
こんばんは。
現在、放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」も、来週で最終回。
“コロナ禍”での撮影中断など様々な困難があった様子。当初の予定通りには描けなかった?…と見えたところもありました。
もう少し続けてほしかった“麒麟”ですが、最後まで見届けたいと思います。
――次の大河ドラマ「青天を衝け」の番宣(紹介)も放送されています。
まず、渋沢栄一(吉沢亮)が幕臣となり、一橋慶喜(草彅剛)に仕える展開を描く様子。一橋慶喜の実家・水戸藩(茨城)の人物は多数出演するようですね。
「全国都道府県魅力度ランキング」で、2020年に最下位を脱出した茨城県。
一時は「どうせ最下位(47位)…」と自虐的な路線を歩んだ事もあると聞きます。
いまや自身の魅力を見つめ直した茨城県。偶然か必然か、今年の「大河ドラマ」では、強い印象を残しそうです。
〔参照:「あと40日…」〕
――ちなみに同ランキングでは、佐賀は45位。
今のところ「青天を衝け」では、佐賀藩士の出演情報を得ていません。
郷里から離れた場所で「佐賀の大河ドラマ」を想うに至り…最近では、「佐賀の扱われ方」がさらに気になります。今日は、そんな私の日常を描きます。

――商品棚に苦戦をする、佐賀の特産品あれば…
ある日、“丸ぼうろ”をスーバーの特売品を扱う棚で見つけた。値段がいつもより安い。これは“廉価版”のようだ。
そして、佐賀でよく見かける個包装の品ではない。しかも肩書が「佐賀銘菓」ではなく「九州銘菓」となっている。
――製造は、佐賀市内のメーカーと確認。
高額な特産品には手が届かないが、お菓子ぐらいならば存分に手が出せる。
ここで、いつもの言葉を心で唱える。
「佐賀の特産品に売れ残りなどあってはならんのだ!」
…「“本編”と違って、えらくスケールが小さいな」という批判は甘受する。
――しかし、私にはある疑念が残った。
「このメーカーの“腕前”。この程度では無いはず…」
別の店で、同メーカーの“丸ぼうろ”を買い求めた事がある。
とても美味だったため、名残り惜しく1つずつ消費をしていたのを想い出す。
〔参照:「望郷の剣2」〕
「もしや、佐賀から“本気の一品”を送り出せない理由でもあるのか。」
――全国的に「佐賀ブランド」が浸透しているとは言い難い。
“九州”の名のもと、己(佐賀)を潜めて生きる。これも“葉隠”の精神なのか。
「いやいや…、あまり潜んでいると存在感が無くなってしまうぞ!」
まさに声の大きい者が優位な時代。“さがんもん”は声量が大きいとの説もあるが、厚かましさには欠ける印象だ。

――あまり“奥ゆかしい”のは、得策とは言えない。
…かと言って、自慢やハッタリを振りかざすのでは、佐賀の美点を損なう。
「では、どう存在を示すべきか…」
佐賀の人は「腹の底が見えない」と評されるという。それも“慎ましさ”ゆえか。
ならば、幕末期の佐賀のように秘めた実力が、周囲に認知されれば良い。
おそらく必要なのは、ブランドを再構築する地道な努力なのだろう。佐賀県内にも奮闘する人たちがいる。微力ながら私なりの方法で、加勢を試みる。
――そして「大河ドラマ」の空想以外で、私にできる事は…
スーバーの棚から“九州銘菓・丸ぼうろ”が、日々、地道に売れていく。暗躍するのは、私である。もともと好物のうえ日持ちもする。買い貯めても問題は無い。
やはり消費者は、売れている商品に惹かれるようだ。この“誘引”が功を奏したかは定かではない…が、“呼び水”にはなったか。棚の商品は売れてきた。
廉価版であっても、やはり佐賀の“丸ぼうろ”。紅茶にも、牛乳にも合う。たとえ、佐賀の肩書は背負っていない時でも、“丸ぼうろ”は売れ筋で無ければならぬ。
――私が振り回す、「望郷の剣」。
今は、まだ微風のような威力だ。
帰るに帰れない郷里・佐賀にとって、何の力にもなってはいない。
企業ごとに戦略はあるのだろう。しかし、堂々と佐賀ブランドを掲げる事が、勝利への道であってほしい。
まずは消費行動を持って大都市圏でも、佐賀の実力を示す。あまりにも地味な、その道のりも長く険しい…
現在、放送中の大河ドラマ「麒麟がくる」も、来週で最終回。
“コロナ禍”での撮影中断など様々な困難があった様子。当初の予定通りには描けなかった?…と見えたところもありました。
もう少し続けてほしかった“麒麟”ですが、最後まで見届けたいと思います。
――次の大河ドラマ「青天を衝け」の番宣(紹介)も放送されています。
まず、渋沢栄一(吉沢亮)が幕臣となり、一橋慶喜(草彅剛)に仕える展開を描く様子。一橋慶喜の実家・水戸藩(茨城)の人物は多数出演するようですね。
「全国都道府県魅力度ランキング」で、2020年に最下位を脱出した茨城県。
一時は「どうせ最下位(47位)…」と自虐的な路線を歩んだ事もあると聞きます。
いまや自身の魅力を見つめ直した茨城県。偶然か必然か、今年の「大河ドラマ」では、強い印象を残しそうです。
〔参照:
――ちなみに同ランキングでは、佐賀は45位。
今のところ「青天を衝け」では、佐賀藩士の出演情報を得ていません。
郷里から離れた場所で「佐賀の大河ドラマ」を想うに至り…最近では、「佐賀の扱われ方」がさらに気になります。今日は、そんな私の日常を描きます。
――商品棚に苦戦をする、佐賀の特産品あれば…
ある日、“丸ぼうろ”をスーバーの特売品を扱う棚で見つけた。値段がいつもより安い。これは“廉価版”のようだ。
そして、佐賀でよく見かける個包装の品ではない。しかも肩書が「佐賀銘菓」ではなく「九州銘菓」となっている。
――製造は、佐賀市内のメーカーと確認。
高額な特産品には手が届かないが、お菓子ぐらいならば存分に手が出せる。
ここで、いつもの言葉を心で唱える。
「佐賀の特産品に売れ残りなどあってはならんのだ!」
…「“本編”と違って、えらくスケールが小さいな」という批判は甘受する。
――しかし、私にはある疑念が残った。
「このメーカーの“腕前”。この程度では無いはず…」
別の店で、同メーカーの“丸ぼうろ”を買い求めた事がある。
とても美味だったため、名残り惜しく1つずつ消費をしていたのを想い出す。
〔参照:
「もしや、佐賀から“本気の一品”を送り出せない理由でもあるのか。」
――全国的に「佐賀ブランド」が浸透しているとは言い難い。
“九州”の名のもと、己(佐賀)を潜めて生きる。これも“葉隠”の精神なのか。
「いやいや…、あまり潜んでいると存在感が無くなってしまうぞ!」
まさに声の大きい者が優位な時代。“さがんもん”は声量が大きいとの説もあるが、厚かましさには欠ける印象だ。
――あまり“奥ゆかしい”のは、得策とは言えない。
…かと言って、自慢やハッタリを振りかざすのでは、佐賀の美点を損なう。
「では、どう存在を示すべきか…」
佐賀の人は「腹の底が見えない」と評されるという。それも“慎ましさ”ゆえか。
ならば、幕末期の佐賀のように秘めた実力が、周囲に認知されれば良い。
おそらく必要なのは、ブランドを再構築する地道な努力なのだろう。佐賀県内にも奮闘する人たちがいる。微力ながら私なりの方法で、加勢を試みる。
――そして「大河ドラマ」の空想以外で、私にできる事は…
スーバーの棚から“九州銘菓・丸ぼうろ”が、日々、地道に売れていく。暗躍するのは、私である。もともと好物のうえ日持ちもする。買い貯めても問題は無い。
やはり消費者は、売れている商品に惹かれるようだ。この“誘引”が功を奏したかは定かではない…が、“呼び水”にはなったか。棚の商品は売れてきた。
廉価版であっても、やはり佐賀の“丸ぼうろ”。紅茶にも、牛乳にも合う。たとえ、佐賀の肩書は背負っていない時でも、“丸ぼうろ”は売れ筋で無ければならぬ。
――私が振り回す、「望郷の剣」。
今は、まだ微風のような威力だ。
帰るに帰れない郷里・佐賀にとって、何の力にもなってはいない。
企業ごとに戦略はあるのだろう。しかし、堂々と佐賀ブランドを掲げる事が、勝利への道であってほしい。
まずは消費行動を持って大都市圏でも、佐賀の実力を示す。あまりにも地味な、その道のりも長く険しい…