2021年02月10日

「京の宵闇」

こんばんは。
麒麟がくる」の最終回の余韻(よいん)に浸っていたくもありますが、今週末には「青天を衝け」も始まるので、また“戦国”から“幕末”に視点を戻します。


――まず、直近の“本編”を振り返ります。

公家伊丹重賢のもとに、屈強な侍たちが詰めかけていました。
〔参照(終盤):第15話「江戸動乱」⑪(親心に似たるもの)

伊丹さまですが、副島種臣枝吉次郎)と佐賀藩京都出兵を話していた方。青蓮院宮という身分の高い公家に仕えています。


――この頃、「安政の大獄」が始まっています。

1858年朝廷から、主に水戸藩を対象とした「戊午の密勅」が下されます。

朝廷各藩に直接「幕府の改革」と「攘夷の実行」を指示する内容。幕府頭ごなしに、各藩への命令。大荒れ間違いなしです。

大老・井伊直弼や老中・間部詮勝幕府首脳は、探索を指示します。出典は不確かですが「井伊赤鬼間部青鬼」と呼ばれていたという話もあるようです。



――井伊の側近・長野主膳らの捜査で…

首謀者とされた梅田雲浜は、若狭国(福井県南部)の人。元は武士(小浜藩士)でしたが、この時点では尊王攘夷活動家

幕府を激しく批判し“密勅”が出るよう暗躍。商才もあり、資金力も備えた様子。「安政の大獄」の逮捕者第一号扱いとなっているようです。


――“鬼”呼ばわりされた幕府側の捜査は、さらに進展。

芋づる式に関係者が捕縛されています。先ほどの梅田雲浜と関わる人物が、次々と“捜査線上”に浮かびます。

主に捜査に動くのは、井伊直弼の領国(滋賀)の「彦根藩士」。そして、幕府の“京都支店”である「京都所司代」。


――尊攘活動家・梅田雲浜と接点のあった人物。

例えば、長州藩(山口)の吉田松陰も有名ですね。地元・萩で梅田雲浜と会った際に、幕府の重要人物である「老中・間部詮勝暗殺」を相談していたとか…

攘夷志士たちの相談事…やはり過激です。吉田松陰は、あえて“その計画”を自白したため処刑となったそうです。



――そして、捜査の手は“一橋派”へ…

福井藩の橋本左内、薩摩藩(鹿児島)の西郷吉之助大河ドラマ西郷どん」では「次の将軍は、一橋慶喜公に!」と熱心2人が描かれました。

安政の大獄”では「幕臣でも無いのに、将軍選び口出しした者」も追われる展開に。「西郷どん」では、風間俊介さん鈴木亮平さん逃走する場面です。


――でも、「佐賀藩の大河ドラマ」なので…

ここは、あえて伊丹重賢という人物に注目しました。佐賀への出兵要請で、副島種臣と関わっています。

副島の「佐賀からを出しましょう!」という提案に応じない殿鍋島直正。この「安政の大獄」の展開を読んでいた…ように考えています。


――では、屈強な侍に囲まれた、伊丹重賢の運命やいかに…

次の時代へ生き延びます。伊丹さまの次男が、伊丹二郎というお名前。実業家として大正・昭和初期に「麒麟麦酒(キリンビール)」の会長を長く務めたとか。

…まだ「麒麟がくる」を引きずっていますが、大河ドラマの中でも“公家”を丁寧に描いた作品と思います。幕末期も、公家同士の派閥争い政局に影響します。

京の宵闇」で沸騰する尊攘志士たちの想い、交錯する公家たちの思惑…今日は、たぶん“本編”では描けない話をお送りしました。

  


Posted by SR at 22:44 | Comments(0) | 出来事編(E)