2022年10月26日

連続ブログ小説「聖地の剣」(23)見映え以上のSAGA

こんばんは。
殿様の銅像に見守られながら、佐賀城内だった公園を行きます。佐賀駅の到着からは5時間半が経過。

忙しい日は幾らでもありますが、これだけ密度の濃い一日、そうは無いです。
飲食もそこそこに動き回っていましたが、さすがに空腹感が出てきました。


――佐賀には、美味しいものがたくさんあるのに。

一度、博物館のミュージアムカフェに入ったきりで、動き続けてきた。

温かい嬉野紅茶も、佐賀みかんジャムの効いたアイスクリームも絶品だった。
〔参照:連続ブログ小説「聖地の剣」(9)“醒覚”の紅茶

「…そうだ、せっかくだから佐賀名物を食べておかねば。」



――いつだって、息切れ気味の“都市生活者”。

残念ながら、これがの日常である。「都会に出れば良い」と安易に考えるのは待ってほしい。得られるものもあれば、失うものもある。

その才覚気質大都会にこそ、ふさわしい人は良いが、私のように“残念な者”を数多く作り出してはならない。


――「故郷に錦を飾れる者」は一握り。

でも、錦は飾らずとも、旅立った者が還って来られる佐賀であってほしい。私は、まだ「佐賀への道」をあきらめない。

(うな)れ徒花(あだばな)、朽ち果てても進め」という心持ち。出典はアニメ『ゾンビランドサガ』の主題歌である。



――その新たな「佐賀の名作」を、放送してきた拠点。

佐賀の民間放送局であるサガテレビ1階の『JONAI SQUARE』。このカフェスペースには、ぜひ立ち寄っておきたかった。

意外と佐賀には都会的な印象と、落ちついた雰囲気を併せ持つお店が多いと思う。最先端ではないが、佐賀美的センスは結構、高い水準にあると思う。

わかる人には深く染み入る、その魅力度。たぶん「佐賀への愛」はランキングで語るものではない。


――ここは、佐賀名物を選ぶことにする。

シシリアンライスをお願いします。」

私は、ここぞとばかりに佐賀の誇る“B級グルメ”を発注した。しかし、この日はすでに売り切れていた。

夕方まで残っていると思うな…」ということか。「さすがは、人気メニュー」と得心したが、とりあえず他の商品を頼まねばなるまい。



――結局いたって、普通のメニューを注文した。

「では、カレーでお願いします。」

私は佐賀の物販や飲食店の接客が好きである。機械的でなくて、人が人を相手に話している感覚だ。オーバーに言えば、私も人間に戻れた気がする。

商品はすぐに来た。カレーなのだが、感じられるのはヘルシ-さである。シャキシャキした野菜。農産物が“精鋭”揃いの佐賀では、偽物は通用しないだろう。

ナッツ類のトッピングも良い食感。スパイスも出しゃばり過ぎず、ちょうど良い。



――みかんジュースの爽やかな酸味が、口の中で転がる。

「やはり…佐賀は、落ち着くな。」
もう帰路に入っているというのに、妙に心は清々しかった。

店内での飲食の間、外はが涼やかに降っていた。きっと、外に出ればまた、晴れてくれるのだろう。何とも都合の良い天気が続いている。


(続く)


  
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