2022年10月18日
連続ブログ小説「聖地の剣」(21)下も向いて歩こう、SAGA
こんばんは。
前回、なるべく上を向いて頑張ろうと、私にとっての“聖地”・佐賀城の本丸にある「鯱の門」から出てきた私。
佐賀を歩く時には上を向くばかりではなく、足元にも注意力が必要なのです。この日が、雨上がりで滑りやすいからでしょうか。
それもあるかもしれませんが、今回は「そこが佐賀だから!」が正解のようです。もう1つの「“聖地”のテーマ」も、あわせて語ります。
――雨上がりの、佐賀の空。
厚い曇り空が望むが、空気は快適そのもの。
「鯱の門」をくぐる時には色々と考えたが、とても上向きな気分になっている。
そして、周囲をぐるりと見渡して、石垣と緑の木々のコントラスト(対比)が目に優しい、佐賀城公園の景色を眺めておく。

――そして、佐賀の殿様・鍋島直正公の銅像を望む。
本丸歴史館でも“ご挨拶”をしているが、帰路への出立前にも、再び「ご尊顔を拝し奉れる」とは、ありがたいことだ。
幕末の政局に出遅れても、なお“薩長土肥”の一角に入れるだけの力を持った肥前佐賀藩を作り上げた、第10代の佐賀藩主の勇姿がそこにある。
「余ばかりに視線を送るでないぞ。足許(あしもと)にも意を用いよ。」
――「…私は、何かを見落としているのか!?」
ここで、はたと気付いた。私は右足を少し上げて、銅像の方向に歩を進めようとしていた。踏み下ろす前に、私の右足は浮いたままだ。
その足の延長線上を見ると、カラフルな“マンホール”が見えた。
「これが、噂の…!」
話に聞くことも写真で見たこともあるが、正確な位置がピンと来ていなかった。

――噂の『ゾンビランドサガ』マンホールである。
同アニメ作品のファンにとっても“聖地”である佐賀県。
私も当初は「さすがに、この歳でアイドルアニメには、ついて行けんとよ。しかも、“ゾンビ”って何ね…?」ぐらいの反応をしていた。
そんな私だったが、第2期から視聴を始めたら、そこには、哀しくも前向きな“不死のアイドル”の健気な物語があった。
そして佐賀の地域ネタもよく拾っており、これが楽しい。ただし「他県の出身者にはわかるんだろうか…?」と思うことは、よくある。
――意外と、私には“感動もの”でもあった。
こうして、「存在自体が風前の灯火(ともしび)とまで言われる佐賀県を救う」というテーマで展開する、同作品への共鳴は続いている。
足元に見えるマンホールに描かれるのは、殿様の銅像前に控える、“ゾンビィ2号”(二階堂サキ)の姿だ。
生前は、佐賀県の西部・伊万里出身のいわゆる“ヤンキー”で、ケンカっ早い女子…という設定。
地域の選択に、日本三大喧嘩祭りの1つとも言われる『伊万里トンテントン』の存在が、影響しているかは定かではない。

――なお、この旅の始めの方で、
佐賀駅前の観光案内窓口『SAGA MADO』で、同アニメの“聖地巡礼用”の伊万里市内のマップも入手している。
〔参照(後半):連続ブログ小説「聖地の剣」(4)開かれた窓から〕
私は宙に止まった右足を後方におろす。マンホールは地面にあるものだが、“佐賀県の宝物”と見れば、足で踏めるはずがない。
デザインごとに世界で1枚の貴重なマンホール。佐賀県の東部・みやき町で作られているらしい。
次に、同アニメのアイドルグループ・『フランシュシュ』のメンバーの中で、このキャラクターがここに配置された理由を考えた。
――“2号”というナンバーが付いているが、
二階堂サキは、グループではリーダーという位置づけだと聞く。
発する言葉のガラは悪いが、すごくピュア(純粋)で情に熱い。「根は真っ直ぐだし、すごくいい子なんだけど…」という印象だ。
この辺りにリアリティー(現実味)を感じるのだ。近隣のドライブインの鳥めしが大好物らしい。
このように、伊万里の地域色の強いキャラクターであるはずの彼女だが、なぜ佐賀城内のマンホールのデザインに選択されたのか。この場で、考えた。

――「殿の傍に控える、ケンカっ早い…人物。」
私が連想したのは、佐賀七賢人の1人・島義勇だ。幕末期に佐賀藩の任務で、蝦夷地(北海道)を体当たりで探索した。
都道府県魅力度ランキングで、“不動”の1位の座にある北海道。島は、その中心都市・札幌を創った人物としても知られる。
当地の都市計画は、島の考えたところが基礎になっているため、札幌市役所と、北海道神宮の2か所に銅像があると聞く。
私の知る情報では「佐賀の街の記憶を、京の都の考え方で整理し、世界一を目指す勢いで、巨大化させたイメージ」が、大都市・札幌の根底にあるようだ。
――ところで島義勇は、よく“強い立場の者”と衝突をする。
但し、幕末期には佐賀の殿様・鍋島直正公に対して、「お役に立ちたい!」と忠義一徹な印象だ。
明治期に入ると、まさに現場のリーダーとして、北海道や秋田で開拓の指揮を執り、部下や地元の人たちからは愛される。
ところが、現場の苦労を理解しない上役や、お金を握っている新政府の財務部門に対しては、よくぶつかっている。
なお、秋田県では八郎潟の干拓を目指した。実現は、昭和30年代頃だが、島が居た75年前から計画を進めた方が値打ちがあったという見解もある。

――「情熱があって、少しケンカっ早い、人間味のある、現場のリーダー」
もしや、島義勇を意識した配置かもしれない。『ゾンビランドサガ』のアイドルグループは7人編成で、時に8人になったこともある。
明らかに「佐賀の七賢人(八賢人)」を意識している様子だ。作品の“聖地”である佐賀県とのつながりは侮れない。
なお、同アニメのマンホールは佐賀県の20市町の全域への展開が進むので、皆様の街に配置されるデザインにも何かの理由づけがあるのだと思う。
佐賀にはゲームなど別テーマのマンホールもあるようだ。上を向いて頑張ろうと思った私だが、どうやらこの街には、下を向いて歩く価値もあるらしい。
(続く)
前回、なるべく上を向いて頑張ろうと、私にとっての“聖地”・佐賀城の本丸にある「鯱の門」から出てきた私。
佐賀を歩く時には上を向くばかりではなく、足元にも注意力が必要なのです。この日が、雨上がりで滑りやすいからでしょうか。
それもあるかもしれませんが、今回は「そこが佐賀だから!」が正解のようです。もう1つの「“聖地”のテーマ」も、あわせて語ります。
――雨上がりの、佐賀の空。
厚い曇り空が望むが、空気は快適そのもの。
「鯱の門」をくぐる時には色々と考えたが、とても上向きな気分になっている。
そして、周囲をぐるりと見渡して、石垣と緑の木々のコントラスト(対比)が目に優しい、佐賀城公園の景色を眺めておく。
――そして、佐賀の殿様・鍋島直正公の銅像を望む。
本丸歴史館でも“ご挨拶”をしているが、帰路への出立前にも、再び「ご尊顔を拝し奉れる」とは、ありがたいことだ。
幕末の政局に出遅れても、なお“薩長土肥”の一角に入れるだけの力を持った肥前佐賀藩を作り上げた、第10代の佐賀藩主の勇姿がそこにある。
「余ばかりに視線を送るでないぞ。足許(あしもと)にも意を用いよ。」
――「…私は、何かを見落としているのか!?」
ここで、はたと気付いた。私は右足を少し上げて、銅像の方向に歩を進めようとしていた。踏み下ろす前に、私の右足は浮いたままだ。
その足の延長線上を見ると、カラフルな“マンホール”が見えた。
「これが、噂の…!」
話に聞くことも写真で見たこともあるが、正確な位置がピンと来ていなかった。
――噂の『ゾンビランドサガ』マンホールである。
同アニメ作品のファンにとっても“聖地”である佐賀県。
私も当初は「さすがに、この歳でアイドルアニメには、ついて行けんとよ。しかも、“ゾンビ”って何ね…?」ぐらいの反応をしていた。
そんな私だったが、第2期から視聴を始めたら、そこには、哀しくも前向きな“不死のアイドル”の健気な物語があった。
そして佐賀の地域ネタもよく拾っており、これが楽しい。ただし「他県の出身者にはわかるんだろうか…?」と思うことは、よくある。
――意外と、私には“感動もの”でもあった。
こうして、「存在自体が風前の灯火(ともしび)とまで言われる佐賀県を救う」というテーマで展開する、同作品への共鳴は続いている。
足元に見えるマンホールに描かれるのは、殿様の銅像前に控える、“ゾンビィ2号”(二階堂サキ)の姿だ。
生前は、佐賀県の西部・伊万里出身のいわゆる“ヤンキー”で、ケンカっ早い女子…という設定。
地域の選択に、日本三大喧嘩祭りの1つとも言われる『伊万里トンテントン』の存在が、影響しているかは定かではない。
――なお、この旅の始めの方で、
佐賀駅前の観光案内窓口『SAGA MADO』で、同アニメの“聖地巡礼用”の伊万里市内のマップも入手している。
〔参照(後半):
私は宙に止まった右足を後方におろす。マンホールは地面にあるものだが、“佐賀県の宝物”と見れば、足で踏めるはずがない。
デザインごとに世界で1枚の貴重なマンホール。佐賀県の東部・みやき町で作られているらしい。
次に、同アニメのアイドルグループ・『フランシュシュ』のメンバーの中で、このキャラクターがここに配置された理由を考えた。
――“2号”というナンバーが付いているが、
二階堂サキは、グループではリーダーという位置づけだと聞く。
発する言葉のガラは悪いが、すごくピュア(純粋)で情に熱い。「根は真っ直ぐだし、すごくいい子なんだけど…」という印象だ。
この辺りにリアリティー(現実味)を感じるのだ。近隣のドライブインの鳥めしが大好物らしい。
このように、伊万里の地域色の強いキャラクターであるはずの彼女だが、なぜ佐賀城内のマンホールのデザインに選択されたのか。この場で、考えた。
――「殿の傍に控える、ケンカっ早い…人物。」
私が連想したのは、佐賀七賢人の1人・島義勇だ。幕末期に佐賀藩の任務で、蝦夷地(北海道)を体当たりで探索した。
都道府県魅力度ランキングで、“不動”の1位の座にある北海道。島は、その中心都市・札幌を創った人物としても知られる。
当地の都市計画は、島の考えたところが基礎になっているため、札幌市役所と、北海道神宮の2か所に銅像があると聞く。
私の知る情報では「佐賀の街の記憶を、京の都の考え方で整理し、世界一を目指す勢いで、巨大化させたイメージ」が、大都市・札幌の根底にあるようだ。
――ところで島義勇は、よく“強い立場の者”と衝突をする。
但し、幕末期には佐賀の殿様・鍋島直正公に対して、「お役に立ちたい!」と忠義一徹な印象だ。
明治期に入ると、まさに現場のリーダーとして、北海道や秋田で開拓の指揮を執り、部下や地元の人たちからは愛される。
ところが、現場の苦労を理解しない上役や、お金を握っている新政府の財務部門に対しては、よくぶつかっている。
なお、秋田県では八郎潟の干拓を目指した。実現は、昭和30年代頃だが、島が居た75年前から計画を進めた方が値打ちがあったという見解もある。
――「情熱があって、少しケンカっ早い、人間味のある、現場のリーダー」
もしや、島義勇を意識した配置かもしれない。『ゾンビランドサガ』のアイドルグループは7人編成で、時に8人になったこともある。
明らかに「佐賀の七賢人(八賢人)」を意識している様子だ。作品の“聖地”である佐賀県とのつながりは侮れない。
なお、同アニメのマンホールは佐賀県の20市町の全域への展開が進むので、皆様の街に配置されるデザインにも何かの理由づけがあるのだと思う。
佐賀にはゲームなど別テーマのマンホールもあるようだ。上を向いて頑張ろうと思った私だが、どうやらこの街には、下を向いて歩く価値もあるらしい。
(続く)