2022年08月09日
連続ブログ小説「聖地の剣」(9)“醒覚”の紅茶
こんばんは。
佐賀県立博物館内の「高輪築堤」の解説コーナーにある、白い大隈重信像を見つめていた私。
賢人の銅像などの前で“会話”が始まる展開が多い当ブログ。正しくメッセージを受け取れているかはさておき、佐賀にはそれだけ充実した時間があります。
「な~んも、無かとこですよ…」と語られる事も多い佐賀ですが、“聖地”として見直せば、新たな一面に気付いて、価値観が変わるかもしれません。
〔参照:「なんもなか…日々に」〕
――博物館への到着早々、気持ちがざわついてしまった。
そうだ、まだ“メモリアル展示”の上映まで時間もあるので、一息入れよう。
博物館には、ミュージアムカフェが併設されている。落ち着いて昼食とまでは時間の余裕がなく、満腹になって動きを鈍らせるわけにもいかない。
少し考えて、佐賀みかんジャムのかかったソフトクリームと温かい嬉野紅茶をオーダーした。

――窓辺には、緑の木々に雨の降る…
博物館の屋内に入ってからの雨だった。ここでずぶ濡れとなれば、後の行動にいろいろと差しさわりが生じるので、タイミングが良かったと言えるだろう。
ガラス越しに見ている分には、目にもあざやかで潤いのある景色だった。
しばし後、ソフトクリームと紅茶が目の前に運ばれてきた。動き続けてきた私には、白いソフトにのる佐賀みかんジャムの爽やかな酸味に幸福感がある。
――そして嬉野紅茶を、一口含んだ。
「…これは!」
昔、見たグルメ漫画のような反応だが、予想外に味がまろやかだったのだ。
スーパーで買ってくるホットの紅茶と言えば、ある程度の渋みがある。それが紅茶の味だと思っていた。いま飲んだ嬉野紅茶は、それらと別の感覚だった。
この時、私は「紅茶は嬉野(ウレシノ)と、それ以外に分類されるのか!」という整理に至る。そのぐらい、私には嬉野紅茶の味がスッと馴染んだ。
これも「嬉野と言えば、緑茶だ。」と、何ら疑う事もなく、生きてきたからなのか。「今までに知らなかった、嬉野があったのか…」と、何かに目覚めた感じだ。

――幕末期。長崎から輸出された、嬉野茶。
当時は“紅茶”の姿で、世界を駆けていたはずだ。こうして主目的に至る前にもまた1つ、佐賀の力を知る。
お茶の海外での需要は高く、輸出は相当な量に上ったようで、佐賀の嬉野茶だけでは到底足らず、九州各地から茶葉が集められたと聞く。
〔参照(後半):「主に嬉野市民の方を対象にしたつぶやき(前編)」〕
――きっと、こうした“和紅茶”の世界も、今後、深化していくのだろう。
また1つ、新しい扉が開いてしまった気がする。この、わずかな時間で、佐賀は私にどれだけのものを見せてくれるのだろう。
「ここで与えられたものは、見落とさず持って帰らねば」と、気を引き締めた。
…と、その意気込みは良かったが、「佐賀みかんソフト」と「嬉野紅茶」の写真を撮りそこなっていることに気付いたのは、ずっと後の事である。
(続く)
佐賀県立博物館内の「高輪築堤」の解説コーナーにある、白い大隈重信像を見つめていた私。
賢人の銅像などの前で“会話”が始まる展開が多い当ブログ。正しくメッセージを受け取れているかはさておき、佐賀にはそれだけ充実した時間があります。
「な~んも、無かとこですよ…」と語られる事も多い佐賀ですが、“聖地”として見直せば、新たな一面に気付いて、価値観が変わるかもしれません。
〔参照:
――博物館への到着早々、気持ちがざわついてしまった。
そうだ、まだ“メモリアル展示”の上映まで時間もあるので、一息入れよう。
博物館には、ミュージアムカフェが併設されている。落ち着いて昼食とまでは時間の余裕がなく、満腹になって動きを鈍らせるわけにもいかない。
少し考えて、佐賀みかんジャムのかかったソフトクリームと温かい嬉野紅茶をオーダーした。
――窓辺には、緑の木々に雨の降る…
博物館の屋内に入ってからの雨だった。ここでずぶ濡れとなれば、後の行動にいろいろと差しさわりが生じるので、タイミングが良かったと言えるだろう。
ガラス越しに見ている分には、目にもあざやかで潤いのある景色だった。
しばし後、ソフトクリームと紅茶が目の前に運ばれてきた。動き続けてきた私には、白いソフトにのる佐賀みかんジャムの爽やかな酸味に幸福感がある。
――そして嬉野紅茶を、一口含んだ。
「…これは!」
昔、見たグルメ漫画のような反応だが、予想外に味がまろやかだったのだ。
スーパーで買ってくるホットの紅茶と言えば、ある程度の渋みがある。それが紅茶の味だと思っていた。いま飲んだ嬉野紅茶は、それらと別の感覚だった。
この時、私は「紅茶は嬉野(ウレシノ)と、それ以外に分類されるのか!」という整理に至る。そのぐらい、私には嬉野紅茶の味がスッと馴染んだ。
これも「嬉野と言えば、緑茶だ。」と、何ら疑う事もなく、生きてきたからなのか。「今までに知らなかった、嬉野があったのか…」と、何かに目覚めた感じだ。
――幕末期。長崎から輸出された、嬉野茶。
当時は“紅茶”の姿で、世界を駆けていたはずだ。こうして主目的に至る前にもまた1つ、佐賀の力を知る。
お茶の海外での需要は高く、輸出は相当な量に上ったようで、佐賀の嬉野茶だけでは到底足らず、九州各地から茶葉が集められたと聞く。
〔参照(後半):
――きっと、こうした“和紅茶”の世界も、今後、深化していくのだろう。
また1つ、新しい扉が開いてしまった気がする。この、わずかな時間で、佐賀は私にどれだけのものを見せてくれるのだろう。
「ここで与えられたものは、見落とさず持って帰らねば」と、気を引き締めた。
…と、その意気込みは良かったが、「佐賀みかんソフト」と「嬉野紅茶」の写真を撮りそこなっていることに気付いたのは、ずっと後の事である。
(続く)
Posted by SR at 21:57 | Comments(0) | 連続ブログ小説「聖地の剣」
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