2021年03月24日

連続ブログ小説「旅立の剣」(25)シュガーロードを行け

こんばんは。
一昨年の秋、早朝の佐賀市中心部で歩きまわる私。


――時刻は8:15頃。

白山名店街アーケードに入るや、また大通りに抜ける。
どう進むかの判断に迷っているのだ。

佐賀で活動できるのも、あと6時間ほど。12時過ぎからは「さが維新まつり」を観るために、佐賀城公園に居る必要がある。



――時間は、あるようで無い。

白山名店街アーケードの向かい側に渡ってみる。
時間惜しい。ここでどちらに進む方が良いのか…」

佐賀市民の方々、私の焦り失笑しないでほしい。
私から見れば貴重な時のうえで、皆様は生活している…とも言えるのだ。


――どっちだ、どちらに行けば正解なのだ。

先ほど“分岐点”で、360度を見回したせいで選択肢が増えてしまった。

…私が調べたい「幕末佐賀藩」。
その空気を感じられるものは、どの道にもあるはずだ。

お若いの、道に迷っている様子だな。」
いや、私はそんなに若くはない。ただ、その偉業ゆえに銅像に姿を現す、佐賀先人たちからすれば若輩者だろう。



――そこには日本に“西洋菓子”を広めた、2人の姿が。

「キミは、甘い物が好きと見える。」
まず左側に立つ、立派な体格の紳士。腕組みにキャラメルを携える。
伊万里の出身・森永太一郎

「もはや、は決まっているのではないかな。」
こちらは“グリコ”を示しつつ、健康的な“銭湯で牛乳を飲むポーズ”を決める。
佐賀市東部の生まれ・江崎利一


――「そのまま行けば良い。“シュガーロード”を。」

シュガーロード」(砂糖の道)と呼ばれる、長崎街道を行く。

まるで“森永製菓”と“江崎グリコ”によって、扉が開かれたかのようだ。
周辺をクルクル回っていた私は、導かれるように真っ直ぐ歩み始めた。

まだ街が動き始める前、土曜の朝。
白山名店街アーケードに入り直して、東へと進んでいった。

(続く)


※関連記事
私が、佐賀の輩出した“製菓”の巨匠たちに救われる(?)シリーズです。

森永太一郎 編
「おかげさまで1周年。」
「あゝ西洋菓子(西)」
江崎利一 編
「あゝ西洋菓子(東)」
  
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