2021年06月06日
「佐賀を、どう取り戻したか」
こんばんは。
『青天を衝け』の新キャストへの感想も途中ですが、今週末の『ゾンビランドサガ リベンジ』について書きます。
佐賀を舞台にしたアニメで、明治時代の話を描かれると“フィクション”でも反応せずにはいられないようです。ちなみに、この記事の続きになります。
〔参照:「佐賀を取り戻す話」〕
物語の筋書きに関する情報(いわゆるネタバレ)を含みますので、録画された方は視聴後にご覧ください。
――話の題材は、明治期に地図上から消滅した「佐賀県」。
実は明治四年にも一度「伊万里県」に改称していますが、この時は“合併”に伴う調整の要素もあったようで、1年と経たずに「佐賀県」に戻ったようです。
物語の背景は、隣県に合併され「佐賀県」が“消滅”した、明治九年~十六年(1876年~1883年)の時期。
…佐賀の“復県運動”を志し、道行く人に「“佐賀”を取り戻そう」と訴える百崎(ももざき)という青年を軸として進むストーリーでした。

――すごく健気でひたむきに頑張る青年。
活動の途上で、かつて「伝説の花魁(おいらん)」と呼ばれた女性“ゆうぎり”と、出会って親しくなり、その応援を受けていきます。
ほどなく青年のもとには「佐賀を取り戻そう」とする仲間が集まりますが、彼らの“志”は別のところに。その表情からは“佐賀戦争”への恨みが見て取れます。
「力で奪われた過去の誇りは、力で奪い返す」想いを持つ者たちだったのです。
――青年の傍にいる“知人”の冷たい視線。
「佐賀を再び“県”に戻しましょう!」とビラ配りをしていた、青年を時に警察から逃がしたり、面倒を見ていた大人な感じの若者です。
彼の正体は、佐賀で士族の動向を見張る「政府の密偵」だった様子。
百崎青年の仲間たちは、リーダーであるはずの青年に断りなく、要人襲撃に向けての情報を収集。計画は実行段階に移り、集団が武装して夜道を進む時…
――集団の眼前に現れる、青年の“知人”。
政府密偵としての正体を表した“知人”は、恐るべき剣の腕前で青年の仲間を次々と討ちます。こうして、武力行使の計画は未遂に終わります。
不穏な気配に駆け付けた青年は、仲間たちの悲劇と知人・伊東の“裏切り”に驚愕します。そして“知人”の振るう刃は青年にも迫り…
――その時、刃を遮ったのは“ゆうぎり”。
楽器に仕込んだ刀で、斬撃を受け止めます。
「“ゆうぎり”姉さん。ものすごく…強いんですけど。」
…失礼、これはテレビの前の私の感想です。武装した集団を一掃する腕前の剣客が相手。武術の腕が立ちそうな描写はありましたが、ここまでとは。
――しかも、腕が立つだけではありません…
放送開始から10分ほど経過した時点。今後の展開を予見したか「伝説の花魁(おいらん)」だった“ゆうぎり”が、ある大物たち(※)に手紙を送る場面。
…“さがレトロ館”に似た感じの郵便局で手紙を差し出しています。

※左から大隈重信、副島種臣。一番右端が大木喬任(江藤新平と話している)、初稿から訂正しました。
―――“ゆうぎり”が送った、3通の手紙。
手紙の宛先となった3人の当時の動向についても、補足を試みます。
①“政変"で追い落とされても政党や大学を創設し、近代化に挑む大隈重信。
②佐賀(肥前閥)の力が低下しても、筆頭参議として踏みとどまる大木喬任。
③一時は清国を放浪するも、明治天皇の侍講(学問の師)となった副島種臣。
「これは、凄い!すごい人脈だ。」
…宛先が表示されたのは一瞬ですが、こういうところは見逃しません。
――さすがは“伝説”と呼ばれる女性。
佐賀に留まれば、百崎青年は先ほどの襲撃計画の首謀者扱いで捕らえられてしまう。“ゆうぎり”は青年に佐賀から出て、志を遂げるよう伝えます。
まるで弟を見守る姉の愛にも似た動きを見せる…まさに“ゆうぎり”姉さん。青年が行く道は「“佐賀の賢人”たちが誇りに賭けて守ってくれる」と託したようです。
そして立場は違えど、同じ気持ちに傾いていく者が1人。政府密偵の正体を表した知人・伊東は、雪の峠道を進む青年の後を追います。
――深く雪の積もった、三瀬の峠道。
粋にキセルを吹かして、花魁(おいらん)の矜持を見せるかのような“ゆうぎり”。
離れた間合いから刀を抜き合わせる伊東と“ゆうぎり”。一瞬の差、“ゆうぎり”の斬撃が届いた様子で、伊東は地に倒れます。
…いや、最初から斬られるつもりだった様子。ここ数年間、青年の傍に知人として居た伊東は、そのまっすぐな気持ちに次第に惹かれていたようです。
――「悪いな…、とんだ“貧乏くじ”を押し付けちまって…」
知人・伊東から“ゆうぎり”への最後のセリフが泣かせます。ここまでの2人の動きで、政府の密偵・伊東を斬った“ゆうぎり”が騒動の罪を被るのでしょう。
…陸軍の追っ手は、雪道のすぐそこまで来ているようです。おそらくは、「佐賀を取り戻したい」青年を見守ってきた両者が、即興で打った“芝居”。
あるいは青年が語り続けた「新しか“佐賀”」への想いに共鳴してしまった伊東と“ゆうぎり”の2人が出した答え。

――そして、現代。令和の時代に…
あるバーの片隅に置かれた、青年と“ゆうぎり”、知人・伊東の3人が揃った古写真。現世に蘇った“ゆうぎり”の手元には、青年から贈られた赤い櫛(くし)。
…異色の“アイドル系アニメ”のはずが、何とも泣かせる演出。この話を見ると、『大河よ共に泣いてくれ』という主題歌タイトルに妙な説得力を感じます。
「公式な記録が無い事件の数か月後、“佐賀県”が復活する」という構成。これも上手い!絶妙なところがフィクションでつながる…今回はとくに感動しました。
『青天を衝け』の新キャストへの感想も途中ですが、今週末の『ゾンビランドサガ リベンジ』について書きます。
佐賀を舞台にしたアニメで、明治時代の話を描かれると“フィクション”でも反応せずにはいられないようです。ちなみに、この記事の続きになります。
〔参照:
物語の筋書きに関する情報(いわゆるネタバレ)を含みますので、録画された方は視聴後にご覧ください。
――話の題材は、明治期に地図上から消滅した「佐賀県」。
実は明治四年にも一度「伊万里県」に改称していますが、この時は“合併”に伴う調整の要素もあったようで、1年と経たずに「佐賀県」に戻ったようです。
物語の背景は、隣県に合併され「佐賀県」が“消滅”した、明治九年~十六年(1876年~1883年)の時期。
…佐賀の“復県運動”を志し、道行く人に「“佐賀”を取り戻そう」と訴える百崎(ももざき)という青年を軸として進むストーリーでした。
――すごく健気でひたむきに頑張る青年。
活動の途上で、かつて「伝説の花魁(おいらん)」と呼ばれた女性“ゆうぎり”と、出会って親しくなり、その応援を受けていきます。
ほどなく青年のもとには「佐賀を取り戻そう」とする仲間が集まりますが、彼らの“志”は別のところに。その表情からは“佐賀戦争”への恨みが見て取れます。
「力で奪われた過去の誇りは、力で奪い返す」想いを持つ者たちだったのです。
――青年の傍にいる“知人”の冷たい視線。
「佐賀を再び“県”に戻しましょう!」とビラ配りをしていた、青年を時に警察から逃がしたり、面倒を見ていた大人な感じの若者です。
彼の正体は、佐賀で士族の動向を見張る「政府の密偵」だった様子。
百崎青年の仲間たちは、リーダーであるはずの青年に断りなく、要人襲撃に向けての情報を収集。計画は実行段階に移り、集団が武装して夜道を進む時…
――集団の眼前に現れる、青年の“知人”。
政府密偵としての正体を表した“知人”は、恐るべき剣の腕前で青年の仲間を次々と討ちます。こうして、武力行使の計画は未遂に終わります。
不穏な気配に駆け付けた青年は、仲間たちの悲劇と知人・伊東の“裏切り”に驚愕します。そして“知人”の振るう刃は青年にも迫り…
――その時、刃を遮ったのは“ゆうぎり”。
楽器に仕込んだ刀で、斬撃を受け止めます。
「“ゆうぎり”姉さん。ものすごく…強いんですけど。」
…失礼、これはテレビの前の私の感想です。武装した集団を一掃する腕前の剣客が相手。武術の腕が立ちそうな描写はありましたが、ここまでとは。
――しかも、腕が立つだけではありません…
放送開始から10分ほど経過した時点。今後の展開を予見したか「伝説の花魁(おいらん)」だった“ゆうぎり”が、ある大物たち(※)に手紙を送る場面。
…“さがレトロ館”に似た感じの郵便局で手紙を差し出しています。
※左から大隈重信、副島種臣。一番右端が大木喬任(江藤新平と話している)、初稿から訂正しました。
―――“ゆうぎり”が送った、3通の手紙。
手紙の宛先となった3人の当時の動向についても、補足を試みます。
①“政変"で追い落とされても政党や大学を創設し、近代化に挑む大隈重信。
②佐賀(肥前閥)の力が低下しても、筆頭参議として踏みとどまる大木喬任。
③一時は清国を放浪するも、明治天皇の侍講(学問の師)となった副島種臣。
「これは、凄い!すごい人脈だ。」
…宛先が表示されたのは一瞬ですが、こういうところは見逃しません。
――さすがは“伝説”と呼ばれる女性。
佐賀に留まれば、百崎青年は先ほどの襲撃計画の首謀者扱いで捕らえられてしまう。“ゆうぎり”は青年に佐賀から出て、志を遂げるよう伝えます。
まるで弟を見守る姉の愛にも似た動きを見せる…まさに“ゆうぎり”姉さん。青年が行く道は「“佐賀の賢人”たちが誇りに賭けて守ってくれる」と託したようです。
そして立場は違えど、同じ気持ちに傾いていく者が1人。政府密偵の正体を表した知人・伊東は、雪の峠道を進む青年の後を追います。
――深く雪の積もった、三瀬の峠道。
粋にキセルを吹かして、花魁(おいらん)の矜持を見せるかのような“ゆうぎり”。
離れた間合いから刀を抜き合わせる伊東と“ゆうぎり”。一瞬の差、“ゆうぎり”の斬撃が届いた様子で、伊東は地に倒れます。
…いや、最初から斬られるつもりだった様子。ここ数年間、青年の傍に知人として居た伊東は、そのまっすぐな気持ちに次第に惹かれていたようです。
――「悪いな…、とんだ“貧乏くじ”を押し付けちまって…」
知人・伊東から“ゆうぎり”への最後のセリフが泣かせます。ここまでの2人の動きで、政府の密偵・伊東を斬った“ゆうぎり”が騒動の罪を被るのでしょう。
…陸軍の追っ手は、雪道のすぐそこまで来ているようです。おそらくは、「佐賀を取り戻したい」青年を見守ってきた両者が、即興で打った“芝居”。
あるいは青年が語り続けた「新しか“佐賀”」への想いに共鳴してしまった伊東と“ゆうぎり”の2人が出した答え。
――そして、現代。令和の時代に…
あるバーの片隅に置かれた、青年と“ゆうぎり”、知人・伊東の3人が揃った古写真。現世に蘇った“ゆうぎり”の手元には、青年から贈られた赤い櫛(くし)。
…異色の“アイドル系アニメ”のはずが、何とも泣かせる演出。この話を見ると、『大河よ共に泣いてくれ』という主題歌タイトルに妙な説得力を感じます。
「公式な記録が無い事件の数か月後、“佐賀県”が復活する」という構成。これも上手い!絶妙なところがフィクションでつながる…今回はとくに感動しました。
Posted by SR at 21:09 | Comments(0) | メディア・イベント見聞
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