2021年05月30日
「佐賀を取り戻す話」
こんにちは。
前回の記事で“西九州新幹線”の沿線シリーズを一旦終えました。
あらためて調べると、佐賀と長崎に様々なつながりが見えて来ます。まだまだ、書き足らなかったところは、いずれご紹介する機会も作りたいです。
――ところで、前回の冒頭でつぶやいた“余談”。
アニメ『ゾンビランドサガR(リベンジ)』を見て衝撃を受けたと書きました。
…とはいえ、同番組をご覧になっていない方も多いと思います。
「何に、そこまで反応するのか?」と問われれば、とくに今回は「明治時代の話だったから!」と答えます。
以下、物語の筋書きに関する情報(いわゆるネタバレ)を含みます。
――幕末・明治期を生きた女性も、現代で活躍します。
“ゾンビ”という禁じ手で成り立っているためか、そのストーリーは変幻自在。
明治期に人気が出過ぎて、誰も手が届かなくなったと称される、「伝説の花魁(おいらん)」“ゆうぎり”の生前の姿が描かれました。
なお、現代ではメンバーの“5号”として仲間とともにアイドル活動をします。
直近の放送回は“ゆうぎり”が政府高官に身請けされ、花街から一般の社会に戻る場面から始まります。行く先は、その有力者の出身地と思われる佐賀。

※さがレトロ館(もとは明治二十年に建築された“佐賀県”の警察庁舎だそうです。)
――しかし、一筋縄では行かない展開が。
いきなり「実はもう、佐賀は無いんだけどな…」という衝撃のセリフが飛びます。
知ってはいましたが、言葉で聞くとドキッとします。“佐賀の乱”と呼ばれ、士族反乱に分類される戦争の後、佐賀県が一時“消滅”の憂き目にあっていたこと。
明治九年(1876年)、当時の佐賀県は、福岡・筑後地方の三潴(みずま)県に合併。県名としての“佐賀”は姿を消します。
のち三潴県は消滅。続いて佐賀は長崎県に合併となります。福岡県と長崎県だけが存在し、佐賀県が消えた北部九州の地図。あらためて見ると衝撃的。
――まさか、これをアニメの物語に入れて来るとは…
明治期の人物として、今回の主役っぽい地元・佐賀の青年が登場します。
彼は「“佐賀”を取り戻したい」と、道行く人々に訴えます。話が進む途上で青年は満開の桜のもと、先ほどの“ゆうぎり”と出会い、心をときめかせる展開に。
この時点で“ゆうぎり”は花魁(おいらん)を辞めて佐賀に来たものの、この地に連れてきた有力者には先立たれて、独りになっています。

――見ていて、感銘を受けたこと。
話の前段で「近代化を果たした佐賀が、新時代の立役者になった」旨の説明。
一瞬ではありますが、歴史の紹介で佐賀の殿・鍋島直正公の姿が見えました。「思いもかけぬ場所にて、殿のご尊顔を拝し奉れるとは…」という気分です。
――また、“主役”の青年と知人との会話で…
明治七年(1874年)の「“佐賀戦争”の二の舞はいけない」とセリフがあります。しかも、青年の父は、その戦いの中で討たれたと語られていました。
一般的な「佐賀の乱」という用語を使わないことに、作品の心意気を感じます。
この戦乱については新政府側が「誰を消そうとしたか」の動機が読み取りやすく、佐賀側は「攻めてくるから、迎え撃った」だけ…との見解も主張されています。

――しかも、物語が展開する年代が絶妙。
明治十四年(1881年)から。明治政府で頑張っていた大隈重信や佐野常民までが政変で追いやられ、佐賀(肥前閥)の力が決定的に低下した時期です。
少し史実寄りの話をすると、ここで「転んでもタダでは起きない」のが大隈らしさ。負けじと国会の開設への動きを加速させ、新しい教育にも情熱を注ぎます。
今度は政党や大学を創設し、日本の“意識の近代化”を進める、大隈の意地も「佐賀の大河ドラマ」で見たいポイントです。
――いろいろと話が逸れましたが…
メンバーが“故人”ばかりで異色のアイドル系アニメ。ノリについて行くのが大変な時もありますが、佐賀を語って、考えさせられる作品の存在は喜ばしいです。
しかし、悲劇が予感される次週の展開は不安なところ。おそらくハッピーエンドではなくて、それでも“佐賀”の志は続く…ような展開になるのでしょうか。
ちなみに、粘り強い“復県運動”により「佐賀県」が再び地図上に返り咲くのは、明治十六年(1883年)のことだそうです。
前回の記事で“西九州新幹線”の沿線シリーズを一旦終えました。
あらためて調べると、佐賀と長崎に様々なつながりが見えて来ます。まだまだ、書き足らなかったところは、いずれご紹介する機会も作りたいです。
――ところで、前回の冒頭でつぶやいた“余談”。
アニメ『ゾンビランドサガR(リベンジ)』を見て衝撃を受けたと書きました。
…とはいえ、同番組をご覧になっていない方も多いと思います。
「何に、そこまで反応するのか?」と問われれば、とくに今回は「明治時代の話だったから!」と答えます。
以下、物語の筋書きに関する情報(いわゆるネタバレ)を含みます。
――幕末・明治期を生きた女性も、現代で活躍します。
“ゾンビ”という禁じ手で成り立っているためか、そのストーリーは変幻自在。
明治期に人気が出過ぎて、誰も手が届かなくなったと称される、「伝説の花魁(おいらん)」“ゆうぎり”の生前の姿が描かれました。
なお、現代ではメンバーの“5号”として仲間とともにアイドル活動をします。
直近の放送回は“ゆうぎり”が政府高官に身請けされ、花街から一般の社会に戻る場面から始まります。行く先は、その有力者の出身地と思われる佐賀。
※さがレトロ館(もとは明治二十年に建築された“佐賀県”の警察庁舎だそうです。)
――しかし、一筋縄では行かない展開が。
いきなり「実はもう、佐賀は無いんだけどな…」という衝撃のセリフが飛びます。
知ってはいましたが、言葉で聞くとドキッとします。“佐賀の乱”と呼ばれ、士族反乱に分類される戦争の後、佐賀県が一時“消滅”の憂き目にあっていたこと。
明治九年(1876年)、当時の佐賀県は、福岡・筑後地方の三潴(みずま)県に合併。県名としての“佐賀”は姿を消します。
のち三潴県は消滅。続いて佐賀は長崎県に合併となります。福岡県と長崎県だけが存在し、佐賀県が消えた北部九州の地図。あらためて見ると衝撃的。
――まさか、これをアニメの物語に入れて来るとは…
明治期の人物として、今回の主役っぽい地元・佐賀の青年が登場します。
彼は「“佐賀”を取り戻したい」と、道行く人々に訴えます。話が進む途上で青年は満開の桜のもと、先ほどの“ゆうぎり”と出会い、心をときめかせる展開に。
この時点で“ゆうぎり”は花魁(おいらん)を辞めて佐賀に来たものの、この地に連れてきた有力者には先立たれて、独りになっています。
――見ていて、感銘を受けたこと。
話の前段で「近代化を果たした佐賀が、新時代の立役者になった」旨の説明。
一瞬ではありますが、歴史の紹介で佐賀の殿・鍋島直正公の姿が見えました。「思いもかけぬ場所にて、殿のご尊顔を拝し奉れるとは…」という気分です。
――また、“主役”の青年と知人との会話で…
明治七年(1874年)の「“佐賀戦争”の二の舞はいけない」とセリフがあります。しかも、青年の父は、その戦いの中で討たれたと語られていました。
一般的な「佐賀の乱」という用語を使わないことに、作品の心意気を感じます。
この戦乱については新政府側が「誰を消そうとしたか」の動機が読み取りやすく、佐賀側は「攻めてくるから、迎え撃った」だけ…との見解も主張されています。
――しかも、物語が展開する年代が絶妙。
明治十四年(1881年)から。明治政府で頑張っていた大隈重信や佐野常民までが政変で追いやられ、佐賀(肥前閥)の力が決定的に低下した時期です。
少し史実寄りの話をすると、ここで「転んでもタダでは起きない」のが大隈らしさ。負けじと国会の開設への動きを加速させ、新しい教育にも情熱を注ぎます。
今度は政党や大学を創設し、日本の“意識の近代化”を進める、大隈の意地も「佐賀の大河ドラマ」で見たいポイントです。
――いろいろと話が逸れましたが…
メンバーが“故人”ばかりで異色のアイドル系アニメ。ノリについて行くのが大変な時もありますが、佐賀を語って、考えさせられる作品の存在は喜ばしいです。
しかし、悲劇が予感される次週の展開は不安なところ。おそらくハッピーエンドではなくて、それでも“佐賀”の志は続く…ような展開になるのでしょうか。
ちなみに、粘り強い“復県運動”により「佐賀県」が再び地図上に返り咲くのは、明治十六年(1883年)のことだそうです。
Posted by SR at 16:39 | Comments(0) | メディア・イベント見聞
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