2020年02月25日
第4話「諸国遊学」⑨
こんばんは。
今回は、島義勇が東へ旅立ちます。一時、江戸に行った佐野常民ですが、この頃は佐賀にいて結婚もしています。
第4話「諸国遊学」は1843年前後を軸にしたお話を構成しました。”資料”と“想像”の間を行ったり来たり…という感じです。
――ピーヒョロロ~♪
トンビが大空を旋回している。
島義勇(団右衛門)にも、諸国遊学の許しが出た。
幕府の“昌平坂学問所”に派遣されている枝吉神陽ほどではないが、島も期待されているのだ。
「さて、神陽には無くて、儂が持っている力か…なんじゃろうか。」
島義勇は神陽から与えられた問いに向き合う。
見た目は豪快だが、まっすぐで凄くマジメな男なのだ。
――島義勇は、東海道を東に向かっている。
「おおっ、海じゃ!」
目の前にガバッと開ける太平洋。
有明海とは雰囲気が異なる、やたら広い海域。

――島は、藩校「弘道館」での講義を想い出す。
「殿は、この国の隅々まで知りたいと仰せになった。」
藩校の教師の1人、永山十兵衛が語る。
「そして、私は白河の関を超え、陸奥(みちのく)を旅したのである。」
かつて鍋島直正の命令により、永山は東北を探索したことがある。
若殿だった直正が悩んでいるときに支えた側近、永山十兵衛。
その言葉は、真っ直ぐな島にビシビシと刺さっていた。
「儂も殿のためなら、どこにでも行く!」
…としばらくの間、息巻いて(空回りして)いたのだった。
――この後、島義勇は水戸(茨城)まで足を運ぶ。
東北へと続く、長い海岸線を持つ、水戸藩。
幕府では、沿岸警備の役目を担い、“蝦夷地”にも強い関心を持っていた。
後に島義勇が“蝦夷地”(北海道)に向かう伏線が着々と張られていた…。
――そして佐野常民である。なんと結婚式を挙げている。
佐野常民(栄寿)は、藩医・佐野家の養子である。
お相手の“駒子”も同じ家の養女だった。
先に言ってしまうと、佐野の妻・駒子は「良くできた奥さん」である。
まず身を固め、そして“医術のため”に蘭学修業に出る佐野。
先日、殿からの指示で城下の武家屋敷に行き、佐賀藩“蘭学”の中枢に触れた。その場で、佐野は密命を受ける。
「蘭学を学ぶ傍ら、才能ある者を探し、佐賀に引き込め」との内容である。
やはり佐野は困惑していた。
「私は医者の修業に行くのだ…いきなり他事を考えるのは、いかがなものか。」
――考え事をするも、婚儀の宴席の最中である。
親戚筋の酒好きが集まって言う。
「栄寿!何をポ~ッとしておる!めでたい席じゃ。」
「そうそう、もっと酒を飲んで良いのだぞ。」
「そうですね。では、ありがたくいただきます。」
グイッと盃を空ける。
佐野も“鯨飲”と呼ばれるほどだ。酒はかなりいける。
「まぁ、良い飲みっぷりですこと。」
傍らで、新婦の駒子が笑っていた。
(第5話「藩校立志」に続く)
今回は、島義勇が東へ旅立ちます。一時、江戸に行った佐野常民ですが、この頃は佐賀にいて結婚もしています。
第4話「諸国遊学」は1843年前後を軸にしたお話を構成しました。”資料”と“想像”の間を行ったり来たり…という感じです。
――ピーヒョロロ~♪
トンビが大空を旋回している。
島義勇(団右衛門)にも、諸国遊学の許しが出た。
幕府の“昌平坂学問所”に派遣されている枝吉神陽ほどではないが、島も期待されているのだ。
「さて、神陽には無くて、儂が持っている力か…なんじゃろうか。」
島義勇は神陽から与えられた問いに向き合う。
見た目は豪快だが、まっすぐで凄くマジメな男なのだ。
――島義勇は、東海道を東に向かっている。
「おおっ、海じゃ!」
目の前にガバッと開ける太平洋。
有明海とは雰囲気が異なる、やたら広い海域。

――島は、藩校「弘道館」での講義を想い出す。
「殿は、この国の隅々まで知りたいと仰せになった。」
藩校の教師の1人、永山十兵衛が語る。
「そして、私は白河の関を超え、陸奥(みちのく)を旅したのである。」
かつて鍋島直正の命令により、永山は東北を探索したことがある。
若殿だった直正が悩んでいるときに支えた側近、永山十兵衛。
その言葉は、真っ直ぐな島にビシビシと刺さっていた。
「儂も殿のためなら、どこにでも行く!」
…としばらくの間、息巻いて(空回りして)いたのだった。
――この後、島義勇は水戸(茨城)まで足を運ぶ。
東北へと続く、長い海岸線を持つ、水戸藩。
幕府では、沿岸警備の役目を担い、“蝦夷地”にも強い関心を持っていた。
後に島義勇が“蝦夷地”(北海道)に向かう伏線が着々と張られていた…。
――そして佐野常民である。なんと結婚式を挙げている。
佐野常民(栄寿)は、藩医・佐野家の養子である。
お相手の“駒子”も同じ家の養女だった。
先に言ってしまうと、佐野の妻・駒子は「良くできた奥さん」である。
まず身を固め、そして“医術のため”に蘭学修業に出る佐野。
先日、殿からの指示で城下の武家屋敷に行き、佐賀藩“蘭学”の中枢に触れた。その場で、佐野は密命を受ける。
「蘭学を学ぶ傍ら、才能ある者を探し、佐賀に引き込め」との内容である。
やはり佐野は困惑していた。
「私は医者の修業に行くのだ…いきなり他事を考えるのは、いかがなものか。」
――考え事をするも、婚儀の宴席の最中である。
親戚筋の酒好きが集まって言う。
「栄寿!何をポ~ッとしておる!めでたい席じゃ。」
「そうそう、もっと酒を飲んで良いのだぞ。」
「そうですね。では、ありがたくいただきます。」
グイッと盃を空ける。
佐野も“鯨飲”と呼ばれるほどだ。酒はかなりいける。
「まぁ、良い飲みっぷりですこと。」
傍らで、新婦の駒子が笑っていた。
(第5話「藩校立志」に続く)
Posted by SR at 21:12 | Comments(0) | 第4話「諸国遊学」
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