2020年02月18日

第4話「諸国遊学」②

こんばんは。
幕末佐賀藩の話を書いていると「企業ドラマ」のように見えてきます。直正の妻・盛姫まで出来るキャリアウーマンのように思えることも…

――佐賀城本丸の再建には、このような闘いもあった。

「もう少し切り詰められんのか!」
勘定方の“御大”が若手にビシビシと激を飛ばす。

「この値では、商人が承知いたしませぬ…」
「致し方なしか…、いや、もう少し粘ろう!」

第1話からの登場、長崎御番とよく(曲がり角で)衝突する勘定方である。別名「倹約の鬼」とも呼ばれる。そして今日も“”は金棒を振る。

工事の人手が足りません。」
「それは家中の者で何とかしよう!」

佐賀藩上級武士に至るまで、慣れない肉体労働を行い、再建を進めた。あまりにも作業に不慣れなので、周囲が苦笑するような場面もあった。

しかし藩主・直正もそのような風景を見かけては、一緒に笑っている。現場の雰囲気は悪くなかったようである。

第4話「諸国遊学」②

――かつて「“さがんもん”が通った跡は、草一本生えとらん!」と揶揄された時代があったと聞く。

を建て直すため、必死に佐賀藩士たちは節約生活を行った。
確かにケチだったかもしれないが、とても頑張ったのである。

「くっ!これでもまだ足らんか!」

いくら切り詰めても、再建には金がかかる。

「いかん…当座の資金が足らぬ!動きようがない!」


――柱の陰から、請役(藩のナンバー2)鍋島安房が手招きをする。

安房様!何用でございますか!?」
「声が大きい!実はな…」

「…二万両!でございますか!?」
「やはり声が大きい!先にお主にだけ知らせておるのだ。実はな…」

「なんと、ご正室さまが、公儀(幕府)よりお借入れを!」
「そちには、秘密の話はできんようじゃな…」

――直正の妻(正室)・盛姫は将軍家の姫である。

大奥の人脈を使って幕府と交渉し、再建費用のうち二万両を借り入れを成立させた。

ご正室さまっ!まるで神様がごたぁ…」
手を合わせ、感涙に打ち震える勘定方

「かなり追い込まれておったのだな…」
機密の保持の観点では0点の反応だが、いずれ明らかになること。
鍋島安房は不問に付すことにした。


――参勤交代で江戸に向かう鍋島直正。安房が見送る。

殿、行ってらっしゃいませ。」
安房佐賀を頼んだぞ。」

大名正室は基本的に江戸から出ることができない。
そのため盛姫に会えるのは、直正江戸にいる時のみである。

佐賀藩は、長崎警護の負担をしているため、江戸滞在期間は短く設定されている。
通常は1年の期間であるところが、百日程度で済んだため「百日大名」などと呼ばれた。

そのため、直正江戸の滞在期間は短い。
そして残念ながら、直正盛姫の間には子がなかった。

安房からは、勘定方の重役たちが盛姫に感謝し、崇敬していると申し送った。
「此度は、(姫)の働きあってのことじゃからのう。」
ご正室さまの人徳でござる。」

盛姫の存在により、幕府佐賀藩の距離が近くなったことは否めない。
このとき盛姫が用立てた二万両は、後に意外な方法で返済されることとなる。

(続く)



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Posted by SR at 21:31 | Comments(0) | 第4話「諸国遊学」
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