2021年04月13日

連続ブログ小説「旅立の剣」(30)殿、お腹空いた…

こんばんは。
勢いで“朝食抜き”で歩き続けた、一昨年の秋。

限界を感じる私を、この場所見つめる御方が居られました。
〔参照(後半)※写真:「誰の“視点”から見るか?」


――朝9:15。私の無計画は不都合を生じた。

城内にあるサガテレビの「JYOUNAI SQUARE」。
漠然と、ここのカフェを利用しようと考えていた。

様子を伺うと、「開店10:30-」と表示があった。
私は打ちのめされた。“私自身の甘さ”にである。

「しまった…街中喫茶店と同じに考えていた。」


――さて、どうする…?

この道の先に「さがレトロ館」がある。しかし、カフェ以上に営業開始時間は遅いと予想がつく。

どうにも足取りが重くなってきた。それでも惰性で進み続ける。道端ではイベントの準備が進む。佐賀城鯱の門の近くで、くるりと周った。

連続ブログ小説「旅立の剣」(30)殿、お腹空いた…
〔参照(拡大写真):「鍋島直正」(賢人その1)<後編>


――ふと、顔を上げる。殿がこちらをご覧になっている。

殿ご尊顔拝し奉り恐悦至極に存じます!」
(ごそんがんはいし たてまつり きょうえつ しごくに ぞんじます)

佐賀藩士(?)と疑問符が付く身だが、このような気持ちは大事にしたい。

「うむ、苦しゅうない。そう固くならずとも良いぞ。」
ありがたき幸せ。」

「…お主は、何故ふらついておる?」
「…殿お腹空きましてございます。」


――危うい幻覚ではない。当ブログではよくある展開だ。

「わが家来の末裔(まつえい)にしては、心もと無いのう。」
「もはや、色々と混ざっておりますゆえ…」

銅像の身ゆえ、細々と世話は焼いてやれぬ。」
「ははっ。」

「道なりに戻れば“せぶん いれぶん”があろう。腹が減っては事も成せぬぞ。」
御意(ぎょい)!」

私は一礼をすると、第10代佐賀藩主鍋島直正公の銅像前から退出する。


――こうして私は、ごく自然な形(?)で来た道を戻った。

「まず、何か食べねば…」
佐賀の名物を朝食に選べなかったのは、この旅で数少ない“残念”だった。

一方で、帰路に入る刻限まで、あと5時間ばかり。
9:30には佐賀城本丸歴史館が開く。相変わらず、時間節約も必要だった。


(続く)




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