2020年01月28日

第2話「算盤大名」②-1

こんばんは。
昨日の続きです。第2回放送開始後、10分経過のイメージです。

②武雄領の鍋島茂義という人物

――異国船打払令が出た翌年。

藩主・鍋島斉直は激怒していた。側近にこう告げる。
「ただちに、茂義を呼べ!」

――現在の佐賀県西部にある、佐賀藩自治領・武雄。

かつて北九州一帯を支配し、鍋島家にとって主家であった龍造寺家。
武雄領主は、その龍造寺一門の流れを汲みつつも、江戸期より鍋島姓を名乗っている。

第2話「算盤大名」②-1


――鍋島茂義が、佐賀城に姿を見せた。

「お主、なぜ呼ばれたかは、わかっておろうな!」
怒りに肩を震わせる藩主・斉直
久しぶりの緊張感。ぬるま湯に漬かりきった側近たちが慌てる。

「概ね、察しは付きまする。」
藩主の怒りを堂々と受け止める、鍋島茂義。肝が座っている。

「ほう、わかっておると申すか!」
殿遊興の道へといざなう“悪の巣窟”を叩き申した!」
まったく遠慮のない言葉を遣う。

江戸の品川には藩主・斉直が遊ぶための屋敷があった。
鍋島茂義は、財政を圧迫するムダの象徴として、その屋敷をまるごと破却した。

「貴様…っ!切腹じゃ!!」
言うなれば“楽園”を破壊された、斉直の怒りは凄まじかった。

「ほう…切腹でござるか。」
まったく動じない、鍋島茂義

茂義様!早く謝ってくだされ!」
斉直側近たちが右往左往する。茂義家来は顔面蒼白である。

「くっ・・・ひとまず下がっておれ!」
怒りに任せた切腹の命令を真正面から受け止められ、逆に斉直がたじろぐ。

このときばかりは、斉直の側近も動きが早かった。
大急ぎで方々の、鍋島家一門の有力者に仲裁を依頼して回る。


――かろうじて、鍋島茂義の切腹の処分は撤回された。

「はっはっは…またしてもやり過ぎてしもうたか!」
「…毎度のことながら、生きた心地がしませんでした!殿には肝を冷やされます…」

「冷えた体には、武雄の湯が効くではないか!戻り次第、ひと風呂浴びるとしよう。」
「…若様、そのような問題ではございません…」

藩の請役を解任された鍋島茂義と家来衆は、ひとまず武雄領に戻るのだった。

(続く)



同じカテゴリー(第2話「算盤大名」)の記事画像
第2話「算盤大名」⑤-2
第2話「算盤大名」⑤-1
第2話「算盤大名」④
第2話「算盤大名」③-3
第2話「算盤大名」③-2
第2話「算盤大名」③-1
同じカテゴリー(第2話「算盤大名」)の記事
 第2話「算盤大名」⑤-2 (2020-02-04 22:23)
 第2話「算盤大名」⑤-1 (2020-02-03 21:20)
 第2話「算盤大名」④ (2020-02-02 12:18)
 第2話「算盤大名」③-3 (2020-02-01 15:08)
 第2話「算盤大名」③-2 (2020-01-31 22:12)
 第2話「算盤大名」③-1 (2020-01-30 22:04)

Posted by SR at 21:51 | Comments(0) | 第2話「算盤大名」
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。
上の画像に書かれている文字を入力して下さい
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。