2019年12月26日

「江藤新平」(賢人その6)<前編>

こんばんは。

時折「良いお年を」との暮れ挨拶が飛び交う季節になりましたね。

さて、今回の“賢人その6”は、ややプレッシャーを感じています。
佐賀の七賢人”の中で、最も熱烈なファンの多い方。
江藤新平様を紹介します。

さて、引き続き時代は明治初期。舞台は“東京”です。

このとき、江藤様は新政府の司法卿
江戸時代の制度を、近代国家司法変換するという難業に当たっていました。
たとえば“町奉行所”を「裁判所」に変換するようなイメージです。

「江藤新平」(賢人その6)<前編>
※さがレトロ館(明治時代の警察庁舎)

また、行政の課題解決においても、新政府江藤様と並ぶ者はおらず、“困ったときの江藤頼み”の状況が伝えられています。

忙しい中でも、近代国家を支えていく人材を発掘すべく、江藤様はよく面接をしていたそうです。
優秀と判断すれば、書生として面倒を見たため、だいぶ出費も嵩んでいた様子。

一般の武士にとって、明治就職難の時代。
江藤様に認められることは、官僚として活躍できるビックチャンスでした。


――司法省、玄関前にて。

「何者だ!」
…いきなり脅かさないでくださいよ。江藤先生にお会いするために参りました。

「失礼した。私は伊予(愛媛)宇和島出身。司法省児島と申す。」
児島様。丁寧なご挨拶、恐れ入ります。

「失礼を言うようだが、江藤先生は公平な選考をなさる。佐賀の方でも油断なさるな。」
…あれっ、いつの間にか面接受験者扱いになってますね!?

「私が案内する!ついて来られよ。」
…児島様。真っ直ぐな方だ。

「江藤新平」(賢人その6)<前編>
※洋館の廊下(長崎街道より)

――司法卿(大臣)、執務室前。

江藤先生、失礼します!児島、入ります!」
入りたまえ!
江藤様、声が通りますね。

――江藤先生、はじめまして。

佐賀の者と聞いたが、初めてお目にかかるな。」
…いろいろと事情がございまして。

君は本を読むか?」
…いきなり面接っぽい展開が来た!はい、わりと読みます。

では、どんな本を読むか?」
…向き合ってみると、さらに声が通る!緊張で気後れするが、何か言わねば!


――そうだ。最近、“地方消滅”という本を読みました。

その本で、君は何を得たか?」
“東京一極集中”が国全体の利にならず、逆に日本衰退させる恐れがあると。
 そのため地方中枢都市若年人口を流出させない機能が必要と語ったでした!

「君は本の読み方が、少々浅いようだ。」
…うっ、痛いところを突かれました。

「そして司法省には向かぬようだ。不合格とさせてもらおう。」
…もともと面接を受けに来たのではないのですが、心理的ダメージ。

「だが、君は大隈と会ってみると良いかもしれぬな。何か得られる物があるだろう。」
江藤様、頭の回転が早い。

「近日、会議同席する予定があるゆえ、大隈には伝えておく。」
…お忙しいところ、ありがとうございました。


――玄関前。

江藤先生は、お忙しいのだ。あまり時間が取れなかったが、気を悪くするな。」
…いえいえ、お話できただけで良かったです。児島様もありがとうございました。

江藤様は近代司法の制度を築いただけでなく、それを支える人材育てていたんですね。



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Posted by SR at 22:03 | Comments(0) | 人物紹介編(C)
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