2022年11月02日
連続ブログ小説「聖地の剣」(25)舞いあがれ、バルーン
こんばんは。
およそ2年半の時を隔てた、佐賀への“帰藩”の話も終わりに近づいています。この旅のラストの立ち寄り先は『佐賀バルーンミュージアム』。
ちょうど、11月はバルーンフェスタの季節ですね。足元と周囲に気をつけて、秋の空を見上げてください。佐賀にしかない景色が、そこにあるのですから。

――佐賀駅到着から、6時間が経過。
私の帰藩は、夏を迎える前の季節だった。わずかな時間だったが、ひとまずの目的地は回り終えた。
ミュージアムは閉館時間も近く、見学はあきらめたが、ロビーで一息を入れる。トリックアートなのか、不思議な景色のもとで写真が撮れるスぺースがある。
小さな女の子が、空に続く階段とバルーンが描かれたアートの前で、元気に飛び跳ねて、母親がカメラのスイッチをパシャパシャと押している。
――きっと、この子には、“大きい夢”が見えている。
それは「自由に空を飛べる夢」なのだろうか。まるで、朝の連続テレビ小説のような景色だ。
この時期の朝ドラは、まだ「空に舞い上がる」作品ではなかったが、そのような印象を受けた。
なかなか微笑ましく、「この街で健やかに、夢を育んでいってほしい」と思った。佐賀県は子育てのしやすさでは高評価だと聞くことも多い。

――もうじき日常に戻っていくので、この旅路を顧みる。
ほぼ、佐賀駅前と佐賀城下しか回れてはいない。本当は市内だけではなく、県内全域に立ち寄りたい場所が山ほどにある。
私も、歳をとった。いつも時間に追われる感覚が消えない。そして、頑張らねばならない状況でも、もう以前のようには、身体も動いてくれない。
一方で、幕末・明治期の佐賀を思えば「…私も、負けられない」という気持ちが湧くことが、よくあるのだ。こうして、どうにか日々を切り抜けている。
――先ほどの女の子と、その母親はご機嫌で帰っていった。
「まだ夢を追っている…という意味では、私も“あの子”も、大差ないか。」
天高く上がっていく熱気球(バルーン)。これほど、上向きな気分になれる物体も、そうは無いのではないか。
以前、“本編”でアメリカで気球を見たという佐賀藩士の話を書いた。出典は不確かだが、象徴的なエピソードだと思って、そのまま使っている。
〔参照(後半):第15話「江戸動乱」③(異郷で見た気球〔バルーン〕)〕

――「志は、天に通ず」という言葉もある。
ミュージアムのロビーの高い天井に、バルーンのオブジェを見上げる。私には、佐賀には似つかわしい景色と見えている。
傍目(はため)には、疲れた人がボーッと上を向いている感じもあるだろうが、晴れ晴れとした心持ちだ。
そして、バルーンミュージアムの外には、佐賀と長崎とつなぐ物語に関わる「もう1つの忘れ物」があった。
(続く)
およそ2年半の時を隔てた、佐賀への“帰藩”の話も終わりに近づいています。この旅のラストの立ち寄り先は『佐賀バルーンミュージアム』。
ちょうど、11月はバルーンフェスタの季節ですね。足元と周囲に気をつけて、秋の空を見上げてください。佐賀にしかない景色が、そこにあるのですから。
――佐賀駅到着から、6時間が経過。
私の帰藩は、夏を迎える前の季節だった。わずかな時間だったが、ひとまずの目的地は回り終えた。
ミュージアムは閉館時間も近く、見学はあきらめたが、ロビーで一息を入れる。トリックアートなのか、不思議な景色のもとで写真が撮れるスぺースがある。
小さな女の子が、空に続く階段とバルーンが描かれたアートの前で、元気に飛び跳ねて、母親がカメラのスイッチをパシャパシャと押している。
――きっと、この子には、“大きい夢”が見えている。
それは「自由に空を飛べる夢」なのだろうか。まるで、朝の連続テレビ小説のような景色だ。
この時期の朝ドラは、まだ「空に舞い上がる」作品ではなかったが、そのような印象を受けた。
なかなか微笑ましく、「この街で健やかに、夢を育んでいってほしい」と思った。佐賀県は子育てのしやすさでは高評価だと聞くことも多い。
――もうじき日常に戻っていくので、この旅路を顧みる。
ほぼ、佐賀駅前と佐賀城下しか回れてはいない。本当は市内だけではなく、県内全域に立ち寄りたい場所が山ほどにある。
私も、歳をとった。いつも時間に追われる感覚が消えない。そして、頑張らねばならない状況でも、もう以前のようには、身体も動いてくれない。
一方で、幕末・明治期の佐賀を思えば「…私も、負けられない」という気持ちが湧くことが、よくあるのだ。こうして、どうにか日々を切り抜けている。
――先ほどの女の子と、その母親はご機嫌で帰っていった。
「まだ夢を追っている…という意味では、私も“あの子”も、大差ないか。」
天高く上がっていく熱気球(バルーン)。これほど、上向きな気分になれる物体も、そうは無いのではないか。
以前、“本編”でアメリカで気球を見たという佐賀藩士の話を書いた。出典は不確かだが、象徴的なエピソードだと思って、そのまま使っている。
〔参照(後半):
――「志は、天に通ず」という言葉もある。
ミュージアムのロビーの高い天井に、バルーンのオブジェを見上げる。私には、佐賀には似つかわしい景色と見えている。
傍目(はため)には、疲れた人がボーッと上を向いている感じもあるだろうが、晴れ晴れとした心持ちだ。
そして、バルーンミュージアムの外には、佐賀と長崎とつなぐ物語に関わる「もう1つの忘れ物」があった。
(続く)
Posted by SR at 22:57 | Comments(0) | 連続ブログ小説「聖地の剣」
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