2021年04月24日

連続ブログ小説「旅立の剣」(34)救いのシシリアン

こんばんは。
3度目の「緊急事態宣言」が報じられています。仕事に影響を受ける方はもちろん、GWの自粛が辛い…という方も多いかもしれません。皆様もお気を付けて。

冷静さを保つことが、最前線で立ち向かう人たちの一助になるのだと信じます。
…淡々と、いつもの一昨年の話を続けます。


――11:30。佐賀県立博物館の廊下にて。

肥前さが幕末維新博覧会メモリアル映像を見終わった。手嶌葵さんによるイメージソング「一番星」は、心を“浄化”するような歌声だった。

ドキュメンタリーで見た、佐賀に集う人たちは良い表情をしていた。先人たちの姿は、来場者へ“”の火を灯したのだろう。


――私も、目頭を熱くして外に出た。

「やはり、佐賀に来て良かった…」
この旅で、こう思うのは何度目だろう。

あわせて展示のあった、来場者のまっすぐなメッセージにも心を打たれたのだ。私にとって、佐賀故郷以上の存在へと成長しつつあった。


――ふと、気づいた。

そろそろ昼食をとっても良い頃だと。この感動で、またお腹が空いたのだ。
〔参照:連続ブログ小説「旅立の剣」(30)殿、お腹空いた…

「昼食は、“佐賀の名物”にしておきたい…」
15時前には佐賀駅を発つ。“聖地”で活動できるのは、実質3時間に満たない。


――その場で、県立博物館のミュージアムカフェに入る。

移動に使える時間は、もう無いようだ。イベントの案内が出る前に佐賀城公園奥深くに入り込んだので、逆に“さが維新まつり”の現況がわからない。

「この祭りは、どう楽しむのが正しいのか…?」

さすがに疲れてきている。ここは腰を据えてラストの動きを判断せねば。
「“シシリアンライス”をお願いします。」

あまり考えずに注文できるのが、B級グルメ。私は、他地域の方に向けて「佐賀の甘辛焼肉サラダ丼」と説明する。

連続ブログ小説「旅立の剣」(34)救いのシシリアン

――そんなに“シシリアン”が食したいか…

自分の気持ちに素直であるとは、たぶん、こういうことなのか。昨夜の「佐賀玉屋シシリアンライス」も絶品ではあったが、暖かいものも食べたい。
〔参照:連続ブログ小説「旅立の剣」(18)憩いのシシリアン

「…これは!?」
一口を食して、私は意表を突かれた。少し予想と違う味わいだったのだ。“豚の生姜焼き”系の…それでいて、少し自然派っぽい印象を持った。


――オーガニックな感じの“都会的”な味付けと言おうか。

後から少しハーブ香辛料系の残り香が感じられるようだ。冷えて消耗した体が、温められるような気がした。

…ちなみに、私の味覚をベースとした“食レポ”は当てにはならない。
しかし、この“シシリアン”が私のラストスパート活力を与えたことは確かだ。


――昼12:10。いざ、最終局面へ。

食後にひと息をついて、スマートフォンによる情報収集を完了した。
「今から、西の堀端に行こう。そこに、きっと見たかったものがある!」

こうして“燃料”を補給した私。まるで、幕末の佐賀藩が製作した“蒸気機関”のように熱気を帯び、再び立ち上がる。


(続く)



タグ :佐賀

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