2020年02月17日
第4話「諸国遊学」①
こんばんは。
今回は予告なしで、いきなり第4話「諸国遊学」をスタートしたいと思います。
第1話~第3話はいわば「幕末佐賀藩のエピソード・ゼロ」なので、これからが”佐賀の七賢人”のお話になっていきます。
ちなみに前回までの「武雄領の悲劇」は書いている私もかなりキツかったです。
少し時間は前後しますが、この第4話の中で、後日談にも触れていきたいと思います。
今日は、明るく行きたいので、ようやく少年(青年)キャストから、メインキャストに切り替わった鍋島直正公をご覧ください。
一応、大河ドラマをイメージしているので、このような小細工もします。
しばらく、直正様の登場がなかったのは、およそ8年間で一気にご成長いただくためです…。

――佐賀城の本丸にて。
ビュンッ!風切り音が鳴る。
鍋島直正が、槍の稽古をしている。
「…殿。また、腕を上げられた…」
当時の槍は現代人がイメージするより相当長い。
そのため、単なる腕力で自在に扱える代物ではない。
「槍は良いのう!武士の本分であり、何やら気分も晴れる!」
直正の上達は、日々の鍛錬により強い体幹を造り、巧みに身体運用を行っている証左だった。
――そして、佐賀藩の改革も進んでいた。
佐賀城の火災を受けて、直正は能力と意欲のある若手を次々に抜擢した。
城として使えるのは“三の丸”だけになり、手狭な屋敷で行われた政務。
「励め!殿が私たちを見ておられるぞ!」
直正は狭い生活空間から、藩士たちの仕事ぶりを見ていた。
そして、直接指示を出せる距離感を得た。
「狭い屋敷も良いのう!皆の働きぶりが良く見える!」
この頃になると、佐賀藩自体も、直正の槍遣いのように、基盤が強くなり、巧みな手配りが可能になっていた。
――直正は家臣の適性を見極める力を得ていた。
「本島よ、砲台の強化を急ぐぞ。長崎に行って“御大”を助けてやれ!」
「はっ、畏まりました。」
直正と同じくらいの歳であろうか、この侍は“本島藤太夫”という。
長崎と蘭学に詳しい、やる気に満ち溢れた上級武士である。
…この本島が長崎まで手伝いに行くのは、”第1話の若侍”である。
もはやよく言えば“御大”、悪く言えば“御老体”であるが、志は消えず、まだ頑張っている。
後に、この本島が、長崎の台場をさらに拡充していく。
――続いて、現場を仕切る町の代官にも。
「池田よ!武家地と町人地の仕切りは進んでおるか。」
「ははっ、秩序を保てるよう差配しております。」
佐賀藩内では、以前から商人が農村に入り込み、農民が土地を失うことが問題になっていた。
直正は農民が小作人とならないよう、商人を農村から遠ざけた。
佐賀の武家地でも、無秩序に経済に巻き込まれないよう区分する“都市計画”を進めていた。
…この池田という侍、もとは下級武士と言ってよい身分だった。直正が登用した人材の1人である。
――直正は佐賀城の再建にあたり、直近に焼失した二の丸ではなく、百年前の火災で失われていた、本丸の建て直しを優先する。
「いま一度、藩祖・直茂様の原点に立ち戻る!」
初代藩主・鍋島勝茂公の父が藩祖・直茂様である。
…直正は「古き良き秩序を守りつつ、新しい力を得る」ことを理想としていたようである。
経験も積んで、まだ若さもある。直正はこれから、飛躍していくことになる。
(続く)
今回は予告なしで、いきなり第4話「諸国遊学」をスタートしたいと思います。
第1話~第3話はいわば「幕末佐賀藩のエピソード・ゼロ」なので、これからが”佐賀の七賢人”のお話になっていきます。
ちなみに前回までの「武雄領の悲劇」は書いている私もかなりキツかったです。
少し時間は前後しますが、この第4話の中で、後日談にも触れていきたいと思います。
今日は、明るく行きたいので、ようやく少年(青年)キャストから、メインキャストに切り替わった鍋島直正公をご覧ください。
一応、大河ドラマをイメージしているので、このような小細工もします。
しばらく、直正様の登場がなかったのは、およそ8年間で一気にご成長いただくためです…。

――佐賀城の本丸にて。
ビュンッ!風切り音が鳴る。
鍋島直正が、槍の稽古をしている。
「…殿。また、腕を上げられた…」
当時の槍は現代人がイメージするより相当長い。
そのため、単なる腕力で自在に扱える代物ではない。
「槍は良いのう!武士の本分であり、何やら気分も晴れる!」
直正の上達は、日々の鍛錬により強い体幹を造り、巧みに身体運用を行っている証左だった。
――そして、佐賀藩の改革も進んでいた。
佐賀城の火災を受けて、直正は能力と意欲のある若手を次々に抜擢した。
城として使えるのは“三の丸”だけになり、手狭な屋敷で行われた政務。
「励め!殿が私たちを見ておられるぞ!」
直正は狭い生活空間から、藩士たちの仕事ぶりを見ていた。
そして、直接指示を出せる距離感を得た。
「狭い屋敷も良いのう!皆の働きぶりが良く見える!」
この頃になると、佐賀藩自体も、直正の槍遣いのように、基盤が強くなり、巧みな手配りが可能になっていた。
――直正は家臣の適性を見極める力を得ていた。
「本島よ、砲台の強化を急ぐぞ。長崎に行って“御大”を助けてやれ!」
「はっ、畏まりました。」
直正と同じくらいの歳であろうか、この侍は“本島藤太夫”という。
長崎と蘭学に詳しい、やる気に満ち溢れた上級武士である。
…この本島が長崎まで手伝いに行くのは、”第1話の若侍”である。
もはやよく言えば“御大”、悪く言えば“御老体”であるが、志は消えず、まだ頑張っている。
後に、この本島が、長崎の台場をさらに拡充していく。
――続いて、現場を仕切る町の代官にも。
「池田よ!武家地と町人地の仕切りは進んでおるか。」
「ははっ、秩序を保てるよう差配しております。」
佐賀藩内では、以前から商人が農村に入り込み、農民が土地を失うことが問題になっていた。
直正は農民が小作人とならないよう、商人を農村から遠ざけた。
佐賀の武家地でも、無秩序に経済に巻き込まれないよう区分する“都市計画”を進めていた。
…この池田という侍、もとは下級武士と言ってよい身分だった。直正が登用した人材の1人である。
――直正は佐賀城の再建にあたり、直近に焼失した二の丸ではなく、百年前の火災で失われていた、本丸の建て直しを優先する。
「いま一度、藩祖・直茂様の原点に立ち戻る!」
初代藩主・鍋島勝茂公の父が藩祖・直茂様である。
…直正は「古き良き秩序を守りつつ、新しい力を得る」ことを理想としていたようである。
経験も積んで、まだ若さもある。直正はこれから、飛躍していくことになる。
(続く)
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