2022年10月10日
「都道府県魅力度ランキングへの私見」
こんばんは。
先日、テレビ欄を見て、例年行われている『都道府県魅力度ランキング』が、今年も実施されたことに気付きました。
〔参照・昨年度(前半):「魅力度と“第三の男”(前編)」」
ご存じの方も多いと思いますが、佐賀県は“最下位”47位と発表されました。この結果を受けて、インターネット上で様々なコメントが飛び交ったようです。
以降、テレビやネット上の情報を参照した個人的な感想です。また前提となる情報も不正確な可能性があります。いろいろな角度から考えてみました。
――このランキング自体は、2009年に始まったらしいのですが、
2022年の現在まで、最下位は北関東3県(茨城・栃木・群馬)のいずれかが取っていたと聞きます。
なお、隣接する埼玉県についても下位にある事が多かったようです。
このたび北関東3県による寡占の伝統を打ち破り、初めて最下位の47位を”奪取”したのが、九州地方の佐賀県。
「伝統を革新する佐賀」の姿が、こういった形で登場するのは、意外でした。

※バルーンミュージアム佐賀で撮影
――前年の最下位だった、茨城県の一部には“動揺”の声も。
「最下位の過ごし方」など逆説的なアピールで冊子も作成して、茨城の魅力の発信に努めていると聞くので、戦略の見直しが要るのでしょう。
…今回は、46位・47位で競っている佐賀県に“逆転”されたからです。
また、“最下位の称号”には利用価値もあるらしく「47位を奪われた!」という反応までありますが、素直に喜んでいる茨城県民の方が多いとは思います。
なお発表時のテレビ番組では、ラストの「最下位争い」を最も盛り上げる構成とするのが、恒例のようです。
――ランキング全体としては、前年度からあまり変わらず、
もはや“上位争い”では、視聴者の興味を保つのは難しいという判断なのか、1~5位の発表は「いつもの顔ぶれ」で、あっさりと中盤で終了。
以前、調査項目を軽く調べたことがあり、「認知度」やメディアや伝聞等での「情報接触度」、実際の「訪問経験」等の項目が並ぶのを見かけました。
「…順位が固定化する作りなのか」と感じましたが、「魅力度」の項目に限ったランキングという話もあり、調査対象の抽出・集計方法等の詳細は不知です。
おそらくは、「他地域の人から見て、県の場所がわかりやすい」「所属の県がはっきりわかる観光名所がある」ことも、上位へのカギなのではと見ています。

※涼しげな“風鈴”でも知られる、伊万里
――大都市圏や、観光産業が主軸の“県”が圧倒的に有利。
そして、各地方の中間にある県は、他地域の方には位置すら知られていない可能性が高まり、さらに不利になる傾向を感じます。
そのため、「面積が大きい」「各地方の端にある」県には、地理的に目立つというアドバンテージ(優位性)があるという推測です。
例えると、全国の小学生が、日本の地理を勉強する時に覚えてもらいにくい県は、上位にはなりづらいという感覚でしょうか。
たぶん各都道府県の努力では逆転が難しいランキングの構成で、埼玉県や北関東3県が下位なのは、このような理由の積み重ねなのかもしれません。
――この仮説で、「佐賀県は有利なのか」を検討してみます。
「他地域の人から見て、県の場所がわかりやすい」
→九州以外の者(もん)にはたぶん…わからんたい。
「所属の県がはっきりわかる観光名所」
→たしかに佐賀は、バルーン飛ばすとき以外は、観光名所ではなかたいね。ばってん、唐津も、伊万里も有田も、吉野ヶ里遺跡も、嬉野温泉も佐賀県とよ。
「面積が大きい」
→そがん、大きか県ではなかよ。限られた土地でも、農業は健闘しとるばい。
「各地方の端にある」
→福岡県と長崎県(双方とも上位ランク)の間やけん、目立たんもんね~。
…以上、主観的な仮説での分析ですが、佐賀県には不利な要素が多く、このランキングの傾向では、上位に浮上する可能性は低いと考えています。

※有田陶器市は佐賀県内でも、全国的な知名度の高い大イベント。
――ほかにも、結構影響がありそうなのが、
「佐賀県出身の芸能人が少ない」
→両隣の福岡県・長崎県では、芸能人が知名度に与える効果は侮れません。
私は、「佐賀県民の気質は、あまり芸能人に向かない」と考えています。佐賀の駅では、飾り気がなく、透明感のある学生たちが通るのを見かけます。
贔屓(ひいき)目かもしれませんが、佐賀に美しさで芸能人に劣らない“原石”はあるのでしょう。でもオーラを発すべきところは、たぶん芸能じゃない。
そして「佐賀の美は、ひたむきに生きる、その日常の中にこそある」というのが、私の持論です。
「あのクスノキのように、そのまま真っ直ぐに伸びていってほしい!」と何だか、こういう気持ちになるのですね。
――個人的な結論として、
「この魅力度ランキングで、上位を目指すのは、ひとまずあきらめましょう。」という提案をしたいと思います。もっと、勝ちを取りに行くべき指標があるはず。
だいたい埼玉県のような、「“さいたま”が主役」の映画まで大ヒットし、異様な存在感を発揮している“強者”ですら45位なのです。
また、大都市圏の中でも、製造業が強みの愛知県は、他の大都市圏(東京都・神奈川県、京都府・大阪府・兵庫県、福岡県)に比べて、順位が低いのです。

※吉野ヶ里遺跡。意外と、時代を先導する傾向の佐賀。それは弥生時代から…
――地元での住みやすさや、産業構造の手堅さは、
知名度寄りの調査では伸びない要素かもしれません。やはり観光・サービス業への重点ランキングと見ました。
佐賀の主要産業といえば、伝統的には農業、窯業、製薬業など。最近ではIT産業の裏方でも活躍していますが、やはり堅実な印象。
真面目に働き、口も堅いので信用度は高いと思いますが、やっぱり地味です。少しでも目立つから「47位を堅守する」のが得策…という意見も見かけます。
――でも、佐賀県の“順位”にかかわらず、
日本全国からも、「佐賀県の位置」ぐらいは知られたいですが、幅広い知名度より、本当に佐賀を好きな人(関係人口)を増やす方が大事な気がします。
個人的には10人が1度だけ来るよりも、1人が10回訪れて深いファンになるのが、佐賀の観光スタイルには合っていると思うからです。
『ゾンビランドサガ』などのアニメ作品の影響で、佐賀を“聖地”と語る人がいるのは、かなり良い事例だと考えます。

※佐賀県でも屈指の“映える“場所、鹿島の祐徳稲荷神社。朱塗りがまばゆい。
――私のイメージでは、日本近代化のドラマの“聖地”である佐賀。
明治初期、佐賀藩士の大木喬任・江藤新平は「東西両都論」をとなえ、東京に首都を移すことを主導しました。
これは、同じく佐賀藩士の大隈重信が、鉄道を敷設する計画ともつながり、「東京-京都間」の”両都”をスムーズに往来する事を見据えた案でした。
以降も、佐賀県は技術者等で活躍する優秀な人材を、首都・東京を中心として、各地へと送り続けてきたはずです。
一般的な知名度は遅れを取っても、まず佐賀と縁のある人から、その魅力に気付いてもらって、全国から佐賀を想う方々が増えてほしいと考えています。
先日、テレビ欄を見て、例年行われている『都道府県魅力度ランキング』が、今年も実施されたことに気付きました。
〔参照・昨年度(前半):
ご存じの方も多いと思いますが、佐賀県は“最下位”47位と発表されました。この結果を受けて、インターネット上で様々なコメントが飛び交ったようです。
以降、テレビやネット上の情報を参照した個人的な感想です。また前提となる情報も不正確な可能性があります。いろいろな角度から考えてみました。
――このランキング自体は、2009年に始まったらしいのですが、
2022年の現在まで、最下位は北関東3県(茨城・栃木・群馬)のいずれかが取っていたと聞きます。
なお、隣接する埼玉県についても下位にある事が多かったようです。
このたび北関東3県による寡占の伝統を打ち破り、初めて最下位の47位を”奪取”したのが、九州地方の佐賀県。
「伝統を革新する佐賀」の姿が、こういった形で登場するのは、意外でした。
※バルーンミュージアム佐賀で撮影
――前年の最下位だった、茨城県の一部には“動揺”の声も。
「最下位の過ごし方」など逆説的なアピールで冊子も作成して、茨城の魅力の発信に努めていると聞くので、戦略の見直しが要るのでしょう。
…今回は、46位・47位で競っている佐賀県に“逆転”されたからです。
また、“最下位の称号”には利用価値もあるらしく「47位を奪われた!」という反応までありますが、素直に喜んでいる茨城県民の方が多いとは思います。
なお発表時のテレビ番組では、ラストの「最下位争い」を最も盛り上げる構成とするのが、恒例のようです。
――ランキング全体としては、前年度からあまり変わらず、
もはや“上位争い”では、視聴者の興味を保つのは難しいという判断なのか、1~5位の発表は「いつもの顔ぶれ」で、あっさりと中盤で終了。
以前、調査項目を軽く調べたことがあり、「認知度」やメディアや伝聞等での「情報接触度」、実際の「訪問経験」等の項目が並ぶのを見かけました。
「…順位が固定化する作りなのか」と感じましたが、「魅力度」の項目に限ったランキングという話もあり、調査対象の抽出・集計方法等の詳細は不知です。
おそらくは、「他地域の人から見て、県の場所がわかりやすい」「所属の県がはっきりわかる観光名所がある」ことも、上位へのカギなのではと見ています。
※涼しげな“風鈴”でも知られる、伊万里
――大都市圏や、観光産業が主軸の“県”が圧倒的に有利。
そして、各地方の中間にある県は、他地域の方には位置すら知られていない可能性が高まり、さらに不利になる傾向を感じます。
そのため、「面積が大きい」「各地方の端にある」県には、地理的に目立つというアドバンテージ(優位性)があるという推測です。
例えると、全国の小学生が、日本の地理を勉強する時に覚えてもらいにくい県は、上位にはなりづらいという感覚でしょうか。
たぶん各都道府県の努力では逆転が難しいランキングの構成で、埼玉県や北関東3県が下位なのは、このような理由の積み重ねなのかもしれません。
――この仮説で、「佐賀県は有利なのか」を検討してみます。
「他地域の人から見て、県の場所がわかりやすい」
→九州以外の者(もん)にはたぶん…わからんたい。
「所属の県がはっきりわかる観光名所」
→たしかに佐賀は、バルーン飛ばすとき以外は、観光名所ではなかたいね。ばってん、唐津も、伊万里も有田も、吉野ヶ里遺跡も、嬉野温泉も佐賀県とよ。
「面積が大きい」
→そがん、大きか県ではなかよ。限られた土地でも、農業は健闘しとるばい。
「各地方の端にある」
→福岡県と長崎県(双方とも上位ランク)の間やけん、目立たんもんね~。
…以上、主観的な仮説での分析ですが、佐賀県には不利な要素が多く、このランキングの傾向では、上位に浮上する可能性は低いと考えています。
※有田陶器市は佐賀県内でも、全国的な知名度の高い大イベント。
――ほかにも、結構影響がありそうなのが、
「佐賀県出身の芸能人が少ない」
→両隣の福岡県・長崎県では、芸能人が知名度に与える効果は侮れません。
私は、「佐賀県民の気質は、あまり芸能人に向かない」と考えています。佐賀の駅では、飾り気がなく、透明感のある学生たちが通るのを見かけます。
贔屓(ひいき)目かもしれませんが、佐賀に美しさで芸能人に劣らない“原石”はあるのでしょう。でもオーラを発すべきところは、たぶん芸能じゃない。
そして「佐賀の美は、ひたむきに生きる、その日常の中にこそある」というのが、私の持論です。
「あのクスノキのように、そのまま真っ直ぐに伸びていってほしい!」と何だか、こういう気持ちになるのですね。
――個人的な結論として、
「この魅力度ランキングで、上位を目指すのは、ひとまずあきらめましょう。」という提案をしたいと思います。もっと、勝ちを取りに行くべき指標があるはず。
だいたい埼玉県のような、「“さいたま”が主役」の映画まで大ヒットし、異様な存在感を発揮している“強者”ですら45位なのです。
また、大都市圏の中でも、製造業が強みの愛知県は、他の大都市圏(東京都・神奈川県、京都府・大阪府・兵庫県、福岡県)に比べて、順位が低いのです。
※吉野ヶ里遺跡。意外と、時代を先導する傾向の佐賀。それは弥生時代から…
――地元での住みやすさや、産業構造の手堅さは、
知名度寄りの調査では伸びない要素かもしれません。やはり観光・サービス業への重点ランキングと見ました。
佐賀の主要産業といえば、伝統的には農業、窯業、製薬業など。最近ではIT産業の裏方でも活躍していますが、やはり堅実な印象。
真面目に働き、口も堅いので信用度は高いと思いますが、やっぱり地味です。少しでも目立つから「47位を堅守する」のが得策…という意見も見かけます。
――でも、佐賀県の“順位”にかかわらず、
日本全国からも、「佐賀県の位置」ぐらいは知られたいですが、幅広い知名度より、本当に佐賀を好きな人(関係人口)を増やす方が大事な気がします。
個人的には10人が1度だけ来るよりも、1人が10回訪れて深いファンになるのが、佐賀の観光スタイルには合っていると思うからです。
『ゾンビランドサガ』などのアニメ作品の影響で、佐賀を“聖地”と語る人がいるのは、かなり良い事例だと考えます。
※佐賀県でも屈指の“映える“場所、鹿島の祐徳稲荷神社。朱塗りがまばゆい。
――私のイメージでは、日本近代化のドラマの“聖地”である佐賀。
明治初期、佐賀藩士の大木喬任・江藤新平は「東西両都論」をとなえ、東京に首都を移すことを主導しました。
これは、同じく佐賀藩士の大隈重信が、鉄道を敷設する計画ともつながり、「東京-京都間」の”両都”をスムーズに往来する事を見据えた案でした。
以降も、佐賀県は技術者等で活躍する優秀な人材を、首都・東京を中心として、各地へと送り続けてきたはずです。
一般的な知名度は遅れを取っても、まず佐賀と縁のある人から、その魅力に気付いてもらって、全国から佐賀を想う方々が増えてほしいと考えています。
Posted by SR at 20:28 | Comments(0) | 佐賀への道
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