2021年04月21日
連続ブログ小説「旅立の剣」(33)涙のメモリアル
こんばんは。
2018年(平成30年)。明治維新150年を記念した「肥前さが幕末維新博覧会」が開催。予想を遥かに超える“大盛況”だったようですね。
その終幕(フィナーレ)から、10か月ほどが過ぎた2019年(令和元年)の秋。
…時機を逸した私に、当時の“熱気”を語るものがありました。
――朝10:50。佐賀城本丸歴史館から出る。
何度か来ているのだが、概ね1時間は滞在したことになる。
私のような佐賀藩士(?)には、やはり特別な場所。
そのまま「鯱の門」を潜って、イベント感が出てきた佐賀城公園内を行く。路上を少し西へと進み、県立博物館に向かう。
――その頃、「さが幕末維新博」に行けなかった私に“吉報”があった。
博覧会の“記憶”を伝える「メモリアル展示」が、佐賀市内の3箇所で始まった。
先ほど本丸歴史館で、佐賀藩士の“先輩”に会うことができたのも、佐賀の藩校「弘道館」のメモリアル展示だったのだ。

――朝10:55。佐賀県立博物館前。
秋の佐賀城公園イベントの1つ。「佐賀さいこうフェス」の会場内を進む。
ライブやアート、グルメの3本柱で成り立つお祭りのようだ。学生らしき参加者が多く、若い活気で賑わう。これもまた、佐賀の未来だ。
大規模な文化祭っぽい雰囲気が漂う中、次の目的地へと歩を進める。
――ホットな表舞台の裏手から、クールな博物館内に入る。
距離にすればわずかに数メートルの差だが、随分と空気が落ち着いた。これも、ミュージアムが持つ“場の力”なのだろうか。
私のお目当ては、メモリアル展示の1つ「幕末維新記念館」だ。博覧会当時のパビリオンの様子を伺わせる、展示や映像を体感できる。
――その時は、オープンから間もない「メモリアル」展示。
幕末維新博で流れた“体感映像”は、まだ観ることができなかった。上映されたのは、「肥前さが幕末維新博覧会」の記録。
来場した人たちの様子をまとめたドキュメンタリー映像だった。おそらくは、佐賀県内からの来場者を中心に構成されている。

――日本の近代化を目指して、走り続けた佐賀藩。
博覧会では、今までドラマでは語られなかった佐賀の先人たちが活躍する。
攘夷を叫ぶよりも、西洋列強に負けない技術を追い求めたトップランナー。
幕府を倒すことより、近代国家の礎を築くことに全力を注ぐ佐賀藩士たち。
そして、記録映像に見えるのは「想いがあふれて涙する」来場者たちの姿。
…じっとモニターを見つめる私も涙腺が緩む。もし、出来得ることなら、私も同じ会場で感動を共有したかった。
――そこに博覧会のイメージソング。手嶌葵が歌う「一番星」が流れる。
手嶌葵さんと言えば、スタジオジブリの作品でも主題歌をつとめる実力派だ。
もはや“反則”と感じる出来栄え。初めから泣かせるつもりの演出ではないか。
…これも製作者の期待どおりなのか。ドライアイ気味の、私の目にもウルウルと潤いが戻っていた。
(続く)
2018年(平成30年)。明治維新150年を記念した「肥前さが幕末維新博覧会」が開催。予想を遥かに超える“大盛況”だったようですね。
その終幕(フィナーレ)から、10か月ほどが過ぎた2019年(令和元年)の秋。
…時機を逸した私に、当時の“熱気”を語るものがありました。
――朝10:50。佐賀城本丸歴史館から出る。
何度か来ているのだが、概ね1時間は滞在したことになる。
私のような佐賀藩士(?)には、やはり特別な場所。
そのまま「鯱の門」を潜って、イベント感が出てきた佐賀城公園内を行く。路上を少し西へと進み、県立博物館に向かう。
――その頃、「さが幕末維新博」に行けなかった私に“吉報”があった。
博覧会の“記憶”を伝える「メモリアル展示」が、佐賀市内の3箇所で始まった。
先ほど本丸歴史館で、佐賀藩士の“先輩”に会うことができたのも、佐賀の藩校「弘道館」のメモリアル展示だったのだ。
――朝10:55。佐賀県立博物館前。
秋の佐賀城公園イベントの1つ。「佐賀さいこうフェス」の会場内を進む。
ライブやアート、グルメの3本柱で成り立つお祭りのようだ。学生らしき参加者が多く、若い活気で賑わう。これもまた、佐賀の未来だ。
大規模な文化祭っぽい雰囲気が漂う中、次の目的地へと歩を進める。
――ホットな表舞台の裏手から、クールな博物館内に入る。
距離にすればわずかに数メートルの差だが、随分と空気が落ち着いた。これも、ミュージアムが持つ“場の力”なのだろうか。
私のお目当ては、メモリアル展示の1つ「幕末維新記念館」だ。博覧会当時のパビリオンの様子を伺わせる、展示や映像を体感できる。
――その時は、オープンから間もない「メモリアル」展示。
幕末維新博で流れた“体感映像”は、まだ観ることができなかった。上映されたのは、「肥前さが幕末維新博覧会」の記録。
来場した人たちの様子をまとめたドキュメンタリー映像だった。おそらくは、佐賀県内からの来場者を中心に構成されている。
――日本の近代化を目指して、走り続けた佐賀藩。
博覧会では、今までドラマでは語られなかった佐賀の先人たちが活躍する。
攘夷を叫ぶよりも、西洋列強に負けない技術を追い求めたトップランナー。
幕府を倒すことより、近代国家の礎を築くことに全力を注ぐ佐賀藩士たち。
そして、記録映像に見えるのは「想いがあふれて涙する」来場者たちの姿。
…じっとモニターを見つめる私も涙腺が緩む。もし、出来得ることなら、私も同じ会場で感動を共有したかった。
――そこに博覧会のイメージソング。手嶌葵が歌う「一番星」が流れる。
手嶌葵さんと言えば、スタジオジブリの作品でも主題歌をつとめる実力派だ。
もはや“反則”と感じる出来栄え。初めから泣かせるつもりの演出ではないか。
…これも製作者の期待どおりなのか。ドライアイ気味の、私の目にもウルウルと潤いが戻っていた。
(続く)
Posted by SR at 21:25 | Comments(0) | 連続ブログ小説「旅立の剣」第3シリーズ
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