2021年03月30日

連続ブログ小説「旅立の剣」(27)長崎街道の夢

こんばんは。
新しい環境への突入を控え、目まぐるしい年度末です。

いま私を支えているのは、わずか30時間の記憶。
佐賀で見た景色とともに綴ります。

連続ブログ小説「旅立の剣」(27)長崎街道の夢

――朝8:22。赤レンガの道を見ていた。

この辺りには時折、“都会的センス”を見せる建物が出現する。

…とはいえ、佐賀市中心街に往時の勢いが無いのは認める。
そのため“時折”と言わざるを得ない。

「今はまだ、元気が無い」と言っておこう。未来は変えられるのだから。


――江戸時代。大変な賑わいを見せた、長崎街道。

私はめったに、佐賀に“帰藩”することができない。
朝食抜きでも街中を見て回るのは、この空気に触れたいからだ。

この道が長崎街道であることは、要所に配置された案内板が教えてくれる。
…私のように“調べ”を急ぐ者には、心強い。

連続ブログ小説「旅立の剣」(27)長崎街道の夢

――遡って8:16。白山通りの商工ビル前。

地理に疎い私に「長崎街道案内(あない)いたす!」とばかりに看板が現る。

「これは分かりやすい…」と私は、この地図に示された道を歩み始めた。
かつて街道沿いには、裕福な商家が軒を連ねたという。

佐賀藩士領民たちはもちろん。幕府の役人も他藩の大名も通行した。
オランダ商館員が連れていたかゾウラクダなど珍獣まで…行き交ったという。

連続ブログ小説「旅立の剣」(27)長崎街道の夢

――まるで、十数分の時間旅行。

足元には、この道が長崎街道であると示す“標識”が続く。
朝の風が、時を忘れさせてくれる。

長崎から佐賀を経由し、小倉までを結ぶ“幹線道路”。九州北部を1つにつなぎ、宿場ごとの特色も魅力的。もっと語られてほしい“”がある。

連続ブログ小説「旅立の剣」(27)長崎街道の夢

――朝8:34。

「これだ…!」
私は、幕末期佐賀を感じる“空気”に出会った。

たしかに道路は舗装され、電柱はあるけども、それは些細(ささい)なことだ。インフラ整備、とくに電気関係は、明治期佐賀出身者の得意としたところ。

…私には、この道を駆け回る佐賀藩士たちの姿が見えたようだった。


(続く)



タグ :佐賀

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