2022年09月04日
「“10周年”の想いに触れる」
こんばんは。
忙しさにかまけて今回は、完全に油断していました。毎週日曜に、佐賀城本丸歴史館で活動している『幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊』。
その10周年特別公演が、本日9月4日にあるとは把握していました。しかし、今年もライブ配信があると知ったのは、午前中の用事が終わってからでした。
○『幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊』10周年特別公演
https://www.livesbeyond.jp/2022cultureart/2022-07-222225.html
〔※外部リンク:「ライブスビヨンド」(佐賀県)の該当ページ〕
――配信があると気付いたので、すぐに観ました。
今回は超高速で振り返ります。1日に5つの演目を行う特別公演。
――まず、1本目『おないとし』
佐賀の“八賢人”のうち1822年生まれで、生誕200年の3名が主人公。
私的なまとめ方では、万能の研究主任・佐野常民と、情熱の開拓者・島義勇。そして賢人たちの師匠・枝吉神陽という紹介になると想います。

――順に、理系・体育会系・文系の方向性での強い個性が感じられます。
この演目が「上手い!」と思うのが、佐賀の賢人たちでは“年長組”の3人が、まだ「何者でもない」時期を描いた点です。
しかも、彼らが18歳の頃、1840年には清国(当時の中国)でアヘン戦争が起きていた事を時代背景としています。
三百藩とも語られる、江戸期の各地域の中でも、最も勉強したという評価も高い佐賀藩。その熱さを感じる演目でした。
――次に、2本目『佐賀人も人なり』
ついに「“おもてなし隊”が、この領域に展開したか!」と、ワクワクした演目。佐賀藩だけでなく、薩摩(鹿児島)の人物が登場します。
佐賀の殿様・鍋島直正公の母方のいとこ、薩摩藩主の島津斉彬公が登場。この島津様、他の演目でもよく見かける気もしますが、そこは気にしません。
薩摩藩主の傍には“名無しの薩摩侍”が控えます。こういう登場人物が出て来ると「何だか、大河ドラマっぽくていいぞ!」と、個人的には思います。

――時期は、日米修好通商条約が締結された頃。
1858年と聞いたと思います。話の軸になるのは、幕府が佐賀藩に貸与していた蒸気船・観光丸で、薩摩に向かった“秘密の航海”。
私も“本編”で描いた話ですが、この演目では佐野は先年に薩摩に行った…旨のセリフがあったりと、より史実の正確な表現が考慮されているようです。
〔参照:第14話「遣米使節」⑩(秘密の航海)〕
知られざる面白いエピソードだと考えており、私の場合は、秘密を守るために佐賀の忍者が戦う…というおまけ(創作)で、盛り上げることも試みました。
〔参照:第14話「遣米使節」⑨(聞かれては困る話)〕
――この出来事が、“寸劇”で見られるとは。
佐野常民に多大なストレスがかかっているのは、私も想像できるところです。
〔参照(終盤):第14話「遣米使節」⑪(名君たちの“約束”)〕
何せ幕府から借りた船で薩摩に“密航”するので、「そうなるな…」と思います。
この演目では佐賀藩が「政治的な主導権争いには関わらず、諸外国に備えて為すべき事をする」というスタンスを宣言したことも、納得の描き方でした。

――さて、3本目『茶飲みに来んか?』
舞台の茶室は、佐賀市内の神野公園にも復元されたもの。鍋島直正公が、隠居の場所として使っていたと聞きます。
明治初期の東京遷都(奠都)を佐賀藩士が主導する前日譚。やたらに地味と扱われる大木喬任が主役の話。無口な大木が、いつになく雄弁な演目です。
合間に江藤新平と“お茶菓子”争奪戦を繰り広げるなど、細かく“遊び“の要素もあるので楽しく見られます。
それにしても、江藤新平は演じる役者さんによって、結構、色んな表現の幅が取れるのだな…と、個人的にも勉強になるところがあります。

――そして、4本目『通せんぼ』
鉄道開業150周年の記念としての色合いが強い作品かなと思います。
“高輪築堤”の発見から、一部の佐賀への移設。そのメモリアルだからなのか、佐賀の“八賢人”が勢揃いという豪華な演出。
幕末期に落命した師匠・枝吉神陽。そして、明治の初頭には世を去った殿様・鍋島直正も、大隈重信の苦闘を見守ります。
「鉄道の輸送力で、食料の不足を解決しよう」と、各地域に生じる目先の問題だけでなく、国全体を見て課題を解決しようとした、大隈重信。
10周年特別公演にふさわしい演目に仕上がっていました。

――ラストの、5本目『江藤どんと西郷さん』
この演目にも、薩摩藩の人物が登場。しかも西郷隆盛に加えて、桐野利秋(“人斬り半次郎”としても著名)を描く事で、すごく厚みを感じる演目に。
また、表面的な文言で語られがちな「征韓論」を「西郷隆盛を使節として派遣する話し合いの試み」として、しっかり描いてあります。
この辺り、ほとんど「大河ドラマ」的なシナリオではないか…と考えました。
新しく江藤新平役を担当する役者さん。最初は線の細い印象でしたが、いざ演技に入ると“青い炎”でも見えるような静かな熱さが感じられます。
「驚くべき才能の持ち主だが、ピリピリしておって実に危うい」という評価もある江藤新平ですので、「こういう描き方も有りだな…」と思って見ていました。
――以上、私的な評論を繰り広げてしまいました。
私のような“歴史好き”ですら、幕末の佐賀藩には関心が薄かった10年前。
偶然に見かけたパンフレットで、コツコツと活動を始められていたことは知っていましたが、当時は、それほど興味を持つこともありませんでした。
きっと努力を重ねて、私も含めた多くの人々を振り向かせ、いまや特別公演では、座席間の距離に配慮しながらも、満席の様子に。
本当はもっと大々的にお祝いしても良いぐらいだと思うわけですが、この長文をもって、配信が届いた佐賀出身者の1人からのエールとさせてください。
○動画配信の参照〔再掲〕
魅力発掘プロデュース協会/幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」10周年特別公演
https://www.livesbeyond.jp/2022cultureart/2022-07-222225.html
〔※外部リンク:ライブスビヨンドの該当ページ〕
忙しさにかまけて今回は、完全に油断していました。毎週日曜に、佐賀城本丸歴史館で活動している『幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊』。
その10周年特別公演が、本日9月4日にあるとは把握していました。しかし、今年もライブ配信があると知ったのは、午前中の用事が終わってからでした。
○『幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊』10周年特別公演
https://www.livesbeyond.jp/2022cultureart/2022-07-222225.html
〔※外部リンク:「ライブスビヨンド」(佐賀県)の該当ページ〕
――配信があると気付いたので、すぐに観ました。
今回は超高速で振り返ります。1日に5つの演目を行う特別公演。
――まず、1本目『おないとし』
佐賀の“八賢人”のうち1822年生まれで、生誕200年の3名が主人公。
私的なまとめ方では、万能の研究主任・佐野常民と、情熱の開拓者・島義勇。そして賢人たちの師匠・枝吉神陽という紹介になると想います。
――順に、理系・体育会系・文系の方向性での強い個性が感じられます。
この演目が「上手い!」と思うのが、佐賀の賢人たちでは“年長組”の3人が、まだ「何者でもない」時期を描いた点です。
しかも、彼らが18歳の頃、1840年には清国(当時の中国)でアヘン戦争が起きていた事を時代背景としています。
三百藩とも語られる、江戸期の各地域の中でも、最も勉強したという評価も高い佐賀藩。その熱さを感じる演目でした。
――次に、2本目『佐賀人も人なり』
ついに「“おもてなし隊”が、この領域に展開したか!」と、ワクワクした演目。佐賀藩だけでなく、薩摩(鹿児島)の人物が登場します。
佐賀の殿様・鍋島直正公の母方のいとこ、薩摩藩主の島津斉彬公が登場。この島津様、他の演目でもよく見かける気もしますが、そこは気にしません。
薩摩藩主の傍には“名無しの薩摩侍”が控えます。こういう登場人物が出て来ると「何だか、大河ドラマっぽくていいぞ!」と、個人的には思います。
――時期は、日米修好通商条約が締結された頃。
1858年と聞いたと思います。話の軸になるのは、幕府が佐賀藩に貸与していた蒸気船・観光丸で、薩摩に向かった“秘密の航海”。
私も“本編”で描いた話ですが、この演目では佐野は先年に薩摩に行った…旨のセリフがあったりと、より史実の正確な表現が考慮されているようです。
〔参照:
知られざる面白いエピソードだと考えており、私の場合は、秘密を守るために佐賀の忍者が戦う…というおまけ(創作)で、盛り上げることも試みました。
〔参照:
――この出来事が、“寸劇”で見られるとは。
佐野常民に多大なストレスがかかっているのは、私も想像できるところです。
〔参照(終盤):
何せ幕府から借りた船で薩摩に“密航”するので、「そうなるな…」と思います。
この演目では佐賀藩が「政治的な主導権争いには関わらず、諸外国に備えて為すべき事をする」というスタンスを宣言したことも、納得の描き方でした。
――さて、3本目『茶飲みに来んか?』
舞台の茶室は、佐賀市内の神野公園にも復元されたもの。鍋島直正公が、隠居の場所として使っていたと聞きます。
明治初期の東京遷都(奠都)を佐賀藩士が主導する前日譚。やたらに地味と扱われる大木喬任が主役の話。無口な大木が、いつになく雄弁な演目です。
合間に江藤新平と“お茶菓子”争奪戦を繰り広げるなど、細かく“遊び“の要素もあるので楽しく見られます。
それにしても、江藤新平は演じる役者さんによって、結構、色んな表現の幅が取れるのだな…と、個人的にも勉強になるところがあります。
――そして、4本目『通せんぼ』
鉄道開業150周年の記念としての色合いが強い作品かなと思います。
“高輪築堤”の発見から、一部の佐賀への移設。そのメモリアルだからなのか、佐賀の“八賢人”が勢揃いという豪華な演出。
幕末期に落命した師匠・枝吉神陽。そして、明治の初頭には世を去った殿様・鍋島直正も、大隈重信の苦闘を見守ります。
「鉄道の輸送力で、食料の不足を解決しよう」と、各地域に生じる目先の問題だけでなく、国全体を見て課題を解決しようとした、大隈重信。
10周年特別公演にふさわしい演目に仕上がっていました。
――ラストの、5本目『江藤どんと西郷さん』
この演目にも、薩摩藩の人物が登場。しかも西郷隆盛に加えて、桐野利秋(“人斬り半次郎”としても著名)を描く事で、すごく厚みを感じる演目に。
また、表面的な文言で語られがちな「征韓論」を「西郷隆盛を使節として派遣する話し合いの試み」として、しっかり描いてあります。
この辺り、ほとんど「大河ドラマ」的なシナリオではないか…と考えました。
新しく江藤新平役を担当する役者さん。最初は線の細い印象でしたが、いざ演技に入ると“青い炎”でも見えるような静かな熱さが感じられます。
「驚くべき才能の持ち主だが、ピリピリしておって実に危うい」という評価もある江藤新平ですので、「こういう描き方も有りだな…」と思って見ていました。
――以上、私的な評論を繰り広げてしまいました。
私のような“歴史好き”ですら、幕末の佐賀藩には関心が薄かった10年前。
偶然に見かけたパンフレットで、コツコツと活動を始められていたことは知っていましたが、当時は、それほど興味を持つこともありませんでした。
きっと努力を重ねて、私も含めた多くの人々を振り向かせ、いまや特別公演では、座席間の距離に配慮しながらも、満席の様子に。
本当はもっと大々的にお祝いしても良いぐらいだと思うわけですが、この長文をもって、配信が届いた佐賀出身者の1人からのエールとさせてください。
○動画配信の参照〔再掲〕
魅力発掘プロデュース協会/幕末・維新 佐賀の八賢人おもてなし隊」10周年特別公演
https://www.livesbeyond.jp/2022cultureart/2022-07-222225.html
〔※外部リンク:ライブスビヨンドの該当ページ〕