2022年07月20日
連続ブログ小説「聖地の剣」(3)疲れた心に花束を
こんばんは。
新型コロナの感染状況のニュースを見るにつけ、少し前に、一度“帰藩”しておいて良かった…と思うところです。
さて、前回で佐賀駅の南口に出た私。
今回、無理やりに“帰藩”を果たしたため、時間は限られます。しかしながら、新しい駅前の商業施設「コムボックス」は見ておく必要があると判断しました。
「色々と気を遣うことが多い日常…、貴方を癒してくれるものは何ですか?」という問いとともに、ご覧ください。
――私は佐賀が故郷だから、“観光”に来た感じではない。
これは私が書く“本編”や関連記事の舞台、いわば“聖地”である佐賀の現地取材である。勢い込んで長距離を移動し、久しぶりの佐賀駅には到達した。
一方で、私には早くも“息切れ”が見られる。
日々の暮らしから来る疲労感の蓄積が、ここで、押し寄せてきたか。めげずに動いていく…そう簡単に、帰っては来られないのだ。
「…ここが、“コムボックス”の中心となるテナントか。」
――「さが風土館 季楽」、そして「A・COOP」という表示。
その名は『さがファンブログ』でも、時々目にする。JAグループ系店舗の一角のようだ。見るからに農産物に強そうなスーパーである。

佐賀が、農業に強い県なのは周知の事実だが、妙に生産量2位~4位ぐらいの品目が多い印象だ。何だか、惜しいのである。
1位を取っているかと思えば、みかん全体ではなく“ハウスみかん”の限定だったりする。贈答品にも通用する品質とは誇らしいが、一歩控えた感じがある。
私は佐賀県の“奥ゆかしさ”が素敵だと思う。但し、時折は目立ってほしい。
佐賀藩士(?)を名乗るに至って、「佐賀って、どこですか…?」という質問は、もはや、心理的に受け付けないのだ。
――そのスーパーの入り口に回ると、また意表を突かれた。
屋内の通路側から見ても、そのインパクトは絶大。このマーケットは、エントランスに“花束”の出迎えがある構成を見せる。
都市圏のスーパーによく見られる、申し訳程度の生花売り場とは一線を画す、特盛りの“花畑”。
そのボリューム感に圧倒された私は、肩の力を抜いて苦笑した。
おかしな所で、佐賀に帰ってきた実感が湧く。この花束は通りすがりの私にも笑顔をもたらすようだ。

――「やはり…間違いなく、佐賀に来ているのだな。」
その花束は、最近では疲れが勝っている、私の心に一時の癒やしを与えた。
そして売り場を見て回れば、畳みかける佐賀名産の食品に「あれも買いたい、これも買いたい」となる。
ただ、取材の序盤で大荷物を抱えるわけにもいかず、買い物については他日を期すこととした。
――「必ず、また“買い出し”に来る。」
売り場を一回りした私。幕末を語ろうとする割に、何ともスケールの小さい“決意”を背負って、次の区画に向かうのだった。
(続く)
新型コロナの感染状況のニュースを見るにつけ、少し前に、一度“帰藩”しておいて良かった…と思うところです。
さて、前回で佐賀駅の南口に出た私。
今回、無理やりに“帰藩”を果たしたため、時間は限られます。しかしながら、新しい駅前の商業施設「コムボックス」は見ておく必要があると判断しました。
「色々と気を遣うことが多い日常…、貴方を癒してくれるものは何ですか?」という問いとともに、ご覧ください。
――私は佐賀が故郷だから、“観光”に来た感じではない。
これは私が書く“本編”や関連記事の舞台、いわば“聖地”である佐賀の現地取材である。勢い込んで長距離を移動し、久しぶりの佐賀駅には到達した。
一方で、私には早くも“息切れ”が見られる。
日々の暮らしから来る疲労感の蓄積が、ここで、押し寄せてきたか。めげずに動いていく…そう簡単に、帰っては来られないのだ。
「…ここが、“コムボックス”の中心となるテナントか。」
――「さが風土館 季楽」、そして「A・COOP」という表示。
その名は『さがファンブログ』でも、時々目にする。JAグループ系店舗の一角のようだ。見るからに農産物に強そうなスーパーである。
佐賀が、農業に強い県なのは周知の事実だが、妙に生産量2位~4位ぐらいの品目が多い印象だ。何だか、惜しいのである。
1位を取っているかと思えば、みかん全体ではなく“ハウスみかん”の限定だったりする。贈答品にも通用する品質とは誇らしいが、一歩控えた感じがある。
私は佐賀県の“奥ゆかしさ”が素敵だと思う。但し、時折は目立ってほしい。
佐賀藩士(?)を名乗るに至って、「佐賀って、どこですか…?」という質問は、もはや、心理的に受け付けないのだ。
――そのスーパーの入り口に回ると、また意表を突かれた。
屋内の通路側から見ても、そのインパクトは絶大。このマーケットは、エントランスに“花束”の出迎えがある構成を見せる。
都市圏のスーパーによく見られる、申し訳程度の生花売り場とは一線を画す、特盛りの“花畑”。
そのボリューム感に圧倒された私は、肩の力を抜いて苦笑した。
おかしな所で、佐賀に帰ってきた実感が湧く。この花束は通りすがりの私にも笑顔をもたらすようだ。
――「やはり…間違いなく、佐賀に来ているのだな。」
その花束は、最近では疲れが勝っている、私の心に一時の癒やしを与えた。
そして売り場を見て回れば、畳みかける佐賀名産の食品に「あれも買いたい、これも買いたい」となる。
ただ、取材の序盤で大荷物を抱えるわけにもいかず、買い物については他日を期すこととした。
――「必ず、また“買い出し”に来る。」
売り場を一回りした私。幕末を語ろうとする割に、何ともスケールの小さい“決意”を背負って、次の区画に向かうのだった。
(続く)
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