2022年05月03日

「幕末!京都事件ファイル②〔中編〕」

こんばんは。
ゴールデンウィーク特別企画なので、現在の“本編”から数年後の話になるのですが、幕末有名人の方々を取り巻く事件についても触れておきます。

新選組!』や『龍馬伝』等は幕末の大河ドラマで特に人気の作品。しかし、明治期に存命でなかった人物は、佐賀藩士とは接点が少ない傾向です。

過去の大河ドラマ名作の主人公だった人物を「幕末佐賀藩大河ドラマ」で、どう描くかには、ひと工夫が要ると考えているところです。



――ここで、前編に続き「幕末!京都事件ファイル②」

伏見の船宿“寺田屋”で発生した著名な事件がもう1つ。「②寺田屋事件」についても触れたいと思います。

事件発生の現場は、前編で取り上げた「①寺田屋騒動」と同じ場所。時期は、慶応二年(1866年)一月。新暦でいえば春の三月頃のようです。

こちらの「②寺田屋事件」は幕府の伏見奉行所が、薩摩長州に関わる土佐(高知)の脱藩浪士・坂本龍馬を急襲した事件と表す方が通りが良いでしょう。

この事件には「寺田屋遭難」という呼び名もあるようです。

事件現場として度々登場する、川の港町・伏見は重要な拠点。なお佐賀藩朝廷伏見警備を突然申し出て、薩摩藩との間が不穏になったようです。


――そして、2010年大河ドラマ『龍馬伝』でも描かれた“事件”の場面。

寺田屋にいた女性・お龍〔演:真木よう子〕は、1階で入浴中に周囲が奉行所の捕方に囲まれていることに気付きました。

なりふり構わず階段を駆け上がったお龍は、坂本龍馬〔演:福山雅治〕に危機を知らせます。

多数の捕方に対して、龍馬拳銃を発砲して応戦のすえに逃走手傷を負い、生命の危機に瀕して、薩摩藩に救出される…あの事件です。

負傷した龍馬が物陰に身を潜めながら、夜空を見上げてつぶやいていた印象的な場面があったように思います。



――坂本龍馬が、土佐を脱藩した時期は、

この場面から四年ほど前文久二年(1862年)で、龍馬は最終的に江戸に向かいました。この年に、江藤新平佐賀を脱藩して京都で活動しています。

龍馬伝』で視聴した時の記憶が曖昧ですが、以前留学していた江戸の剣術道場を拠点に人脈を広げ、幕臣・勝海舟に弟子入りした時期のようです。

ちなみに身内から脱藩を警戒された龍馬は一時、刀を取り上げられていたものの、が家で秘蔵していた“肥前忠広”を持ち出し、龍馬に渡したそうです。


――“肥前忠広”といえば、佐賀の刀工として著名です。

佐賀では県立博物館で展示会などもあり、近年では“擬人化”され、ゲーム等でも人気の刀剣と聞きますが、土佐(高知)でも秘蔵されていたのですね。

龍馬はのちに、その刀を師匠・勝海舟の警護も任せた、同郷の岡田以蔵に託していたとか…これも事件の予感がします。

そういえば、『龍馬伝』では佐藤健さんが演じた岡田以蔵が、とても健気で悲壮感がある、“予想外”の描き方だったので記憶に残っています。



――その名が出た、ついでのような形で恐縮ですが

肥前忠広”の話を少し続けます。幕末期には、いかにも佐賀の刀工らしい、剣に留まらない働きもありました。

佐賀藩鉄製大砲開発チーム“鋳立方七人”の一員・橋本新左衛門は、幕末期に佐賀で活躍した刀鍛冶でした。
〔参照:第6話「鉄製大砲」⑤

本編”で書いた時点ではよくわかっていませんでしたが、この方が“肥前忠広(忠吉)”の継承者だったようです。

その技術を、日本近代化につながる方向にも発揮した佐賀刀工

郷里から太平洋を望んで、世界の海を想った、土佐藩士たちもその刀を所持していたと思うと、浪漫があるような気がします。


――もし「幕末佐賀藩の大河ドラマ」が実現したら、

土佐(高知)が誇る、二度大河ドラマ主人公・坂本龍馬はどう描かれるか。

なお、私が書いている“本編”での描き方も、まだ具体的ではないです。

「凄腕の代理人(エージェント)として、噂だけが流れている」という書き方が、私好みかもしれません。



――人気の幅が広く、熱烈なファンも多い坂本龍馬。

登場するかどうかで物語バランスにも影響がありそうです。2021年『青天を衝け』では見かけず、2013年『八重の桜』は後ろ姿での描写と記憶します。

特別出演”的に有名俳優を起用するか、もしくは半端なキャスティングはあきらめ、“存在”のみを描くというパターンもあり得ると思います。

幕末長崎でも活動した人物であり、大隈重信接点はあったようです。

佐賀大河ドラマ」における坂本龍馬の描き方は“未解決”として残る一方、例示したもう1つ名作の足跡を追って、『事件ファイル』は後編に続きます。



参考情報:2015年『花燃ゆ』では伊原剛志さん、2018年『西郷どん』では『鎌倉殿の13人』主演の小栗旬さんが、坂本龍馬を演じていました。

  


Posted by SR at 22:44 | Comments(0) | 出来事編(E)