2020年11月12日
連続ブログ小説「旅立の剣」(8)“見た目”より中身
こんばんは。前回の続きです。
「見えない世界遺産」と呼ばれる三重津海軍所跡では、仮想現実(バーチャルリアリティ)で当時の姿が映し出される仕組みです。
見学場所ごとに“みえつスコープ”を装着。施設の方から解説もありました。
目で見て、耳で聞き、風に触れる…幕末の佐賀が、すぐ傍に感じられます。
――“時を超える双眼鏡”から見える景色。
今は何もない“稽古場”の跡。ここで、佐賀藩士たちは欧米列強に対抗する力を得るべく、鉄製大砲や新式銃の訓練に勤しんだことだろう。
漂うのは火薬の匂いか。西洋式銃砲の威力は、幕末の動乱期に最後の輝きを見せた刀槍の時代を終わらせた。
幕末、佐賀藩士は近代化を目指して技術開発に打ち込んだ。サムライたちの努力は、その時代の終焉へとつながっていく。

――“スコープ”を構えると、読込時間があって映像が展開する。
蒸気船の“修覆場”の製造ライン、木造の小屋が見える。ボイラ-製造など近代的な金属加工の場。建物の見た目は…最先端ではない。
ふと、“さがんもん”の気質に思い当たる。佐賀藩は倹約を大事にした。最新鋭の砲兵部隊でさえ野袴を着用したと聞く。技術は一流でも見た目は質素だ。
おそらく佐賀人は無い物ねだりをしない。いま使えるもので何とかするのだ。
説明も「確かな情報」を重視する印象だ。“観光向き”の派手な幕末ではない。
――“見た目”より中身が大事。それも佐賀らしくはある。
まだ、三重津海軍所で躍動する佐野常民(栄寿)の姿は見えて来ない。それが、その時点での私の力量でもあった。
スタッフの方の説明に集中する。その言葉は、佐野先生のものと思うべきだ。
「まずは情報の収集だ。然(しか)る後に“大河ドラマ”のイメージに変換する!」
船屋地区(船の停泊)→稽古場地区(海軍の訓練)→修覆場地区(洋式船の修理)と見学は進む。記念館に戻り、私は施設スタッフの方に“ある質問”をした。
(続く)
〔関連記事:「佐野常民」(賢人その2)<前編>〕
※“本編”の開始前に“佐賀七賢人”のキャラクターを把握するために書いていたシリーズです。当時は、佐野常民編が一番描きづらかった…という記憶があります。
「見えない世界遺産」と呼ばれる三重津海軍所跡では、仮想現実(バーチャルリアリティ)で当時の姿が映し出される仕組みです。
見学場所ごとに“みえつスコープ”を装着。施設の方から解説もありました。
目で見て、耳で聞き、風に触れる…幕末の佐賀が、すぐ傍に感じられます。
――“時を超える双眼鏡”から見える景色。
今は何もない“稽古場”の跡。ここで、佐賀藩士たちは欧米列強に対抗する力を得るべく、鉄製大砲や新式銃の訓練に勤しんだことだろう。
漂うのは火薬の匂いか。西洋式銃砲の威力は、幕末の動乱期に最後の輝きを見せた刀槍の時代を終わらせた。
幕末、佐賀藩士は近代化を目指して技術開発に打ち込んだ。サムライたちの努力は、その時代の終焉へとつながっていく。
――“スコープ”を構えると、読込時間があって映像が展開する。
蒸気船の“修覆場”の製造ライン、木造の小屋が見える。ボイラ-製造など近代的な金属加工の場。建物の見た目は…最先端ではない。
ふと、“さがんもん”の気質に思い当たる。佐賀藩は倹約を大事にした。最新鋭の砲兵部隊でさえ野袴を着用したと聞く。技術は一流でも見た目は質素だ。
おそらく佐賀人は無い物ねだりをしない。いま使えるもので何とかするのだ。
説明も「確かな情報」を重視する印象だ。“観光向き”の派手な幕末ではない。
――“見た目”より中身が大事。それも佐賀らしくはある。
まだ、三重津海軍所で躍動する佐野常民(栄寿)の姿は見えて来ない。それが、その時点での私の力量でもあった。
スタッフの方の説明に集中する。その言葉は、佐野先生のものと思うべきだ。
「まずは情報の収集だ。然(しか)る後に“大河ドラマ”のイメージに変換する!」
船屋地区(船の停泊)→稽古場地区(海軍の訓練)→修覆場地区(洋式船の修理)と見学は進む。記念館に戻り、私は施設スタッフの方に“ある質問”をした。
(続く)
〔関連記事:
※“本編”の開始前に“佐賀七賢人”のキャラクターを把握するために書いていたシリーズです。当時は、佐野常民編が一番描きづらかった…という記憶があります。
Posted by SR at 22:11 | Comments(0) | 連続ブログ小説「旅立の剣」第1・2シリーズ
※このブログではブログの持ち主が承認した後、コメントが反映される設定です。